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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1145722
審判番号 不服2002-11324  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-20 
確定日 2006-10-19 
事件の表示 平成11年特許願第 76973号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月 3日出願公開、特開2000-271282〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月19日の出願であって、平成14年5月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月22日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年7月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について

[補正却下の決定の結論]
平成14年7月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
遊技者が操作しやすい位置に設けた操作スイッチと、
前記第1図柄表示部に確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、前記操作スイッチの操作に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「(遊技者が操作)する操作部」について「(遊技者が操作)しやすい位置に設けた操作スイッチ」と限定するとともに「前記操作部(の操作に基づいて)」について「前記操作スイッチ(の操作に基づいて)」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用発明
原査定の拒絶の理由の理由1に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平9-239111号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載がある。
a.「特定条件の成立により予め定めた所定の遊技価値を付与する特定遊技状態を発生し得る弾球遊技機において・・・」(第2頁第1欄第2-4行)
b.「遊技領域3のほぼ中央には、左・中・右の各特別図柄表示部33a〜33cで識別情報(以下、特別図柄という)の可変表示(以下、変動ともいう)を可能にする特別可変表示装置30が配置されている。」(第3頁第3欄第26-30行)
c.「打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると、特別可変表示装置30が変動を開始し、一定時間が経過すると、例えば左・右・中の順で特別図柄が確定され、その確定された図柄の組み合せが所定の大当り組合せ(同一図形のゾロ目)となったときに特定遊技状態となる。・・・特定遊技状態の終了によって所定条件を成立させて、所定期間での確率変動(大当り判定確率を通常時と異なる確率に変更した特別遊技状態)を発生するようになっている」(第3頁第4欄第14-33行)
d.「ダブルアップゲームの実行を遊技者が選択する場合には、ダブルアップ選択確認表示中(10秒以内)に遊技盤1の通過玉検出器19に打玉を通過させる必要がある旨を報知するようになっている。そして、ダブルアップ選択確認表示の時間内で通過玉検出器19の通過玉検出があると、ダブルアップ確認表示に換えてダブルアップ判定表示を8秒間行う。このダブルアップ判定用の表示画像は、図11(B)に示すように、画像表示部60内でスロットマシン65を操作するキャラクター66と「ダブルアップ挑戦」の文字67とを表示する画像であり、スロットマシン65には、「当り」図柄及び「スカ」図柄からなる図柄列を可変表示する判定表示部65aが設けられている。このダブルアップ判定表示では、キャラクター66の操作によりスロットマシン65の判定表示部65aを変動させ、その判定表示部65aの表示結果によってダブルアップゲームの当り外れを決定する。」(第6頁第9欄第24-40行)
e.「特定遊技状態の終了後は、特別遊技状態として確変制御が行われるものである。」(第6頁第10欄第12-13行)
f.「本実施形態では、本発明のサブゲーム決定手段として比較的打玉が流下し易い通過玉検出器19を兼用した構成となっている。このため、通過玉検出器19をサブゲームを実行選択する際の確認手段とすることができるため、別途操作ボタン等の確認手段を設ける必要がなくコストの低減を招来している。」(第9頁第15欄第48行-第16欄第3行)
上記の記載より、引用文献には以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「遊技領域3のほぼ中央に、左・中・右の各特別図柄表示部33a〜33cで特別図柄の可変表示を可能にする特別可変表示装置30が配置され、打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると、特別可変表示装置30が変動を開始し、一定時間が経過すると、例えば左・右・中の順で特別図柄が確定され、その確定された図柄の組み合せが所定の大当り組合せ(同一図形のゾロ目)となったときに、予め定めた所定の遊技価値を付与する特定遊技状態を発生し、サブゲームであるダブルアップゲームの実行を遊技者が選択して、該ダブルアップゲームの当りが決定すると、特定遊技状態の終了後に所定期間での確率変動を発生し、大当り判定確率を通常時と異なる確率に変更した特別遊技状態として確変制御が行われる弾球遊技機において、ダブルアップゲームは、画像表示部60に、ダブルアップゲームの実行を遊技者が選択する場合には、ダブルアップ選択確認表示中(10秒以内)に遊技盤1の通過玉検出器19に打玉を通過させる必要がある旨を報知し、ダブルアップ選択確認表示の時間内で通過玉検出器19の通過玉検出があると、ダブルアップ確認表示に換えてダブルアップ判定表示を8秒間行うものであり、このダブルアップ判定用の表示画像は、画像表示部60内でスロットマシン65を操作するキャラクター66と「ダブルアップ挑戦」の文字67とを表示する画像であり、スロットマシン65には、「当り」図柄及び「スカ」図柄からなる図柄列を可変表示する判定表示部65aが設けられていて、キャラクター66の操作によりスロットマシン65の判定表示部65aを変動させ、その判定表示部65aの表示結果によってダブルアップゲームの当り外れを決定するものであり、ダブルアップゲームの決定手段として比較的打玉が流下し易い通過玉検出器19を兼用した構成となっているため、通過玉検出器19をダブルアップゲームを実行選択する際の確認手段とすることができ、別途操作ボタン等の確認手段を設ける必要がなくコストの低減を招来することができる、弾球遊技機。