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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1144359 |
審判番号 | 不服2003-25106 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-07-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-25 |
確定日 | 2006-09-28 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第335537号「動きベクトル検出方法および動きベクトル検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 7月11日出願公開、特開平 9-182080〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年12月22日の出願であって、平成15年7月22日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年9月29日付けで意見書並びに手続補正書が提出されたが、同年11月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月25日付けで審判請求がなされるとともに、平成16年1月26日付けで手続補正書が提出されたものである。 そこで、当審において、平成18年2月28日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年5月8日付けで手続補正書が提出された。 2.本願発明 平成18年5月8日付けの手続補正により、本願に係る発明は、特許請求の範囲に記載されたとおりのものとなったところ、その請求項1には下記の発明(以下、「本願発明」という)が記載されている。 記(本願発明) 「画像信号をパターンマッチング法によって所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差評価関数を用いて最適の動きベクトルを得る動きベクトル検出方法において、 原画像信号からインタレース画像に対応した縮小画像を生成する際、奇数フィールドのM画素×Nライン(M及びNは整数)と縮小率より求めた縮小画像に応じて偶数フィールドの縮小画像を生成し、 上記生成したフィールド毎の縮小画像をフレーム単位で出力し、該フレーム単位毎の縮小画像に基づいて縮小画像上の動きベクトルを生成し、 上記縮小画像上の動きベクトルと上記縮小率に基づいて原画像上の動きベクトルの検出を行ない、 上記原画像上の動きベクトルを検出する際、上記縮小画像上の動きベクトルを上記縮小率に基づいて原画像上での動きベクトルに換算して出力することを特徴とする動きベクトル検出方法。」(以上、本願発明) 3.引用文献 これに対し、当審において拒絶理由で引用した特開平7-222176号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に下記の記載がある。 記 (記載事項) (ア)「本発明はディジタル動画像のデータ量の圧縮に関する。具体的には、インタレース画像の動きベクトル探索および符号化モード判定において用いる動き補償をフィールド/フレーム適応予測する改良されたブロック・マッチング方法と装置を提供しようとするものである。」(段落【0001】) (イ)「この動きベクトルMVを検出する手法には、多くの技術が存在するが、その中で最も一般的な方法は、連続するフレーム間のある大きさの画素ブロックごとの処理を基本としたものであり、ブロック・マッチング法と呼ばれている。 図27にはブロック・マッチング法におけるブロック関係が示されている。同図(a)には前フレームのサーチ・ウィンドウ61内の候補ブロック62が、同図(b)には現フレームの参照ブロック63が示され、参照ブロック63に対応する前フレームにおける位置には同図(a)に破線で、サーチ・ウィンドウ61に対応する位置には同図(b)に1点鎖線で示されている。 ブロック・マッチング法では、現フレームにおける参照ブロック63は前フレームのサーチ・ウィンドウ61に囲まれた領域に含まれる同じ大きさの候補ブロック62との算術的比較により探索される。そのフレーム間の比較結果はディストーションと呼ばれ、2つのブロックの類似性の単位として使用される。最も小さいディストーション値をもつ候補ブロック62は最良のマッチングを示すものであり、それを参照ブロック63と関連付ける動きベクトルMVとにより、動き予測を行う。