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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1143208
異議申立番号 異議2003-73277  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-22 
確定日 2006-06-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3443399号「酸性水中油型乳化調味料」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについてされた平成16年8月17日付け決定に対し、東京高等裁判所において特許取消決定取消の判決〔平成17年(行ケ)第10223号、平成18年4月27日判決言渡し〕があったので、さらに審理のうえ、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3443399号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由
I.手続の経緯

本件特許第3443399号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成12年11月17日の出願であって、平成15年6月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について異議申立人旭電化工業株式会社より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年7月28日に訂正請求がなされ、平成16年8月17日付けでに特許取消の決定がなされた。これに対して、平成18年4月27日で特許取消決定取消の判決がなされたものである。

II.訂正請求について

1.訂正の内容

訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】の記載、「酸性水中油型乳化調味料において、」を、「酸性水中油型乳化調味料において、焼成用あるいはフライ用食品に用いる酸性水中油型乳化調味料であって、」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1記載の「酸性水中油型乳化調味料において、」を「酸性水中油型乳化調味料において、焼成用あるいはフライ用食品に用いる酸性水中油型乳化調味料であって、」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許明細書の段落【0008】には、「・・・本発明の酸性水中油型調味料は、酸性水中油型調味料と共に、例えば、オーブントースター、フライ、電子レンジ等の強力な加熱処理を施す食品に好適な調味料である。このような食品としては、例えば、オーブンで焼成するトーストやピザ等のパン類、オーブンや電子レンジで焼成又は再加熱したり、あるいはフライする白身魚のフライ、エビフライ、メンチカツ、コロッケ等のフライ用あるいはフライ済み食品、またハンバーグ、焼きそば等が挙げられる。」と記載されているから、上記訂正事項は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものである。
また、上記訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないことは明らかである。

3.むすび

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の4第2項及び同条第3項で準用する126条第2項及び第3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立についての判断

1.特許異議申立ての理由の概要

特許異議申立人旭電化工業株式会社は、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は、甲第1号証(特開平3-27269号公報)、甲第2号証(「月刊フードケミカル 1992‐3」第94〜100頁)、甲第3号証(「油化学 第28巻第10号(1979)」第760〜766頁)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。

2.本件発明

上記II.に示したように上記訂正は認められるから、訂正後の本件請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、上記訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】製品に対して食用油脂を10%以上含有し、且つ全体の粘度が10万mPa・s以上である酸性水中油型乳化調味料において、焼成用あるいはフライ用食品に用いる酸性水中油型乳化調味料であって、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを含有することを特徴とする酸性水中油型乳化調味料。
【請求項2】製品に対して、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄換算で1〜15%、オクテニルコハク酸化澱粉を0.1〜5%含有することを特徴とする請求項1記載の酸性水中油型乳化調味料。」

