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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1144182 |
審判番号 | 不服2004-2816 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-04-14 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-12 |
確定日 | 2006-09-21 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第269137号「印刷システム、及び情報処理装置、並びにその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月14日出願公開、特開平10- 97480〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成8年9月20日の出願であって、平成15年10月9日付で拒絶理由が通知され、平成15年12月9日に手続補正書が提出され、平成16年1月7日付で拒絶査定がなされたところ、これに対して同年2月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月15日に手続補正書が提出されたものである。 2.補正却下の決定 平成16年3月15日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 (1)[補正却下の決定の結論] 平成16年3月15日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 (2)[補正却下の決定の理由] (a)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲の請求項7は、 「所定の通信網を介して接続された出力装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、 前記出力装置に印刷データを送信する印刷データ送信ステップと、 前記印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップと、 前記情報処理装置のメッセージの送信先となる第2の情報処理装置を設定する設定ステップと、 前記判定ステップにおける判定結果に応じて、前記設定ステップで設定された第2の情報処理装置へ前記メッセージを通知するメッセージ通知ステップとを有し、 前記メッセージ通知ステップは、前記出力装置による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知することを特徴とする制御方法。」と補正されている。 上記補正は、補正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「メッセージ通知ステップ」について、「前記出力装置による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知する」と限定するものであり、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そこで、本件補正後の前記請求項7に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)否かについて検討する。 (b)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平8-123641号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。 「【0021】(実施例1)図1は、本発明の各実施例におけるネットワークシステムの構成を示したものである。ネットワーク131上には複数のホストコンピュータ101、102、103、104、105、106と、サーバコンピューター111、112、113、114が接続されている。また各サーバコンピューターにはそれぞれプリンタ121、プリンタ122、プリンタ123およびFAX124が接続されている。さらにFAX124は通信回線151を介して、遠隔地のFAXと接続されている。また、この実施例では2つの部署201、202があり、この間もネットワーク131により接続されている。ここで、ホストコンピュータ101、102、103、104、105、106はワークステーションのようなものであっても、ワードプロセッサのようなものであってもよい。また、サーバコンピューターにはここではプリンタあるいはFAXが接続されているが、コンピューターと接続可能なディジタル複写機のようなものであってもよい。サーバコンピューターはここでは図示されていないが、大容量の記憶装置を持っている。 【0022】今、図2のフローチャートの流れに従って、実施例1の動作を説明する。第2図のフローチャートはドキュメントの配布および配布先への配布情報の送信に関する処理の流れの概要を示したものである。Step10で配布するドキュメントを指定する。この指定のための画像を示したものが図3である。配布するドキュメントをファイル名で指定すると、ドキュメント名および枚数が表示される。本例ではファイル名はrep01.txtで、そのファイルのドキュメント名はProject-Xである。またドキュメントの枚数は10枚である。もし配布したいドキュメントであれば、OKボタンを選択することにより、配布ドキュメントが確定する。 【0023】次に、Step20でStep10で指定したドキュメントの配布先を指定する。この配布先を指定する画面が図4の画面である。図4のTo:は配布先の名前、Addressは配布情報を通知するためのメールアドレス、Printerは出力装置のキューの名前である。 【0024】Name1はコンピューター101の所有者で、そのメールアドレスは、Address1であり、出力装置はサーバ111の管理下にあるプリンタ121である。Name2はコンピューター102の所有者で、メールアドレスはAddress2で、出力装置はサーバ112に管理されているプリンタ122である。Name3はコンピューター103の所有者で、メールアドレスはAddress3で、出力装置はName2と同様に、サーバ112の管理下のプリンタ122である。Name4はコンピューター104の所有者で、メールアドレスはAddress4で、出力装置はサーバ113の管理下にあるプリンタ123である。Name5はコンピューター105の所有者で、メールアドレスはAddress5で、出力装置はサーバ114の管理下にあるFAX124である。また、Name6はコンピューター106の所有者で、メールアドレスはAddress6で、出力装置はサーバ113の管理下にあるプリンタ123である。 【0025】今、上記構成において、Name3とName6の2人にProject-Xのドキュメントを配布するために、図4に示したようにName3とName6の2人を選択する。この送り先一覧の情報は図示していない別の作成手段で作成したものである。もし送り先に変更がなければ、OKボタンを選択すると配布先が確定する。次にStep30で、Step10で指定したドキュメントをStep20で指定した配布先の出力装置に出力するためのプリンタドライバをサーバからロードし、Step40でドキュメントを出力装置の印刷形式に変換する。まず、サーバ112からプリンタ122のドライバをロードし、上記処理を行う。Step50で変換したドキュメント配布先の出力装置に出力する。即ち、Name3にはコンピューター101からネットワーク131を経由して、サーバ112を介してプリンタ122に印刷する。 【0026】Name6にはコンピューター101からネットワーク131を経由して、サーバ113を介してプリンタ123に印刷する。Step50で配布処理を終了すると、Step60で配布先にドキュメント配布情報を送信する。最初の配布先への処理が終了すると、別の配布先があるかをStep70でチェックする。この例では、さらにName6の配布先に配布する必要があるため、再度Step30〜Step70の処理をくり返し、すべての処理を終了する。 【0027】ドキュメント配布情報は、図5に示すように、送信元名、出力装置名、ドキュメント名称、ドキュメント出力枚数、出力日時、配布先である。Name3にはメールアドレスAddress3に対して、ネットワーク131を介して、図示していないメールサーバを経由して141の流れで、上記情報を送信する。