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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1145406 |
審判番号 | 不服2002-12573 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-05 |
確定日 | 2006-10-11 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 87447号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月16日出願公開、特開平11-313945〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1. 手続きの経緯、本願発明 本願は、平成9年7月28日に出願した特願平9-218182号の一部を平成11年3月30日に新たな特許出願としたものであって、平成11年3月30日付で手続補正がなされ、平成14年2月28日付で拒絶理由が通知され、平成14年5月10日付で手続補正がなされ、平成14年6月12日付で拒絶査定がなされ、平成14年7月5日付で拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成14年5月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「 複数図柄を変動表示可能な図柄表示部を有し、 図柄変動ゲームにおいて、図柄表示部に表示の図柄が変動後に、予め決められた図柄が確定表示されると、遊技者にとって有利となる特別遊技状態が生起する遊技機であって、 前記図柄変動ゲームにおける図柄表示部の図柄が変動を開始してから確定図柄を表示するまでの経過時間を表示して遊技者に報知可能な計時表示部を設けることを特徴とする遊技機。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-51451号公報(以下「引用例」という)には、図面とともに以下の記載がある。 (記載事項a) 「図柄表示装置が表示する図柄が所定の図柄となったときに特別装置を開放し、該特別装置に設けた特別装置作動領域を打球が通過することにより特定条件が成立して権利発生状態にあるときに、打球が権利始動口に入球して権利始動スイッチが作動し、この権利始動スイッチの作動に基づいて、大入賞口を遊技者に不利な第1状態から遊技者に有利な第2状態に変換することのできるパチンコ機において、 図柄表示装置は、図柄始動口に対する入球により図柄の変動表示を開始し、変動タイマの設定時間に基づいて図柄の変動表示を終了し、 権利発生中は、図柄表示装置の図柄の変動表示が終了しないように上記変動タイマを設定することを特徴とするパチンコ機。」(特許請求の範囲) (記載事項b) 「本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載した発明は、図柄表示装置が表示する図柄が所定の図柄となったときに特別装置を開放し、該特別装置に設けた特別装置作動領域を打球が通過することにより特定条件が成立して権利発生状態にあるときに、打球が権利始動口に入球して権利始動スイッチが作動し、この権利始動スイッチの作動に基づいて、大入賞口を遊技者に不利な第1状態から遊技者に有利な第2状態に変換することのできるパチンコ機において、図柄表示装置は、図柄始動口に対する入球により図柄の変動表示を開始し、変動タイマの設定時間に基づいて図柄の変動表示を終了し、権利発生中は、図柄表示装置の図柄の変動表示が終了しないように上記変動タイマを設定した。また、請求項2に記載した発明は、権利発生中は図柄表示装置の図柄の変動表示を休止させて、権利消滅後に図柄の変動表示を開始するようにしたものである。」(段落【0004】) (記載事項c) 「 センター役物4には、普通図柄表示装置18と、図柄始動口19(図柄作動ゲート)を設ける。図示の実施例では、普通図柄表示装置18を複数の発光ダイオード(LED)で構成してあるが、液晶表示器や所謂デジタル表示器等、他の表示手段で構成してもよい。また、この普通図柄表示装置18は、図示の実施例では継続回数表示灯を兼ねるようになっている。 一方、図柄始動口19は、図示の実施例によれば、人形を模した回転振分部材20に開設した通孔により構成してある。