探索するサーチ・ウィンドウ61内に含まれる可能なすべてのブロックが参照ブロック63と逐次比較されるとき、このプロセスは全点探索法(フルサーチ・ブロック・マッチング法)と呼ばれる。」(段落【0003】ないし段落【0005】) (ウ)「 現フレームの参照ブロック63のデータと、前フレームのサーチ・ウィンドウ61のデータとを印加されて、フィールド分割部150においては、参照ブロック63のフィールド1およびフィールド2のデータをそれぞれ示す信号166および167と、サーチ・ウィンドウ61内の候補ブロック62のフィールド1および2のデータをそれぞれ示す信号168および169を得ている。 信号166ないし169を受けたサブサンプル部170では、フィールド1および2の、たとえば、水平成分についてフィールド1および2毎に位相をずらして所定の間隔でサブサンプルを行って、参照ブロック63のフィールド1および2のサブサンプル結果をそれぞれ信号186および187として、また、候補ブロック62のフィールド1および2のサブサンプル結果をそれぞれ信号188および189として得ている。 信号188および189を受けた選択部200では、信号218として信号188または信号189のいずれか一方を選択し、また、信号219として信号189または188のいずれか他方を選択して出力している。 信号186,187,218,219を受けたディストーション算出部220では、参照ブロック63のフィールド1から得ている信号186と候補ブロック62のフィールド1または2の一方から得ている信号218との間のディストーションを得て信号248として出力し、参照ブロック63のフィールド2から得ている信号187と候補ブロック62のフィールド1または2の他方から得ている信号219との間のディストーションを得て信号249として出力している。」(段落【0029】ないし段落【0032】) (エ)「加算器250では、フィールド1のディストーションである信号248とフィールド2のディストーションである信号249を加算することにより、フレーム・ディストーションを表わす信号259を出力している。 信号248,249および259を受けた最小値検出部260では各信号の示す値の最小値を検出し、フィールド1のディストーションの最小値を表わす信号288を出力し、フィールド2のディストーションの最小値を表わす信号289を出力し、フィールド1とフィールド2のディストーションの和であるフレーム・ディストーションの最小値を表わす信号287を出力し、フィールド1のディストーションの最小値を検出した時点を示すタイミング信号284と、フィールド2のディストーションの最小値を検出した時点を示すタイミング信号286とフレーム・ディストーションの最小値を検出した時点を示すタイミング信号285を出力している。 フィールド1およびフィールド2のディストーションの最小値を示す信号288および289を受けた加算器300では、それらの最小値を加算して信号309として出力する。 フレーム・ディストーションの最小値を表わす信号287と、フィールド1およびフィールド2のディストーションの最小値の加算値を示す信号309とを受けて比較器310において比較し、フレーム・ディストーションの最小値Dfrmとフィールド1のディストーションの最小値Dfi1mとフィールド2のディストーションの最小値Dfi2mとが図示されてはいない適当な閾値THを加えて、 Dfrm≧Dfi1m+Dfi2m+TH のときにフィールド予測と判定し、 Dfrm<Dfi1m+Dfi2m+TH のときにフレーム予測と判定して、フィールド/フレーム選択用の信号319を出力している。 フィールド1および2のディストーションのそれぞれの最小値を検出した時点を示すタイミング信号284および286と、フレーム・ディストーションの最小値を検出した時点を示すタイミング信号285を受けた動きベクトル算出器320では、それぞれのタイミング信号を受けた時点から、それまでに印加されたブロック・クロックBCKの数をカウントすることにより、それぞれ、フィールド1のフィールド・ベクトルFIV1を表わす信号347,フィールド2のフィールド・ベクトルFIV2を表わす信号348,フレーム・ベクトルFRVを表わす信号349を出力している。」(段落【0033】ないし段落【0037】) (オ)「そこで、サブサンプル回路171の出力端子Yからは参照ブロック63のフィールド1の画素を所定の間隔をおいてサブサンプルしたデータが信号186として得られる。サブサンプル回路172の出力端子Yからは参照ブロック63のフィールド2の画素をサブサンプル回路171のサブサンプルの位相とは逆の位相で、すなわち、サブサンプルの位相をずらして、サブサンプルしたデータが信号187として得られる。