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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1143145
審判番号 不服2004-8693  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-04-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-28 
確定日 2006-09-07 
事件の表示 平成 9年特許願第120524号「回線切換制御装置及び回線切換制御プログラムを格納した記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月10日出願公開,特開平10- 93732〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
出願日: 平成 9年5月12日
(優先日: 平成 8年5月24日,国内優先権主張)
拒絶査定日: 平成16年3月29日
審判請求日: 平成16年4月28日
手続補正書: 平成16年5月25日
審尋: 平成18年2月28日
回答書: 平成18年5月11日

第2 補正却下について
[補正却下の決定の結論]
平成16年5月25日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
平成16年5月25日付けの手続補正は,特許請求の範囲の請求項1(以下「補正発明」という。)を以下のように補正することを含むものである。

「複数の通話回線の切換制御を行う回線切換制御装置において,
電話機の発信を常時監視し,発信があった場合に,前記電話機の発信信号で示される通話用番号内の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって,前記通話回線の中から発信に使用する通話回線を識別する発信識別部と,
前記通話回線の着信を常時監視し,着信があった場合に,前記通話回線の中から着信に使用された通話回線を識別するとともに,前記電話機が通話中であるか否かの判断を行う回線監視部と,
前記電話機が一方の通話回線を用いて通話中であると判断され,且つ他方の通話回線から新たに着信があった場合に,前記他方の通話回線からの着信を知らせる着信信号を前記電話機に与える信号発生部と,
前記着信信号の発生中,前記電話機から通話回線切換の指示を受けた場合に,回線切換信号を発する回線切換部と,
発信があった場合には前記電話機と発信に使用する前記通話回線とを接続し,前記電話機が通話中でない時に着信があった場合には前記電話機と着信に使用された前記通話回線とを接続し,前記電話機の通話中に前記回線切換信号を受信した場合には通話中の通話回線を保留とし,前記電話機と新たに着信のあった通話回線とを接続する回線接続部と,
から構成されることを特徴とする回線切換制御装置。」

2.新規事項の有無,補正の目的要件について
上記補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内になされたものであるから,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,下記A〜Cのとおり限定するものであるから,特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

A.「発信信号の特定の位置」を「発信信号で示される通話用番号内の特定の位置」と限定。

B.「通話中に回線切換信号を受信」を「通話中に前記回線切換信号を受信」とし,「前記」を付加して限定。

C.請求項1の末行に記載された「回線切換装置」を,請求項1の1行目の用語に合わせ,「回線切換制御装置」と限定。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,上記補正発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.1 補正後の発明
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

3.2 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-327063号公報(以下「引用例」という。)には,「2つの電気通信回線とステーションセット(電話機)との間のダイバータ(回線切換制御装置)インタフェース」の発明に関し,図面とともに以下の事項a〜fが記載されている。

・摘記事項a (1頁左欄,【要約】)
「(57)【要約】 (修正有)
【目的】標準型電話機と,第1及び第2の電気通信会社からそれぞれ出ている電気通信回線とインタフェースする装置を提供する。
【構成】ダイバータ12は,第1及び第2の回線A及びBとステーションセットに結合する第3の回線24にそれぞれ接続され,回線モニタ32,34及びセットモニタ36と,制御装置38とを含む。回線モニタとセットモニタは,リンギング信号,ステーションセットからのアクセスコード信号,回線切替要求信号など所定の選択信号を監視,検出して発生した出力制御信号に応答して,各回線に存在する所定の選択信号及び状態を妨害することなく,第1及び第2の回線のうち所定の一方を第3の回線に直接結合する。」

・摘記事項b (5頁8欄33〜37行)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,たとえば,顧客の標準型電話機と,第1及び第2の電気通信会社からそれぞれ出ている第1及び第2の電気通信回線との間にインタフェースを構成する装置に関する。」

