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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62B
管理番号 1144416
審判番号 不服2003-19067  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-07-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-30 
確定日 2006-09-25 
事件の表示 特願2000-384966「手押し車」拒絶査定不服審判事件〔平成14年7月2日出願公開、特開2002-187553〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年12月19日の出願であって、本願の請求項1に係る発明は、平成15年3月18日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのもの(以下「本願発明」という。)と認める。
「後輪としてのキャスターをハンドル側に配置し、同一方向に同時回転する前輪としての左右一対の左輪と右輪をハンドルの反対側に配置したことを特徴とする手押し車。」

2.引用刊行物およびその記載事項
これに対して、当審における平成18年5月2日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭58-179458号(実開昭60-87760号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、「折りたたみ運搬車」に関して、第1〜3図とともに次のような記載がある。
A)「本考案は折りたたみ運搬車に関するものである。」(第1頁18行)
B)「本考案を図面とともに説明すると、・・・
金属パイプからなり、先端に後輪9、9を取付けたコの字型の後輪支持枠2と、同じく金属パイプからなり、後輪支持枠2と同巾に折り曲げたコの字型の前枠3を対向に設置してそれぞれの上部内側に小孔を設け、前辺4aと後辺4bが金属棒であり、左右側辺4c、4cが金属パイプの四隅がしっかりと固定された直角四辺形に形成された上部枠4を前枠3には前辺4aを、後輪支持枠2には後辺4bの両端部をそれぞれの小孔に回動自由に嵌着する。
底枠5も上部枠4同様に前辺5aは前枠3に、後辺5bは後輪支持枠2にそれぞれ回動に嵌着される。
・・・
金属パイプによってなるコの字型ハンドル1の延長に設けた前輪支持枠1a、1aは、後部上方から前部下方へ斜めに設置した状態で、上部枠4の側辺4c、4cとの交差位置11、11を回動自由に鋲などで枢着する。
前輪支持枠1a、1aの先端には、左右の前輪10、10のシヤフトが取付けられているとともに、底枠5の側辺5cと回動自由に連結された連結杆7の一端と回動自由に連結されている。
・・・
キャスターについては、後輪9は360度廻る首振式のキャスターとし、前輪10は固定式のものが一般的であるが、全輪を固定式のキャスターとしてもよい。」(第2頁6行〜第3頁19行)
C)「8は前輪のシャフト」(第5頁11行)

上記A)〜C)の記載と第1図とからみて、上記刊行物1の折りたたみ運搬車は、ハンドル1を有する折りたたみ式の運搬車、即ち折りたたみ式の手押し車であるものと認められ、首振式のキャスター9、9をハンドル1側に配置して後輪となし、シャフト8を軸心として回転する前輪の左右一対の左輪と右輪10、10を、ハンドルの反対側に配置してあるものと認められる。
したがって、上記刊行物1には、
「後輪としてのキャスター9、9をハンドル1側に配置し、前輪としての左右一対の左輪と右輪10、10をハンドル1の反対側に配置した手押し車。」の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が記載されているものと認める。

同じく、当審における平成18年5月2日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実公昭61-17888号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「車体の制動装置」に関して、第1〜5図とともに次のような記載がある。
D)「この考案を用いた例えば園児搬出車は、第1図および第2図に示すように、鋼板製の床板1の周囲にアルミ等の軽量金属で形成されたパイプ状の部材をもつて籠型の車枠2を取付け、更にこの床板1の下面一端側には一対のフリーキヤスタをもつて構成された前輪3a,3bが、他端側には車軸取付枠4a,4bを介して回転自在に取付けられた車軸5両端に後輪6a,6bがそれぞれ固定され、前記した車枠2の側面には同様にアルミ等の軽量金属で形成されたパイプ状の部材で構成された囲棚7a,7bが、また前記車枠2には手押用の取手8がそれぞれ取付けられている。このように構成された車体9の後輪側には第3図aに示すように車軸取付枠4a,4bの下端に車体9の長手方向に水平の長穴10を形成したブレーキ杵支持部材11a,11bが取付けられ、この長穴内に挿通された制動軸12に揺動自在に略コ字状のブレーキ杵13が枢着され、前記ブレーキ杵の後部にはフツトプレート14が取付られ、その取付側と車軸取付枠4a,4bとの間には一対の連杵15a,15bが枢着され、引張ばね16により制動軸12は常時前記長穴10の一端側に引張られている。
前記フツトプレート14を矢印の如く下方に踏下げた際、前記連杵15a,15bの回動運動により制動軸12をスプリング16の弾力に抗して長穴10の他端側に移動せしめると共にブレーキ杵13の中央部に形成されている彎曲部17,17が車軸5に第3図bに示すように係合し、前記連杵15a,15bがブレーキ杵13と水平状態で並行し、さらにこの状態を通過して若干回動した点で前記彎曲部が車軸に接合するように構成されたブレーキ18が取付けられている。」(第2頁第3欄12〜44行)