即ち、回転振分部材20の基板に複数の通孔を開設し、この内の一つ又はいくつかを当たりの通孔に設定し、この当たりの通孔に入球した球は、図柄始動スイッチ21に作用するように構成してある。尚、上記したセンター役物4は、左側のみが開放した入賞口4aに入球した打球が上記回転振分部材20上に落下するようになっている。 普通電動役物9は、打球の入球が困難な第1状態と打球の入球が容易な第2状態に変換可能である。この普通電動役物9には、後述する特別装置を作動させるための特別装置作動領域を形成して特別装置スイッチが臨ませてある。即ち、特別装置が作動すると権利状態が発生し、このための特別装置作動領域は特定入賞口8によって構成してある。 上記特別装置の特別装置スイッチ22は、権利状態を発生及び消滅させる権利スイッチとして機能する。尚、図示の実施例における特別装置である普通電動役物9は、第2状態のときに球を1個保留可能であり、第1状態に復帰する際に、保留した球が特別装置作動領域である特定入賞口8へ流入するように設定してある。 そして、上記特別装置は、普通図柄表示装置18が表示する図柄が予め定めた当たり図柄の場合に第2状態に変換し、この第2状態を所定時間経過するか又は所定個数の打球が入球すると、第1状態に復帰する。」(段落【0010】〜【0014】) (記載事項d) 「 普通図柄・普通電動役物制御処理は、センター役物4に設けた図柄始動口19を球が通過すると図柄始動スイッチ21がオンする。このオンした打球数を最大4個まで記憶し、この記憶に基づいて普通図柄表示装置18の変換表示を開始し、停止した表示図柄に基づいて普通電動役物9を制御する。 図4に示すフローチャートによれば、遊技者が発射した打球が図柄始動口19へ入球すると、図柄始動スイッチ21のオンを判別すると共に、図柄始動記憶が4未満なら図柄始動記憶に1加算処理する。普通電動役物9が作動中(開放中)か否かを判別し、作動時間を規制する作動タイマがタイムアップ(5秒)したかを判別し、タイムアップしたら普通電動役物9の作動を停止する。 普通図柄変動装置の図柄の変動時間はタイマによって設定されるが、この実施例では設定時間の異る2種類のタイマを設定している。第1の図柄変動用タイマ(以下、単に変動タイマAという)による図柄変動中ならば、当該タイマAのタイムアップを判別し、タイマアップしたら図柄乱数により停止図柄を決定し、この決定した図柄を普通図柄表示装置18に停止表示する。 停止した図柄を判定して、当たり図柄ならば普通電動役物9の作動を開始する。即ち普通電動役物9を開放すると共に、普通電動役物作動タイマをスタートする。」(段落【0018】〜【0021】) (記載事項e) 「 そして、権利発生中でないならば、図柄始動記憶の有無を判別し、図柄始動記憶があれば、記憶を1減算して普通図柄表示装置18の変動表示を開始し、変動タイマA(例えば5秒)をスタートさせる。一方、権利発生中ならば、次の特別装置作動制御処理へ移る。」(段落【0023】) (記載事項f) 「 上記のようなパチンコ機によれば、権利発生中に図柄始動口19へ入球して図柄始動スイッチ21がオンしても、この入球を4個迄記憶可能である。そして、この記憶に基づいて普通図柄表示装置18における普通図柄の表示を開始する」(段落【0036】) (記載事項g) 「また、変動タイマの時間を遊技盤上に可視表示するようにすれば、遊技者は残り時間を検討しながら作戦を立てることができ、より一層興趣に富んだ遊技が可能になる。」(段落【0039】) これらの記載、及び、図面、並びに、 (ア)「図柄始動口19を球が通過すると図柄始動スイッチ21がオンする。このオンした打球数を最大4個まで記憶し、この記憶に基づいて普通図柄表示装置18の変換表示を開始し、停止した表示図柄に基づいて普通電動役物9を制御する。」(記載事項d)という記載から、普通図柄表示装置18は、普通図柄を「変動表示可能」であることが明らかなこと、 (イ)前記(ア)及び「停止した図柄を判定して、当たり図柄ならば普通電動役物9の作動を開始する。即ち普通電動役物9を開放する」(記載事項d)という記載から、普通図柄表示装置18に表示する図柄が「変動後」に、予め定めた当たり図柄が停止表示されると、打球の入球が容易な第2状態が「生起する」ことが明らかなこと、 (ウ)「変動タイマの時間を遊技盤上に可視表示するようにすれば、遊技者は残り時間を検討しながら作戦を立てることができ、より一層興趣に富んだ遊技が可能になる。」(記載事項g)という記載、「普通図柄表示装置18の変動表示を開始し、変動タイマA(例えば5秒)をスタートさせる。」