・摘記事項c (8頁13欄1〜23行)
「【0015】次に図3を参照すると,本発明に従った図1及び図2に示すダイバータ12のブロック線図が示されている。ダイバータ12はスイッチング手段30と,回線Aモニタ32と,回線Bモニタ34と,セットモニタ36と,制御装置38と,電源装置40と,オプションのエネルギー蓄積装置42とを具備する。チップ(T)リード線及びリング(R)リード線を有する第1の電気通信回線16(回線A)はダイバータ12の中に入って,スイッチング手段30の第1の対の極31aを終端としている。チップ(T)リード線及びリング(R)リード線を有する第2の電気通信回線18(回線B)はダイバータ12の中に入って,スイッチング手段30の第2の対の極31bを終端としている。第3の回線24は遠隔ステーションセット(図示せず)をスイッチング手段30の中央の一対の極31cと,セットモニタ36とに結合する。対の極31cは,制御装置38からの制御信号に従って対の極31a及び31bのうちいずれかの対に選択的に接続可能である。遠隔ステーションセットは,たとえば,標準型電話機,コンピュータの変復調装置,ファクシミリ装置又はデータ端末などの何らかの適切な装置から構成できることを理解すべきである。以下,例示の便宜上,ステーションセットは標準型電話機であると仮定する。」

・摘記事項d (8頁14欄1〜34行)
「【0017】動作中,ダイバータ12は,たとえば,第1の電気通信回線16(回線A)などの一次電気通信回線と遠隔ステーションセット(図示せず)との接続をスイッチング手段30において対の極31aを対の極31cに接続させることによって維持する。このようにして,遠隔ステーションセット(たとえば,標準型電話機)は通常は回線A16からの呼び出しを受信する。ステーションセット(図示せず)を使用する遠隔電話加入者は,加入者が呼び出しを第2の電気通信回線B18(代替回線又は二次回線)を介して送信すべきであることを指示するアクセスコードを入力しない限り,通常は回線A16を介して呼び出しを生成することになるであろう。言い換えれば,遠隔ステーションセット加入者が回線A16を介する市内電話サービスと,回線B18を介する長距離サービスとを得ている場合には,加入者の公称接続は回線A16を介するものとなる。従って,すべての市内呼通は7桁の番号又は緊急時の3桁の番号)は,通常,回線A16を介して市内交換所へ送信されて,適切に処理,端接続される。長距離呼び出しの場合には,遠隔加入者は,たとえば,「1」,「#」又は「*」などであれば良い長距離用アクセスコードを入力する。セットモニタ36は発信音多周波数(DTMF)又はパルスシーケンスを検出,認識し,有効検出アクセスコードをバス46を介して制御信号によって制御装置38に報告する。制御装置38は制御信号が回線B18への回線交換を指示していることを認識し,対の極31cを対の極31bに接続させて,回線接続を回線A16から回線B18へ変更するためにバス45を介してスイッチング手段30へ送信されるべき制御信号を発生する。
【0018】長距離コードが「1」である場合,ダイアルされた最初の数字が1であることによって,それは7桁の市内局番の一部としてではなく,長距離アクセスコードとして識別される。」

・摘記事項e (9頁15欄1〜49行)
「【0019】たとえば,加入者が一方の回線,すなわち,回線A16又は回線B18における呼び出しによって話中であるが,他方の回線A16又はB18を介して呼び出しを受信したときに,ダイバータ12は次のように動作する。以下,加入者は回線A16における呼び出しに対しては話中であり,別の呼び出しは回線B18で受信されると仮定する。他方の呼び出しを受信している回線B18に結合している回線Bモニタ32は回線Bのリンギング信号を検出し,そのようなリンギング信号検出を指示する制御信号をバス44を介して制御装置38へ発生する。制御装置38は呼び出し待機制御信号をバス46を介してセットモニタ36へ送信する。受信した呼び出し待機制御信号に応答して,セットモニタ36は呼び出し待機発信音を第3の回線24を介してステーションセット(図示せず)へ発生する。加入者は,その呼び出し待機発信音の検出に応答して,長距離コード又は所定の回線変更コードをステーションセットに入力し,そのコードはセットモニタ36により検出されて,バス46を介して制御装置38へ送信される。制御装置38は,スイッチング手段30によって回線B18をステーションセットに結合させ且つ回線Aモニタ32によって回線A16に低インピーダンス(典型的には400オームであるが,100オームから1,000オームの範囲であっても良い)を印加させることによって応答する。
・・(中略)・・
回線Aモニタ32が回線A16に低インピーダンスを印加することによって,回線A16の呼び出しは維持される(回線は捕捉されたままである)が,加入者は第2の回線B18の呼び出しに返答する。加入者は「要求回線切替」コードを入力することにより回線A16に戻ることができる。このコードは長距離アクセスコードと同じであっても良く,同じでなくとも良い。加入者が回線B18の呼び出しによって話中であり,回線A16で別の呼び出しを受信した場合にもダイバータ12は同じように動作することを理解すべきである。」

