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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1144601
審判番号 不服2002-14405  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-31 
確定日 2006-10-06 
事件の表示 平成11年特許願第187622号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月15日出願公開、特開2000-225249〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年2月5日に出願した特願平11-28419号の一部を平成11年7月1日に新たな特許出願としたものであって、平成13年8月14日付で拒絶理由通知がなされ、同年10月4日付で手続補正がなされ、平成14年3月8日付で拒絶理由通知がなされ、同年4月15日付で手続補正がなされ、同年6月19日付で補正却下がなされ、同日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年7月31日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年7月31日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「図柄表示器に図柄を変動表示すると共に演出用動画を表示して可変表示ゲームを行う遊技機であって、
前記図柄と演出用動画は図柄表示器に巻き戻し表示可能であり、
可変表示ゲームに対する複数のリーチパターンと巻き戻しフラグを備え、
可変表示ゲームにおいて、前記リーチパターンの何れかを選定し、そのリーチパターンによるリーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し、
その後、
前記巻き戻しフラグの成立に基づいて、
(A)図柄と演出用動画を巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻した後に、再び、リーチアクションを実施し、リーチアクション終了後に、大当たり図柄又は外れ図柄の何れかを確定表示する場合と、
(B)図柄と演出用動画を巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示する場合があることを特徴とする遊技機。」

と補正された。
上記補正は、平成13年10月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記図柄と演出用動画は巻き戻し表示可能であり」を「前記図柄と演出用動画は図柄表示器に巻き戻し表示可能であり、可変表示ゲームに対する複数のリーチパターンと巻き戻しフラグを備え」と付加して限定し、同じく「可変表示ゲームにおいて、リーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し」を「可変表示ゲームにおいて、前記リーチパターンの何れかを選定し、そのリーチパターンによるリーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し」と限定し、同じく「図柄と演出用動画を巻き戻し表示し、再び、リーチアクションを表示後に、大当たり図柄を確定表示する場合と、図柄と演出用動画を巻き戻し表示中に大当たり図柄を確定表示する場合がある」を「前記巻き戻しフラグの成立に基づいて、(A)図柄と演出用動画を巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻した後に、再び、リーチアクションを実施し、リーチアクション終了後に、大当たり図柄又は外れ図柄の何れかを確定表示する場合と、(B)図柄と演出用動画を巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示する場合がある」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-155990号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「複数の図柄からなる図柄列及びキャラクタを表示するための表示装置と、・・・、前記図柄列の図柄を前記表示装置に変動表示させる図柄表示制御手段と、前記図柄表示制御手段による図柄表示中にキャラクタを動作するように表示させるキャラクタ表示制御手段とを具備した遊技機において、・・・、そのキャラクタまたはキャラクタに関連した画像の少なくとも一部を拡大してなる拡大部を一時的に表示させるための拡大表示手段を設けた・・・遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「【発明の属する技術分野】