3.甲各号証等記載事項

甲第1号証:特開平3-27269号公報
(1-1)ホスフォリパーゼAで分解した卵黄、及びラクトアルブミンを含有することを特徴とする耐熱性ドレッシング。(特許請求の範囲)
(1-2)本発明で用いられる油脂としては,食用に適する油脂であれば特に種類を問わない。……上記油脂の配合割合は,水中油型乳化を安定に行うために全原料の90重量%以下とすることが好ましく,更に風味及び食感を良くするためには35〜80重量%とするのが好ましい。(公報第2頁左下欄5〜17行)
(1-3)本発明で用いられるホスフォリパーゼAで分解した卵黄としては、生卵黄、冷凍卵黄、冷凍加塩卵黄、冷凍加糖卵黄、及び、卵黄を含有する、生全卵、冷凍全卵、冷凍加塩全卵、冷凍加糖全卵など、一般的にマヨネーズやドレッシングに使用している卵黄を、ホスフォリパーゼAで分解したものであれば、全て使用できる。(公報第2頁右下欄19行〜第3頁左上欄5行)
(1-4)上記の分解卵黄の添加量は、全原料の2重量%程度であっても、乳化良好なドレッシングを得ることができるが、乳化状態のよい卵黄風味豊かなドレッシングを得るには、好ましくは4〜15重量%、より好ましくは5〜8重量%とするとよい。本発明で用いられる水相原料としては、水の他に、必要に応じて、水に溶解又は分散しうる原料、例えば、食塩、グルタミン酸ソーダ、砂糖、グルコース、でんぷん、デキストリン、みりん、果汁、食酢、有機酸、香辛料、ガム類などを加えたものが用いられる。これらの原料は,水中油型乳化食品の風味,その他の特性などを考慮して適宜選定される。上記水相原料の配合割合は,全原料の10重量%以上,特に25〜65重量%とするのが好ましい。(公報第3頁左上欄19行〜右上欄14行)
(1-5)本発明の耐熱性ドレッシングは,例えば次のようにして製造することができる。まず,水に食酢等の酸味剤及び食塩,糖類等の呈味剤を分散溶解させ,更にラクトアルブミン,ホスフォリパーゼAで分解した卵黄を添加溶解させ,水相を調製する。一方,液状の油脂に糊化でんぷん,冷水可溶性ガム等のガム質を分散させることにより,油相を調整する。尚,ガム質は,水相に油相を添加,撹拌することにより混合されて水相に移行する。次いで,上記水相を撹拌しながら,上記油相を数回に分けて添加し,その後更によく撹拌をし,水中油型予備乳化物を得る。こうして得られた水中油型予備乳化物をコロイドミルにかけ,本発明の耐熱性ドレッシングを得る。(3頁右上欄18行〜左下欄12行)
(1-6)上述の如くして得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の各ドレッシングを70〜90℃で40分間加熱し,また,ポテトサラダ100部に上記の各ドレッシング25部を混合して調理したポテトサラダを70〜90℃で40分間加熱し,ドレッシング自体及びポテトサラダに使用した場合における油相の分離について評価した。それらの評価結果を,下記第2表に示す。第2表に示す結果から明らかなように,ホスフォリパーゼAで分解した卵黄とラクトアルブミンとを併用した実施例1〜4の本発明の耐熱性ドレッシングは何れも,加熱後の油相の分離がなく乳化状態が安定しているのに対し,両者を併用していない比較例1〜4のドレッシングは何れも,ポテトサラダでの油相の分離を生じていた。また,分解卵黄の配合割合を増やしても,ラクトアルブミンとの併用でなければその効果は認められなかった(比較例3参照)。(公報第4頁左上欄下から5行〜左下欄10行)
(1-7)本発明の耐熱性ドレッシングは、殺菌等の加熱処理を施すサラダ等に使用しても、油相の分離が起こらない、加熱に対して安定なものである。(公報第4頁左下欄12〜14行)
(1-8) 第1表には,実施例1〜4につき,食酢(酸度10%)8.0重量%,キサンタンガム0.3重量%,糊化でんぷん0.8重量%が配合されていることが示されている。(公報4頁左上欄)