・摘記事項f (10頁18欄6行〜12頁22欄5行)
「【0025】次に図7を参照すると,制御装置38(図3及び図6に示す)により制御されるときの図3に示すダイバータ12の動作の概要の表が示されている。制御装置38は回線Aモニタ32を介して回線A16から,回線Bモニタ34を介して回線B18から,そしてセットモニタ36を介してステーションセット(図示せず)からそれぞれ受信される情報に反応して,制御信号を発生し且つ表に示す結果を生成するように(たとえば,ROM72に記憶されているプログラムの中で)プログラムされている。
【0026】表の第1行に示す通り,回線A16,回線B18及びステーションセットの各々が呼び出しは全く発生又は受信されていないことを指示するON-HOOK状態にあるとき,制御装置38はスイッチング手段30によって一次回線(たとえば,回線B18ではなく,回線A16)をステーションセットに結合させる。さらに,制御装置38は回線Aモニタ32及び回線Bモニタ34によって回線A16と回線B18でそれぞれ高インピーダンスを維持させると共に,セットモニタ36からのアクションに対し要求を発しない。
【0027】表の第2行に示すように,回線A16で呼び出しが受信されたときには,回線A16で(回線Aモニタ32により)リンギングが検出されるが,回線B18とステーションセットのそれぞれはON-HOOK状態である。受信されているリンギングに応答して,制御装置38はスイッチング手段30によって回線A16をステーションセットに結合させるが,これを表の行1に示すように通常はステーションセットに結合している一次回線(回線A又はB)と指定しても良い。さらに,制御装置38は回線Aモニタ32と回線Bモニタ34が回線A16と,回線B18とにそれぞれ高インピーダンスを確実に印加するようにさせ,セットモニタ36からのアクションに対して要求を発しない。回線A(16)と回線B(18)において高インピーダンスを維持することにより,ダイバータ12はステーションセットが返答する前にリンギングを停止させるために回線A(16)及びB(18)にOFF-HOOK信号を発生しない。従って,ダイバータは回線A(16)及びB(18)と,ステーションセットには見えないままである。表の行3は,リンギングが回線A16ではなく,回線B18で検出されたときに,スイッチング手段30が回線B18をステーションセットに結合するように切り替えられることを除いて,制御装置38は行2に示したのと同じように動作することを示している。
【0028】表の行4に示す通り,回線A16が(捕捉された)呼び出しによって話中であり且つOFF-HOOK状態であるステーションセットに結合されているとき,スイッチング手段30はその時点では回線A16及びステーションセットを第1の呼び出しと結合している。回線Aモニタ32と回線Bモニタ34は回線A16と,回線B18とにそれぞれ高インピーダンスを印加する。ステーションセットはOFF-HOOK状態であるので,ステーションセットは回線Aモニタ32の高インピーダンスと並行して回線A16に低インピーダンスを印加して,全体として回線A16には低インピーダンスを発生している。この時点で,回線B18でリンギング(第2の呼び出し)が受信され,回線Bモニタ34は検出されたリンギングを制御装置38に通知する。そこで,制御装置38はセットモニタ36によって回線B18呼び出し待機信号を第3の回線24を介してステーションセットへ発生させる。回線B18の高インピーダンスは,ステーションセットがこの呼び出しに返答するか又は遠隔発呼者がハングアップするまで,回線B18のリンギングを維持する。
【0029】表の行5に示すように,表の行4で発生された呼び出し待機信号をステーションセットが受信した後,回線B18の呼び出しに返答するために,ステーションセットは「回線切替要求コード」をセットモニタ36へ送信する。セットモニタ36はその回線切替要求コードを検出し,その要求を制御装置38へ送信する。それに応答して,制御装置38は回線Aモニタ32によって回線A16に低インピーダンスを印加させると共に,スイッチング手段30が回線B18に切り替えられたならば回線A16の呼び出しをホールドさせる。この場合にも同様に,ダイバータ12は回線A16及び回線B18と関連し且つ第3の回線24を介してステーションセットと関連する電気通信源に対しては見えないままである。
【0030】表の行6は,回線A16及びB18の双方に呼び出しが存在しており,回線A16の呼び出しはステーションセットに結合されるが,回線Bの呼び出しは回線Bモニタ34により回線Bに印加された低インピーダンスによってオンにホールドされているような状態を示す。表の行6に示す状態は,回線B18の呼び出しに対する返答があり(表の行5に示す通り)且つステーションセットは回線B18の呼び出しをホールドしつつ回線A16に戻すべく回線A回線切替要求コードを送信し終わった後に起こり得る。回線A回線切替要求コードと回線B回線切替要求コード(表の行5で使用された)とは同じであっても良く,異なるコードであっても良い。
