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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1145519
審判番号 不服2002-17143  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-05-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2006-10-20 
事件の表示 平成 5年特許願第289910号「パチンコ機の保護回路」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 5月 9日出願公開、特開平 7-116304〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願の手続の経緯
本願は平成5年10月26日の出願であって、平成14年4月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成14年6月7日付けで手続補正され、平成14年7月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成14年9月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、10月1日付けで手続補正がなされたものである。

【2】補正後の本願発明
平成14年10月1日付けの手続補正により、補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(全請求項数は3)(以下、この発明を「本願発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】パチンコ機に交流の電力を供給する電力供給源およびパチンコ機間に介装され、前記電力が供給される供給状態と該電力供給が停止される供給停止状態とのいずれかをとる供給・停止回路と、前記パチンコ機への供給電力の電圧値が予め定められた許容範囲から外れていない場合に前記供給・停止回路を前記供給状態に制御し、前記許容範囲から外れている場合及び前記電力が供給されていない場合には前記供給・停止回路を前記供給停止状態に制御する開閉回路と、前記電力供給源および接地間に介装され前記供給状態にある場合に前記供給・停止回路によって供給される電力が包含する静電ノイズを吸収し、該静電ノイズを接地に誘導するアブソーバ回路とからなることを特徴とするパチンコ機の保護回路。」

【3】引用例に記載の発明
1.原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された実願平3-106895号(実開平5-53684号)のCD-ROM(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。
(ア)「【産業上の利用分野】本考案は、パチンコ機のプラグと屋内配線のコンセントとに介挿されるアダプタに関する。」(段落【0001】)
(イ)「【実施例】 図1及び図3はこの考案に係るアダプタの一実施例を示し、図1は電気回路図、図3は使用状態を示す外観斜視図である。以下、これらの図面に基づき詳細に説明する。アダプタ10は、電源のコンセント12に差し込まれる刃14a、14bを有するアダプタプラグ14と、パチンコ機90のプラグ16を差し込ませる刃受け18a、18bを有するジャック18と、ジャック18とアダプタプラグ14との間に電気的に接続されるとともにアダプタプラグ14に印加された交流電圧が略24Vの場合にジャック18へその交流電圧を印加する継電部20とを備えたものである。アダプタ10を技術的に限定して示せば、アダプタプラグ14の刃14a、14bの間に電気的に接続されるとともにアダプタプラグ14に印加された交流電圧が略100Vのときに動作する継電器22から継電部20が構成され、アダプタプラグ14の刃14a、14bの間に継電器22の動作により開く接点22bを介してジャック18が電気的に接続されたものである。継電器22は、交流100V用の電磁リレーであり、交流24Vでは動作しないものを使用している。接点22bはブレーク接点である。」(段落【0008】)
(ウ)「また、アダプタプラグ14の刃14a、14bの間に電気的に接続されるとともにアダプタプラグ14に印加された交流電圧が略100Vの場合に動作する高電圧報知部としてのネオン管30と、アダプタプラグ14の刃14a、14bの間に電気的に接続されるとともにアダプタプラグ14に印加された交流電圧が略24Vのときに動作する正常電圧報知部としての発光ダイオード32と、ジャック18の刃受け18a、18bに電気的に接続されるとともにジャック18に過電圧が印加されると動作する過電圧保護素子としてのバリスタ34とを付設してもよい。ネオン管30は、100V用を使用しており、放電開始電圧が80〜90Vである。発光ダイオード32には、電流制限用の抵抗器36と逆方向電圧保護用の整流ダイオード38とが直列に接続されている。バリスタ34は、交流24Vの最大値が約34Vであるから、34V以上で動作するものを使用している。」(段落【0009】)
(エ)「次に、図1、図3及び図4に基づきアダプタ10の作用を説明する。島台92に設置されたパチンコ機90の前枠44を開けて、アダプタプラグ14を電源のコンセント12に差し込む。その電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままである。したがって、交流24Vがジャック18及び発光ダイオード32へ印加され、発光ダイオード32が点灯して正常電圧であることを表示する。そして、ジャック18へパチンコ機90のプラグ16を差し込むとパチンコ機90が動作する。また、電源が交流100Vの場合は、ネオン管30が点灯して高電圧であることを表示するとともに、継電器22が動作して接点22bが開く。したがって、交流100Vはジャック18へ印加されない。そして、ジャック18へパチンコ機90のプラグ16を差し込んでも、パチンコ機90には交流100Vが印加されない。また、発光ダイオード32及びジャック18は、アダプタプラグ14に交流100Vが印加されてから接点22bが開くまでの間に交流24V以上の電圧が印加されても、バリスタ34が動作することにより一定電圧以上にはならない。 」(段落【0010】)
(オ)「 図2はこの考案に係るアダプタの他の実施例を示す電気回路図である。以下、この図面に基づき詳細に説明する。但し、図1と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。アダプタ50は、アダプタプラグ10の刃14a、14bの間に接点22bを介して電気的に接続されるとともにアダプタプラグ10に印加された交流電圧が略24Vのときに動作する継電器52が備えられ、継電器52の動作により閉じる接点52aが接点22bとジャック18との間に挿入されている。接点52aはメーク接点である。継電器52は、継電器22よりも遅く動作するもの、例えばタイムラグリレーを使用している。」(段落【0011】)
(カ)「次に、アダプタ50の作用を説明する。アダプタプラグ14を電源のコンセント12に差し込む。その電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままである。したがって、交流24Vが継電器52へ印加され接点52aが閉じる。すると、交流24Vがジャック18及び発光ダイオード32へ印加され、発光ダイオード32が点灯して正常電圧であることを表示する。また、電源が交流100Vの場合は、ネオン管30が点灯して高電圧であることを表示するとともに、継電器22が先に動作して接点22bが開くことにより交流100Vは継電器52へ印加されない。したがって、接点52aが開いたままであり、交流100Vはジャック18へ印加されない。アダプタ50によれば、アダプタプラグ14に交流100Vが印加されてから接点22bが開くまでの間に交流24V以上の電圧が印加されても、接点52aが開いたままであるのでジャック18へは何も印加されないという利点がある。」(段落【0012】)
(キ)「これらの実施例では、継電器22として電磁リレーを示したが、封入接点リレー、ソリッドステートリレー等であってもよい。また、継電部20を複数個の継電器で構成してもよい。さらに、高電圧報知部又は正常電圧報知部は、ネオン管30又は発光ダイオード32に限定されるものではなく、タングステンランプ、EL素子、ブザー、スピーカ、アクチュエータ等であってもよい。さらにまた、過電圧保護素子は、バリスタ34に限定されるものではなく、ガス入り放電管、ツェナーダイオード、双方向性二端子サイリスタ等であってもよい。」(段落【0013】)

