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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1144196
審判番号 不服2004-9738  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-10 
確定日 2006-09-21 
事件の表示 特願2000-110705「通信端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月26日出願公開、特開2001-298505〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年4月12日の出願であって、平成16年4月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされ、平成18年4月27日付けで当審から拒絶理由通知がなされ、同年6月1日に手続補正がなされたものである。

2.平成18年6月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲は、補正前の特許請求の範囲の、
「【請求項1】 ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とのうちの少なくとも1つをダイヤルイン番号として登録保持する通信端末装置であって、
画像データを格納する記憶手段と、
着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出しないときに画像データを受信して記憶手段に格納し通信回線を切断した後所定の第1の転送先にダイヤルする一方、着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】 上記制御手段は、上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルすることを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。」から、
「【請求項1】 ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とのうちの少なくとも1つをダイヤルイン番号として登録保持する通信端末装置であって、
画像データを格納する記憶手段と、
着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出しないときに画像データを受信して記憶手段に格納し通信回線を切断した後所定の第1の転送先にダイヤルする一方、着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信し、
上記制御手段は、上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、「しばらくお待ちください」の音声合成音を送出し、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルすることを特徴とする通信端末装置。」
に補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「上記制御手段は、上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、「しばらくお待ちください」の音声合成音を送出し、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルすること」を付加し限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用発明及び周知技術
(あ)引用発明1
当審の拒絶の理由に引用された特開平11-98275号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイヤルイン回線に対しては、極性反転、呼出信号に対して6秒以内に交換機に1次応答を返さなければならないという規定があり、その1次応答の後、約0.6秒後に交換機から内線指定番号が送出される。この内線指定番号に応じてファクシミリ受信か電話受信かを判別するのがダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置である。」(2頁2欄、段落1〜2)

b.「【0014】フック検出回路6は、外付け電話12のオフフックを検出するものであり、外付け電話12を鳴らすための外付け電話鳴動回路を含んでいる。FAX送受信回路(モデム)7は、ファクシミリ装置の送信信号を回線で伝送可能な信号に変換・送信し、ファクシミリ装置が受信した信号を元の信号に復調するものである。CPU8は、後述のように、ファクシミリ装置の全体を制御する制御回路である。印刷装置9は、ファクシミリ装置が受信したデータを用紙に印刷するものである。原稿読み取り装置10は、送信すべき文字や画像を描かれた原稿を読み取るものである。PSU11は、後述のように省エネルギーモードが設定された場合に、印刷装置11の印刷機能の電源制御を行うものである。
【0015】次に、このような構成からなる第1の実施の形態の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。ダイヤルインモード時には、スイッチSW2は外付け電話12と外付け電話鳴動回路を接続した状態にある。この状態で着信があり呼出信号がきても、電話機は鳴動しない。リンギング検出回路3は回線L1、L2上のリンギング信号を検出し(ステップ1)、CPU8がこれを検出すると、ステップ2ではスイッチSW1を接続して回線を閉結する(1次応答)。交換機は、その1次応答を検出して内線指定番号(DTMF信号)を送出する。DTMF検出回路4は、回線L1、L2からの内線指定番号を検出する(ステップ3)。この内線指定番号の検出が終了すると(ステップ4;Y)、内線指定番号の受信完了信号としてスイッチSW1を解放し(ステップ5)、直流ループを解放する。
【0016】上記で検出した内線指定番号が「電話」か「ファクシミリ(FAX)」かの判定が行われ(ステップ6)、「電話」であれば、リング回路から外付け電話12に鳴動信号を送出し(ステップ7)、オペレータを呼び出す。次に、電話機がオフフックか否かが検出され(ステップ8)、オフフックになると、スイッチSW2で外付け電話12を回線に接続し(ステップ9)、電話機が使用可能となる(電話機による2次応答)他方、電話機がオフフックにならない場合は、回線の極性を検出する(ステップ10)。相手が回線を切断した場合は極性の反転が発生するので、この場合は外付け電話の鳴動をストップし、スタンバイ状態に戻る。なお、極性反転の検出の代わりに、タイマーにて一定時間の検出を行うようにしても良い。
【0017】ところで、検出した内線指定番号がファクシミリ(FAX)の場合には(ステップ6;「FAX」)、CPU8は、印刷装置9とデータの授受を行なって印刷機能の状態をチェック(確認)する(ステップ11)。CPU8は、印刷装置9の印刷機能状態の確認が完了すると(ステップ12;Y)、その印刷機能が正常か否かの判定を行う(ステップ13)。この判定の結果、印刷装置9の印刷機能が正常、または記録紙切れなどで一時的に印刷ができないが直ちに復旧可能な状態であれば(ステップ13;「正常」)、スイッチSW1を再度閉結し(2次応答)、ファクシミリ受信モードに入り(ステップ14、15)、FAX送受信回路7によりファクシミリ受信を行い、直接受信または代行受信を行う。」(3頁4欄〜4頁5欄、段落14〜17)

