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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1145834 |
審判番号 | 不服2002-7619 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-04-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-01 |
確定日 | 2006-10-26 |
事件の表示 | 平成11年特許願第267195号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月 3日出願公開、特開2001- 87525〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年9月21日の出願であって、平成13年12月25日付の拒絶理由に対し平成14年2月25日付で手続補正がなされ、平成14年3月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年5月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月29日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年5月29日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年5月29日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正の内容 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「 特別図柄表示手段(24)を構成する液晶表示手段(15)を遊技盤(5) に備え、外部電源装置(50)からの供給電力により遊技動作可能な遊技機において、前記供給電力の異常の有無を測定する測定手段(52)と、該測定手段(52)の測定情報を報知する測定情報報知手段(54)とを備え、前記測定手段(52)は遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置され且つ前記外部電源装置(50)からの供給電力を受け入れる電源供給基板(32)の電源回路(33)に、前記外部電力をACからDCに全波整流する整流手段(53a) 、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a) 、変換後の電圧を各制御基板(31)(38)(46)に供給する分配手段(55a) と共に設け、前記測定情報報知手段(54)は前記液晶表示手段(15)の表示領域に測定結果を表示するようにしたことを特徴とする遊技機。」と補正された。 前記補正は、補正前(平成14年5月29日付で手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「測定手段(52)」について「前記測定手段(52)は遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置され且つ前記外部電源装置(50)からの供給電力を受け入れる電源供給基板(32)の電源回路(33)に、前記外部電力をACからDCに全波整流する整流手段(53a) 、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a) 、変換後の電圧を各制御基板(31)(38)(46)に供給する分配手段(55a) と共に設け、」と限定するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された特開平2-277479号公報には、図面とともに以下の記載がある。 (記載事項a) 「電源を供給するための回路に付設する低電圧検出回路と、この低電圧検出回路からの出力により駆動される表示ランプとを設けたことを特徴とする電動式パチンコ機。」(特許請求の範囲) (記載事項b) 「本発明は、電源電圧の低下に関連して点灯する低電圧検出表示装置に関するものである。」(第1頁左下欄第11〜12行) (記載事項c) 「本発明は上記の事情に基づいてなされたものであり、電源電圧の低下か、役物の故障か直ちに把握できる電動式パチンコ機を提供することを目的とするものである。」(第1頁右下欄第14〜17行) (記載事項d) 「ガラス扉枠4の後方には、前記前面枠2の裏面に固定される遊技盤固定枠7 (第8図参照)に着脱自在に取りつけられる遊技盤6が配置されている。」(第2頁左上欄第17〜20行) (記載事項e) 「変動入賞装置10の下方には、複数のデジタル表示器よりなる可変表示器11が形成されている。この可変表示器11は、遊技領域9の下方に設けられる始動入賞口13a〜13cに打球が入賞することによりその表示態様が変化し始め、前記前面枠2に設けられたストップスイッチ16を押圧することにより、あるいは押圧することなく一定時間(例えば、5秒)経過することにより停止するようになっている。そして、停止したときの複数のデジタル表示器の表示態様が予め定められた表示態様(例えば、同一の数字が表示されたとき)であるときに、前記開閉翼片12a、12bを前述した態様で開放させるようになっている。」(第2頁右上欄第15行〜左下欄第8行) (記載事項f) 「前記前面枠2の上部には、金枠防犯ランプスイッチ19の作動により点滅する金枠防犯ランプ21・・・が設けられている。 金枠防犯ランプスイッチ19は、前記遊技盤固定枠7の前面であって、前記ガラス扉枠4の開放側に対向する位置に固定されており、ガラス扉枠4を開放したときに作動するようになっている。