上記D)の記載からみて、上記刊行物2の車体の制動装置は、前輪3a,3bがフリーキヤスタをもつて構成される(即ち、キャスターを備える)とともに、後輪6a,6b側に手押用の取手(即ち、ハンドル)8を配置した手押し車の制動装置であるものと認められ、フリーキヤスタをもつて構成されない(即ち、キャスターを備えない)側の車輪である後輪6a,6bは、車軸5をブレーキ杵13の彎曲部17,17に接合することによって、その回転が停止するものと認められるから、該後輪の左輪と右輪6a,6bは、同一の車軸5に固定された、同一方向に同時回転する車輪として構成されているものと認められる(なお、「フリーキヤスタ」がどの方向にも回転自在なキャスタであることは、当業者において自明である。)。
したがって、上記刊行物2には、
「車輪(前輪)にキャスターを備えた手押し車において、キャスターを備えない側の車輪(後輪)を、同一方向に同時回転する車輪とする」発明(以下、「刊行物2の発明」という。)が記載されているものと認める。

3.本願発明と上記刊行物1の発明との対比
本願発明と上記刊行物1の発明とを対比すれば、上記刊行物1の発明の「キャスター9、9」は本願発明の「キャスター」に対応し、以下同様に「左右一対の左輪と右輪10、10」は「左右一対の左輪と右輪」に、「「ハンドル1」は「ハンドル」に、それぞれ対応している。
したがって本願発明と上記刊行物1の発明は、
「後輪としてのキャスターをハンドル側に配置し、前輪としての左右一対の左輪と右輪をハンドルの反対側に配置した手押し車。」
で一致し、以下の<相違点>で相違しているものと認める。
<相違点>
本願発明における前輪としての左右一対の左輪と右輪は、同一方向に同時回転するように構成されているのに対し、上記刊行物1の発明における前輪としての左輪と右輪10、10は、同一方向に同時回転するように構成されているか否かが不明である点。

4.相違点の検討
刊行物2には、車輪にキャスターを備えた手押し車において、キャスターを備えない側の車輪を、同一方向に同時回転する車輪とする発明が記載されているとともに、このような、同一方向に同時回転する車輪が、直進性には優れているが旋回はしにくいことは当業者において周知の事項(例えば、特開平9-56015号公報における【0008】の記載、又は実願昭62-9085号(実開昭63-115871号)のマイクロフィルムにおける第2頁12〜16行の記載を参照されたい。)である。
してみれば、上記刊行物1の発明の手押し車において、坂道等における無用な旋回を避け、直進性を優れたものとするために、キャスターを備えない側の車輪である前輪を、同一方向に同時回転する車輪として構成することは、上記刊行物1の発明に上記刊行物2の発明を適用することにより、当業者が容易に行い得たものである。

そしてこの場合、上記刊行物1の発明の手押し車のハンドルの位置は、キャスター側にあって、キャスターを備えない側の車輪から遠い位置にあるから、上記刊行物1の発明に上記刊行物2の発明を適用するにあたって、キャスターを備えない側の車輪として構成される“同一方向に同時回転する車輪”の摩擦力に対抗して手押し車を旋回させるための操作力が、ハンドルがキャスターを備えない側の車輪に近い位置にある場合の操作力と比べて小さくてすむことは、当業者が容易に予測しうるところである。よって、本願発明が奏する作用効果は、上記刊行物1,2の発明に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。
したがって、本願発明は、上記刊行物1,2の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上詳述したとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

(なお、前輪としての左右一対の左輪と右輪が、同一方向に同時回転する前輪として構成されていることについて必ずしも明確ではないが、後輪としてのキャスターをハンドル側に配置し、前輪としての左右一対の左輪と右輪をハンドルの反対側に配置した手押し車において、前輪の左右一対の左輪と右輪とを回転自在な車軸に取り付けて用いることは、例えば、実願昭48-91145号(実開昭50-37255号)のマイクロフィルムに見られるように、従来周知技術である。)
 
審理終結日 2006-07-13 
結審通知日 2006-07-25 
審決日 2006-08-08 
出願番号 特願2000-384966(P2000-384966)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B62B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 真徳  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 ぬで島 慎二
永安 真
発明の名称 手押し車  

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