【0031】表の行7は,(表の行5に示すように)回線A16の呼び出しをホールドしつつ回線B18の呼び出しに返答した後に,ステーションセットが回線B18で呼び出しをハングアップしている間に回線A16の呼び出しへ戻すことを望む場合に起こり得る状態を示す。さらに特定すれば,回線B18の呼び出しを終了させ且つ回線A16の呼び出しに戻すために,加入者はフラッシュフック(FH)信号を発生し,その後に,ステーションセットで回線切替要求コードを入力するということになる。フラッシュフック信号は,たとえば,電話機のスイッチフックを所定の短時間だけ押すことによって発生される。フラッシュフック信号と回線切替要求コード信号はセットモニタ36で検出され,制御装置38へ送信される。制御装置38は回線A16をステーションセットに結合するようにスイッチング手段30を切り替え,回線Bモニタ34によって回線B18に高インピーダンスを印加させる。この高インピーダンスはステーションセットがON-HOOKになるときに発生するものに相当することの指示を与え,回線B18に結合する遠隔電気通信所(図示せず)に呼び出しを終了させる。
【0032】表の行8,9及び10は表の行4,5及び6にそれぞれ類似しているが,ステーションセットがその時点で回線A16からではなく,回線B18からの呼び出しについて活動しており,且つリンギング(呼び出し)が回線A16で受信されたときのシーケンスを示す。さらに特定していえば,表の行8は,ステーションセットが回線B18からの呼び出しによって話中であり且つ回線A16でリンギングが受信された状態を示す。行9は,ステーションセットが回線A切替要求コードを発生することにより回線Aに応答し且つ回線B18の呼び出しをホールドしつつ呼び出しを回線A16の呼び出しに切り替えた状態を示す。表の行10は,回線A16の呼び出しをホールドしつつステーションセットが回線B18の呼び出しに戻った状態を示す。
【0033】表の行11は,ステーションセットが回線A16及びB18の呼び出しに結合されており(双方の回線が捕捉されているが,一方は疑いなくホールド状態にある)且つステーションセットは偶発的に又は故意にON-HOOKになる状態を示す。ステーションセットがON-HOOKになるのに応答して,制御装置38は,許容される最長のフラッシュフック信号の長さの2倍又は3倍であれば良い適切な遅延の後に,スイッチング手段30によって一次回線(回線A16又は回線B18)をステーションセットに結合させる。その時点で,制御装置38はさらに回線Aモニタ32及び回線Bモニタ34によって回線A16と,回線B18とにそれぞれ高インピーダンスを印加させる。それらの高インピーダンスはステーションセットがON-HOOKになることを表しており,回線A16及びB18と関連する電気通信所に各々の呼び出しを終了させる。
【0034】表の行12は,ステーションセットを使用して二次回線(回線A16又は回線B18)に呼び出しを発生する状態を示す。さらに特定すれば,二次回線アクセスコードが発生されるときに回線A16及び回線B18に高インピーダンスが,それぞれ回線モニタA32及び回線モニタB34により印加される状態で,回線A16及び回線B18はON-HOOKである。セットモニタ36は二次回線アクセスコードを検出し,そのコードを制御装置38へ送信する。制御装置38はスイッチング手段30(図3に示す)によってステーションセットを二次回線(回線A16又は回線B18)に結合させる。加入者が電話送受器をそのスイッチフックから持ち上げ,一次回線(たとえば,回線A16)がスイッチング手段30によってステーションセット(図示せず)に結合されたとき,ステーションセットはその一次回線に接続する遠隔電気通信所から発信音信号を受信することを理解すべきである。加入者が二次回線(たとえば,回線B18)に関わるアクセスコード(たとえば,「1」,「#」又は「*」)を入力したならば,セットモニタ36(図3に示す)はそのアクセスコードを検出し,受信したアクセスコードを制御装置38(図3に示す)に通知する。制御装置はスイッチング手段30によって二次回線(回線B18)をステーションセットに結合させると共に,一次回線(回線A16)をステーションセットから解放させる。二次回線(回線B18)に結合する電気通信所はステーションセットが二次回線に接続されるのに応答して別の発信音を発生するので,この動作は,加入者が後続する被呼者の番号の数字(たとえば,エリアコードに加えて他の7つの数字)を入力する前に実行されなければならない。これは,セットモニタ36(図5に示す)が回線A(16)及びB(18)のうち一方を介してパルス信号又はDTMF信号を送信することができないパルス/DTMF受信器60(図5に示す)から構成されているために必要である。従って,セットモニタ36,制御装置38及びスイッチング手段30は加入者が被呼者の番号を通常入力する以前に二次回線アクセスコードに応答するのに十分な速度を有しているべきである。あるいは,加入者は,アクセスコードを入力した後,さらに別の数字を入力し続ける前に,必要であると思われる数字が失われるのを避けるために,二次回線(回線B18)からの第2の発信音を待たなければならない。さらに特定すれば,「1」は二次電気通信所により別のキャリアなどへ呼び出しをさらに誘導するために要求されることもあるので,二次回線アクセスコードは「1」でないのが好ましい。」