甲第2号証:「月刊フードケミカル 1992‐3」第94〜100頁
(2-1)乳化油脂食品の場合,乳化剤のみでは保存性,あるいはテクスチャー付与ができないため不十分なことが多いので乳化安定剤との併用か, あるいは安定剤が乳化剤に代わって単独で使用されることもある。乳化安定剤は,増粘効果によって分散された油滴の再凝集を防ぐとともに食感の改良,保水性の向上などにも大きく貢献しているために糊料,粘質物,増粘剤ともいわれ食品の加工素材として賞用されてきている。ところで,乳化安定剤には植物ガム,微生物産生ガム類,タンパク質,澱粉などの天然系やCMC,アルギン酸ナトリウム,カゼインナトリウムなどの化学修飾物などがあるが,本稿では澱粉やその加水分解物であるデキストリン,疎水基を導入して乳化機能を付与した親油性澱粉の特性, その用途や特に油脂の粉末化について述べてみたい。(94頁右欄1行〜16行)
(2-2)1.1 部分分解澱粉(デキストリン) 従来より乳化油脂食品には種々の安定剤が使われている。例えばドレッシングには各種のガム類,特に乳化香料にはアラビアガムが賞用されてきた。しかしながら,アラビアガムは中央アフリカに産するアカシア属の木から採取される天然系のガム質でこの地域に限定されるため高価であり,そのうえ気象条件によりその産出量が左右され供給が不安定になることが多い。このため澱粉を種々修飾した代替物が開発されている。すなわち,澱粉の酵素分解物であるデキストリン類は乳化の安定剤としてだけではなく,特に低分解度のデキストリンが適度のテクスチャーを有するところから使用されていることが多い。しかしながら,乳化油脂食品の種類によっては長時間放置する場合に白濁し,はなはだしいときには沈澱を生じ食品としての価値を無くすような現象が発生することもある。このため,酸化処理によりこの欠点を改善する試みもなされてきた。しかし澱粉を酸化しただけでは低粘性になるが溶解性や乳化安定性が劣り乳化安定剤としての機能を発揮することがむずかしい。そこで,澱粉を酸化した後α- アミラーゼにより一定条件にまで加水分解することによって,はじめてアラビアガムとほぼ同等の乳化安定性を有するデキストリンが得られる。具体的には澱粉を酸化して酸化度3〜5%,粘度1,500cps(10%水溶液,30℃)の澱粉酸化物をα-アミラーゼにより加水分解して,分解度(DE)5以下,粘度50〜150cps(30%水溶液,30℃)の加水分解物とすることによりすぐれた乳化安定剤となる。(94頁右欄25行〜95頁左欄24行)
(2-3) 1.2親油性澱粉 前項では,澱粉を酸化,あるいは部分分解した乳化安定増粘剤についてふれたがこれらには乳化力はほとんどない。そこで,さらに積極的に澱粉に界面活性能を付与させるため疎水基を導入した加工澱粉に,オクテニルコハク酸エステル化澱粉がある。澱粉懸濁液を微アルカリ性として,これにオクテニルコハク酸無水物を徐々に滴下することにより,図1に示す反応のように親水基と疎水基を共存するエステル化澱粉が得られる。この場合オクテニルコハク酸無水物の添加量により種々の置換基を有するエステル化澱粉が得られるが,米国のFDAの食品添加物基準では対澱粉当たり最高3%(絶乾物)となっているために,食品用澱粉は一般にこの基準内で製造され市販されている。オクテニルコハク酸澱粉は,未反応澱粉にくらべて糊化温度がやや低くなるとともに粘度は上昇し,保存安定性も向上する。ところで,ここに得られた親油性澱粉に望みの粘度や濃度のエマルジョンが形成でき,さらに冷水可溶にするためアルファー化処理や酸,酵素による部分分解も行われる。図2に加水分解の程度(DE)と乳化安定性を示したが,分解すると乳化安定性は低下する傾向がみられる。これらの諸要件を勘案して、松谷化学工業(株)は、溶解性、粘性の異なる4種類の乳化安定性にすぐれた食品用澱粉「エマルスター」を上市した。普及型の「エマルスター#30A」は、冷水に容易に溶解し、濃度や温度による粘度特性は図3,4にみられるようにアラビアガムとほぼ同等である。また、図5の方法によりアラビアガムや分解度(DE)4のマルトデキストリンに10%のHLB16のシュガーエステルを添加した10%水溶液に、大豆油を加えて乳化液を調整する。この際、所定量の酢酸や食塩を添加してこれらの影響をみたのが図6,7である。さらに、食塩を加えた乳化液を120℃、30分レトルト処理した場合の乳化液の安定性を図8に示したが、これらの結果から「エマルスター#30A」は耐酸性、耐塩性やレトルト耐性にすぐれた乳化剤であり乳化安定剤であるといえる。このように調味素材の影響をうけることが少ないので液状、マヨネーズ状のドレッシング、乳化醤油やタレ類の含油調味料、乳飲料などの飲料類、フラワーペ一ストやカスタードクリームなどの含油脂食品に広く使用することができる。代表的使用例として表1に乳化型ドレッシング、表2に乳化香料、表3に乳化醤油の配合例や作り方を示した。このように従来と全く同一の方法により調製された乳化油脂食品は保存安定性に、食感、口溶けなどに変化はみられないばかりでなく、レシチン、シュガーエステルなどの乳化剤にくらべて異臭、異味の少ないことも大きな特長である。(第95頁左欄25行〜第97頁左欄末行)
(2-4)表1 乳化型ドレッシング
サラダ油 35%
食酢(酸度10%) 10
砂糖 10
食塩 4
エマルスター#30A 2
キサンタンガム 0.2
水 38.8
(第97頁左欄)

甲第3号証:「油化学 第28巻第10号(1979)」第760〜766頁
(3-1)マヨネーズの粘度としては、日本農林規格で30,000cP以上という規定があるが、一般に市販されているものはそれよりかなり高く、100,000〜300,000cP程度のものが多い。(第762頁左欄下から13〜10行)