以上の(ア)乃至(キ)の記載事項及び図面から、「引用例」には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明>
「アダプタ50は、電源のコンセント12に差し込まれるアダプタプラグ14と、パチンコ機90のプラグ16を差し込ませるジャック18と、ジャック18とアダプタプラグ14との間に電気的に接続される継電器22と接点22b、継電器52と接点52aを備え、電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままで、交流24Vが継電器52へ印加され接点52aが閉じ交流24Vがジャック18へ印加され、電源が交流100Vの場合は、継電器22が先に動作して接点22bが開くことにより交流100Vは継電器52へ印加されず、接点52aが開いたままであり、交流100Vはジャック18へ印加されないアダプタ50。」

【4】対比
1.本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「パチンコ機90」が本願発明の「パチンコ機」に相当し、以下同様に、「電源」が「電力供給源」に相当しており、引用発明の「電源」は、本願発明と同様に「パチンコ機に交流の電力を供給する」ことは明らかである。
また、引用例の上記記載事項(オ)「・・アダプタ50は、アダプタプラグ10の刃14a、14bの間に接点22bを介して電気的に接続されるとともにアダプタプラグ10に印加された交流電圧が略24Vのときに動作する継電器52が備えられ、継電器52の動作により閉じる接点52aが接点22bとジャック18との間に挿入されている。接点52aはメーク接点である。継電器52は、継電器22よりも遅く動作するもの、例えばタイムラグリレーを使用している。」、同じく記載事項(カ)「・・電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままである。したがって、交流24Vが継電器52へ印加され接点52aが閉じる。・・また、電源が交流100Vの場合は、・・継電器22が先に動作して接点22bが開くことにより交流100Vは継電器52へ印加されない。したがって、接点52aが開いたままであり、交流100Vはジャック18へ印加されない。」なる記載に基づけば、継電器52及び接点52aにより、電力がパチンコ機に印加(供給)される供給状態と、電力が印加されない(停止される)供給停止状態のいずれかをとることから、引用発明の継電気52及び接点52aは、本願発明と同様に「電力が供給される供給状態と該電力供給が停止される供給停止状態のいずれかをとる供給・停止回路」を構成するものといえる。
そして、引用例の上記記載事項(エ)「電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままである。・・また、電源が交流100Vの場合は、・・継電器22が動作して接点22bが開く。したがって、交流100Vはジャック18へ印加されない。・・また、・・ジャック18は、アダプタプラグ14に交流100Vが印加されてから接点22bが開くまでの間に交流24V以上の電圧が印加されても、バリスタ34が動作することにより一定電圧以上にはならない。」、同じく記載事項(カ)「電源が交流24Vの場合は、継電器22が動作せず接点22bが閉じたままである。したがって、交流24Vが継電器52へ印加され接点52aが閉じる。・・電源が交流100Vの場合は、・・継電器22が先に動作して接点22bが開くことにより交流100Vは継電器52へ印加されない。したがって、接点52aが開いたままであり、交流100Vはジャック18へ印加されない。・・アダプタプラグ14に交流100Vが印加されてから接点22bが開くまでの間に交流24V以上の電圧が印加されても、接点52aが開いたままであるのでジャック18へは何も印加されないという利点がある。」