したがって,上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,上記引用例には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「スイッチング手段と,回線Aモニタと,回線Bモニタと,セットモニタと,制御装置とを備え,第1及び第2の電気通信回線(回線A又は回線B)の回線切替を行うダイバータにおいて,
電話機からの発信時は,電話機を使用して二次回線(回線A又は回線B)に呼び出しを発生させ,加入者が被呼者の番号を入力する以前の二次回線アクセスコードを,セットモニタが検出し,そのコードを制御装置に送信し,二次回線に結合させ,
一方の回線から着信があった場合,例えば,回線Aで呼び出しが受信されたときに,回線Aで(回線Aモニタにより)リンギングを検出し,回線Aを電話機に結合させ,
話中に,他方の回線から着信があった場合,例えば,回線Aが(捕捉された)呼び出しによって話中であり且つOFF-HOOK状態である電話機に結合された状態で,回線Bでリンギング(第2の呼び出し)が受信された場合に,回線Bモニタは検出されたリンギングを制御装置に通知し,制御装置はセットモニタによって回線B呼び出し待機信号を第3の回線を介して電話機へ発生させ,呼び出し待機信号を電話機が受信した後,回線Bの呼び出しに返答するために,電話機は,回線切替要求コードをセットモニタへ送信し,セットモニタはその回線切替要求コードを検出し,その要求を制御装置へ送信し,制御装置はスイッチング手段が回線Bに切り替えられたならば回線Aの呼び出しをホールドさせることを特徴とするダイバータ。」