サーチ・ウィンドウ61内の候補ブロック62のフィールド1およびフィールド2のデータをそれぞれ示す信号168および169を受けたサブサンプル回路173および174は、互いに位相をずらして、所定の間隔で互いちがいに候補ブロック62のフィールド1および2のデータをサブサンプルしてその結果を信号188および信号189として出力している。両信号188および189はセレクタ201および202の入力端子AおよびBに印加され、セレクト端子Sに印加されたフィールド切替信号FISによって選択的に切替られて、信号218および219としてそれぞれ信号188および189が出力されたり、あるいは逆に、信号189および188が出力されたりする。」(段落【0041】) (カ)「動きベクトル算出器320では、フィールド1および2のフィールド・ディストーションの最小値Dfi1mおよびDfi2mを検出した時点を表わすタイミング用の信号284および286と、フレーム・ディストーションの最小値Dfrm を検出した時点を表わすタイミング用の信号285とを入力端子A,BおよびCに印加され、クロック端子にはブロック・クロックBCKを、リセット端子Rには初期化のためのリセット信号Rを印加されて、その出力端子X,YおよびZから、それぞれフィールド1のフィールド・ベクトルFIV1を表わす信号347,フィールド2のフィールド・ベクトルFIV2を表わす信号348,フレーム・ベクトルFRVを表わす信号349を出力している。 図4にはディストーション算出回路221のより具体的な回路構成が示されている。ディストーション算出回路222の回路構成も同様である。この回路は図31に示したものにほぼ同じであり、異なる点は、加算部20に含まれたラッチ22のクロック端子に画素クロックPCKを、クリア端子CRにブロック・クロックBCKを印加している点であり、画素クロックPCKごとに差分絶対値|a-b|を加算し、ブロック・クロックBCKが印加されるとクリアされる。ここで入力されるデータa(i,j)として信号186が、入力されるデータb(i+v,j+h)としては信号218が、出力されるディストーションDとしては信号248がそれぞれ対応している。 図5には最小値検出回路261のより具体的な回路構成が示されている。最小値検出回路262および263の回路構成も同様である。同図において、フィールド1のDfi1 を表わす信号248を入力端子Aiに、前回までの最小値検出動作において得られたDfi1 の最小値を入力端子Biに受けた比較回路271では、両入力端子の信号の値を比較して、Ai≧Biならば選択信号S=1を、Ai<Biならば選択信号S=0を出力し、この選択信号Sが“1”から“0”に変換するタイミングを通知するための信号MINを出力している。フィールド1のディストーションDfi1 を表わす信号248を入力端子Aiに、前回まで最小値検出動作において得られたディストーションDfi1 の最小値を入力端子Biに受けたセレクタ272では、選択信号端子Sに受けた選択信号Sが“1”ならば、Ai≧Biであるから、入力端子Biに印加されている前回までの最小値を出力端子Yiにそのまま出力する。選択信号Sが“0”ならばAi<BiであるからAiを出力端子Yiに出力する。この出力端子Yiの出力はラッチ273のデータ端子Diに印加され、ブロック・クロックBCKが印加されるごとにラッチされるから、その出力端子Qiからは、フィールド1のディストーションの最小値Dfi1mを表わす信号288をリセット信号Rがクリア端子に受けるまで出力することができる。リセット信号Rが入力されると、ラッチ273は表わされうる最大値にセッテイングされる。」(段落【0047】ないし段落【0049】) (キ)「図7には8×8画素の入力ブロックをフィールド分割してサブサンプルする場合の画素の配列を示している。第1行目にはフィールド1の画素があり、そのうちの白丸、すなわち、アドレスa(0,0),a(2,0),a(4,0),a(6,0)がサンプルされ、黒丸、すなわち、a(1,0),a(3,0),a(5,0),a(7,0)はサンプルされないことを表わしている。第2行目にはフィールド2の画素があり、そのうちの丸に横棒の画素すなわち、a(1,1),a(3,1),a(5,1),a(7,1)がサンプルされる。以下の行においても同様である。サンプルされた画素は5の目状に配列されている。8×8画素の入力ブロックから、フィールド1とフィールド2とに分割するのがフィールド分割部150であり、フィールド1の白丸およびフィールド2の丸に横棒のように5の目状にとびとびにサブサンプルするのがサブサンプル部170である。」(段落【0051】) (以上、記載事項) 4.対比 そこで、本願発明と上記引用文献1に記載の発明(以下、「引用発明」という)とを対比する。 本願発明にいう「パターンマッチング法」とは、本願明細書の段落【0060】ないし【0073】、図1、図10等の記載より、引用文献1の記載(ア)(イ)に示されるブロックマッチング法と同様のものを含むと理解される。 