参考資料:実験報告書
(4-1)「V.実験の結果」の項に示す通り、甲第1号証の実施例4の耐熱性ドレッシングの粘度は、『18万mPa・s』であった。

4 対比・判断

4.1 本件発明1について

本件発明1は、酸性水中油型乳化調味料に、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを配合することにより、オーブン、フライ、電子レンジ等において他の食品と共に強力な加熱処理を施しても、油相分離を生じ難くしかも滑らかな食感を保持することができるものである。
一方、甲第1号証の上記記載によれば,甲第1号証に記載された発明(以下、「引用発明」という。)は,ホスホリパーゼAで分解した卵黄を含む耐熱性ドレッシングであり,油脂を35〜80重量%含有し,ホスホリパーゼAで分解した卵黄を4〜15 重量%有し,食酢を含む水中油型乳化物であって,酸性水中油型乳化調味料と認められるから,「製品に対して食用油脂を35%以上含有し,ホスホリパーゼA処理卵黄を含有する酸性水中油型乳化調味料。」である点で本件発明1と一致するということができる。
また、甲第2号証の上記記載及び図1〜8によれば、甲第2号証には,オクテニルコハク酸エステル化澱粉は,積極的にでんぷんに界面活性能を付与させるため疎水基を導入した加工でんぷんで,加水分解の程度(DE)により, 溶解性,粘性,乳化安定性が異なり,溶解性,粘性の異なる4種類の食品用でんぷん「エマルスター」が上市されていること,普及型の「エマルスター#30A」は,その粘度特性においては,アラビアガムとほぼ同等であるが,耐酸性,耐塩性,レトルト耐性においては,アラビアガムより優れた乳化剤であり,乳化安定剤であって,マヨネーズ状のドレッシングに使用できることなどが開示されているこということができる。
しかしながら、甲第1号証には,引用発明について, ホスホリパーゼA処理卵黄とラクトアルブミンとの併用を必須とし,これにより耐熱性ドレッシングとしての効果を奏するものであることが記載されているものの,ホスホリパーゼA処理卵黄とラクトアルブミンに加え,更にオクテニルコハク酸化澱粉を配合することの契機となる記載は存在しないし,また,甲第2号証にも,オクテニルコハク酸化澱粉をホスホリパーゼA処理卵黄と併用することについて示唆する記載はない。
これらの点と,後記のとおり,本件発明1のホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果は,甲第1、2号証の記載から当業者が予測することができないものであることを合わせ考えれば,甲第1号証において,甲第2号証のオクテニルコハク酸化澱粉を配合することについて,当業者が容易に想到することができたということはできない。
そして、 本件発明1は,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することにより,ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方を用いる場合と比較して,焼成あるいはフライという加熱処理を施した場合に,油相分離を生じ難いという効果を奏するものであることが認められ、ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方しか用いない場合には,焼成した場合に,油相分離が生じ,保形成も崩れることが推認されるから,本件発明1の上記効果は,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果であると認めるのが相当である。
他方、甲第1号証には,ホスホリパーゼA処理卵黄を含有するドレッシングを殺菌等の加熱処理を施すサラダ等に使用すること,ドレッシングを70〜90℃で40分間加熱しても油相分離がみられなかったことが記載されているが,甲第1号証には,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果はもとより,両者を併用することについて示唆する記載は認められない。
また,甲第2号証には,オクテニルコハク酸化澱粉である「エマルスター#30」を含有する乳化液が,120℃で30分間レトルト処理した後に2%程度の油相分離しかみられなかったこと,オクテニルコハク酸化澱粉である「エマルスター#30」がレトルト耐性に優れた乳化剤であること,マヨネーズ状のドレッシング等の酸性水中油型調味料に用いることが示されているが,甲第2号証には,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果はもとより,両者を併用することについて示唆する記載は認められない。
なお、甲第3号証には、マヨネーズの粘度は、日100,000〜300,000cP程度のものが多いことが記載されているだけで、甲第3号証にも、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果はもとより,両者を併用することについて示唆する記載は認められない。

したがって、本件発明1は、甲第1乃至3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

4.2 本件発明2について

本件発明2は、本件発明1において、「ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄換算で1〜15%、オクテニルコハク酸化澱粉を1〜5%含有する」ものであるから、本件発明2も、本件発明1と同様の理由で、甲第1乃至3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