これにより、遊技者が不正にガラス扉枠4を開放した場合には、金枠防犯ランプ21が点滅して不正遊技を防止することができるようになっている。 なお、この金枠防犯ランプ21は後述の低電圧検出表示用の表示ランプを兼ねる。」(第2頁右下欄第11行〜第3頁左上欄第5行) (記載事項g) 「機構板30には、上記した各機構の他に、外部から電力の供給を受ける入出力基板A70と、前記した金枠防犯ランプ21及び金枠防犯ランプスイッチ19を制御するための金枠防犯ランプ基板71と、前記した各種の電気的機器と入出力基板A70とを相互に接続する入出力基板B72と、前記した触手検知板24の検出状況を判別するためのタッチスイッチ基板(触手検出回路)73とが取りつけられている。」(第5頁左欄第7〜15行) (記載事項h) 「第1図はパチンコ機に設けられた回路のブロック図である。」(第5頁右上欄第6〜7行) (記載事項i) 「金枠防犯ランプ基板71は、フラッシュ回路79や低電圧検出回路90等を有する。しかして、入出力基板A70に設けられるコネクタは以下のように適用される。CONaには、交流電源(24V)が接続される。C0Nbには、前記制御基板ボックス29内に収納される制御基板に電源を供給する接続線が接続される。C0Ncは、管理コンピュータと接続されて、前記補給スイッチ53からの補給信号が伝達される。C0Ndには、金枠防犯ランプ基板71が接続されている。」(第5頁右上欄第13行〜左下欄第3行) (記載事項j) 「第3図は本実施例であるパチンコ機の低電圧検出装置を兼ねた金枠防犯装置の回路図、第4図はその電源回路の詳細図である。第3図及び第4図において、19は金枠3を開けると閉状態となる金枠防犯ランプスイッチ、90は低電圧検出回路、131は電源投入時の誤動作を防ぐための初期禁止回路、133は「H」信号を受けると出力信号を反転して「L」状態とし、予め設定した一定時間遅れて出力信号を「H」状態に戻す遅延回路、134は「H」信号が入力すると動作して金枠防犯ランプ(低電圧検出表示ランプを兼ねる。)21を点滅するフリッカ回路、Gはゲート回路、Rは抵抗、Cはコンデンサ、Th1、はトランジスタ、VddはIC用の電源電圧、V0はパチンコ機本体に供給される交流電源(AC24V)を整流して得た金枠防犯ランプ21用電源電圧であると共に、電圧監視対象となる電圧である。尚、電源回路100とフラッシュ回路79と低電圧検出回路90とは金枠防犯ランプ基板71に配置されている。 本装置は通常の状態では金枠防犯ランプ21は点滅せず、金枠防犯ランプスイッチ19又は低電圧検出回路90が作動したときに金枠防犯ランプ(低電圧検出表示ランプ)21が点滅するように構成したものである。 先ず、上記のように構成されたパチンコ機の金枠防犯装置の動作について説明する。交流電源がパチンコ機のコネクタC0Ndに投入されると、交流電源は整流器D5により直流電圧(監視電圧)V0に整流され、その直流電圧V0は更にツェナーダイオードZDを介してIC用の電源電圧Vddとされる。」(第7頁左上欄第9行〜右上欄第19行) (記載事項k) 「次に、低電圧検出装置としての動作について説明する。低電圧検出回路90は、第3図に示すように、その入力端は監視電圧V0に接続され、出力端はコネクタC0Nnに接続されている。第7図は低電圧検出回路の詳細図である。第7図において、CPはオープンコレクタ出力のコンパレータ、ITは前述のフリッカ回路134と略同一の発振禁止機能付きのアステーブル・マルチバイブレータを用いたインタバルタイマ、Mはリレーである。 今、監視電圧V0が正常な場合、監視電圧V0がツェナダイオードZDの降伏電圧以上であるから、ツェナダイオードZDに逆方向電流が監視電圧V0に比例して流れ、・・・コンパレータCPは・・・その出力はOFF状態となっている。・・・低電圧検出表示ランプ21は点滅しない。」(第10頁左上欄第12行〜左下欄第9行) (記載事項l) 「一方、監視電圧V0が降下すると、それに比例してツェナダイオードZDの逆方向電流が少なくなり、・・・コンパレータCPの出力はON状態となり、・・・低電圧検出表示ランプ21が15秒間点滅する。15秒経過しても監視電圧V0が設定値以上にならない場合には、インタバルタイマITは繰り返しパルス信号を送出し、リレーMの接点91は再度閉状態となる。したがって、監視電圧V0が予め定めた設定値以下である限り、低電圧検出表示ランプ21は継続して点滅する。 上記の実施例によれば、監視電圧V0が設定値以下になると、低電圧検出表示ランプ21が点滅して、電源電圧が低下していることを知らせる。」(第10頁左下欄第10行〜右下欄第18行) (記載事項m) 「第1図はパチンコ機に設けられる回路のブロック図、・・・、第3図は本実施例であるパチンコ機の低電圧検出装置を兼ねた金枠防犯装置の回路図」(【図面の簡単な説明】) これらの記載、並びに、 (ア)「複数のデジタル表示器よりなる可変表示器11」(記載事項e)という記載から、デジタル表示器が、可変表示器11を「構成する」ことが明らかなこと、 (イ)「入出力基板A70に設けられるコネクタは以下のように適用される。CONaには、交流電源(24V)が接続される。C0Nbには、前記制御基板ボックス29内に収納される制御基板に電源を供給する接続線が接続される。・・・C0Ndには、金枠防犯ランプ基板71が接続されている。」(記載事項i)という記載及び「パチンコ機本体に供給される交流電源(AC24V)」(記載事項j)という記載並びに第1図の記載から、パチンコ機が、交流電源(24V)からの「供給電力」により「遊技動作可能」であること、並びに、交流電源(24V)からの「供給電力」を「受け入れ」ることが明らかなこと、 (ウ)「監視電圧V0が設定値以下になると、低電圧検出表示ランプ21が点滅して、電源電圧が低下していることを知らせる。」(記載事項l)という記載、「入出力基板A70に設けられるコネクタは以下のように適用される。CONaには、交流電源(24V)が接続される。