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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1144626
審判番号 不服2004-22640  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-08-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-04 
確定日 2006-10-06 
事件の表示 特願2001- 17914「マニキュアボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月14日出願公開、特開2002-225838〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成13年1月26日に特願2001-17914号として特許出願したものであって、平成16年9月28日付けで拒絶査定がなされ、平成16年11月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年11月4日付け手続補正書により明細書の補正手続きがなされたものである。

2.平成16年11月4日付け手続補正についての補正却下決定
2-1.補正却下の決定の結論
平成16年11月4日付け手続補正を却下する。
2-2.理由
2-2-1.補正事項
本件補正は、平成15年2月14日付け手続補正書により補正された請求項1である下記の事項

A.「ボトル本体を、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂でブロー成形されたマニキュアボトルであって、前記ボトル本体を、内容量約10mlで底部コーナー部肉厚0.5mm以上のボトルとしたことを特徴とするマニキュアボトル。」

を以下のように補正する補正を含んでいる。

B.「以下の構成を備えたことを特徴とするマニキュアボトル。
(a) ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂でブロー成形されたボトル本体を有すること。
(b) ポリエチレンテレフタレートを主成分とする前記ボトル本体が、内容量約10mlでありかつ底部コーナー部肉厚0.5mm〜1.5mmに成形されていること。」

2-2-2.補正の当否について
上記補正は、マニキュアボトルにおいて、その主成分を当初は「ポリエチレンナフタレート」のみとしていたものを、主成分を「ポリエチレンテレフタレート」とする事項を追加したものである。しかし、上記補正の結果「ポリエチレンテレフタレート」と「ポリエチレンナフタレート」がともに主成分であるというのは、「主成分」の定義からして矛盾を生じる。
したがって上記補正は、もっぱら請求項1の記載を不明確なものとするものであって、特許法第17条の2第4項1第1-4号のいずれの規定に該当するものではない。したがって、前記補正を却下する。
なお、「ポリエチレンテレフタレート」を主成分とするという技術事項は、出願当初の明細書又は図面において明記ないし示唆されているとは認められない。

3.本願発明
平成16年11月4日付け手続補正書は補正却下されたので、本願請求項1に係る発明は、2-2-1にて平成15年2月14日付け手続補正書により補正された請求項1として示した上記Aと認められる。
なお、平成16年2月23日付け手続補正書は、本件拒絶査定時に補正却下されている。

4.引用文献の記載事項
原査定時に引用文献1として示した刊行物である特開平8-3295号公報には、下記の事項が記載されている。

ア.【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高溶解性溶媒を含む液体の包装容器に関するものである。更に詳しくはマニキュア、ネ-ルカラ-、ヘア・リキッド等の化粧用の包装容器に関するものである。

イ.【0008】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたもので、1)落下衝撃に強く、割れにくい、2)耐内圧性に優れる、3)耐薬品性に優れる、4)透明である、包装容器を提供することを目的とする。

ウ.【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、ポリエチレン-2、6-ナフタレ-ト(以下、PENと略す)を適用し、極限粘度を規定することにより目的を達成した。

エ.【0020】
包装用容器(中空容器)はポリエステル樹脂を原料とし、各種一般の成形法により製造される。具体的には、射出ブロ-法、押し出しブロ-法、延伸ブロ-法等が挙げられる。また、射出成形により予備成形体であるプリフォ-ムを製造した後、加熱(延伸)ブロ-成形して容器を得る方法、押し出し成形によりパイプ状の中間素材を形成した後、先端部を溶着して容器底部とし、次いで上部を押圧変形させ口部とし、これを延伸ブロ-する方法などでも製造することができる。

オ.【0025】
(垂直落下テスト)
水を容器一杯に充填し、密閉する。次いで、1.5mの高さからコンクリ-トの床に落下させ、破壊しなかったサンプル数を数えた。

カ.【0044】
実施例8、9は若干劣るものの、実施例1〜9いずれも耐衝撃性は優れていた。
また表1には、実施例1-9として「ポリエチレン2,6-ナフタレート」からなる容器の垂直落下テストにおいてn=30本とした場合のデータとして0,5及び6なる数字が記載されている。上記記載事項オ、カから見て、この数字は、垂直落下テストにおいて破壊したサンプル数を示していると考えられる。上記引用文献1には、下記の事項が記載されていると認められる。

「容器本体を、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂でブロー成形されたマニキュア容器。」

また、原査定時に引用文献2として示した刊行物である特開平11-240548号公報には、下記の事項が記載されている。

キ.【請求項18】 容器の容量は、100mlと等しいかそれよりも少なく、好ましくは25mlと等しいかそれよりも少なく、最も好ましくは10mlと等しいかそれよりも少ないことを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項に記載の容器。

ク.【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部に開口を有する容器に関し、限定する意図ではないが特に、軸の一端に封止キャップを構成するハンドル部材を有すると共に他端にはアプリケータエレメントを有するようなアプリケータを備えた容器に関する。そのような容器は、例えば、マニキュアのような液体を納めるのに用いられる。
してみると、引用文献2には、下記の事項が記載されていると認められる。

「容器本体を、内容量10mlとしたことを特徴とするマニキュア容器。」

5.対比・判断
本願請求項1に係る発明と、上記引用文献2に記載された発明を対比すると、前者の「ボトル」が後者の「容器」に相当することから、両者は下記の点で一致し、
「ボトル本体を、ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂でブロー成形されたマニキュアボトル。」

下記の点で相違すると認められる。

(1)本願請求項1に係る発明のマニキュアボトルが内容量約10mlであるのに対して、引用文献1に記載された発明では内容量について一切記載がない点。

(2)本願請求項1に係る発明のマニキュアボトルが、底部コーナー部肉厚0.5mm以上のボトルとしているのに対して、引用文献1に記載された発明がその厚みについて一切記載がない点。

上記相違点(1)について検討する。引用文献2記載事項キには、マニキュアボトルにおいて内容量を10mlとする点が記載されており、引用文献1に記載された発明におけるマニキュア容器において、その内容量を引用文献2に記載された記載事項キを適用することにより上記相違点(1)であげた本願請求項1に係る発明のように構成することは、当業者が適宜なしえたこと認められる。
次に、相違点(2)について検討する。底部コーナーを含む容器各部の厚みは、引用文献1に記載された容器を実際に製作する際に、当然にその寸法を定めるものであり、容器を設計する際に衝撃強度について考慮することは上記記載事項イ,オ,カから見て当業者にとって自明の事項と認められる。なお、材料の厚みが衝撃強度に密接に関連することは工学上の常識と認められる。したがって、引用文献1に記載された発明において、上記相違点(2)であげたように構成することは、単なる設計的事項に過ぎない。

6.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-27 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-16 
出願番号 特願2001-17914(P2001-17914)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 嘉章  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 宮崎 敏長
石田 宏之
発明の名称 マニキュアボトル  
代理人 森 泰比古  

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