3.3 対比・判断
補正発明と引用発明を対比すると,
ア.引用発明の「ダイバータ」は,回線切替制御装置であることは明らかである。

イ.引用発明の「セットモニタ」及び「制御装置」は,補正発明の「発信識別部」,「信号発生部」及び「回線切換部」としての機能を有している。

ウ.引用発明の「回線Aモニタ」,「回線Bモニタ」及び「制御装置」は,補正発明の「回線監視部」としての機能を有している。

エ.引用発明の「スイッチング手段」は,補正発明の「回線接続部」に相当する。

オ.引用発明の「ホールド」は,補正発明の「保留」に相当する。

したがって,補正発明と引用発明の一致点及び相違点は,次のとおりである。
<一致点>
「複数の通話回線の切換制御を行う回線切換制御装置において,
電話機の発信を常時監視し,発信があった場合に,前記電話機の発信信号の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって,前記通話回線の中から発信に使用する通話回線を識別する発信識別部と,
前記通話回線の着信を常時監視し,着信があった場合に,前記通話回線の中から着信に使用された通話回線を識別するとともに,前記電話機が通話中であるか否かの判断を行う回線監視部と,
前記電話機が一方の通話回線を用いて通話中であると判断され,且つ他方の通話回線から新たに着信があった場合に,前記他方の通話回線からの着信を知らせる着信信号を前記電話機に与える信号発生部と,
前記着信信号の発生中,前記電話機から通話回線切換の指示を受けた場合に,回線切換信号を発する回線切換部と,
発信があった場合には前記電話機と発信に使用する前記通話回線とを接続し,前記電話機が通話中でない時に着信があった場合には前記電話機と着信に使用された前記通話回線とを接続し,前記電話機の通話中に前記回線切換信号を受信した場合には通話中の通話回線を保留とし,前記電話機と新たに着信のあった通話回線とを接続する回線接続部と,
から構成されることを特徴とする回線切換制御装置。」

<相違点>
補正発明は,使用する通信回線を「電話機の発信信号で示される通話用番号内の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって」識別するのに対し,引用発明は「電話機の発信信号の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって」,つまり,被呼者の番号(電話番号)を入力する以前の二次回線アクセスコードによって識別する点。

上記相違点について検討すると,特開昭63-99658号公報の特許請求の範囲に記載された「市外局番」,特開平1-206766号公報の例えば第2頁右上欄8行目に記載された「市外局番」,特開平1-160156号公報の例えば第2頁右下欄の表に記載された「発信先局番」などのように,「通話用番号内の特定の位置」の番号によって,使用する回線を選択することは周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻害要因は見あたらないから,引用発明において,使用する通信回線を「電話機の発信信号で示される通話用番号内の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって」識別する構成を採用することは,当業者が容易に想到し得るものである。

そして,補正発明の作用効果も,引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

したがって,補正発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.4 むすび
以上のとおり,本件手続補正は,特許法第17条の2第5項の規定で準用する同法第126条第5項〔独立特許要件〕の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項〔補正却下〕の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成16年5月25日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成15年
12月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「複数の通話回線の切換制御を行う回線切換制御装置において,
電話機の発信を常時監視し,発信があった場合に,前記電話機の発信信号の特定の位置に特定の番号が含まれているか否かによって,前記通話回線の中から発信に使用する通話回線を識別する発信識別部と,
前記通話回線の着信を常時監視し,着信があった場合に,前記通話回線の中から着信に使用された通話回線を識別するとともに,前記電話機が通話中であるか否かの判断を行う回線監視部と,
前記電話機が一方の通話回線を用いて通話中であると判断され,且つ他方の通話回線から新たに着信があった場合に,前記他方の通話回線からの着信を知らせる着信信号を前記電話機に与える信号発生部と,
前記着信信号の発生中,前記電話機から通話回線切換の指示を受けた場合に,回線切換信号を発する回線切換部と,
発信があった場合には前記電話機と発信に使用する前記通話回線とを接続し,前記電話機が通話中でない時に着信があった場合には前記電話機と着信に使用された前記通話回線とを接続し,前記電話機の通話中に回線切換信号を受信した場合には通話中の通話回線を保留とし,前記電話機と新たに着信のあった通話回線とを接続する回線接続部と,
から構成されることを特徴とする回線切換装置。」

2.引用発明
引用発明は,上記「第2 補正却下の決定」の「3.2 引用発明」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,上記「第2 補正却下の決定」で検討した補正発明において,「発信信号で示される通話用番号内の特定の位置」を「発信信号の特定の位置」として,発信信号に関する限定を削除するとともに,「通話中に前記回線切換信号を受信」を「通話中に回線切換信号を受信」とし,「回線切換制御装置」を「回線切換装置」としたものである。

そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加又は限定した補正発明が,上記「第2 補正却下の決定」の「3.3 対比・判断」の項に記載したとおり,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-05 
結審通知日 2006-07-11 
審決日 2006-07-25 
出願番号 特願平9-120524
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 博之大塚 良平  
特許庁審判長 羽鳥 賢一
特許庁審判官 浜野 友茂
小林 紀和
発明の名称 回線切換制御装置及び回線切換制御プログラムを格納した記憶媒体  
代理人 服部 毅巖  

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