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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1145760
審判番号 不服2004-1553  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-22 
確定日 2006-10-19 
事件の表示 特願2000-30065号「インターコネクタ、その形成方法およびその接合装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月24日出願公開、特開2000-323208号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年2月8日(優先権主張平成11年3月10日)の出願であって、平成15年4月25日付けで手続補正がされ、平成15年12月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年1月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成16年2月10日付けで手続補正がされたものである。

2.平成16年2月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年2月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正のうち、特許請求の範囲の請求項1については、「第1の電子デバイス素子の電極に接続される第1の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子に隣接する第2の電子デバイス素子の電極に接続される第2の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子と前記第2の電子デバイス素子との間に生じる変位を吸収するストレスリリーフ部とを含み、
前記第1の接続部および前記第2の接続部のうち少なくとも一方の接合部が1以上の切欠部によって分割され、前記第1の接続部および前記第2の接続部のいずれもが1つの電子デバイス素子のみに接続される、インターコネクタ。」とある記載を、
「第1の電子デバイス素子の電極に接続される第1の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子に隣接する第2の電子デバイス素子の電極に接続される第2の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子と前記第2の電子デバイス素子との間に生じる変位を吸収するストレスリリーフ部とを含み、
前記第1の接続部および前記第2の接続部のうち少なくとも一方の接合部が同一の幅となるように1以上の切欠部によって分割され、前記第1の接続部および前記第2の接続部のいずれもが1つの電子デバイス素子のみに接続される、インターコネクタ。」とするものである。

(2)補正の目的の適否、新規事項の有無
ア.上記請求項1に係る補正は、「接合部が1以上の切欠部によって分割され」としていたものを、「接合部が同一の幅となるように1以上の切欠部によって分割され」とするものである。
上記補正事項に関し願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「出願当初明細書」という。)の段落【0052】には、「溶接部の長さの合計は、溶接部の長さw2×(切欠部4の本数+1)となる。図7(c)に示すように、溶接部の長さの合計(溶接部の長さw2×(切欠部4の本数+1))が0.8mm以上の場合に、500gの溶接強度を有することが分かる。このときの切欠部4の本数は1であった。」と記載されているのであって、溶接部の長さw2に(切欠部4の本数+1)をかけることにより溶接部の長さの合計が算出されることからみて、各溶接部の長さw2は等しい例が実施の形態として示されているものと認められ、上記補正事項は出願当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものと認められる。

イ.また、上記補正事項は発明を特定するために必要な事項である接合部について、分割された切欠部の態様を、「同一の幅となるように 」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。したがって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平6-196744号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、図1〜19と共に、以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 電子デバイス素子間を、直列方向あるいは直列方向に直交する並列方向に電気的に接続するための板金状のインターコネクタであって、
第1の電子デバイス素子の表面電極に接続される第1の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子と直列方向に隣接する第2の電子デバイス素子の裏面電極に接続される第2の接続部と、
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に生じる変位を吸収するための第1のストレスリリーフ部とを備え、
前記第1の接続部の前記並列方向の幅は、前記第1のストレスリリーフ部の前記並列方向の幅よりも小さくなっていることを特徴とするインターコネクタ。
・・・
【請求項4】 前記第2の電子デバイス素子と前記並列方向に隣接する第3の電子デバイス素子の裏面電極に接続される第3の接続部をさらに備え、
前記第2の接続部と前記第3の接続部との間には、前記第2の接続部と前記第3の接続部との間に生じる変位を吸収するための第2のストレスリリーフ部が設けられ、
前記第2の接続部と前記第3の接続部とを合わせた領域の前記並列方向の幅が、前記第1のストレスリリーフ部の並列方向の幅と略同一である、請求項1記載のインターコネクタ。」(特許請求の範囲)
(イ)「【0070】次に、本発明の第10の実施例の太陽電池セル接続用のインターコネクタについて説明する。本実施例のインターコネクタは、複数の太陽電池セルを直列方向および並列方向の両方に接続するために用いられるものである。
【0071】本実施例の太陽電池セル接続用のインターコネクタ1は、図10を参照して、第1の太陽電池セルの表面電極に接続される表面電極接続部2、第1の太陽電池セルに直列方向に隣接する第2の太陽電池セルの裏面電極に接続される裏面電極接続部3、その第2の太陽電池セルに並列方向に隣接する第3の太陽電池セルの裏面電極に接続されるもう1つの裏面電極接続部103、表面電極接続部2と裏面電極接続部3との間のストレスリリーフ部4、および裏面電極接続部3と裏面電極接続部103との間のストレスリリーフ部104より構成されている。・・・第2のストレスリリーフ部104もプレート構造を有し、スリット106がスリット6の延びる方向に対して、たとえば直角方向などに交差する方向に延びるように、裏面電極接続部3および103の間に形成されている。・・・
【0074】図11に、図10に示された第10の実施例の太陽電池セル接続用インターコネクタ1を用いて太陽電池セルを直列方向および並列方向に接続した場合の太陽電池セルの裏面側から見た図を示している。図11に示される形状の太陽電池セル接続用インターコネクタ1のうち、2つの太陽電池セル7のみに接続されているものは、太陽電池セル7の直列方向の接続のために使用され・・・ている。・・・インターコネクタ1全体の幅W4が、図1に示された第1の実施例の場合に比べて特に大きくなっていないため、取扱い性が良好で、しかもアセンブリコストが高くならない。・・・
【0075】次に、図10に示した第10の実施例のインターコネクタの変形例について、図12(a)(b)を参照して説明する。図12(a)に示したインターコネクタ1は、図10に示したインターコネクタ1のストレスリリーフ部4におけるスリット6のちょうど上側の領域の表面電極接続部2を除去したものである。図12(b)に示した本発明の第12の実施例のインターコネクタ1は、図12(a)に示した第11の実施例のインターコネクタ1の上半分をさらに変形したものである。」(第8頁左欄末行〜第9頁左欄第39行、段落【0070】〜【0075】)
(ウ)図10及び12には、第2の接続部である裏面電極接続部3と、第3の接続部である裏面電極接続部103が、並列に、第1のストレスリリーフ部に設けられる態様、及び図11には、インターコネクタ1を2つの太陽電池セル7の直列方向の接続のためにのみに使用する態様として、第1の接続部である表面電極接続部2を1つの太陽電池セル7の表面電極側に配置し、第2の接続部である裏面電極接続部3と第3の接続部である裏面電極接続部103をともに隣接する別の太陽電池セル7の裏面に配置することが図示されている。
これらの記載事項(ア)、(イ)及び図10〜12の図示内容を総合すると、上記引用刊行物1には、
「第1の電子デバイス素子の表面電極に接続される第1の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子と直列方向に隣接する第2の電子デバイス素子の裏面電極に接続される第2の接続部と、
前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に生じる変位を吸収する第1のストレスリリーフ部とを備え、
第3の接続部がスリット106を介して第2の接続部に隣接して設けられ、
第2の接続部と第3の接続部が並列に第1のストレスリリーフ部に設けられ、
第2の接続部と第3の接続部がともに第2の電子デバイス素子の裏面に配置されてなる、
インターコネクタ。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