・・・パチンコ機等の遊技機に係り、・・・図柄列及びキャラクタを表示する表示装置を備えた遊技機に関するものである。」(段落【0001】)、
「【従来の技術】
従来、・・・図柄と、・・・キャラクタとを表示装置でそれぞれ表示させるようにしたパチンコ機が広く採用されている。・・・。キャラクタは、大当り遊技状態に先立ちリーチ遊技状態が発生したとき、予め定められた動作、いわゆるリーチアクションを行うように表示される。この表示により、大当り遊技状態の発生に対する遊技者の期待感が高められる。」(段落【0002】)、
「図1に・・・、パチンコ機1の遊技盤2には・・・大入賞口5が設けられている。・・・。」(段落【0008】)、
「遊技盤2・・・には、スロットマシンをイメージした画像等を表示するための特別図柄表示装置(・・・)13が組込まれている。表示装置13の画面13aは、・・・図柄列表示領域Z1と、・・・キャラクタ表示領域Z2とを含む。表示領域Z2には、・・・、複数のキャラクタ(・・・)とが表示される。」(段落【0009】)、
「図柄列表示領域Z1には、・・・左図柄列14、中図柄列15及び右図柄列16が表示される。各図柄列14乃至16は、図2(b)に示すように、数字、記号等からなる複数種類の図柄17によって構成されている。・・・。図1に示すように、表示装置13では、各図柄列14乃至16の変動が、・・・開始させられる。・・・。全ての図柄列14乃至16の変動が停止させられたとき、・・・大当りの組合わせ・・・となる場合がある。・・・、以下大当り図柄という。・・・。」(段落【0010】)、
「・・・。図3乃至8のフローチャートは、制御装置24によって実行される各種ルーチンを示している。これらのルーチンの各処理は、カウンタ群及びフラグFに基づいて実行される。カウンタ群は、・・・、表示装置13での大当り遊技状態発生を決定するための内部乱数カウンタと、外れリーチ等を決定するためのリーチ乱数カウンタと、各図柄列14乃至16が変動を停止したときに表示される図柄(・・・)等を決定するためのそれぞれの図柄カウンタと、リーチの種別を決定するためのリーチ種別決定カウンタと、キャラクタの種別を決定するためのキャラクタ種別決定カウンタとからなる。本実施形態ではリーチ及びキャラクタがそれぞれ複数種類用意されているが、両決定カウンタによって選択される確率は、キャラクタ毎に略同一となるように設定され、リーチパターン毎に異なるように設定されている。また、リーチ乱数カウンタによる外れリーチとは、左・右図柄列14,16の各図柄17が、大当りライン上で停止し、中図柄列15が大当り遊技状態とはならない図柄(以下、外れ図柄という)17で停止する状態である。フラグFはVゾーン8への入賞の有無を判定するためのものであり、入賞無しの場合に「0」に設定され、入賞有りの場合に「1」に設定される。」(段落【0012】)、
「・・・、遊技者による遊技が開始されると、制御装置24はまず図3,4の特別電動役物制御ルーチンのステップS10において、・・・遊技球3が第1種始動口4に入賞したか否かを判定する。・・・ステップS20において、内部乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタの各値を取得するとともに、各図柄カウンタの値に基づき図柄列14乃至16の各外れ図柄を取得する。・・・。」(段落【0013】)、
「・・・、ステップS30で図柄変動開始処理を実行する。詳しくは、図5のステップS31において、図柄列14乃至16の各図柄17をそれぞれ表示装置13で変動表示させる。この表示により、遊技者には3つのリールがあたかも回転しているように見える。ステップS32において、内部乱数カウンタの値が予め定められた大当り値と同一であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS33において、大当り値に対応する大当り図柄を停止図柄としてメモリに記憶させ、ステップS37へ移行する。一方、ステップS32の判定条件が満たされていないと、ステップS34において、リーチ乱数カウンタの値が予め定められたリーチ値と同一であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS35において、リーチ値に対応する図柄(・・・)を停止図柄としてメモリに記憶させ、ステップS37へ移行する。」(段落【0014】)、
「ステップS39ではリーチ種別決定カウンタの値を読取り、その値に基づきリーチ種別(リーチパターン)を決定する。また、キャラクタ種別決定カウンタの値を読取り、その値に基づきキャラクタの種別を決定する。そして、ステップS40において、表示装置13に表示されているキャラクタが、前記ステップS39で決定されたキャラクタと同一でないか否かを判定する。」(段落【0016】)、
