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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01F
管理番号 1144185
審判番号 不服2004-4189  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-03 
確定日 2006-09-21 
事件の表示 特願2001-63260「コンバイン」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月2日出願公開、特開2001-269044〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年4月28日に出願した特願平9-124855号の一部を分割して平成13年3月7日に新たな特許出願としたものであって、平成16年1月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同年4月2日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成16年4月2日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 特許請求の範囲の減縮を目的として、次のように補正された。
「脱穀部(4)に対する穀稈供給搬送装置を、刈取部(8)側に設けた穀稈搬送機構(10)から刈取穀稈を受取る前側供給搬送チェン(36)と、該前側供給搬送チェン(36)から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送チェン(5)とに形成し、
前記前側供給搬送チェン(36)は、その始端部を前記穀稈搬送機構(10)の株元側搬送装置(35)の終端部近傍に臨ませ、かつ、前記主供給搬送チェン(5)の始端側部に臨んで重合するように構成するコンバインにおいて、
前記前側供給搬送チェン(36)の内側にギヤボックス(97)を設け、ギヤボックス(97)を介して前側供給搬送チェン(36)を取付け、株元側搬送装置(35)と主供給搬送チェン(5)の間で前後方向に前側供給搬送チェン(36)を延設させ、
前側供給搬送チェン(36)の受継ガイド(99)の取付部寄りで搬送上流側を、主供給搬送チェン(5)の短い側と長い側の2本のガイド(103)(104)よりも内方側で高い位置に設け、主供給搬送チェン(5)の短い側のガイド(103)を他のガイド(99)(104)よりも外方側で低い位置に設け、株元側搬送装置(35)からの穀稈を上下方向に殆んど折曲させることなく前側供給搬送チェン(36)及び主供給搬送チェン(5)に移行させると共に、
受継ガイド(99)及び株ガイド(103)及び棒状ガイド(104)の下方側で交叉させる方向に受ガイド(105)を設け、前記搬送後チェン(36)及びフィードチェン(5)の前側を結ぶ直線と略平行に受ガイド(105)を延設させて穀稈の下側を支持させることを特徴とするコンバイン。」
(以下、「補正発明」という。)

この補正には用語の不統一があるが、補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である、特開平6-90607号公報(以下、「引用例1」という。)には、「コンバインの搬送伝動機構」に関して、次の事項が記載されている。
(イ)「【0006】…1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は機体フレーム1の前方に設けた刈取部、5は前記刈取部4の分草体、6は引起装置、7は掻込装置、8は刈刃、9は前側株元搬送装置、10は前側穂先搬送装置、11は後側集束装置、12は刈取部フレームである。刈取部4は、刈取部フレーム12に支持パイプ13の下部を固定し、支持パイプ13の基部に固定の横筒14を機体側に設けた支持台15の上部に回動自在に取付ける。横筒14および支持パイプ13内のそれぞれには前記刈取部4に動力を伝達する伝動軸等を内蔵させている。16は刈取上下シリンダ、17は刈取部4で刈取った穀稈を後方の脱穀装置3に向かって搬送する後側株元搬送装置、18は後側穂先搬送装置であり…」
(ロ)「【0007】…30は前記脱穀装置3の脱穀室31に穀稈を供給する穀稈供給装置であり、供給搬送チエン32と挾扼杆33により構成される。挾扼杆33は脱穀装置3の上部カバー34の側縁に取付けられ…」
(ハ)「【0010】しかして、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部と前記穀稈供給装置30の搬送チエン32の始端部の間には引継搬送装置76を設ける。引継搬送装置76は前記支持フレーム39にチエン案内レール77の中間部を取付け、チエン案内レール77の前後両端に一対の横軸回転の受動歯車78、78を取付け、該受動歯車78、78に引継搬送チエン80を掛け回す。81は別途設けた案内歯車であり、テンション歯車を兼用する。そして、引継搬送チエン80には前記ギヤケース56より突出す回転軸82に固定の駆動歯車83を噛合わせる。……前記引継搬送チエン80の始端部は、後側株元搬送装置17の搬送チエン19の終端部下方に臨ませ、引継搬送チエン80の上方位置には案内ガイド85を設ける。案内ガイド85は、その始端部は後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部近傍に臨ませ、終端部は引継搬送チエン80の始端部の上方に望ませ、かつ、引継搬送チエン80の始端部上方に位置する作用位置と、引継搬送チエン80の始端部上方より離れた退避位置との間移動自在に構成し、穀稈を案内するだけでなく、メンテナンスも容易に行えるようにしている。案内ガイド85は、具体的には、穀稈の搬送方向と平行(前後方向)の軸部材により形成し、案内ガイド85の始端部は穀稈の搬送方向と交差する方向に屈曲させて屈曲部に形成し、該屈曲部を前記後側穂先搬送装置18の案内ガイド27の取付部材26の終端部に…取付け、案内ガイド85は引継搬送チエン80の始端部上方に位置するようにバネにより付勢している。」
(ニ)図4、5、8によると、引継搬送チエン80は、その始端部を後側株元搬送装置17の終端部近傍に臨ませ、かつ、供給搬送チエン32の始端側部に臨んで重合していて、搬送装置17と供給搬送チエン32の間で前後方向に延設されていることが明らかである。
(ホ)なお、上記(ハ)で言う、「案内ガイド85の始端部は穀稈の搬送方向と交差する方向に屈曲させて屈曲部に形成し、該屈曲部を前記後側穂先搬送装置18の案内ガイド27の取付部材26の終端部に…取付け」るということは、「引継搬送チエン80の案内ガイド85の取付部寄りで搬送上流側を、供給搬送チエン32よりも内方側で高い位置に設ける」ことであると言える。