(4)対比・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、後者の「第1のストレスリリーフ部」は、その構造、機能からみて、前者の「ストレスリリーフ部」に相当するから、両者は
「第1の電子デバイス素子の電極に接続される第1の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子に隣接する第2の電子デバイス素子の電極に接続される第2の接続部と、
前記第1の電子デバイス素子と前記第2の電子デバイス素子との間に生じる変位を吸収するストレスリリーフ部とを含み、
前記第1の接続部および前記第2の接続部のいずれもが1つの電子デバイス素子のみに接続される、インターコネクタ。」
である点で一致し、以下の点で両者は相違すると認められる。
(A)前者が「前記第1の接続部および前記第2の接続部のうち少なくとも一方の接合部が同一の幅となるように1以上の切欠部によって分割され」ているのに対して、後者はそのような構成でない点。

そこで、上記相違点について検討する。
特開平2-148541号公報には、シャドウマスクの外周縁に1.0mmピッチの短い間隔で複数個所にスリット状の切り込みを設け、シャドウマスクの外周縁をマスクフレームに、分割された部分における連続した線の上又は微小間隔で連続隣接した多数の点の上で、順次連続して溶接により固定して取り付けることで、溶接時の加熱温度上昇による熱膨張は此の切り込みに吸収され、また熱伝導も阻止され縁にしわが寄ることを防ぎ、溶接後に歪みが残留することを防ぐことが示されており、接合部を等間隔で分割することにより溶接による歪みを防ぐことが示唆されているといえる。また、実公昭53-34847号公報には、導電パターンに接合する外部導出リード12,13にスリット17,17を設けて熱圧着による接合する部分を分割することが示され、実願昭56-68902号(実開昭57-180979号)のマイクロフイルムには、引き出し電極7に接合するリード端子4の先端をタンザク状とすることが示されているように、リードの接続部分にスリットを設けることや、溶接や熱圧着において接合部をスリットで分割することは周知であり、接合部を分割することにより溶接による歪みを防ぐことも知られていたことといえる。
引用発明1は、第2の接続部について、スリットを介して第3の接続部が隣接して並列に設けられ、第2および第3の接続部が共に第2の電子デバイス素子の裏面に配置されるものであるし、また、上記のように、接合部を分割することは周知であって、その効果についても、溶接時の残留応力の影響を軽減することがすでに知られていたといえるから、第2の接続部の接合部を1以上の切欠部によって分割することは、当業者が必要に応じて適宜なしうることと認められる。
また、分割された接合部が同一の幅となるようになすことも、上記特開平2-148541号公報には等間隔に切り込みを入れることが示され、また、接合部を分割するに当たり、幅を同一とすることが格別のこととは認められないから、当業者が適宜なしうる設計的事項であると認められる。
したがって、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明1と上記周知の事項から当業者が容易になしうることと認められる。

よって、本願補正発明は、引用発明1及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年2月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年4月25日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(2.(1)参照。)

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、接合部における分割された切欠部の態様について、「同一の幅となるように 」という限定を省いたものである。
そうしてみると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明1及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-08 
結審通知日 2006-08-22 
審決日 2006-09-04 
出願番号 特願2000-30065(P2000-30065)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 芦原 康裕
平上 悦司
発明の名称 インターコネクタ、その形成方法およびその接合装置  
代理人 仲村 義平  
代理人 深見 久郎  
代理人 酒井 將行  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  
代理人 野田 久登  
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