5.まとめ

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1、2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
酸性水中油型乳化調味料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】製品に対して食用油脂を10%以上含有し、且つ全体の粘度が10万mPa・s以上である酸性水中油型乳化調味料において、焼成用あるいはフライ用食品に用いる酸性水中油型乳化調味料であって、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを含有することを特徴とする酸性水中油型乳化調味料。
【請求項2】製品に対して、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄換算で1〜15%、オクテニルコハク酸化澱粉を0.1〜5%含有することを特徴とする請求項1記載の酸性水中油型乳化調味料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーブン、フライ、電子レンジ等において他の食品と共に強力な加熱処理を施しても、油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感を保持した酸性水中油型乳化調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
マヨネーズ、サラダドレッシング、さらにこれらに具材や香辛料等を含有させた各種酸性水中油型乳化調味料は、卵黄のコク味と適度な酸味を有した優れた調味料であり、近年、食生活の多様化により様々な食品用途に使用されるようになった。これに伴い酸性水中油型乳化調味料を使用した食品が用途に応じ様々な方法で製されている。例えば、酸性水中油型乳化調味料をスプレッドとして食パン等に塗った後、オーブントースターで焼成したり、ソースとして使用し、該ソースを含有したフライ用食品をフライしたり、あるいはフライ済み食品を電子レンジで加熱したりする等が挙げられる。これらの食品は、いずれも酸性水中油型乳化調味料と共に強力な加熱処理を施している。
【0003】
しかしながら、一般的にマヨネーズやサラダドレッシング等の酸性水中油型乳化調味料は、乳化材として卵黄を使用しているため、これに加熱処理を施すと、酸性水中油型乳化調味料中の卵黄が熱変性することから乳化状態が壊れ油相分離を生じ、食感及び外観を損なうという問題があった。
【0004】
一方、耐熱性を有した酸性水中油型乳化調味料として、特公昭53-44426号公報及び特公昭55-42817号公報には、ホスホリパーゼAで処理した卵黄を使用した調味料が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記提案の酸性水中油型乳化調味料を上述のような強力な加熱処理を施す食品に使用した場合、十分に油相分離を抑制することができず、また滑らかな食感が保持されないことから、未だ満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、オーブン、フライ、電子レンジ等の強力な加熱処理を施しても、油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感を保持した酸性水中油型乳化調味料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、意外にもホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを併用することにより強力な加熱処理に耐え得ることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)製品に対して食用油脂を10%以上含有し、且つ全体の粘度が10万mPa・s以上である酸性水中油型乳化調味料において、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを含有した酸性水中油型乳化調味料、
(2)製品に対して、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄換算で1〜15%、オクテニルコハク酸化澱粉を0.1〜5%含有した(1)の酸性水中油型乳化調味料、
を提供することである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
本発明の酸性水中油型調味料は、酸性水中油型調味料と共に、例えば、オーブントースター、フライ、電子レンジ等の強力な加熱処理を施す食品に好適な調味料である。このような食品としては、例えば、オーブンで焼成するトーストやピザ等のパン類、、オーブンや電子レンジで焼成又は再加熱したり、あるいはフライする白身魚のフライ、エビフライ、メンチカツ、コロッケ等のフライ用あるいはフライ済み食品、またハンバーグ、焼きそば等が挙げられる。
【0009】