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「左・中・右の各特別図柄表示部33a〜33cで特別図柄の可変表示を可能にする特別可変表示装置30」は本願補正発明における「複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部」に対応しており、同様に、「可変表示」は「図柄変動」に、「特別図柄が確定」は「確定表示」に、「確定された図柄の組み合せが所定の大当り組合せとなったとき」は「確定表示された図柄が所定の図柄であるとき」に、「予め定めた所定の遊技価値を付与する特定遊技状態」は「遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態」に、「特定遊技状態の終了後に所定期間での確率変動を発生し、大当り判定確率を通常時と異なる確率に変更した特別遊技状態として確変制御が行われる」は「第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する」に、「弾球遊技機」は「遊技機」に、それぞれ対応しており、さらに引用発明について、次のことがいえる。
(i) 引用発明は、「打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると、特別可変表示装置30が変動を開始し、一定時間が経過すると、例えば左・右・中の順で特別図柄が確定され」るものであり、「始動玉検出器8をONさせる」ことにより、「特別可変表示装置30」(本願補正発明における「第1図柄表示部」に対応する。)の「変動を開始」するための信号、すなわち、本願補正発明を特定する「図柄変動開始信号」に相当する信号が実質的に送信され、「一定時間が経過する」と「特別図柄」が「確定」(本願補正発明における「確定表示」に対応する。)されるものであるということができる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明を特定する、「図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され」の事項に対応する構成を実質的に備えているということができる。
(ii) 引用発明は、「サブゲームであるダブルアップゲームの実行を遊技者が選択」するものであり、上記の「選択」は、「遊技盤1の通過玉検出器19に打玉を通過させる」ことにより行い、「ダブルアップゲーム」に「当」れば「特別遊技状態」(本願補正発明における「第2特別遊技状態」に対応する。)が生起するものであるから、上記した「通過玉検出器19」は「特別遊技状態」(「第2特別遊技状態」)を生起させるための「遊技者による選択手段」であるということができる。
一方、本願補正発明は「遊技者が操作しやすい位置に設けた操作スイッチ」を備えることを発明特定事項としており、遊技者による「操作スイッチの操作に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否か」が「判断」されるものであるから、上記「操作スイッチ」は、「第2特別遊技状態」(引用発明における「特別遊技状態」が対応する。)を生起させるための「遊技者による選択手段」であると包括的に表現することができる。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、「遊技者による選択手段」を備えている点で共通しているということができる。
(iii) (ii)に記載したように、本願補正発明と引用発明とは、「遊技者による選択手段」を備えている点で共通している。
そして引用発明において、「特別可変表示装置30」(「第1図柄表示部」)に「確定」(「確定表示」)された図柄の組み合せが「所定の大当り組合せ」(本願補正発明における「所定の図柄」に対応する。)であるときに、「遊技者による選択手段」である、「通過玉検出器19」に「打玉を通過させ」て「ダブルアップゲームの実行を遊技者が選択」すると、「画像表示部60」において、「スロットマシン65の判定表示部65aを変動させ、その判定表示部65aの表示結果」によって「特別遊技状態」(「第2特別遊技状態」)を生起するか否かを「判定」するものであり、「判定」は「遊技者による選択に基づいて」成される「判断」であるということができ、同引用発明は、本願補正発明を特定する「第2特別遊技状態(「特別遊技状態」)を生起するか否かを判断する判断手段」に対応する構成を実質上備えているということができる。
一方本願補正発明は「第1図柄表示部に確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、前記操作スイッチの操作に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段」を備えることをその発明特定事項としており、「操作スイッチの操作に基づいて」成される「判断」は、「遊技者による選択に基づいて」成される「判断」であると包括的に表現することができる。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、「第1図柄表示部(引用発明における「特別可変表示装置30」が対応する。)に確定表示(引用発明における「確定」が対応する。)された図柄が所定の図柄(引用発明における「所定の大当り組合せ」が対応する。)であるときに、前記遊技者による選択に基づいて、前記第2特別遊技状態(引用発明における「特別遊技状態」が対応する。)を生起するか否かを判断する判断手段」を備えている点で共通しているということができる。
(iv) (iii)に記載したように、引用発明は、本願補正発明を特定する「第2特別遊技状態(引用発明における「特別遊技状態」が対応する。)を生起するか否かを判断する判断手段」に対応する構成を実質上備えているということができ、引用発明において「特別遊技状態」(「第2特別遊技状態」)が生起するのは、「特定遊技状態(「第1特別遊技状態」)の終了後」であり、同引用発明は、「特定遊技状態(「第1特別遊技状態」)の終了後」に「特別遊技状態」(「第2特別遊技状態」)を生起するように制御するものといえるから、実質上、「特定遊技状態(「第1特別遊技状態」)の終了後」に「特別遊技状態」(「第2特別遊技状態」)を生起する「制御手段」を備えているということができる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明を特定する、「当該判断手段が前記第2特別遊技状態(「特別遊技状態」)を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態(「特定遊技状態」)の終了後に前記第2特別遊技状態(「特別遊技状態」)を生起する制御手段とを備えた」の事項に対応する構成を実質的に備えているということができる。