上記摘記事項a.の「内線指定番号」は、「ファクシミリ受信」か「電話受信」かを判定していることから、上記摘記事項a.記載の「ダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置」は、該「ファクシミリ受信」を判定する「画像通信用電話番号」と、該「電話受信」を判定する「通話用電話番号」をダイヤルイン番号として登録保持しているといえる。
上記摘記事項b.の「回線L1、L2」は、内線指定番号が送出されるものであるから、「ダイヤルイン回線」といえ、図1の記載から明らかなように、該「ダイヤルイン回線」はファクシミリ装置に収容されている。

よって、上記摘記事項a.〜b.の記載並びに関連する図面及び技術常識を参照すると、
引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明1」という。)
「ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とをダイヤルイン番号として登録保持するダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置であって、
CPUを備えるダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置。」

(い)周知技術1
当審の拒絶の理由に引用された特開平11-164045号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項c-1.及びc-2.が記載されており、特開平11-243477号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項d.が記載されており、特開平8-214139号公報(以下、「周知例3」という。)には図面とともに以下の事項e.が記載されている。
c-1.「そしてCPU1が、受信情報を記憶させる(S9)。具体的には、CPU1が、RAM3の受信情報記憶領域に受信画像情報を記憶させる。」(周知例1、6頁10欄28〜31行)

c-2.「CPU1が、受信情報を送信する(S15)。具体的には、CPU1が、RAM3の受信情報記憶領域に記憶されている先程の発呼側からの受信情報を読み出し、モデム4により変調させて、NCU2を介して電話回線15に送出させる。」(周知例1、7頁11欄7〜11行)

d.「【0030】次に、動作について説明する。通信回線を介して送信側マシンから送信された送信原稿を受信側マシンが受信することにより、受信側マシンのRAM7に受信した送信原稿に対応する受信原稿が蓄積される。そして後は第2実施形態のシステムにおける受信側マシンと同様に、受信原稿の閲覧状況を着信した時点から一定時間監視して(S3-1,S3-2)、一定時間内に受信原稿が閲覧された場合には、送信マシンに閲覧したことを通知する信号を出力する(S3-3,S3-4)。
【0031】ここで、一定時間以上閲覧していない場合には(S3-2のNo)、受信側マシンが送信側マシンとの間で回線を接続し、一定時間以上閲覧していない旨を通知する信号を送信側マシンに出力する。さらに予め設定された第1受信者のマシンとの間で回線を接続して、受信原稿をRAM7から呼び出して第1受信者ファクシミリ装置に転送する(S3-5)。もし、第1受信者のマシンから、一定時間以上閲覧していない旨の通知信号を受けた場合には、第2受信者のマシンに転送するように制御する。」(周知例2、4頁6欄、段落30〜31)