まず、本発明の調味料は、前記食品等にコク味を付与するために製品に対し10%以上、好ましくは20%以上の食用油脂を含有し、食用油脂が水相中に略均一に分散し乳化状態が維持され、前記食品等から流れ落ち難く食品上に保持されるように製品全体の粘度が10万mPa・s以上であり、適度な酸味を付与し、且つ常温流通を可能とするためにpHが3.0以上5.0以下である。更に本発明は、強力な加熱処理を施しても油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感を保持するために、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉とを含有している。
【0010】
ここで、食用油脂とは、一般的に酸性水中油型調味料に用いられている食用油脂であれば特に限定するものではない。このような食用油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂、また各種スパイスオイル等が挙げられる。
【0011】
本発明では、上記のような食用油脂の1種又は2種以上の混合油を用いると良く、前記食品等にコク味を付与するため、製品に対し10%以上、好ましくは20%以上含有させる。なお、含有量の上限は特に規定していないが、加熱処理しても乳化状態を安定に保つために製品に対し80%以下とすることが好ましい。
【0012】
また、ホスホリパーゼA処理卵黄とは、卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質(卵黄リン脂質等の卵黄脂質と卵黄蛋白の複合体)の構成リン脂質にリン脂質分解酵素であるホスホリパーゼAを作用させリン脂質の1位あるいは2位の脂肪酸残基を加水分解してリゾリン脂質とした卵黄をいい、本発明に用いるホスホリパーゼA処理卵黄は、油相分離を生じ難い本発明の調味料を得るために、処理後におけるリゾホスファチジルコリンとホスファチジルコリンの合計量に対するリゾホスファチジルコリンの割合(以下、「リゾ化率」と称す)がイヤトロスキャン法(TLC-FID法)で分析した場合、10%以上が好ましく、油相分離の更なる抑制及び食味の点でリゾ化率30〜70%がさらに好ましい。リゾ化率が70%を越えると油相分離の抑制は優れているものの苦味を呈し好ましくないからである。
【0013】
酸性水中油型乳化調味料は、一般的に卵黄を乳化材として使用しているが、本発明では、卵黄の一部あるいは全部をホスホリパーゼA処理卵黄と置き換えると良い。特に、全部を置き換えたほうが本発明の効果に優れ好ましい。ホスホリパーゼA処理卵黄の含有量は、食用油脂の含有量にもよるが、製品に対し生卵黄換算で1〜15%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。含有量が1%より少ないと、オクテニルコハク酸化澱粉と併用したとしても強力な加熱処理による油相分離を十分に抑制すること出来ず、また滑らかな食感が得られず好ましくない。一方、15%より多くしたとしても、油相分離を抑制する効果は変わらないので経済的でないばかりか、食感が重くなり好ましくない。
【0014】
本発明のオクテニルコハク酸化澱粉(以下、「コハク酸化澱粉」と略す)とは、ワキシコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉を加水して懸濁液とし、これに無水オクテニルコハク酸を添加して反応させた後乾燥して得られる澱粉をいい、このような澱粉は、「オクテニルコハク酸親油性澱粉」という名称で市販されているので、本発明でもこれを用いればよい。特に、低粘度タイプ、具体的にはB型粘度計で測定したときの5%水溶液の粘度が100mPa・s以下(25℃)のコハク酸化澱粉が本発明の効果に優れ好ましい。
【0015】
本発明においてコハク酸化澱粉の含有量は、食用油脂の含有量にもよるが、0.1〜5%が好ましく、さらに0.2〜5%がさらに好ましい。含有量が0.1%より少ないと、ホスホリパーゼA処理卵黄と併用したとしても強力な加熱処理による油相分離を十分に抑制すること出来ず、また滑らかな食感が得られず好ましくない。一方、5%より多くしたとしても、油相分離を抑制する効果は変わらないので経済的でないばかりか、糊っぽい食味となり好ましくない。
【0016】
本発明の酸性水中油型乳化調味料には、上述の食品原料以外に本発明の効果を損なわない範囲で各種食品原料を適宜選択し含有させることが出来る。例えば、食酢、クエン酸等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、トマトケチャップ、味噌、醤油等の各種調味料、動植物のエキス類、ガム質、澱粉、化工澱粉等の増粘材、からし粉、胡椒、カレー粉等の香辛料、コーン、ジャガイモ、玉ねぎ、にんじん、ツナ、マッシュルーム等の各種具材、乳化材、酸化防止剤等が挙げられる。また、本発明の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、本発明で用いるホスホリパーゼA処理卵黄及びコハク酸化澱粉とその他の水相原料を均一とし、得られた水相部と油相部である食用油脂をミキサー等で粗乳化し、次にコロイドミル、高圧ホモゲナイザー等で仕上げ乳化をした後、必要に応じ具材あるいは具材を含有した調味液と混合し、チューブ容器やガラス容器等に充填密封するとよい。