「・・・、ステップS41において表示中のキャラクタを、前記のようにして決定されたキャラクタに差替え、図5のルーチンを終了する。この差替えの形態はキャラクタ毎に異なっている。例えば、表示中のキャラクタを辰25に差替える場合には、表示中のキャラクタを消失させると同時に図9(b)に示すように、キャラクタ表示領域Z2の左端部に竜巻31を発生させ、その中から辰25を登場させる。リリー28に差替える場合には、図9(c)に示すように、スポットライト32の当てられたリリー28をキャラクタ表示領域Z2の左端部から登場させる。ドクターX27に差替える場合には、図9(d)に示すように、キャラクタ表示領域Z2の中央部分に開口33を形成し、ここからドクターX27を登場させる。横綱29に差替える場合には、ここでは図示はしないが、中図柄列15の上方から横綱29を降下させ、キャラクタ表示領域Z2の中央部分に登場させる。マイケル26に差替える場合にも図示はしないが、キャラクタ表示領域Z2で爆発とともにマイケル26を登場させる。このように、常に1つ以上のキャラクタが表示され、条件により別のキャラクタに差替えられる。しかも、差替えの際には、各キャラクタが各々対応した登場パターンで登場させられる。」(段落【0017】)、
「・・・図5のルーチンを終了すると図3のステップS50へ移行し、左・右両図柄列14,16における各図柄17を、前記ステップS33,S35,S36で記憶した停止図柄に差替え、差替え後の図柄17で両図柄列14,16の図柄変動を停止させる。」(段落【0019】)、
「・・・、ステップS60でリーチ動作処理を実行する。詳しくは図6のステップS61において、前記ステップS39で決定したリーチパターンが「辰スーパーリーチ」でないか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと、ステップS62で辰スーパーリーチ動作処理を行う。その詳細を図8において実線で示す。」(段落【0020】)、
「・・・、ステップS62Aにおいて、図2(a)に示すように、辰25が手を上げ、その手から複数本のプラズマ34が、両表示領域Z1,Z2において時間の経過とともに放射状に放出される動作を表示させる。このときにはプラズマ34が図柄列14乃至16の表側に重なるが、同プラズマ34の形が刻々と変化しているので、図柄17が判別不能になることはない。」(段落【0021】)、
「・・・、ステップS62Cにおいて、図2(c)に示すように、キャラクタ表示領域Z2の全幅にわたり拡大部35を瞬間的に表示させる。・・・、サングラス38をかけた辰25の顔の一部を劇画調に表示させ、・・・る。特に、拡大部35の表示に際しては、本体部36の位置、拡大部35の高さH、・・・をそれぞれ時間の経過にしたがい変化させる。より詳しくは、まず本体部36が拡大部35の左端部から現れ、時間の経過にしたがい右方へ移動するように表示させる。本体部36が現れたときには、辰25の顔はほんの一部しか表示されない。本体部36が拡大部35の中央部に近づくにしたがい、表示される顔の面積が増大する。・・・、本体部36が拡大部35の中央部分へ移ったときに、サングラス38に光41が当って反射する様子を表示させる。そして、拡大部35の高さHが最大となったら、拡大部35を消失させる。」(段落【0022】)、
「・・・、ステップS62Dにおいて、図2(d)に示すように、辰25が中央のボタン18を勢いよく叩いて中図柄列15の変動を停止させる動作を表示させる。・・・。」(段落【0023】)、
「・・・、ステップS64で辰スペシャルリーチ動作処理を行う。詳しくは、前述した図8のルーチンにおけるステップS62Aの次に、二点鎖線で示すステップS62Bへ移行し、図柄列表示領域Z1の背景46の色を淡色に切替え、図2(b)に示すように、辰25が中図柄列15の後方に龍40を呼出す動作を表示させる。・・・。」(段落【0024】)、
「・・・、ステップS66で横綱スーパーリーチ動作処理を行う。ここでは、横綱29に張手をさせる動作を、中図柄列15での図柄変動に同期させて表示させる。・・・。」(段落【0025】)、
「・・・、ステップS68で横綱スペシャルリーチ動作処理を行う。詳しくは、横綱29に張手をさせる動作を、中図柄列15での図柄変動に同期させて表示させ、その後、図9(e)に示すように、張手により割れた中図柄列15が崩壊する様子と図柄17が変動する動作とを表示させる。・・・。」(段落【0026】)、