e.「【0151】(実施例13)図26は本発明の一実施例(請求項15)であるメモリ転送機能付きファクシミリ装置100のメモリ転送宛先設定動作を示すフローチャートである。まず、オペレータはオペポート部4のメモリ転送宛先設定キー36を押下する。オペレータによって転送宛先設定キー36が押下された後に、CPU部1はLCD21に「優先順位1の宛先は?」と表示させる(処理S211)。次に、オペレータは、もう一度メモリ転送宛先設定キー36を押下するか否かを判断する(処理S212)。もう一度メモリ転送宛先設定キー36を押下した場合には、そのまま処理を終了する。
【0152】一方、もう一度メモリ転送宛先設定キー36を押下せず、テンキー43を用いて転送先の端末番号を入力した後に(処理S213)、メモリ転送宛先設定キー36を押下した場合には、入力した転送先の端末番号が優先順位とともにRAM部3に記憶される(処理S214)。転送先の端末番号が記憶された後に、処理S212に戻り、CPU部1がLCD21に「優先順位2の宛先は?」と表示させ、オペレータに次の優先順位の転送先の端末番号を入力するように要求する。
【0153】以上のように、メモリ転送宛先設定キー36が連続して押下されるまで、転送先の端末番号を入力する処理を繰り返す。図27は本発明の一実施例(請求項15)であるメモリ転送機能付きファクシミリ装置100の転送動作を示すフローチャートである。まず、発信元のファクシミリ装置から着信有りか否かを判断する(処理S221)。
【0154】処理S221で、着信有りと判断された場合には、プロッタ部6で印字出力可能か否かを判断する(処理S222)。すなわち、記録紙切れ、プロッタ部6における記録紙づまり等が発生しておらず、受信した画情報を正常に記録紙に印字出力できる状態にあるか否かを判断する。処理S222で、印字出力できると判断された場合には、発信元のファクシミリ装置から送信されてくる画情報を通信制御手順に基づいて順次受信し、画像メモリ部11に蓄積する(メモリ受信)。次に、画像メモリ部11に蓄積した画情報を符号化・復号化部9で画像データに復号化した後に、プロッタ部6で記録紙に印字出力し(処理S223)、処理を終了する。
【0155】一方、処理S222で、印字出力できないと判断された場合には、発信元のファクシミリ装置から送信されてくる画情報を通信制御手順に基づいて順次受信し、画像メモリ部11に蓄積する(メモリ受信)。発信元のファクシミリ装置から送信されてくる画情報を受信した後に、切断命令信号DCNを送信して通信を一旦終了する(処理S224)。
【0156】次に、予めRAM部3に記憶されている端末番号のうち、一番優先順位が高い転送先の端末番号を読み出し、この転送先の端末番号に基づいて通信回線に発呼する(処理S225)。通信回線が閉結した後に、処理S224で画像メモリ部11に蓄積した画情報の転送を試みる(処理S226)。次いで、通信制御手順に基づいて正常転送でき終了したか否かを判断する(処理S227)。正常に転送でき終了したと判断された場合には、転送した画情報を画像メモリ部11から削除し、処理を終了する。
【0157】一方、正常に転送できずに終了したと判断された場合には、処理S225に戻り、次の優先順位の転送先の端末番号をRAM部3から読み出し、処理を繰り返す。このように、本実施例(請求項15)では、通信回線を介して発信元のファクシミリ装置から送信される画情報を受信する通信制御部10(画情報受信手段)と、通信制御部10で受信された画情報を蓄積する画像メモリ部11(画情報蓄積手段)と、画像メモリ部11に蓄積された画情報を記録紙に印字するプロッタ部6(画情報印字手段)と、プロッタ部6で記録紙に印字できない異常を検出するCPU部1(異常検出手段)と、画像メモリ部11に蓄積された画情報の転送先となる端末番号を優先順位付きで入力するオペポート部4(端末番号入力手段)と、オペポート部4で入力された該端末番号を記憶するRAM部3(端末番号記憶手段)と、を備え、CPU部1で印字できない異常が検出された場合に、RAM部3に記憶されている転送先の端末番号に基づいて発呼する網制御部7(発呼手段)と、網制御部7で発呼され該通信回線が閉結した後に、画像メモリ部11に蓄積されている画情報を転送する通信制御部10(画情報転送手段)と、通信制御部10によって正常に転送されたか否かを判断するCPU部1(判断手段)と、CPU部1で正常に転送されなかったと判断された場合には、RAM部3に記憶されている転送先の端末番号のうち、次の優先順位の端末番号に基づいた発呼を、網制御部7に要求するCPU部1と、を備えているので、転送先のファクシミリ装置の故障等による転送できない事態を回避することができるとともに、確実に転送することができる。」(周知例3、22頁42欄〜23頁44欄、段落151〜157)

上記周知例1〜3に開示されているように、「画像データを格納する記憶手段を備えた通信端末装置であって、画像データを受信して記憶手段に格納し、転送先に該記憶手段内の画像データを送信すること」は周知である。