【0017】
本発明のホスホリパーゼA処理卵黄とコハク酸化澱粉を含有した酸性水中油型乳化調味料が如何なる理由により、強力な加熱処理を施したとしても油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感が保持されたかは定かではないが、ホスホリパーゼA処理卵黄中の卵黄蛋白にコハク酸化澱粉が作用し、ホスホリパーゼA処理卵黄に更に耐熱性を付与すると共に、コハク酸化澱粉が乳化物の回りに皮膜のようなものを形成し加熱処理を施しても乳化が壊れ難い状態となったためではないかと推察される。
【0018】
次に、本発明を実施例及び試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
【実施例】
[実施例1]
リゾ化率50%のホスホリパーゼA2処理卵黄3kg(生卵黄換算で3kg)、コハク酸化澱粉(松谷化学工業(株)製、商品名:エマルスター#30A)0.5kg、食酢(酸度4%)20kg、カレー粉5kg、食塩2kg、α化澱粉1kg及び清水8.5kgをミキサーで均一とし水相部を調製した後、撹拌させながらサラダ油30kgを注加し粗乳化した。次にこの粗乳化物をコロイドミルで常法に則り精乳化した後、この精乳化物に予め準備していたブランチング済みの人参(5mmダイス)、ジャガイモ(5mmダイス)及び玉ねぎ(みじん切り)をそれぞれ10kgずつ添加し均一に混合し、本発明の酸性水中油型乳化調味料を得た。
得られた酸性水中油型乳化調味料は、pHが4.0であり、粘度が15万mPa・s(B型粘度計で、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:25℃の条件で測定)であった。また、本実施例で用いたコハク酸化澱粉(商品名:エマルスター#30A)は、5%水溶液の粘度が20mPa・s(B型粘度計で、回転数:20rpm、ローター:No.1、品温:25℃の条件で測定)であった。
【0020】
[実施例2]
食酢(酸度4%)20kg及び清水8.5kgの溶液にコハク酸化澱粉(松谷化学工業(株)製、商品名:エマルスター#1)0.5kgを均一に分散し、ゆっくり撹拌させながら90℃迄加熱後、室温まで冷却しコハク酸化澱粉液を調製した。次に、このコハク酸化澱粉液と、リゾ化率50%のホスホリパーゼA2処理卵黄3kg(生卵黄換算で3kg)、カレー粉5kg、食塩2kg及びα化澱粉1kgとをミキサーで均一とし水相部を調製した後、撹拌させながらサラダ油30kgを注加し粗乳化した。次にこの粗乳化物をコロイドミルで常法に則り精乳化した後、この精乳化物に予め準備していたブランチング済みの人参(5mmダイス)、ジャガイモ(5mmダイス)及び玉ねぎ(みじん切り)をそれぞれ10kgずつ添加し均一に混合し、本発明の酸性水中油型乳化調味料を得た。
得られた酸性水中油型乳化調味料は、pHが4.0であり、粘度が18万mPa・s(B型粘度計で、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:25℃の条件で測定)であった。また、本実施例で用いたコハク酸化澱粉(商品名:エマルスター#1)は、5%水溶液の粘度が8000mPa・s(B型粘度計で、回転数:2rpm、ローター:No.2、品温:25℃の条件で測定)であった。
【0021】
[実施例3]
リゾ化率60%のホスホリパーゼA2処理卵黄5kg(生卵黄換算で5kg)、コハク酸化澱粉(松谷化学工業(株)製、商品名:エマルスター#30A)1kg、食酢(酸度4%)20kg、胡椒0.1kg、食塩2kg、α化澱粉1kg及び清水10.9kgをミキサーで均一とし水相部を調製した後、撹拌させながらサラダ油30kgを注加し粗乳化した。次にこの粗乳化物をコロイドミルで常法に則り精乳化した後、この精乳化物に予め準備していたブランチング済みのホールコーン30kgを添加し均一に混合し、本発明の酸性水中油型乳化調味料を得た。
得られた酸性水中油型乳化調味料は、pHが4.1であり、粘度が16万mPa・s(B型粘度計で、回転数:2rpm、ローター:No.6、品温:25℃の条件で測定)であった。
【0022】
[比較例1]
実施例1において、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄に置き換えて、実施例1と同様な方法で酸性水中油型調味料を製造した。
【0023】
[比較例2]
実施例1において、コハク酸化澱粉を清水に置き換えて、実施例1と同様な方法で酸性水中油型調味料を製造した。
【0024】
[比較例3]
実施例3において、ホスホリパーゼA処理卵黄を生卵黄に置き換えて、実施例3と同様な方法で酸性水中油型調味料を製造した。
【0025】
[比較例4]
実施例3において、コハク酸化澱粉を清水に置き換えて、実施例3と同様な方法で酸性水中油型調味料を製造した。
【0026】
【試験例】
[試験例1]
実施例1、比較例1及び比較例2で得られた各調味料30gを食パンに塗り、オーブントースターで3分間焼成し、焼成後の調味料の熱安定性及び食感を評価した。
【0027】
【表1】

