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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60G
管理番号 1145780
審判番号 不服2004-7845  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-09-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-16 
確定日 2006-10-19 
事件の表示 特願2001-60009「車両のリーフスプリング用ブラケット」拒絶査定不服審判事件〔平成14年9月18日出願公開、特開2002-264623〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は、平成13年3月5日の出願であって、平成15年10月24日付け拒絶理由通知(発送:同年11月4日)に対し、同年11月28日付けで手続補正が行われたが、平成16年3月26日付けで拒絶査定がなされ(発送:同年4月6日)、これを不服として平成16年4月16日付けで審判請求がなされたものである。
本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】リーフスプリングの一端をスライド可能に支持するためのシャシフレームに固定される車両のリーフスプリング用ブラケットであって、前記シャシフレームへの取付け面と、この取付け面から略直角に折り曲げたリブとによる左右対称形状の一対のL形断面部材よりなるブラケット本体と、前記それぞれのリブの下部に形成した凹部に固着され前記リーフスプリングの一端を支持するためのコの字形の支持部材とからなり、前記一対のL形断面部材は前記支持部材を架橋材として前記リブを所要の間隔で平行に対面するよう結合したことを特徴とする車両のリーフスプリング用ブラケット。」(以下、「本願発明」という。)
なお、請求項1には「支持部材とかなり、」と記載されているが、「支持部材とからなり、」の誤記と認められ、本願発明を上記のように認定した。

2.引用文献とその記載事項
これに対し、原査定の拒絶理由において引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-156336号公報(以下、「引用文献」という。)には、「車両のリーフスプリング用ブラケット」に関し、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(あ)「図1から図4において、本発明に係るリーフスプリング用ブラケット10は、支持部材11と、本体12とを備えている。」(【0010】)
(い)「支持部材11は、リーフスプリング13の一端13aを支持して車輛(図示せず)のシャシフレーム14に取り付けるためのものであって、例えば厚さ4.5mm程度の金属板を断面コの字形に成形して製作されており、平行に配設された両端部11aには、ピン穴11bが形成されている。」(【0011】)
(う)「本体12は、支持部材11を保持するためのものであって、例えば厚さ4.5mm程度の金属板を成形して製作されており、両端にシャシフレーム14に取り付けるための取付け面12bが垂直に形成され、2つの該取付け面12bを連結する断面コの字形をした連結部12cには支持部材11の外形と同一形状の凹部12aが水平に形成されている。」(【0012】)
(え)「取付け面12bには、複数のリベット穴12dが形成されており、リベット16によってシャシフレーム14に固定できるようになっている。そして、リーフスプリング用ブラケット10は、本体12に形成された凹部12aに支持部材11を当接させ、接合部を溶接材15によって溶接して一体化して製作されている。」(【0013】)
(お)「上記のように製作されたリーフスプリング用ブラケット10は、図4及び図5において、本体12のリベット穴12dにリベット16を挿通してシャシフレーム14にリベットかしめして固定し、支持部材11のピン穴11bにピン18をナット19により固定し、該ピン18にリーフスプリング13の一端13aを取り付けて車輛(図示せず)に組み付けられるようになっている。」(【0014】)
(か)「本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図6において、本体12は例えば厚さ4.5mmの金属板20を切断し(図6(a))、次いでプレス装置によって外形抜きを行ってブランク21を製作し(図6(b))、該ブランク21を折曲げ加工して半完成品22とした後(図6(c))、両取付け面12bにリベット穴12dを穴あけ加工(図6(d))して合計4工程のプレス加工によって製作される。」(【0015】)
(き)図1、2、6には、上面と側面を有する断面コの字形の連結部12cが記載されている。