(記載事項e)という記載、「第1の図柄変動用タイマ(以下、単に変動タイマAという)による図柄変動中ならば、当該タイマAのタイムアップを判別し、タイマアップしたら図柄乱数により停止図柄を決定し、この決定した図柄を普通図柄表示装置18に停止表示する。」(記載事項d)という記載から、パチンコ機には、普通図柄が変動表示を開始してから停止図柄を停止表示するまでの「経過時間」を可視表示して遊技者に「報知可能」な「計時表示部」が設けられていることが明らかなこと、 を勘案すれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示装置18を有し、 普通図柄表示装置18に表示する図柄が変動後に、予め定めた当たり図柄が停止表示されると、普通電動役物9における打球の入球が容易な第2状態が生起するパチンコ機であって、 普通図柄表示装置18の普通図柄が変動表示を開始してから停止図柄を停止表示するまでの経過時間を可視表示して遊技者に報知可能な計時表示部を設けるパチンコ機。」 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明のa「普通図柄表示装置18」、b「表示する図柄」、c「予め定めた当たり図柄」、d「停止表示」、e「パチンコ機」、f「普通図柄」、g「変動表示」、h「停止図柄」、i「可視表示」は、それぞれ、本願発明のa「図柄表示部」、b「表示の図柄」、c「予め決められた図柄」、d「確定表示」又は「表示」、e「遊技機」、f「図柄」、g「変動」、h「確定図柄」、i「表示」に相当する。 また、引用発明のj「普通図柄」、k「普通電動役物9における打球の入球が容易な第2状態」と、本願発明のj「複数図柄」、k「遊技者にとって有利となる特別遊技状態」とは、それぞれ、j「図柄」、k「遊技者にとって有利となる状態」という点で共通している。 よって、両者は、 「 図柄を変動表示可能な図柄表示部を有し、 図柄表示部に表示の図柄が変動後に、予め決められた図柄が確定表示されると、遊技者にとって有利となる状態が生起する遊技機であって、 図柄表示部の図柄が変動を開始してから確定図柄を表示するまでの経過時間を表示して遊技者に報知可能な計時表示部を設ける遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 本願発明は、図柄表示部が変動表示可能な図柄が複数図柄であって、予め決められた図柄が確定表示されると生起する遊技者にとって有利となる状態が、図柄変動ゲームにおける遊技者にとって有利となる特別遊技状態であるのに対して、引用発明は、図柄表示部が変動表示可能な図柄が複数図柄ではなく、予め決められた図柄が確定表示されると生起する遊技者にとって有利となる状態が普通電動役物9における打球の入球が容易な第2状態である点。 4.判断 上記各相違点について検討する。 図柄表示部が変動表示可能な図柄が複数図柄であって、予め決められた図柄が確定表示されると生起する遊技者にとって有利となる状態が、図柄変動ゲームにおける遊技者にとって有利となる特別遊技状態である遊技機は周知技術(例えば、特開平9-135947号公報(特に、段落【0002】を参照。)、特開平8-224339号公報(特に、段落【0021】〜【0029】を参照。)、特開平6-134109号公報(特に、段落【0015】、【0019】、【0020】を参照。)を参照。)であるから、引用発明において、図柄表示部が変動表示可能な図柄を前記周知技術の如く複数図柄とし、予め決められた図柄が確定表示されると生起する遊技者にとって有利となる状態を前記周知技術の如く図柄変動ゲームにおける遊技者にとって有利となる特別遊技状態として相違点に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。 5.本願発明の作用効果について 本願発明の奏する効果は、引用発明に前記周知技術を適用したものから当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものではない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-03 |
結審通知日 | 2006-08-08 |
審決日 | 2006-08-21 |
出願番号 | 特願平11-87447 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塩崎 進 |
特許庁審判長 |
三原 裕三 |
特許庁審判官 |
林 晴男 篠崎 正 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 犬飼 達彦 |