以上の事項より、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。
一致点;
遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、遊技者による選択手段と、前記第1図柄表示部に確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者による選択に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段とを備えた遊技機、である点。
相違点;
本願補正発明においては、遊技者による選択手段が遊技者が操作しやすい位置に設けた操作スイッチであり、操作スイッチの操作に基づいて、第2特別遊技状態を生起するか否かを判断するものであるのに対して、引用発明においては、遊技者による選択手段が「通過玉検出器19」であり、「通過玉検出器19」への打玉の通過に基づいて、特別遊技状態(第2特別遊技状態)を生起するか否かを判断するものである点。

(3)判断
上記の相違点について検討する。
遊技領域に複数の図柄を表示可能な図柄表示部を設け、該図柄表示部に表示されている図柄が変動後に所定の図柄の組合せで確定表示されたときに遊技者にとって有利となる特別遊技状態を生起させ、この特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる確率が向上した状態(すなわち、本願補正発明における発明特定事項である「第2特別遊技状態」に対応する遊技状態。)を生起させる遊技機において、遊技者による操作スイッチの操作に基づいて当該確率を選択可能とすることは、下記に周知例1ないし3として例示するように周知技術であり、周知技術における上記「操作スイッチ」は、遊技者による確率の選択手段であるということができる。そして引用発明において、「通過玉検出器19」による確率の選択手段に換えて、上記した周知技術における、操作スイッチによる確率の選択手段を設けることに格別な技術的困難性はない。
ところで、本願補正発明は「第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する」ための「操作スイッチ」を「遊技者が操作しやすい位置に設けた」ことを発明特定事項とするものである。そこで上記発明特定事項について検討すると、遊技者が操作するための「操作スイッチ」を設ける際に、該「操作スイッチ」を遊技者が操作しやすい位置に設けることは、遊技者による操作性を考慮して、遊技機の設計にあたり、当業者が適宜に行う設計事項にすぎない。さらに、上記の発明特定事項に関連して本願補正明細書の発明の詳細な説明を参照すると、段落【0022】には、「なお、この操作スイッチ70は、パチンコ機1で遊技者が操作しやすい位置であれば、何れの位置に設けてもよい。」と記載され、また図1によれば、「操作スイッチ70」は「パチンコ機1」前面の「上皿5」の左側上部に設けられていることが見てとれる。そして本願補正発明における上記発明特定事項を技術的に裏づける、図1が開示する「操作スイッチ70」の設置位置は、従来よりよく知られた操作スイッチの設置位置(すなわち、(i)周知例1における「遊技機1」前面の「打球用ハンドル3」に対向して左側に設けた「押釦スイッチ16」の位置、(ii)周知例2における「前枠4」の「下皿9」の左側方に設けた「モード選択ボタン42」の位置、(iii)周知例3における「パチンコ機100」の前面右下方部に設けた「選択ボタン126、128」の位置)と、遊技者による操作性という観点からすると、大きく異なるところはない。
以上より、本願補正発明が「操作スイッチ」を「遊技者が操作しやすい位置に設けた」ことにも格別な技術的困難性はない。
ここで、審判請求人はその審判請求書の補正書(8〜10頁)において、「引用文献1(注:本審決において引用した引用文献。)には、『遊技者が操作しやすい位置に設けた遊技者が操作する操作スイッチ』に関する記載も示唆も」ないこと、「本願発明では、『遊技者が操作しやすい位置に設けた遊技者が操作する操作スイッチ』を設けているからこそ、『遊技者は、操作スイッチを容易に操作して、自分の技術により第2特別遊技状態を生起させることができる。よって、遊技機の遊技性を高めることができる。』という特有の効果を奏することができる」旨を主張しており、さらに平成13年11月30日付け意見書(7頁)において、「引用文献1には、『サブゲーム決定手段として別途操作ボタン等の確認手段を設ける必要がない。』と明確に記載されており、本願の各請求項に係る発明に対して契機ないし起因となることを妨げる記載に該当する」旨を主張している。
よって検討するに、引用文献における、「サブゲーム決定手段として別途操作ボタン等の確認手段を設ける必要がない。」との記載は、操作スイッチが遊技者による確率の選択手段として従来周知(周知例1ないし3)であるという技術的前提のもとに、操作スイッチに代わる確認手段(選択手段)として「通過玉検出器19を兼用」することの技術的意義を述べたものであって、「操作ボタン等の確認手段を設ける」ことを完全に否定しているものとはいえず、本願補正発明に対して契機ないし起因となることを妨げる記載であるとすることはできない。むしろ、引用文献の上記記載に接した当業者は、周知技術(周知例1ないし3)を勘案して、引用発明における「通過玉検出器19」による確率の選択手段に換えて、従来より周知の操作スイッチによる確率の選択手段を設ければ、遊技者は、操作スイッチを容易に操作して、自分の技術により特別遊技状態(本願補正発明における「第2特別遊技状態」)を生起させることができるであろうと容易に想起するものであり、実際に引用発明に操作スイッチを設けるに際しても、「ダブルアップゲームの決定手段として比較的打玉が流下し易い通過玉検出器19を兼用し」ていたものを、「通過玉検出器19」を本来の「通過玉検出」のための専用とし、当該周知の「操作スイッチ」を別途設ければ事足りるのであり、「操作スイッチ」を別途設けるために解決しなければならない技術的障害が存在するわけでもないから、審判請求人の上記主張には理由がない。
そして上記したとおり、本願補正発明の効果も、引用発明及び周知技術が奏する効果から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