上記記載事項(い)、(お)及び図4、5の記載からみて、引用文献記載のリーフスプリング用ブラケット10も「リーフスプリング13の一端13aをスライド可能に支持する」ものと解される。
また、引用文献記載の本体12の連結部12cは、上面と2つの側面からなる断面形状をしており(記載事項(う)、(き)参照)、各側面は、各取付け面12bから略直角に折り曲げられているから(記載事項(か)参照)、引用文献記載の連結部12cの側面と取付け面12bとは、L形断面部分を構成するものといえる。よって、引用文献記載の「本体12」は、取付け面12bと、この取付け面12bから略直角に折り曲げた断面コの字形連結部12cの側面とによる左右対称形状の二つのL形断面部分及び前記左右対称形状の二つのL形断面部分を結合する断面コの字形連結部12cの上面を有するものと認められる。
以上を総合すると引用文献には、「リーフスプリング13の一端13aをスライド可能に支持するためのシャシフレーム14に固定される車両のリーフスプリング用ブラケット10であって、前記シャシフレーム14への取付け面12bと、この取付け面12bから略直角に折り曲げた断面コの字形連結部12cの側面とによる左右対称形状の二つのL形断面部分、及び前記左右対称形状の二つのL形断面部分を結合する断面コの字形連結部12cの上面よりなる本体12と、前記それぞれの断面コの字形連結部12cの側面の下部に形成した凹部12aに固着され前記リーフスプリングの一端を支持するためのコの字形の支持部材11とからなり、前記二つのL形断面部分は前記連結部12cの上面及び前記支持部材11を架橋材として前記断面コの字形連結部12cの側面を所要の間隔で平行に対面するよう結合した車両のリーフスプリング用ブラケット。」の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。

3.発明の対比
本願発明と引用発明を対比するに、引用発明の「断面コの字形連結部12cの側面」、「本体12」は、本願発明の「リブ」、「ブラケット本体」に相当する。また、引用発明の「L形断面部分」は、取付け面とリブとによるブラケット本体のL形断面部分である点において本願発明の「L形断面部材」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
リーフスプリングの一端をスライド可能に支持するためのシャシフレームに固定される車両のリーフスプリング用ブラケットであって、前記シャシフレームへの取付け面と、この取付け面から略直角に折り曲げたリブとによる左右対称形状の二つのL形断面部分を含むブラケット本体と、前記それぞれのリブの下部に形成した凹部に固着され前記リーフスプリングの一端を支持するためのコの字形の支持部材とからなり、前記二つのL形断面部分は前記支持部材を架橋材として前記リブを所要の間隔で平行に対面するよう結合した車両のリーフスプリング用ブラケット。

[相違点]
本願発明のブラケット本体が、一対のL形断面部材を支持部材のみを架橋材とし結合しているのに対し、引用発明では一対のL形断面部材に相当する二つのL形断面部分は有するものの、これらL形断面部分を結合するコの字形連結部12c上面及び支持部材を架橋材としている点。

4.当審の判断
上記相違点につき検討する。
技術分野を問わず、部品点数を少なくするために部品同士をどの部品の範囲まで一体化するかは、従来より、強度・製作容易性等を考慮して、当業者が、通常の創作能力の発揮の範囲内で、適宜選択すべき設計的事項である。
この観点からみれば、引用発明においてリブ部分同士を連結部上面を設けて一体化するか否か(引用発明の構成をとるか、本願発明の構成をとるか)は、当業者が、通常の創作能力の発揮の範囲内で、適宜選択すべき設計的事項ということができる。
しかも、他部材への取付け面を有する二つの部材を、一つの部材だけを架橋材として連結することは、技術分野を問わず従来より周知の技術手段であり(必要があれば、特開平11-115425号公報における図3、横ブラケット36、37とメインフレーム35の組立構造や、特開平10-46581号公報におけるガード部材21、21と連結部27の組立構造参照のこと)、かかる周知の技術手段を 引用発明に適用し、本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
そして、本願発明により得られる効果も、引用発明並びに周知の技術手段から、当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び当業者の通常の創作能力、または、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-08 
結審通知日 2006-08-15 
審決日 2006-08-28 
出願番号 特願2001-60009(P2001-60009)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増岡 亘  
特許庁審判長 前田 仁
特許庁審判官 ぬで島 慎二
永安 真
発明の名称 車両のリーフスプリング用ブラケット  
代理人 菊池 徹  
代理人 菊池 新一  
代理人 菊池 新一  
代理人 菊池 徹  

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