「・・・、ステップS70でマイケルスーパーリーチ動作処理を行う。詳しくは、マイケル26、2人の女性43,43、全図柄列14乃至16の周囲の枠42、中図柄列15を次のように表示させる。マイケル26が中央のボタン18の前まで移動し、そこで踊り出す。マイケル26がその場で2,3回まわり、両手を水平方向へ伸し、その状態で上方へ飛んで行く。その後、マイケル26が降下してきてボタン18を踏む。マイケル26の左右に2人の女性43,43が登場する。枠42が太くなり、その枠42にランプが現れる。それにともない中図柄列15の幅Wが狭くなり、その図柄列15中の図柄17が扁平となる。この状態の図柄17が低速で変動する。マイケル26が飛ぶと、中図柄列15の図柄17が高速で変動し、前記幅W及び図柄17の幅が変化する。図柄17の変動は、マイケル26がボタン18を踏むことにより停止する。・・・。」(段落【0027】)、
「・・・、ステップS72でリリースーパーリーチ動作処理を行う。詳しくは、キャラクタ表示領域Z2の左端部に位置するリリー28に投げキッスをさせる。リリー28の唇が点滅しながら中図柄列15の裏側へ移動する様子を表示させる。図柄17が唇の上を通過する際には、その図柄17を縮小表示させる。その後、リリー28が中央のボタン18を押して中図柄列15の変動を停止させる動作を表示させる。・・・。」(段落【0028】)、
「・・・、ステップS74でドクターXスーパーリーチ動作処理を行う。詳しくは、図10(a)に示すように、中図柄列15周囲の枠51を強調する。中図柄列15の背景が黒くなり、稲妻44を走らせながら図柄17が変動する動作を表示させる。ドクターX27が光線銃45を撃ち、漏電させる動作を表示させる。・・・。」(段落【0029】)、
「・・・、ステップS76で全回転リーチ動作処理を行う。詳しくは、図10(b)に示すように、全図柄列14乃至16の図柄17を変動させながら、キャラクタ表示領域Z2に全キャラクタを登場させる。同図柄17が変動状態及び停止状態を繰返し行う様子を表示させる。ここでの変動状態は、通常時と同様に、図柄17の識別困難な第1の速度(高速)で全図柄列14乃至16の各々の図柄17が変動する状態である。停止状態は、図柄17の組合わせを一定に保った状態で、同図柄17の識別容易な第2の速度(低速)で図柄17が変動する状態である。第2の速度での図柄変動に際し保たれる図柄17の組合わせの一部には、大当り遊技状態の発生に関連する特定の図柄17の組合わせ(ここでは、大当り図柄の組合わせ)が用いられている。そして、前述した変動状態と停止状態とが繰返される期間中、全キャラクタがウェーブ動作(整列し、かつかがんだ状態のキャラクタが順に身体を伸しながら腕を上げる動作であり、喜びを表現するためによく使われる動作)を行っている様子を表示させる。・・・。」(段落【0030】)、
「・・・、図3のステップS80において、中図柄列15の図柄変動を停止させ、ステップS90において、・・・判定条件が・・・、満たされていると図4のステップS100で大当り画面を表示させる。・・・。」(段落【0031】)、
「・・・。ステップS120において入賞カウンタCをリセットするとともに、フラグFを「0」に設定する。・・・。」(段落【0032】)、
「・・・、辰スーパーリーチまたは辰スペシャルリーチの期間中、辰25が表示される。変動中の図柄17の妨げとならないように、辰25はキャラクタ表示領域Z2で表示される。・・・、遊技者にとっては、辰25の大まかな動作は判別できても、手先の動き、表情等は見づらく、細かい変化があっても判別しにくい。これに対し、本実施形態では、辰25の顔の一部を拡大してなる拡大部35が、もともとの辰25の画像に代えて、キャラクタ表示領域Z2に表示される。したがって、変動している図柄17を判別不能にすることなく、辰25の動作を従来のものよりもわかりやすくするとともに、辰25の動作の迫力を増大させ、遊技者の興趣を高めることができる。」(段落【0037】)、
「・・・、キャラクタ毎に期待値の異なる複数のリーチアクション(ノーマルリーチ、スーパーリーチ等)を行わせている。遊技機全体のリーチアクションの数が多く、大当り遊技状態の発生に対する期待値を段階的に、しかも多段階で設定することが可能である。あまり見られないリーチアクションが行われれば、遊技者は通常とは異なる現象、つまり大当り遊技状態が発生しやすいかもしれないことを期待する。このように、大当り遊技状態の発生に対する遊技者の期待度が高めることができる。」(段落【0045】)、
「(3)拡大部35を、キャラクタ表示領域Z2とは異なる大きさや形状に変更してもよい。・・・。また、拡大部35の大きさを変化させないようにしてもよい。さらに、拡大部35をキャラクタ表示領域Z2に限らず、図柄列表示領域Z1に表示してもよいし、両表示領域Z1,Z2にまたがって表示してもよい。特に、拡大部35を図柄列表示領域Z1に表示する場合には、その拡大部35を同表示領域Z1の一部に表示してもよいし、全面にわたって表示してもよい。さらに、拡大部35を図柄列表示領域Z1の背景46の表側に表示してもよいし、裏側に表示してもよい。」(段落【0051】)、