上記記載(イ)(カ)より、引用発明のディストーションはブロックマッチング法のマッチング誤差といえ、上記記載(ウ)(エ)(カ)より、引用発明は、候補ブロックのディストーションを評価し、最も低いディストーション値を持つ候補ブロックに基づいて最適な動きベクトルを求めているといえる。 よって、引用発明は、「画像信号をパターンマッチング法によって所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差評価関数を用いて最適の動きベクトルを得る動きベクトル検出方法」に相当する事項を前提とするものといえる。 上記記載(ウ)(オ)(キ)、図7より、引用発明においては、インタレース画像に対応した原画像信号をサブサンプル回路によりサブサンプルして画像を生成するものであって、サブサンプル回路171はフィールド1とフィールド2の画像を例えば図7のようにサブサンプルする。図7のサブサンプル画像を見るに、フィールド1とフィールド2との間では使用される画素の位相がずらされており、すなわち、所定の間隔で互いちがいになっていることが明らかであるから、フィールド2のサブサンプル画像はフィールド1のサブサンプル画像に対応したものといえる。(或いは、逆にフィールド1のサブサンプル画像はフィールド2のサブサンプル画像に対応したものといえる。) また、図7によれば、フィールド1の画像は8画素×4ラインであり、一般化すればM画素×Nライン(M及びNは整数)の画像であるといえる。 図7の実施例では、フィールド1の画像はサブサンプルにより4画素×4ラインの画像となる。すなわち、一定の比率でサブサンプルを行う。 以上をまとめると、引用発明には、フィールド1のM画素×Nライン(M及びNは整数)とサブサンプル比率より求めたサブサンプル画像に応じてフィールド2のサブサンプル画像を生成するものといえる。 また、上記記載(エ)(カ)より、引用発明では、サブサンプル画像上でディストーション値を計算しているから、生成したサブサンプル画像に基づいてサブサンプル画像上の動きベクトルを生成しているといえる。 ここで、引用発明のサブサンプル画像は本願発明にいう縮小画像に相当するとは直ちにいえないが、引用発明にいうサブサンプル画像も本願発明にいう縮小画像も共に、動きベクトルを演算量を減少させて探索するための加工された画像であるという点で共通するから、以下、便宜上両者をまとめて「加工画像」と呼ぶ。また、縮小率とサブサンプルの比率をまとめて「加工比率」と呼ぶ。 引用発明において処理される画像はインタレース画像であり、引用発明の「フィールド1」は本願発明の「奇数フィールド」に、引用発明の「フィールド2」は本願発明の「偶数フィールド」に、それぞれ対応するといえる。 以上により、引用発明と本願発明とでは、 「画像信号をパターンマッチング法によって所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差評価関数を用いて最適の動きベクトルを得る動きベクトル検出方法において、 原画像信号からインタレース画像に対応した加工画像を生成する際、奇数フィールドのM画素×Nライン(M及びNは整数)と加工比率より求めた加工画像に応じて偶数フィールドの加工画像を生成し、 加工画像に基づいて加工画像上の動きベクトルを生成し、 出力する動きベクトル検出方法。」 である点で一致し、以下の各点で相違する。 〔相違点1〕 本願発明では、「加工画像」が縮小画像であり、縮小画像を生成し縮小画像上で動きベクトルを求めているのに対し、引用発明では、「加工画像」がサブサンプル画像であり、サブサンプル画像を生成しサブサンプル画像上で動きベクトルを求めている点。 また、これと関連して、本願発明では「加工比率」が縮小率であるのに対して、引用発明では「加工比率」がサブサンプル比率である点。 〔相違点2〕 本願発明では、「上記生成したフィールド毎の縮小画像をフレーム単位で出力し、該フレーム単位毎の縮小画像に基づいて縮小画像上の動きベクトルを生成」するのに対して、引用発明では、上記記載(エ)にあるように、加算器250によりフィールド毎のディストーションである信号248と信号249とを加算し、フレーム単位のディストーションとして信号259を得て、フレームベクトルFRVを表す信号349を得る点。 〔相違点3〕 本願発明では、「上記縮小画像上の動きベクトルと上記縮小率に基づいて原画像上の動きベクトルの検出を行ない、上記原画像上の動きベクトルを検出する際、上記縮小画像上の動きベクトルを上記縮小率に基づいて原画像上での動きベクトルに換算して出力する」のに対し、引用発明ではそのような事項が明示されていない点。 5.検討 〔相違点1〕 一般に、当該技術分野においては、サブサンプル画像も縮小画像と呼ばれている。