(う)周知技術2
当審の拒絶の理由に引用された特開平9-83705号公報(以下、「周知例4」という。)には図面とともに以下の事項f.が記載されており、当審の拒絶の理由に引用された特開平6-141112号公報(以下、「周知例5」という。)には図面とともに以下の事項g.が記載されている。
f.「【0010】図8はダイヤルイン受信をする場合の通信手順を示す図である。本図は図7に対して「A」で示す手順が追加されている。つまりダイヤルイン受信をする場合は1次応答信号を受信端末から受信すると交換機は内線指定信号、これは送信端末より送出されたダイヤルインの電話番号(PB信号、つまりプッシュボタン信号で表されている)を送出してくる。ダイヤルイン受信設定がなされている受信端末はこれに対して内線指定受信完了信号を出力する。これは閉結された直流ループを断とし回路を開にする動作である。交換機はこの回路の開を検知すると送信端末に対して呼出音を鳴動させ、受信端末も呼出信号を受け、受話器を上げるなどの応答をすれば2次応答信号となり、回線を閉結する。これで図7に示す1次応答信号で直流ループが閉結されたと同じようになり、交換機は極性を復極させ通信が開始される。
【0011】図8に示すような手順を行うダイヤルイン契約回線に対してダイヤルイン受信をしないと設定すると、受信端末は図7に示したように1次応答をしただけで通信(通話)をしようとする。このため図8に示すように交換機は1次応答信号に対して内線指定信号を送信しても、受信端末から内線指定受信完了信号を受信できないので送信端末に対して通話中を示すビジートーンを返す。これにより送信端末は受信端末に何度かけても、話し中となってしまい通信が不可能となる。」(周知例4、3頁4欄、段落10〜11)

g.「【0026】前記サブCPU31には、ダイヤルインの設定及びその解除を行うためのダイヤルインスイッチ32、タイマ33、及び後述するブザー34が接続されている。そして、ダイヤルインスイッチ32を操作してダイヤルインの設定を行うことにより、装置をダイヤルイン回線に接続して使用することができる。即ち、ダイヤルインの設定が行われていなければ、装置をダイヤルイン回線に接続しても、発呼側からの呼出しを受けることができない。」(周知例5、4頁5欄、段落26)

上記周知例4〜5に開示されているように、「ダイヤルイン機能を備えた装置において、ダイヤルイン機能の設定非設定を行うこと」は周知である。

(え)周知技術3
当審の拒絶の理由に引用された特開平11-331537号公報(以下、「周知例6」という。)には図面とともに以下の事項h.が記載されており、当審の拒絶の理由に引用された特開平9-200362号公報(以下、「周知例7」という。)には図面とともに以下の事項i-1.及びi-2.が記載されており、上記周知例2には図面とともに上記摘記事項d.が記載されており、上記周知例3には図面とともに上記摘記事項e.が記載されている。
h.「【0018】回線相互接続登録部16に登録されたデータが回線相互接続に設定されている場合は、着信があった回線とは別の回線に対して、電話番号登録部5に登録された優先順位が最も高い電話番号を優先順位判定部6において判定し、その電話番号を発信制御部8もしくは発信制御部15(リンガ着信があった別の回線の発信制御部となる)よりNCU部10もしくはNCU部14(リンガ着信があった別の回線のNCU部となる)を通して自動的に発信する(ステップ109,110)。
【0019】この後、発信を行った回線の極性を、極性監視部17もしくは極性監視部18(発信動作を行った側の極性監視部となる)において監視することで、相手の着信を判断する(ステップ111)。相手の着信が確認された場合、リンガ着信があった方の回線の直流閉結を行い、回線切り替え部12において2つの回線を接続し、互いの回線間での通話を可能とする(ステップ112)。図3は、回線切り替え部12の周辺のブロック図であり、回線相互接続時の状態を示している。
【0020】相手の着信が検出されずに、回線監視時間登録部7に登録された時間が経過したかいなかを判定し(ステップ113)、経過した場合は、発信している回線を一度開放し、次に、電話番号登録部5に登録されている優先順位の高い電話番号を優先順位判定部6において判定し、上記と同じ発信動作と相手着信を監視する。この後、この動作は登録した電話番号を全て発信するまで続けられ、全て終了した場合、装置は発信していた回線を開放し、待機状態に戻る(ステップ114〜116)。」(周知例6、3頁3〜4欄、段落18〜20)