【周知例】
1.特開平9-271567号公報
遊技領域に打ち込まれた打球が「始動入賞口6」に入球することにより「特別図柄変動表示器8」の図柄が変動し、予め定められた確率によって所定の大当たり図柄が揃った場合に「電動開閉大入賞口7」が開成状態となって多数の打球が該「電動開閉大入賞口7」に入賞し得るようにしたパチンコ遊技機の前面に、遊技客が操作し得る「押釦スイッチ16」より成る確率選択手段を設け、大当たり図柄に揃う確率を該確率選択手段により遊技客が自由に選択できるようにしたパチンコ遊技機。(図1によれば、上記「押釦スイッチ16」は「遊技機1」前面の「打球用ハンドル3」に対向する左側の位置に設けられている。)(特許請求の範囲、段落【0007】、図1)

2.特開平10-99493号公報
「始動手段23」が遊技球を検出すると「変動図柄表示手段29」の図柄を所定時間変動させ、変動後の表示が大当たり図柄となることを条件に「大入賞手段25」を開放し、遊技者に利益を還元するようにした遊技機において、大当たり発生確率が夫々設定された遊技モード(A)(B)を、「モード選択ボタン42」を操作することにより遊技者が選択可能とした遊技機。(図1によれば、上記「モード選択ボタン42」は「前枠4」の「下皿9」の左側方に設けられている。)(特許請求の範囲、段落【0015】〜【0018】【0024】、図1)

3.特開平10-99504号公報
「図柄表示装置114」、「始動入賞口116」、「大入賞口120」を備えるとともに、当たりと判定されたことに起因して遊技者に有利な特別遊技を実行する特別遊技実行手段を備え、遊技者の操作により確率を選択可能な確率選択手段としての「選択ボタン126、128」を設けた弾球遊技機。(図6によれば、上記「選択ボタン126、128」は「パチンコ機100」前面右下方部に設けられている。)(特許請求の範囲、段落【0054】〜【0056】【0070】【0071】、図6)

(4)むすび
したがって、本件補正は、平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成14年7月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年11月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
遊技者が操作する操作部と、
前記第1図柄表示部に確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、前記操作部の操作に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」

(1)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項並びに本件補正に係る補正却下の決定において例示した周知例は、前記「2.(1)」及び「2.(3)」に、それぞれ記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明における「(遊技者が操作)しやすい位置に設けた操作スイッチ」との限定事項を「(遊技者が操作)する操作部」と、より上位の技術的概念で特定するとともに、「前記操作スイッチ(の操作に基づいて)」との限定事項を「前記操作部(の操作に基づいて)」と、より上位の技術的概念で特定したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに下位の技術的概念に限定したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願の他の請求項について論ずるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-21 
結審通知日 2006-08-22 
審決日 2006-09-04 
出願番号 特願平11-76973
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 渡部 葉子
篠崎 正
発明の名称 遊技機  
代理人 中山 千里  
代理人 山本 尚  
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