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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1144043
審判番号 不服2004-17101  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2006-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-20 
確定日 2006-09-14 
事件の表示 平成10年特許願第511450号「樹脂封止型半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 3月 5日国際公開、WO98/09329〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年8月29日を国際出願日とする出願であって、平成16年1月20日付けで拒絶理由が通知され、同年3月26日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年7月22日に拒絶査定に対する審判請求が受付けられると共に、同日に受付けられた手続補正書により補正がなされたものである。

2.平成16年7月22日の手続補正について

[補正却下の決定の結論]
平成16年7月22日の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「半導体チップと、前記半導体チップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドを支持する支持リードと、前記半導体チップを封止する樹脂封止体とを有し、前記ダイパッドが前記半導体チップの外形寸法よりも小さい外形寸法で形成され、前記樹脂封止体がトランスファモールド法で形成される樹脂封止型半導体装置の製造方法であって、前記ダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面に接触させ、前記支持リードの弾性力により、前記ダイパッドの裏面を前記キャビティの内壁面に押圧した状態で、前記樹脂封止体を形成する工程を備えたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。」
と補正された。
上記請求項1に対する補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面で支持しながら」という事項について、「支持リードの弾性力により、前記ダイパッドの裏面を前記キャビティの内壁面に押圧した状態で」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)刊行物
原査定の拒絶理由に引用された刊行物、特開平8-70089号公報には、以下の事項が記載されている。
(a)「【請求項1】 ダイパッド上に搭載された半導体素子を外部に延出するリードと接続し、樹脂パッケージ内に封入した構成の半導体装置において、
前記ダイパッドの前記半導体素子の搭載面とは反対側の面を前記樹脂パッケージより外部に露出させ、
前記ダイパッド及び前記リードよりなるリードフレームを線膨脹率が9.0 ×10-6〜11.0×10-6で、かつ、板厚が0.075 〜0.127 〔mm〕の鉄-ニッケル合金より構成し、
前記樹脂パッケージをシリコーンフィラーが含有され、線膨脹率が11.0×10-6〜13.0×10-6で、かつ、シリコーンフィラー量が78〜81重量%のエポキシ系樹脂より構成したことを特徴とする半導体装置。」(第2頁左欄1〜14行)
(b)「【請求項3】 前記ダイパッドは前記半導体素子のチップサイズより小さいサイズを有することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。」(第頁左欄28〜30行)
(c)「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は半導体装置及びその製造方法に係り、特に半導体素子を搭載するダイパッドをパッケージ表面より露出させる構造をとる半導体装置に関する。」(第2頁左欄49〜右欄3行)
(d)「【0023】請求項3によれば、ダイパッドのサイズを半導体素子のチップサイズより小さくすることによりダイパッドに歪みが生じたときにも歪み量を半導体素子に対して十分に小さくすることができるため、歪みの影響を小さくできる。」(第3頁右欄23〜27行)
(e)「【0040】図4に本発明の一実施例の樹脂封止方法の説明図を示す。同図中、10はモールド金型を示す。モールド金型10は上型11,及び、下型12よりなり、上型11の側面には樹脂を封入する樹脂注入口13が形成されている。
【0041】このため、樹脂封止時に樹脂注入口13より樹脂を注入すると、樹脂は半導体素子1の上面に流れ込み、半導体素子1を矢印A方向に押圧しつつ、注入され全体に供給される。このため、樹脂注入時には半導体素子1の下面に設けられたダイパッド2は矢印A方向に押された状態に保持されるため、ダイパッド2下面への樹脂の回り込みを防止でき、樹脂バリ等の発生を抑制できる。」(第4頁右欄18〜30行)
(f)「【0046】また、本実施例によれば、ダイパッド2を半導体素子1より小さいサイズに設定することにより腐食物質の侵入を抑制している。」(第5頁左欄9〜11行)
(g)「【0050】図6に本発明の第2実施例の断面図、図7に斜視図を示す。同図中、図1,2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。本実施例はダイパッド21を樹脂パッケージ22の上面に露出させた構成としてなる。
【0051】樹脂パッケージ22及びダイパッド21,リード23等よりなるリードフレームの構成材料は第1実施例と同様に樹脂A,52アロイ、樹脂B,42アロイ、樹脂B,52アロイの組み合わせで構成されており、第1実施例と同様な効果が得られる。」(第5頁左欄26〜35行)
(h)「【0056】請求項3によれば、ダイパッドのサイズを半導体素子のチップサイズより小さくすることによりダイパッドに歪みが生じたときにも歪み量を半導体素子に対して十分に小さくすることができるため、歪みの影響を小さくでき、樹脂パッケージのクラックの発生等を防止できる等の特長を有する。」(第5頁右欄10〜15行)
(i)図4には、「半導体素子と半導体素子を搭載するダイパッドと、ダイパッドを支持するリードと、半導体素子を封止する樹脂とを有し、樹脂パッケージがモールド金型を用いて形成される樹脂封止型の半導体装置の製造方法」が記載されている。
(j)図6には、「半導体素子と半導体素子を搭載するダイパッドと、ダイパッドを支持するリードと、半導体素子を封止する樹脂とを有し、ダイパッドが半導体素子の外形より小さい外形寸法で形成され、ダイパッドの半導体素子搭載面と対向する裏面を露出させている樹脂封止型半導体装置」が記載されている。