また、Name6にはメールアドレスAddress6に対して、同様にして144の流れで上記情報を送信する。Name3はコンピューター103からログインしてAddress3に届いたメールを、またName6はコンピューター106からログインしてAddress6に届いたメールを読むことにより、上記転送内容を確認し出力配布されたドキュメントを出力装置により取得することができる。」(段落【0021】〜【0027】第3頁第4欄13行〜第4頁第6欄第9行) 以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が開示されていると認められる。 「ネットワークを介して接続された出力装置に送信可能なコンピューターの制御方法であって、 配布するドキュメントを指定し、ドキュメント配布先の出力装置及びドキュメント配布情報の通知先を指定する処理と、 前記ドキュメントをドキュメント配布先の出力装置に出力する処理と、 前記ドキュメント配布情報の通知先を指定する処理で指定された配布先のコンピューターへ前記ドキュメント配布情報を送信する処理を有するドキュメントとドキュメント配布情報送信制御方法。」 (c)対 比 本願補正発明と上記引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「ネットワーク」、「出力装置に送信可能なコンピューター」、「ドキュメント」及び「ドキュメント配布情報」は、それぞれ本願補正発明の「所定の通信網」、「出力装置に通信可能な情報処理装置」、「印刷データ」及び「メッセージ」に相当するものである。 そして、引用例記載の発明の「前記ドキュメントをドキュメント配布先の出力装置に出力する処理」及び「ドキュメント配布情報の通知先を指定する処理」は、本願補正発明の「前記印刷データを送信する印刷データ送信ステップ」及び「前記情報処理装置のメッセージの送信先となる第2の情報処理装置を設定する設定ステップ」に相当している。 また、引用例記載の発明の「前記ドキュメント配布情報の通知先を指定する処理で指定された配布先のコンピューターへ前記ドキュメント配布情報を送信する処理」は、本願補正発明の「前記設定ステップで設定された第2の情報処理装置へ前記メッセージを通知するメッセージ通知ステップ」に相当する。(ただし、本願補正発明のメッセージ通知ステップは、印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップにおける判定結果に応じて、メッセージを通知するものである。) したがって、両者は、 「所定の通信網を介して接続された出力装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、 前記出力装置に印刷データを送信する印刷データ送信ステップと、 前記情報処理装置のメッセージの送信先となる第2の情報処理装置を設定する設定ステップと、 前記設定ステップで設定された第2の情報処理装置へ前記メッセージを通知するメッセージ通知ステップとを有する制御方法。」 で一致し、次の(1),(2)の点で相違するものである。 相違点(1) 本願補正発明は、「前記印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップ」を有し、「メッセージ通知ステップ」は前記判定ステップにおける判定結果に応じて、メッセージを通知するのに対し、引用例記載の発明は、「前記印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップ」を有しておらず、メッセージ通知ステップは前記判定ステップにおける判定結果に応じて、メッセージを通知するものではない点。 相違点(2) 本願補正発明は、「メッセージ通知ステップは、前記出力装置による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知する」のに対し、引用例記載の発明は、メッセージ通知ステップは、前記出力装置による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知するものであるか明らかではない点。 (d)当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 相違点(1)について 引用例には、「Step50で変換したドキュメント配布先の出力装置に出力する。即ち、Name3にはコンピューター101からネットワーク131を経由して、サーバ112を介してプリンタ122に印刷する。 【0026】Name6にはコンピューター101からネットワーク131を経由して、サーバ113を介してプリンタ123に印刷する。Step50で配布処理を終了すると、Step60で配布先にドキュメント配布情報を送信する。」と記載されており、ドキュメント配布先(印刷データ送信先)の出力装置に出力する配布処理を終了すると、ドキュメント配布情報(メッセージ)を送信(通知)することが示されている。 そうすると、引用例記載の発明において、印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップを設け、メッセージ通知ステップにおいて、前記判定ステップにおける判定結果に応じて、メッセージを通知するようにすることは当業者が容易になし得ることである。 相違点(2)について 上記相違点(1)で検討したように、引用例には、ドキュメント配布先(印刷データ送信先)の出力装置に出力する配布処理を終了すると、ドキュメント配布情報(メッセージ)を送信(通知)することは示されているが、出力装置の出力(印刷)が終了したことによりドキュメント配布情報(メッセージ)を送信(通知)することは記載されてなく、示されてもいない。 したがって、引用例記載の発明においても、メッセージ通知ステップは、前記出力手段による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知するものであるから、この点は実質的な相違点とは認められない。 また、上記の相違点に基づく本願補正発明の作用効果も、引用例記載の発明から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。 (e)まとめ そうすると、本願補正発明は、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、平成16年3月15日に提出された手続補正書による補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合しないから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願の請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年12月9日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「所定の通信網を介して接続された出力装置と通信可能な情報処理装置の制御方法であって、 前記出力装置に印刷データを送信する印刷データ送信ステップと、 前記印刷データ送信ステップにおける送信が終了したか否かを判定する判定ステップと、 前記第1の情報処理装置のメッセージの送信先となる第2の情報処理装置を設定する設定ステップと、 前記判定結果に応じて、前記設定ステップで設定された第2の情報処理装置へ前記メッセージを通知するメッセージ通知ステップとを有することを特徴とする制御方法。」 そして、本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「メッセージ通知ステップは、前記出力手段による出力処理が終了したか否かに拘わらず前記メッセージを通知する」の構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が前記2.に記載したとおり、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-12 |
結審通知日 | 2006-07-18 |
審決日 | 2006-08-01 |
出願番号 | 特願平8-269137 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石井 茂和 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
山崎 慎一 和田 志郎 |
発明の名称 | 印刷システム、及び情報処理装置、並びにその制御方法 |
代理人 | 池田 浩 |
代理人 | 村松 聡 |
代理人 | 別役 重尚 |
代理人 | 後藤 夏紀 |
代理人 | 二宮 浩康 |