i-1.「【0036】ステップ106では、転送元に予め記憶された転送先候補リストから、1件の転送先候補の情報が読み出される。読み出される順番は、リストの筆頭に記憶されている候補(最も優先順位が高い候補)を1番目として、以下リストの順(優先順位の順)に読み出される。転送先候補の情報には、転送先のアドレス及び通信能力が記述されている。続いてステップ108にて、前記読み出された転送先候補が、受信した呼の要求する通信能力を所持しているかが判断される。判断が肯定された(通信能力が有る)場合は、ステップ109に移行する。
【0037】ステップ109ではISDNの提供する着信転送サービスによって、発信元の呼が転送元から転送先へ転送される処理を行う。処理が終了になると、受信した呼に関する一連の処理が終了となる。
【0038】判断が否定された(通信能力が無い)場合はステップ110に移行する。ステップ110では転送先候補リストに残りの候補が存在するかが判断される。もし、残りの候補が存在する場合は判断が肯定され、ステップ106に戻り、次の候補が調べられる。残りの候補が存在しない場合は、受信した呼をそのまま転送するのに充分な通信能力を持つ転送先が転送先候補リストの中に存在しないと判断され、ステップ112に移行する。
【0039】ステップ112では、その呼を着信転送せずに一旦転送元で受け付ける。発信元と転送元とで通信を行い、転送元は発信元からの通信データをRAM(2)32に蓄積する。蓄積が完了になった後に転送元と発信元との回線が開放される。
【0040】ステップ114では転送先候補リストの中から一件の転送先を決定する。本実施例では、転送元は、転送先候補リストの筆頭に登録されている転送先(ユーザC)を転送先に決定する。
【0041】ステップ116ではRAM(2)32に蓄積された通信データが符号化/復号化装置30を用いて復号化されRAM(3)26に記憶される。転送先候補の情報から転送先の通信能力が読み出される。符号化/復号化装置30は転送先の通信能力に合わせてRAM(3)26に記憶されたデータを符号化し、RAM(2)32に記憶する。転送元は転送先を発呼し、RAM(2)32に記憶された通信データをISDNインターフェース34を用いて転送先へ送信する。即ち、転送元は転送先の通信能力に合わせて受信データを変換している。」(周知例7、5頁7〜8欄、段落36〜41)

i-2.「【0049】転送先からの応答が得られず、着信転送を行えない場合は、転送先候補リストの中から別の転送先を選択し、再び着信転送を試みることも可能である。」(周知例7、6頁9欄、段落49)

上記周知例1〜2,6〜7に開示されているように、「所定の第1の転送先にダイヤルした後、転送が正常に実行されなかったとき、第3の転送先の電話番号をダイヤルするファクシミリ装置」は周知である。

(お)当審の拒絶の理由に引用された特開平10-23165号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
j.「【0010】しかして、呼電話機Aから着信電話機Bに電話が掛かると、電話回線bに接続した本発明による自動発信装置1の着信検出部2がこれを検出して、制御部17はリレードライバー12を起動してリレー接点3を閉じ、電話回線bを閉結する。これにより、呼電話機Aと自動発信装置1とが電話回線a、bを介して接続されるから、制御部17はメッセージメモリー9内の「ハイ、こちらは・・会社です。ただいま電話をお繋ぎします」というメッセージを音声合成部10で合成して呼電話機Aに発信する。
【0011】メッセージの送出が終わると、制御部17はリレー接点3を短時間解放してフッキングを行う。すると、局交換機Dは、このフッキングにより呼電話機Aの電話回線aを保留にすると共に、着信電話機Bの電話回線bを発信可能状態にし、話中・DT音検出部11が発信可能状態を検出すると、制御部17は電話番号メモリー8から最初の転送先である電話機Cの電話番号を読み出し、これを電話番号送出部7により発信する。これにより局交換機Dは、転送先電話機Cを呼出す。
【0012】転送先電話機Cが応答すると、これを応答検出部4が検出し、制御部17は装置を復旧させる。すると、電話回線bは解放されるから、局交換機Dは呼電話機Aの電話回線aの保留を解除して呼電話機Aと転送先電話機Cとを接続する。
【0013】しかして、転送先電話機Cが所定時間経過しても呼び出しに応じなかったとき、若しくは転送先電話機Cが話し中のときは、制御部17は、リレー接点3によりフッキングを行う。すると、局交換機Dは、呼電話機Aの保留を解除して呼電話機Aを電話回線bに接続する。そこで、制御部17は、メッセージメモリー9内の「ただいま呼び出しております。もうしばらくお待ち下さい」というメッセージを音声合成部10で合成して呼電話機Aに発信し、続いて、リレー接点3を短時間解放してフッキングを行う。すると、このフッキングにより局交換機Dは、呼電話機Aの電話回線aを保留にすると共に、着信電話機Bの電話回線bを発信可能状態にし、話中・DT音検出部11が発信可能状態を検出すると、制御部17は電話番号メモリー8から次の転送先である電話機C’の電話番号を読み出し、これを電話番号送出部7により発信する。これにより局交換機Dは、転送先電話機C’を呼び出す。
【0014】転送先電話機C’が応答すると、これを応答検出部4が検出し、制御部17は装置を復旧させる。すると、電話回線bは解放されるから、局交換機Dは、呼電話機Aの電話回線aの保留を解除して呼電話機Aと転送先電話機C’とを接続する。」(3頁4欄〜4頁5欄、段落10〜14)