「(7)乱数に関するカウンタ(内部乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ等)を適宜変更してもよい。例えば、1つの乱数カウンタを用い、その値に基づき大当り遊技状態の発生を決定したり、外れリーチを決定したりしてもよい。」(段落【0055】)、
「(11)・・・、全回転リーチの実行のタイミングを、左・右図柄列14,16での図柄17の変動が停止した後としたが、このタイミングを適宜変更してもよい。例えば、左・右図柄列14,16での図柄17の変動が停止する前としてもよい。」(段落【0059】)、
「(12)全回転リーチの実行に際し、第1の速度での図柄変動と、第2の速度での図柄変動とを繰返さない構成としてもよい。この場合、図柄17を、第1の速度で変動させた後、第2の速度で変動させる。」(段落【0060】)、
「(13)全回転リーチにおける第2の速度での図柄変動時に、図柄列14乃至16の図柄17をそれぞれ変動させて、他の組合わせに切替えるようにしてもよい。」(段落【0061】)、
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図1等より、遊技盤2には、スロットマシンをイメージした画像等を表示するための特別図柄表示装置13が組込まれていて、その画面13aは、図柄列表示領域Z1と、キャラクタ表示領域Z2とを含み、および図柄列表示領域Z1には、左図柄列14、中図柄列15及び右図柄列16が表示されること、各図柄列14乃至16は、図2(b)に示すように、数字、記号等からなる複数種類の図柄17によって構成されていること、図1に示すように、表示装置13では、各図柄列14乃至16の変動が、開始させられ、全ての図柄列14乃至16の変動が停止させられたとき、大当りの組合わせとなる場合があること等から、パチンコ機1は、「特別図柄表示装置13に図柄17を変動表示すると共にキャラクタを表示して可変表示ゲームを行う」ものと認められ、
また、上記摘記事項および図5より、ステップS39ではリーチ種別決定カウンタの値を読取り、その値に基づきリーチ種別(リーチパターン)を決定することは、可変表示ゲームにおいて、「リーチパターンの何れかを選定す」ると認められ、
また、上記摘記事項および図3等より、カウンタ群に、表示装置13での大当り遊技状態発生を決定するための内部乱数カウンタと、外れリーチ等を決定するためのリーチ乱数カウンタと、各図柄列14乃至16が変動を停止したときに表示される図柄等を決定するためのそれぞれの図柄カウンタと、リーチの種別を決定するためのリーチ種別決定カウンタを備えること、ステップS50へ移行し、左・右両図柄列14,16における各図柄17を、ステップS33,S35,S36で記憶した停止図柄に差替え、差替え後の図柄17で両図柄列14,16の図柄変動を停止させること、ステップS60で辰スーパーリーチなどのリーチ動作処理を実行すること、またS80において、中図柄列15の図柄変動を停止させること等から、「リーチパターンによるリーチアクションを表示後に大当たり図柄又は外れ図柄を確定表示する」ものと認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「特別図柄表示装置13に図柄17を変動表示すると共にキャラクタを表示して可変表示ゲームを行うパチンコ機1であって、
前記図柄17とキャラクタは特別図柄表示装置13に変動に同期させて表示させることができ、
可変表示ゲームに対する複数種類のリーチパターンを備え、
可変表示ゲームにおいて、前記リーチパターンの何れかを選定し、そのリーチパターンによるリーチアクションを表示後に、
大当たり図柄又は外れ図柄を確定表示するパチンコ機1。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「特別図柄表示装置13」、「キャラクタ」、「パチンコ機1」および「複数種類の」は、本願補正発明の「図柄表示器」、「演出用動画」、「遊技機」および「複数の」に相当すると認められる。また、引用例1発明の「変動に同期させて表示させることができ」と、本願補正発明の「巻き戻し表示可能であり」は、「特定の表示条件で表示可能であり」で共通する。したがって、両者は、

「図柄表示器に図柄を変動表示すると共に演出用動画を表示して可変表示ゲームを行う遊技機であって、
前記図柄と演出用動画は図柄表示器に特定の表示条件で表示可能であり、
可変表示ゲームに対する複数のリーチパターンを備え、
可変表示ゲームにおいて、前記リーチパターンの何れかを選定し、そのリーチパターンによるリーチアクションを表示後に、