これらの記載事項並びに図面に示された内容を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。
「脱穀部(脱穀装置3)に対する穀稈供給搬送装置(穀稈供給装置)を、刈取部(刈取部4)側に設けた穀稈搬送機構(前側株元搬送装置9、前側穂先搬送装置10、後側株元搬送装置17、後側穂先搬送装置18等)から刈取穀稈を受取る前側供給搬送チェン(引継搬送チエン80)と、該前側供給搬送チェンから前記刈取穀稈を受け取って機体(機体フレーム1)後方に搬送する主供給搬送チェン(供給搬送チエン32)とに形成し、
前記前側供給搬送チェンは、その始端部を前記穀稈搬送機構の株元側搬送装置(後側株元搬送装置17)の終端部近傍に臨ませ、かつ、前記主供給搬送チェン(供給搬送チエン32)の始端側部に臨んで重合するように構成するコンバインにおいて、
前記前側供給搬送チェンの内側にギヤボックス(ギヤケース56)を設け、ギヤボックスを介して前側供給搬送チェンを取付け、株元側搬送装置と主供給搬送チェンの間で前後方向に前側供給搬送チェンを延設させ、
前側供給搬送チェンの受継ガイド(案内ガイド85)の取付部寄りで搬送上流側を、主供給搬送チェンよりも内方側で高い位置に設けたコンバイン。」
(以下、「引用例1発明」という。)

また、査定時に周知例として提示された刊行物である、実公昭60-13334号公報(以下、「引用例2」という。)には、「コンバインの穀稈搬送装置」に関し、次の事項が記載されている。
(ヘ)「本考案は、上記構成の刈取穀稈搬送構造において、特に前記補助挾持搬送部18からフイードチエーン2への受渡し搬送構造を次のように構成したことを特徴とする。すなわち、搬送穀稈を立姿勢で挾持する前記横回し型の搬送部18は、穀稈を横倒れ姿勢で挾持する前記フイードチエーン2より穂先側に配置されており、側面視にて横回し型の搬送部18の終端とフイードチエーン2の始端に亘る中継搬送装置19が、平面視に両搬送装置18,2の中間に位置してフイードチエーン2と平行に配設されている。」(3頁5欄7〜18行)
(ト)「…レール台22からは、前記中継搬送装置19及びフイードチエーン2に対向する板バネ製の挾持レール24,25が後向き片持ち状に延出されている。…」(3頁5欄27〜30行)
(チ)「…レール台22の上面には、棒材からなる穀稈ガイド杆26が上下揺動可能に枢着され、」(3頁5欄38,39行)
(リ)特に第8、9、10図をみると、中継搬送装置19の挾持レール24を、フイードチエーン2の短い挾持レール25と長い穀稈ガイド杆26よりも内方側で高い位置に設け、短い挾持レール25は、挾持レール24や穀稈ガイド杆26よりも外方側で低い位置に設けられていることは明らかである。

これらの記載事項並びに図面に示された内容を総合すると、引用例2には、次の周知技術が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例2における構成・用語である。
「前側供給搬送チェン(中継搬送装置19)の受継ガイド(挾持レール24)を、主供給搬送チェン(フイードチエーン2)の短い側と長い側の2本のガイド(挾持レール25、穀稈ガイド杆26)よりも内方側で高い位置に設け、主供給搬送チェンの短い側のガイド(挾持レール25)を他のガイド(挾持レール24、穀稈ガイド杆26)よりも外方側で低い位置に設ける。」