上記摘記事項j.の【0011】から、「制御部17」は、呼電話機Aと着信電話機Bとが繋がった後に、フッキングを行い、最初の転送先である電話機Cの電話番号を発信しているから、該「制御部17」は「制御手段」といえ、該「制御手段」は「フッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤル」しているといえる。
話中音を検出して話し中であると判断することは、技術常識であるから、上記摘記事項j.の【0013】の「転送先電話機Cが話し中のとき」は、「話中音を検出したとき」ともいえる。
よって、上記摘記事項j.の記載並びに関連する図面及び技術常識を参照すると、
引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明2」という。)
「電話が掛かったときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする制御手段を備え、
上記制御手段は、上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、「しばらくお待ちください」の音声合成音を送出し、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルすること」

(3)対比
引用発明1の「CPU」は、上記摘記事項b.の「ファクシミリ装置の全体を制御する制御回路である」から、本願補正発明の「制御手段」に相当し、引用発明1の「ダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置」は本願補正発明の「通信端末装置」に相当するから、両者は、
「ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とのうちの少なくとも1つをダイヤルイン番号として登録保持する通信端末装置であって、
制御手段を備える通信端末装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明は「画像データを格納する記憶手段」を備えているのに対し、引用発明1は備えているか否か不明な点。

<相違点2>
制御手段が、本願補正発明では、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出しないときに画像データを受信して記憶手段に格納し通信回線を切断した後所定の第1の転送先にダイヤル」し、「上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信」するのに対し、引用発明1では、そのようになっていない点。

<相違点3>
制御手段が、本願補正発明では、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤル」し、「上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、「しばらくお待ちください」の音声合成音を送出し、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルする」のに対し、引用発明1では、そのようになっていない点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。
上記周知例1〜3に開示されているように、「画像データを格納する記憶手段を備えた通信端末装置」(周知技術1)は周知であるところ、引用例1の上記摘記事項b.には「代行受信」が記載され、これは印刷できない状態でファクシミリ受信するものであるから、引用発明1に「画像データを格納する記憶手段」を備えることが示唆されている。当該周知技術を引用発明1の「通信端末装置」に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明1に「画像データを格納する記憶手段」を備えることは、当業者が適宜なし得ることと認められる。

上記相違点2について検討する。
上記周知例4〜5に開示されているように、「ダイヤルイン機能を備えた装置において、ダイヤルイン機能の設定非設定を行うこと」(周知技術2)は周知であって、引用発明1はダイヤルイン機能を有する通信端末装置であるから、上記周知技術2を考慮すると、ファクシミリ通信受信時に「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出」することは、当然行っていると認められる。
周知例1〜2,6〜7に開示されているように、「所定の第1の転送先にダイヤルした後、転送が正常に実行されなかったとき、第3の転送先の電話番号をダイヤルするファクシミリ装置」(周知技術3)は周知であって、引用発明1に適用することに阻害要因はない。特開平3-96046号公報の4頁左上欄下から1行〜同末行等や特開昭57-113672号公報の4頁左上欄5〜8行等に開示されているように、通信時に話中音が検出されると話し中であると検出することは一般的なことであって、話し中であればデータは送信できないとの一般常識と、フッキング信号を通信回線に再送出した後、転送先の電話番号をダイヤルし、データを送信することで転送を行うものは、当審の拒絶の理由に引用された特開平9-233175号公報の【0044】や、当審の拒絶の理由に引用された特開平10-257132号公報の【0002】、及び、当審の拒絶の理由に引用された特開平11-32102号公報の【0002】に開示されているようにボイスワープ(日本電信電話株式会社の登録商標)として、一般的なことであることとを考慮すると、上記周知技術3を引用発明1に適用するに際して、引用発明1の制御手段を「上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信」するように構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