上記摘記事項(a)〜(j)において、 特に、上記摘記事項(e),(i)には、
「半導体素子と半導体素子を搭載するダイパッドと、ダイパッドを支持するリードと、半導体素子を封止する樹脂とを有し、樹脂パッケージをモールド金型を用いて形成する樹脂封止型の半導体素子の製造方法」が示されている。
ここで、「樹脂パッケージ」については、上記摘記事項(a),(e)には、「樹脂パッケージは、エポキシ樹脂をモールド金型を用いて形成される」ことが開示されている。
また、「ダイパッド」と「半導体素子」について、上記摘記事項(b),(d),(f),(h)には、
「ダイパッドを半導体素子より小さいサイズに設定する」と開示されている。
さらに、上記摘記事項(c),(g),(j)には、
「半導体素子を搭載するダイパッドをダイパッドの半導体素子搭載面と対向する裏面をパッケージ表面より露出させる構造」が開示されている。
そして、上記摘記事項(j)の樹脂封止型半導体装置の「製造方法」について直接の記載はないものの、上記摘記事項(g)には、「図6に本発明の第2実施例の断面図、図7に斜視図を示す。同図中、図1,2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。本実施例はダイパッド21を樹脂パッケージ22の上面に露出させた構成としてなる。」との記載があることから、図1,図2の樹脂封止型半導体装置の製造方法、すなわち、上記摘記事項(i)に記載された製造方法と上記摘記事項(g)の樹脂封止型半導体装置の製造方法とは、ダイパッドを露出させる構造を得るための工程を除けば、同様な製造方法であることが示唆されている。

以上の開示内容を総合すると、刊行物には、
「半導体素子と半導体素子を搭載するダイパッドと、ダイパッドを支持するリードと、半導体素子を封止する樹脂とを有し、ダイパッドを半導体素子より小さいサイズに設定し、樹脂パッケージはエポキシ樹脂をモールド金型を用いて形成される樹脂封止型の半導体装置の製造方法であって、ダイパッドの半導体素子搭載面と対向する裏面をパッケージ表面より露出させる構造の樹脂パッケージを形成する工程を備えた樹脂封止型の半導体装置の製造方法」
の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比・判断
ここで、本願補正発明と刊行物発明とを比較すると、刊行物発明の「半導体素子」、「リード」,「ダイパッドを半導体素子より小さいサイズに設定」,「樹脂パッケージ」は、本願補正発明の「半導体チップ」,「支持リード」,「ダイパッドが半導体チップの外形寸法よりも小さい外形寸法で形成」,「樹脂封止体」に各々相当する。
また、刊行物発明の「樹脂封止体はエポキシ樹脂をモールド金型を用いて形成される」とは、エポキシ樹脂でモールド金型を用いる代表的な成形技術は、トランスファモールド法であることから、本願補正発明の「樹脂封止体がトランスファモールド法で形成される」に相当する。
さらに、「ダイパッドの半導体素子搭載面と対向する裏面をパッケージ表面より露出させる構造の樹脂パッケージを形成する工程」とは、当該構造を形成するために樹脂の回り込みがないようにダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面に接触させることを意味しているから、当該工程は、「ダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面に接触させ」ることに相当する。

そうすると、両者は、
「半導体チップと、前記半導体チップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドを支持する支持リードと、前記半導体チップを封止する樹脂封止体とを有し、前記ダイパッドが前記半導体チップの外形寸法よりも小さい外形寸法で形成され、前記樹脂封止体がトランスファモールド法で形成される樹脂封止型半導体装置の製造方法であって、前記ダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面に接触させ、前記樹脂封止体を形成する工程を備えたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点
樹脂封止体を形成する工程において、本願補正発明では、支持リードの弾性力により、ダイパッドの裏面をキャビティの内壁面に押圧した状態であるのに対し、刊行物発明では、ダイパッドの裏面をキャビティの内壁面に押圧した状態であるか、特に明記されていない点

以下、上記相違点について検討する。
ダイパッドのチップ搭載面と対向する裏面をパッケージ表面より露出させる構造を形成する際、樹脂の回り込みを防ぐことは、上記摘記事項(e)に「ダイパッド2は矢印A方向に押された状態に保持されるため、ダイパッド2下面への樹脂の回り込みを防止でき、樹脂バリ等の発生を抑制できる。」と記載されていることから周知の技術的課題である。そして、当該技術的課題を達成するために、支持リードの弾性力により、ダイパッドの裏面をキャビティの内壁面に押圧した状態で樹脂封止体を形成する技術は、たとえば特開平6-252318号公報の、特に図9,10に示されているように周知技術である。(当該公報における「アンカー手段」、「ステージ」は、本願補正発明の「支持リード」、「ダイパッド」に相当する。)
したがって、刊行物発明の樹脂封止体を形成する工程において、上記技術的課題である樹脂の回り込み防止に配慮し、上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
そして、本願補正発明の作用効果も、刊行物発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願補正発明は、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成16年7月22日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜4に係る発明は、平成16年3月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりのものと認める。
「半導体チップと、前記半導体チップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドを支持する支持リードと、前記半導体チップを封止する樹脂封止体とを有し、前記ダイパッドが前記半導体チップの外形寸法よりも小さい外形寸法で形成され、前記樹脂封止体がトランスファモールド法で形成される樹脂封止型半導体装置の製造方法であって、前記ダイパッドのチップ搭載面と対向するその裏面をモールド金型のキャビティの内壁面で支持しながら前記樹脂封止体を形成する工程を備えたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。」 (以下、「本願発明」という。)

(2)刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(特開平8-70089号公報)の記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「支持リードの弾性力により、前記ダイパッドの裏面を前記キャビティの内壁面に押圧した状態で」との限定を省いたものに相当する。
したがって、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-12 
結審通知日 2006-07-18 
審決日 2006-08-02 
出願番号 特願平10-511450
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田代 吉成酒井 英夫  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 川真田 秀男
大嶋 洋一
発明の名称 樹脂封止型半導体装置の製造方法  
代理人 秋田 収喜  

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