さらに、今回周知例として提示する刊行物である、実願昭61-59185号(実開昭62-169929号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)には、「コンバインにおける穀稈継送装置」に関し、
(ヌ)「刈取装置10と脱穀装置1との間に刈取穀稈を挟持搬送して脱穀装置1に供給する穀稈搬送装置13を配設し、該穀稈搬送装置13の株元挟持搬送体12の終端を脱穀装置1のフィードチエン17の始端に近接して臨ませたコンバインにおいて、前記株元挟持搬送体12を構成する搬送チエン12aの内側下面に、先端が前記フィードチエン17の上面に平面視でラップする穀稈支持ガイド杆25を取付け、該穀稈支持ガイド杆25を撓み易い弾性体で構成し、前記穀稈搬送装置の終端部から継送される穀稈の上面に圧接して案内する押えガイド杆33を延出させ、該押えガイド杆33の終端側を前記フィードチエン17の上面に重合して継送される穀稈の株元部をフィードチエン17上で挟持案内するように構成したことを特徴とするコンバインにおける穀稈継送装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(ル)「…株元挟持搬送体12は各チエンプレートに突起を付設してなる搬送チエン12aと保持枠21に支持バー21a及び弾機21bで弾持されていて搬送チエン12aのチエンローラー17aに近接した挟持杆12bとで構成してある。そして、前記搬送チエン12aを巻き掛けた枠体22の後部寄り下面に突設した一対の受板23,23には、押圧力により容易に変形するスプリング杆からなる穀稈支持ガイド杆25の折曲した基部を斜め外側後方へ向かう一定の姿勢を保つように螺着してあり、該穀稈支持ガイド杆25はその終端が平面視でフィードチエン17と略平行でかつそのチエンローラー17a・・上にラップするように中間部が弯曲している。また、前記挟持杆12bの保持枠21は下向きコ字状に形成されていてその後端部には、上向きでかつ側面視で前部が狭いテーパー状のコ字状枠26をピン27で支架して巻きスプリング28により前部が上昇し、後部が下降するように付勢してあり、該コ字状枠26の下面には後端部が前記フィードチエン17と挟扼レール18の始端との間に侵入する太い押えガイド棒30を固定し、前記コ字状枠26の後部に、側面視で略L字状をなし、正面視で下向きコ字状をなす取付枠31を螺子32で螺着し、この取付枠31に、変形し易い弾性杆からなる押えガイド杆33の基部のコイル状の巻回部を嵌合し、基端部をコ字状枠26の後部と取付枠31の前部との間に挿通すると共に螺子32に巻き付け、後部は前記フィードチエン17の始端側上昇部のチエンローラ17a・・上に前記穀稈支持ガイド杆25より外側で重合圧接している。」(7頁12行〜9頁3行)
(オ)「…前記穀稈支持ガイド杆25はその基部寄りの弯曲部により株元部を順次押し出されて搬送チエン12aから離脱させると共に下面を支持されながら前記押えガイド杆33と共働して挟持して後方へ案内し、漏れなくフィードチエン17の上面に受渡す。」(10頁4〜9行)

これらの記載事項並びに第1,2図に示された内容を総合すると、引用例3には、次の周知技術が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例3における構成・用語である。
「株ガイド(押えガイド杆33)及び棒状ガイド(押えガイド棒30)の下方側で交叉させる方向に(斜め外側後方へ向かう)受ガイド(穀稈支持ガイド杆25)を設け、穀稈の下側を支持させる。」

(3)対比・判断
補正発明と引用例1発明を比較すると、両者は、
「脱穀部に対する穀稈供給搬送装置を、刈取部側に設けた穀稈搬送機構から刈取穀稈を受取る前側供給搬送チェンと、該前側供給搬送チェンから前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送チェンとに形成し、
前記前側供給搬送チェンは、その始端部を前記穀稈搬送機構の株元側搬送装置の終端部近傍に臨ませ、かつ、前記主供給搬送チェンの始端側部に臨んで重合するように構成するコンバインにおいて、
前記前側供給搬送チェンの内側にギヤボックスを設け、ギヤボックスを介して前側供給搬送チェンを取付け、株元側搬送装置と主供給搬送チェンの間で前後方向に前側供給搬送チェンを延設させたコンバイン。」
の点で一致し、次の点で相違している。

相違点1:補正発明では、「前側供給搬送チェンの受継ガイドの取付部寄りで搬送上流側を、主供給搬送チェンの短い側と長い側の2本のガイドよりも内方側で高い位置に設け、主供給搬送チェンの短い側のガイドを他のガイドよりも外方側で低い位置に設け、株元側搬送装置からの穀稈を上下方向に殆んど折曲させることなく前側供給搬送チェン及び主供給搬送チェンに移行させる」のに対し、引用例1発明では、「前側供給搬送チェン(引継搬送チエン80)の受継ガイド(案内ガイド85)の取付部寄りで搬送上流側を、主供給搬送チェン(供給搬送チエン32)よりも内方側で高い位置に設ける」点。
相違点2:補正発明では、「受継ガイド及び株ガイド及び棒状ガイドの下方側で交叉させる方向に受ガイドを設け、前記搬送後チェン及びフィードチェンの前側を結ぶ直線と略平行に受ガイドを延設させて穀稈の下側を支持させる」のに対し、引用例1発明では、そのようになっていない点。