必要であれば、当審が平成18年2月28日付けで通知した拒絶理由で引用した特開平4-177992号公報(公報第4頁左上欄第5行目ないし第15行目、第1図)、特開平2-16887号公報(特許請求の範囲第1項)を参照されたい。なお、本願明細書に開示された実施例のように、原画像に含まれる複数の画素の輝度値を平均して縮小画像を生成することも、当審拒絶理由通知書において提示した特開平7-212762号公報(段落【0034】ないし段落【0035】)に示すように、従来周知の事項に過ぎず、格別のものとはいえない。 そして、サブサンプルにより縮小画像を作成する場合には、サブサンプルの比率を縮小率と解することができる。 〔相違点2〕 一般に、フレーム画像上で所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差を計算し動きベクトルを得ることは、当審が平成18年2月28日付けで通知した拒絶理由で引用した特開平4-177992号公報(公報第4頁左上欄第5行目ないし第15行目)、特開平7-212762号公報(段落【0027】ないし段落【0078】)に示すように、従来周知の事項に過ぎない。 これに対し、引用発明の演算手法はフィールド1に係る所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差(ディストーション)248とフィールド2に係る所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差(ディストーション)249を合計し、フレームの所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差(ディストーション)を表す信号259を得るものであるが、上記周知の事項のように、フレーム画像を用いて所定の範囲の候補ベクトルに対応する誤差(ディストーション)を演算することと比較すれば、結局のところ両者の相違は各画素毎の誤差を合計する順序が異なる(フィールド毎に誤差を合計してからフィールド1の誤差の総和とフィールド2の誤差の総和とを合計するか、フレーム内の所定範囲について1画素毎に誤差を順次加算するか)ことに過ぎず、両者は交換法則により数学的には均等な手段を採用するものである。 そして、(奇数フィールドの縮小画像を生成すること、これに対応する偶数フィールドの縮小画像を生成すること、に格別の技術的意義を与えず)フレーム内の動きベクトルだけを求めるのであれば、引用発明においても上記相違点2に係る本願発明のように「上記生成したフィールド毎の縮小画像をフレーム単位で出力し、該フレーム単位毎の縮小画像に基づいて縮小画像上の動きベクトルを生成」するように演算すること(上記周知の事項のように演算すること)は、当業者であれば格別の困難性なく着想を得ることができたものといえる。 〔相違点3〕 縮小画像上で動きベクトルを検出し、これを原画像上の動きベクトルに換算して出力する点は、当審が平成18年2月28日付けで通知した拒絶理由で引用した特開平4-177992号公報(公報第4頁右上欄第17行目ないし左下欄第20行目)、特開平7-212762号公報(段落【0078】)、特開平7-107486号公報(段落【0020】ないし段落【0024】)などに開示されるように、従来周知の事項に過ぎない。 引用発明においても、縮小画像といえるサブサンプル画像を用いて動きベクトルの探索を行っており、サブサンプル画像における動きベクトルを原画像上の動きベクトルとする際に、このような事項を採用することも格別のこととはいえない。 そして、上記各相違点を総合しても格別のこととはいえず、また、本願発明の作用効果も、引用文献1及び上記周知技術から予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 6.むすび 本願について、平成18年 2月28日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 そして、以上のとおり上記の拒絶理由は妥当なものといえるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-26 |
結審通知日 | 2006-08-01 |
審決日 | 2006-08-15 |
出願番号 | 特願平7-335537 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石川 亮、畑中 高行 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
堀井 啓明 西谷 憲人 |
発明の名称 | 動きベクトル検出方法および動きベクトル検出装置 |
代理人 | 小池 晃 |
代理人 | 田村 榮一 |
代理人 | 伊賀 誠司 |