なる記載に基づけば、継電器22及び接点22bにより、電源(電力供給源)の電圧が100V以内(予め定められた許容範囲から外れていない)場合に、継電器52及び接点52a(供給停止回路)に電源から供給電力を供給し接点52aが閉じて供給状態に制御し、電圧が100V(許容範囲から外れる)場合には継電器52及び接点52a(供給停止回路)に電源からの供給電力を供給せず接点52aは開いたままの供給停止状態に制御し、及び継電器52及び接点52a(供給停止回路)に電源から供給電力が供給されていない場合には、接点52aは開いたままの供給停止状態にあることから、引用発明の継電器22及び接点22bは、本願発明と同様に「パチンコ機への供給電力の電圧値が予め定められた許容範囲から外れていない場合に供給・停止回路を供給状態に制御し、許容範囲から外れている場合及び電力が供給されていない場合には供給・停止回路を供給停止状態に制御する開閉回路」を構成するものであり、引用発明の 継電器52及び接点52a(供給停止回路)及び継電器22及び接点22b(開閉回路)は、本願発明と同様に「パチンコ機の保護回路」を構成し、且つ、これらが「電力供給源およびパチンコ機間に介装され」ていることも上記記載事項(ア)、(イ)、(オ)から明らかなことである。

してみると、引用発明と本願発明とは

「パチンコ機に交流の電力を供給する電力供給源およびパチンコ機間に介装され、前記電力が供給される供給状態と該電力供給が停止される供給停止状態とのいずれかをとる供給・停止回路と、前記パチンコ機への供給電力の電圧値が予め定められた許容範囲から外れていない場合に前記供給・停止回路を前記供給状態に制御し、前記許容範囲から外れている場合及び前記電力が供給されていない場合には前記供給・停止回路を前記供給停止状態に制御する開閉回路とからなるパチンコ機の保護回路。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
保護回路に、本願発明は電力供給源および接地間に介装され、供給される電力が包含する静電ノイズを吸収するアブソーバ回路を備えるのに対し、引用発明は、上記アブソーバ回路を備えていない点。

2.相違点についての検討
<相違点について>
本願発明において、電力供給源および接地間に介装され、供給される電力が包含する静電ノイズを吸収するアブソーバ回路を設ける目的は、保護回路に供給された電力に静電ノイズが包含される場合でも、その静電ノイズをコンデンサ6,6によって吸収することにある。(段落【0040】参照)
ところで、電源回路において、供給される電源のノイズを防ぐためにコンデンサを電源供給源および接地間に介装する点は、従来周知の技術(例えば、特開平5-198444号公報、段落【0007】、【図5】、特開平5-199737号公報、段落【0012】、【図1】参照)であり、これら電気・電子機器の電源線に自然現象或いは機器から発生する各種の電気的ノイズを、コンデンサを用いて除去することは、電源回路に広く採用されている技術常識(例えば、実願昭59-118403号(実開昭61-35426号)のマイクロフィルム(第2頁第1行〜第3頁第8行)参照)というべきである。
そして、引用発明と上記周知技術は、共に電源回路で電力を安定して供給する技術において共通するものであり、周知技術を付加・転用することに格別困難性はないから、引用発明の保護回路に、供給される電源のノイズを防ぐためにコンデンサを電源供給源および接地間に介装した上記周知技術を適用し、本願発明に係る相違点を構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

3.作用効果・判断
そして、本願発明における作用効果は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が当然予測できるものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

【5】むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-08 
結審通知日 2006-08-09 
審決日 2006-09-08 
出願番号 特願平5-289910
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 英司  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 辻野 安人
塩崎 進
発明の名称 パチンコ機の保護回路  
代理人 萼 経夫  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 小野塚 薫  
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