上記相違点3について検討する。
上記周知例4〜5に開示されているように、「ダイヤルイン機能を備えた装置において、ダイヤルイン機能の設定非設定を行うこと」(周知技術2)は周知であって、引用発明1はダイヤルイン機能を有する通信端末装置であることから、上記周知技術2を考慮すると、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出」して電話が掛かってきたことを検出することは、当然行っていると認められる。
電話機能を有する通信端末装置において、転送を行えるようにすることは一般的なことであるから、引用発明1に引用発明2を適用することにより、引用発明1の制御手段を「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤル」し、「上記第2の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、「しばらくお待ちください」の音声合成音を送出し、所定の第4の転送先の電話番号をダイヤルする」ように構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

また、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明1,2及び周知技術1〜3から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1,2及び周知技術1〜3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成18年6月1日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年5月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とのうちの少なくとも1つをダイヤルイン番号として登録保持する通信端末装置であって、
画像データを格納する記憶手段と、
着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出しないときに画像データを受信して記憶手段に格納し通信回線を切断した後所定の第1の転送先にダイヤルする一方、着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信することを特徴とする通信端末装置。」

(2)引用発明及び周知技術
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された引用例1及び周知例1〜7の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
引用発明1の「CPU」は、上記摘記事項b.の「ファクシミリ装置の全体を制御する制御回路である」から、本願発明の「制御手段」に相当し、引用発明1の「ダイヤルイン接続機能を有するファクシミリ装置」は本願発明の「通信端末装置」に相当するから、両者は、
「ダイヤルイン回線を収容し、画像通信用電話番号と通話用電話番号とをダイヤルイン番号として登録保持する通信端末装置であって、
制御手段を備える通信端末装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本願発明は「画像データを格納する記憶手段」を備えているのに対し、引用発明1は備えているか否か不明な点。

<相違点2>
制御手段が、本願発明では、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出しないときに画像データを受信して記憶手段に格納し通信回線を切断した後所定の第1の転送先にダイヤルする」、「上記第1の転送先の電話番号をダイヤルした後、話中音を検出したとき、フッキング信号を上記通信回線に再送出した後、所定の第3の転送先の電話番号をダイヤルし、記憶手段内の画像データを送信」するのに対し、引用発明1では、そのようになっていない点。

<相違点3>
制御手段が、本願発明では、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出し又はダイヤルイン番号として画像通信用電話番号を検出しないときにフッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする」のに対し、引用発明1では、そのようになっていない点。

相違点1〜2の検討は、上記2.(4)の相違点1〜2の検討と同様である。

相違点3について検討する。
上記周知例4〜5に開示されているように、「ダイヤルイン機能を備えた装置において、ダイヤルイン機能の設定非設定を行うこと」(周知技術2)は周知であって、引用発明1はダイヤルイン機能を有する通信端末装置であることから、上記周知技術2を考慮すると、「着信時にダイヤルイン回線が設定済みであると判断しかつダイヤルイン番号として通話用電話番号を検出」して電話が掛かってきたことを検出することは、当然行っていると認められる。
フッキング信号を通信回線に再送出した後、転送先の電話番号をダイヤルし、転送を行うものは、当審の拒絶の理由に引用された特開平9-233175号公報の【0044】や、当審の拒絶の理由に引用された特開平10-257132号公報の【0002】、当審の拒絶の理由に引用された特開平11-32102号公報の【0002】に開示されているボイスワープ(日本電信電話株式会社の登録商標)として一般的なことであることと、引用発明1の通信端末装置に転送機能を備えることに阻害要因はないことを考慮すると、引用発明1の制御手段が「フッキング信号を通信回線に送出した後所定の第2の転送先の電話番号をダイヤルする」ように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。

また、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明1及び周知技術1〜3から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術1〜3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-11 
結審通知日 2006-07-18 
審決日 2006-08-08 
出願番号 特願2000-110705(P2000-110705)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 廣岡 浩平
特許庁審判官 中木 努
宮下 誠
発明の名称 通信端末装置  
代理人 河宮 治  
代理人 石野 正弘  
代理人 青山 葆  

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