大当たり図柄又は外れ図柄を確定表示する遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、図柄表示器に図柄と演出用動画を特定の表示条件で表示制御することにおいて、本願補正発明では、「巻き戻し表示可能であり、巻き戻しフラグを備え、その成立に基づいて、図柄と演出用動画を巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻」すものであるのに対して、引用例1発明では「変動に同期させて表示させることができ」るものであり、本願補正発明のような構成になっていない点、

相違点2、図柄表示器に図柄と演出用動画を表示する表示方式において、本願補正発明では、「リーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し、その後、前記巻き戻しフラグの成立に基づいて、(A)図柄と演出用動画を巻き戻した後に、再び、リーチアクションを実施し、リーチアクション終了後に、大当たり図柄又は外れ図柄の何れかを確定表示する場合と、(B)図柄と演出用動画を巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示する場合がある」のに対して、引用例1発明ではそのような表示方式を採用していない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、パチンコ機分野では、ビデオの再生装置の再生や早送り巻き戻しや一時停止をコントロールするのと略同様な指示を与える簡単なプログラムで可変表示ゲームを制御することが可能なように、一つの動画データにより、通常の再生と巻き戻し再生、逆再生等を組み合わせることにより特別図柄の多彩なスクロール表示を行うこと等が周知であり{一例として、特開平7-185088号公報(段落【0030】、【0050】、【0080】、【0094】等)参照}、引用例1発明の図柄表示器に図柄と演出用動画を変動に同期させて表示させることができる表示制御を、前記周知技術を適用して、本願補正発明のように、図柄表示器に図柄と演出用動画を巻き戻し表示可能とすることは、図柄と演出用動画のデータの表示再生条件として格別の発明力を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。そして、巻き戻す表示時期の設定をする場合、一般に、フラグを用いて表示制御を行うことが周知{例えば、特開平9-201458号公報(段落【0115】〜【0120】等)、特開平10-216334号公報(段落【0114】〜【0116】等)参照。}であるから、巻き戻す時期を、巻き戻しフラグを用い、その成立に基づいて巻き戻すようにすることは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。さらに、その際に、巻き戻し中であることが判る旨を表示しながら巻き戻すことも、一般的なビデオの再生装置では例をあげるまでもなく周知であるから、この点も、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、パチンコ装置において、リーチ回数を計るカウンタを設け、表示器の変動速度を遅くするなどの公知の手法により変動表示を行わせた後に、はずれキャラクタを表示し、リーチの出目の後、前記カウンタのカウント値が所定値を超えた場合に、はずれキャラクタを再び駆動して変動表示を行った後、再選択に係るキャラクタを停止表示し、当たりキャラクタまたは、はずれキャラクタを出す場合と、キャラクタを逆回転させて遊戯者に大当たりが確実であることを予感させる表示をする場合があること等が従来周知{一例として、特開平8-38708号公報(段落【0002】、【0017】、【0019】、【0020】、【0023】等)参照。以下、「周知例1」という。}である。そこで、本願補正発明の構成と周知例1とを比較すると、周知例1の「表示器の変動速度を遅くするなどの公知の手法により変動表示を行わせた後に」、「はずれキャラクタを表示し」、「リーチの出目の後」、「はずれキャラクタを再び駆動して変動表示を行った後、再選択に係るキャラクタを停止表示し」および「当たりキャラクタまたは、はずれキャラクタを出す場合」は、本願補正発明の「リーチアクションを表示後に」、「外れ図柄を表示し」、「その後」、「再び、リーチアクションを実施表示し、リーチアクション終了後に」および「大当たり図柄又は外れ図柄の何れかを確定表示する場合」に相当するものと認められ、また、周知例1の「カウンタのカウント値が所定値を超えた場合に」および「キャラクタを逆回転させて遊戯者に大当たりが確実であることを予感させる表示をする場合がある」と、本願補正発明の「巻き戻しフラグの成立に基づいて」および「図柄と演出用動画を巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示する場合がある」は、「表示の再生条件が満たされた場合に」および「遊技者に大当たりの意外性を持たせる演出をする場合がある」で共通する。