上記相違点について検討する。
相違点1について検討するに、引用例2には、上記のとおり、
「前側供給搬送チェンの受継ガイドを、主供給搬送チェンの短い側と長い側の2本のガイドよりも内方側で高い位置に設け、主供給搬送チェンの短い側のガイドを他のガイドよりも外方側で低い位置に設ける。」という周知技術が記載されており、当該周知技術を、「前側供給搬送チェン(引継搬送チエン80)の受継ガイド(案内ガイド85)の取付部寄りで搬送上流側を、主供給搬送チェン(供給搬送チエン32)よりも内方側で高い位置に設ける」引用例1発明に採用すれば、上記相違点1に係る補正発明の構成と同様になり、かつ、「株元側搬送装置(後側株元搬送装置17)からの穀稈を上下方向に殆んど折曲させることなく前側供給搬送チェン(引継搬送チエン80)及び主供給搬送チェン(供給搬送チエン32)に移行させる」という作用効果を奏するものと認められる。

相違点2について検討するに、補正発明における「受継ガイド及び株ガイド及び棒状ガイドの下方側で交叉させる方向に設けられ、前記搬送後チェン及びフィードチェンの前側を結ぶ直線と略平行に延設させる」受ガイドの働きは、明細書の段落【0021】によれば、穀稈の下側を支持させ、各チェン(5)(36)前側で穀稈が下方に折曲するのを阻止し、稈こぼれまたは乱れを低減させてスムーズに受継がせ、受継ぎ部での稈詰り等を防止するものである。
ところで、引用例3には、同様な働きをする受ガイドについて、上記のとおり、「株ガイド及び棒状ガイドの下方側で交叉させる方向に受ガイドを設け、穀稈の下側を支持させる。」という周知技術が記載されており、当該周知技術を、受継ガイド(案内ガイド85)を有する引用例1発明に適用し、かつ、前記搬送後チェン(引継搬送チエン80)及びフィードチェン(供給搬送チエン32)の前側を結ぶ直線と略平行に受ガイドを延設させることは、当業者が容易になしうる設計的事項にすぎない。

そして、補正発明の作用効果も、引用例1発明および引用例2、3記載の周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであると認める。

よって、補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明
平成16年4月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年8月18日付け手続補正で補正された請求項1に記載された事項により特定される、次のものである。
「脱穀部(4)に対する穀稈供給搬送装置を、刈取部(8)側に設けた穀稈搬送機構(10)から刈取穀稈を受取る前側供給搬送チェン(36)と、該前側供給搬送チェン(36)から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送チェン(5)とに形成し、
前記前側供給搬送チェン(36)は、その始端部を前記穀稈搬送機構(10)の株元側搬送装置(35)の終端部近傍に臨ませ、かつ、前記主供給搬送チェン(5)の始端側部に臨んで重合するように構成するコンバインにおいて、
前記前側供給搬送チェン(36)の内側にギヤボックス(97)を設け、ギヤボックス(97)を介して前側供給搬送チェン(36)を取付け、株元側搬送装置(35)と主供給搬送チェン(5)の間で前後方向に前側供給搬送チェン(36)を延設させると共に、
前側供給搬送チェン(36)の受継ガイド(99)を、主供給搬送チェン(5)の短い側と長い側の2本のガイド(103)(104)よりも内方側で高い位置に設け、主供給搬送チェン(5)の短い側のガイド(103)を他のガイド(99)(104)よりも外方側で低い位置に設け、株元側搬送装置(35)からの穀稈を上下方向に殆んど折曲させることなく前側供給搬送チェン(36)及び主供給搬送チェン(5)に移行させることを特徴とするコンバイン。」
(以下、「本願発明」という。)

(1)引用刊行物
引用刊行物の記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.」で検討した補正発明を特定するために必要な事項である限定事項を削除したものであって、本願発明を特定するために必要な事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用例1発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-12 
結審通知日 2006-07-18 
審決日 2006-08-08 
出願番号 特願2001-63260(P2001-63260)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01F)
P 1 8・ 575- Z (A01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 宮川 哲伸
西田 秀彦
発明の名称 コンバイン  
代理人 松尾 憲一郎  
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