【0028】
表中の記号
[熱安定性]
◎:油相分離なし。
○:僅かに油相分離が観察されるものの問題とならない程度である。
△:一部油相分離が観察される。
×:油相分離が多数観察される。
[食感]
◎:滑らかな食感である。
○:若干滑らかさに劣るものの問題とならない程度である。
△:滑らかさにやや劣る。
×:滑らかさに劣る。
【0029】
表1より、ホスホリパーゼA処理卵黄とコハク酸化澱粉を併用したほうが、焼成後も油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感が保持されることが理解される。
【0030】
[試験例2]
牛の挽き肉1000gに、サラダ油で妙めた玉ねぎ300g、パン粉500g及び適量の食塩、胡椒、サラダ油を加えて混合しハンバーグベースを製した。次に、得られたハンバーグベースを用い内腔部に実施例3、比較例3及び比較例4で得られた各調味料を充填したハンバーグ成形物を製し、バッターを付けた後、パン粉を付けてフライ用のメンチカツを得た。次に、これを180℃の油温のサラダ油でフライし、フライ後の調味料の熱安定性及び食感を評価した。
なお、表中の記号は試験例1と同じである。
【0031】
【表2】

【0032】
表2より、ホスホリパーゼA処理卵黄とコハク酸化澱粉を併用したほうが、フライ後も油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感が保持されることが理解される。
【0033】
[試験例3]
実施例1おいて、ホスホリパーゼA処理卵黄の一部あるいは全部を生卵黄に置き換え表3に示すホスホリパーゼA処理卵黄の配合量とし、実施例1と同様な方法で各酸性水中油型乳化調味料を製造した。
得られた各調味料を試験例1と同様な方法で熱安定性及び食感を評価した。
なお、表中の記号は試験例1と同じである。
【0034】
【表3】

【0035】
表3より、ホスホリパーゼA処理卵黄を好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上配合した調味料が本発明の効果に優れていることが理解される。特に、ホスホリパーゼA処理卵黄のみを使用したものが優れていた。
【0036】
[試験例4]
実施例1おいて、コハク酸化澱粉の一部あるいは全部を清水に置き換え表4に示すコハク酸化澱粉の配合量とし、実施例1と同様な方法で各酸性水中油型乳化調味料を製造した。
得られた各調味料を試験例1と同様な方法で熱安定性及び食感を評価した。
なお、表中の記号は試験例1と同じである。
【0037】
【表4】

【0038】
表4より、コハク酸化澱粉を好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.2%以上配合した調味料が本発明の効果に優れていることが理解される。
【0039】
[試験例5]
実施例1及び実施例2で得られた各調味料30gを食パンに塗り、オーブントースターで3分間あるいは5分間焼成し、焼成後の調味料の熱安定性及び食感を評価した。
なお、表中の記号は試験例1と同じである。
【0040】
【表5】

【0041】
表5より、5%水溶液の粘度が100mPa・s以下であるコハク酸化澱粉を配合した実施例1のほうが本発明の効果により優れていることが理解される。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の酸性水中油型乳化調味料は、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を含有していることから、オーブン、フライ、電子レンジ等において他の食品と共に強力な加熱処理を施しても、油相分離を生じ難く、しかも滑らかな食感を保持することができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-06-07 
出願番号 特願2000-351257(P2000-351257)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 恵理子  
特許庁審判長 河野 直樹
特許庁審判官 鵜飼 健
種村 慈樹
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3443399号(P3443399)
権利者 キユーピー株式会社
発明の名称 酸性水中油型乳化調味料  
代理人 中村 行孝  
代理人 羽鳥 修  
代理人 紺野 昭男  
代理人 紺野 昭男  
代理人 横田 修孝  
代理人 中村 行孝  
代理人 吉武 賢次  
代理人 横田 修孝  
代理人 吉武 賢次  

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