したがって、両者は、「リーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し、その後、表示の再生条件が満たされた場合に、再び、リーチアクションを実施し、リーチアクション終了後に、大当たり図柄又は外れ図柄の何れかを確定表示する場合と、遊技者に大当たりの意外性を持たせる演出をする場合がある」で一致し、表示の再生条件と再度の表示方式の表示過程が一応相違する。しかし、表示の再生条件において、相違点1で述べたように、パチンコ機分野ではフラグによる図柄と演出用動画の巻き戻しが適宜なし得る程度の設計的事項であり、表示の再生条件を周知例1のカウント値にするか本願補正発明の巻き戻しフラグにするかも、当業者なら容易にできる設計的事項である。そして、その際、再度の表示方式において、2回のリーチアクションを行い、遊技者に表示の興味を持たせるために、周知例1のように、表示の再生条件が満たされた場合に、再び、リーチアクションを表示する構成に代えて、本願補正発明のように、表示の再生条件が満たされた場合に、図柄と演出用動画を巻き戻し表示し、再び、リーチアクションを表示する構成とすることは、本願補正発明が巻き戻し表示過程を組み合わせているものの、相違点1で述べたように通常の再生と巻き戻し再生、逆再生等を組み合わせることにより特別図柄の多彩なスクロール表示を行うことができることが周知であるから、このような周知技術を採用することによって、当業者が容易に推考できるものであり、格別の創意工夫を要したとはいえない。さらに、本願補正発明が遊技者に大当たりの意外性を持たせる演出をする場合があるとして、図柄と演出用動画を巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示するようにしているが、一般に、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態にするための所定条件が成立したことを可変表示装置の表示結果で表示することなく遊技状態を特定遊技状態にすることが可能であるような、遊技者にしてみれば、予期せずに突然特定遊技状態が発生し、遊技者の遊技に対する意外性を向上させて興趣に富んだ遊技を行うことや、当たりへの期待感を増大させるために3つの絵柄表示部の中表示部を逆方向に20°戻って回転し当たりとすることが周知{例えば、特開平9-122311号公報(段落【0053】、【0059】、【0063】等)、特開平10-337361号公報(段落【0034】〜【0036】等)参照。}であり、また、周知例1のように、キャラクタを逆回転させて遊戯者に大当たりが確実であることを予感させる表示をすること等から、遊技者に大当たりの意外性を持たせる演出として、本願補正発明のように大当たりとなる可能性を楽しみながら可変表示ゲームを行うために、図柄と演出用動画を巻き戻し中に、大当たり図柄だけを確定表示する構成とした点に格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年7月31日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年10月4日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「図柄表示器に図柄を変動表示すると共に演出用動画を表示して可変表示ゲームを行う遊技機であって、
前記図柄と演出用動画は巻き戻し表示可能であり、
可変表示ゲームにおいて、リーチアクションを表示後に外れ図柄を表示し、
その後、
図柄と演出用動画を巻き戻し表示し、再び、リーチアクションを表示後に、大当たり図柄を確定表示する場合と、
図柄と演出用動画を巻き戻し表示中に大当たり図柄を確定表示する場合があることを特徴とする遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-21 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-17 
出願番号 特願平11-187622
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗小林 英司  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 篠崎 正
林 晴男
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  
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