・・・C0Ndには、金枠防犯ランプ基板71が接続されている。」(記載事項i)という記載、及び前記(イ)から、 低電圧検出回路90が、供給電力の「異常の有無」を「測定する」ことが明らかなこと、及び、低電圧検出表示ランプ21が、低電圧検出回路90の「電源電圧が低下しているという検出情報」を知らせることが明らかなこと、 (エ)「入出力基板A70に設けられるコネクタは以下のように適用される。CONaには、交流電源(24V)が接続される。C0Nbには、前記制御基板ボックス29内に収納される制御基板に電源を供給する接続線が接続される。・・・C0Ndには、金枠防犯ランプ基板71が接続されている。」(記載事項i)という記載、「交流電源がパチンコ機のコネクタC0Ndに投入されると、交流電源は整流器D5により直流電圧(監視電圧)V0に整流され、その直流電圧V0は更にツェナーダイオードZDを介してIC用の電源電圧Vddとされる。」(記載事項j)という記載、及び、第4図において、電源回路100内の整流器D5が全波整流を示す記号で記載されていること、第4図において、2つの抵抗器、ツェナーダイオードZD等で直流電圧V0をVddに変換していることが明らかなことから、(i)金枠防犯ランプ基板71の電源回路100に、「入出力基板A70から分配された電力」を「ACからDCに全波整流する」整流器D5、「整流後」に「所定電圧に変換する変換手段(54a)」が設けられていること、(ii)入出力基板A70に、「電圧」を金枠防犯ランプ基板71に「供給する」「分配手段(55a)」 が設けられていること、もまた明らかなこと (オ)「監視電圧V0が設定値以下になると、低電圧検出表示ランプ21が点滅して、電源電圧が低下していることを知らせる。」(記載事項l)という記載、及び、第4図において、2つの抵抗器、ツェナーダイオードZD等で直流電圧V0をVddに変換していることが明らかなことから、低電圧検出回路90が、Vddに変換する前の直流電圧V0、つまり、「所定電圧変換前の電圧を監視するもの」であることもまた明らかなこと、 を、特に勘案すれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 可変表示器11を構成するデジタル表示器を遊技盤6に備え、交流電源(24V)からの供給電力により遊技動作可能なパチンコ機において、前記供給電力の異常の有無を測定する低電圧検出回路90と、該低電圧検出回路90の電源電圧が低下しているという検出情報を知らせる低電圧検出表示ランプ21とを備え、 入出力基板A70及び低電圧検出回路90は機構板30に取りつけられ、 前記低電圧検出回路90は金枠防犯ランプ基板71に設けられ、 入出力基板A70は交流電源(24V)からの供給電力を受け入れ、 金枠防犯ランプ基板71の電源回路100に、入出力基板A70から分配された電力をACからDCに全波整流する整流器D5、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a)を設け、 低電圧検出回路90は所定電圧変換前の電圧を監視するものであり、 入出力基板A70に、電圧を金枠防犯ランプ基板71に供給する分配手段(55a) を設けパチンコ機。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の、a「可変表示器11」、b「遊技盤6」、c「交流電源(24V)」、d「パチンコ機」、e「電源電圧が低下しているという検出情報」、f「知らせる」、g「整流器D5」は、本願補正発明のa「特別図柄表示手段(24)」、b「遊技盤(5)」、c「外部電源装置(50)」、d「遊技機」、e「測定情報」、f「報知する」、g「整流手段(53a)」に相当する。 また、引用発明における「入出力基板A70」は、外部電源装置(50)からの供給電力を受け入れる基板であるから、本願補正発明における「電源供給基板(32)」に対応する。 また、引用発明における「デジタル表示器」と本願補正発明における「液晶表示手段(15)」とは、「表示手段」という点で共通する。 また、引用発明における、入出力基板A70に配設された、「制御基板ボックス29内に収納される制御基板に電源を供給する」C0Nbに係る回路、「管理コンピュータと接続されて、前記補給スイッチ53からの補給信号が伝達される」C0Ncに係る回路、「金枠防犯ランプ基板71が接続されている」C0Ndに係る回路と、本願補正発明における「電源回路(33)」とは、電圧を各供給基板に供給する「電圧分配回路」の点で共通する。 引用発明における、「低電圧検出回路90」は、AC24Vの電圧異常を検出するもので、当該AC24Vは外部電源装置(50)からの供給電力の電圧値であるから、結局のところ外部電源装置からの供給電力の電圧異常を検出する回路となるから、当該「低電圧検出回路90」は、本願補正発明における「測定手段(52)」に相当する。 引用発明における「整流器D5」は、監視する交流電源を前記「低電圧検出回路90」で使用する直流電圧に変換するものであるから、本願補正発明における「整流手段(53a)」に相当する。 引用発明における「金枠防犯ランプ21」と本願補正発明における「測定情報報知手段(54)」とは、「異常電圧表示手段」で共通する。 よって、両者は、 「 特別図柄表示手段(24)を構成する表示手段を遊技盤(5)に備え、外部電源装置(50)からの供給電力により遊技動作可能な遊技機において、前記供給電力の異常の有無を測定する測定手段(52)と、該測定手段(52)の測定情報を報知する異常電圧表示手段とを備え、 外部電源装置(50)からの供給電力を受け入れる電源供給基板(32)に電圧分配回路を設け、 ACからDCに全波整流する整流手段(53a)を設けた遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 特別図柄表示手段(24)を構成する表示手段が、本願補正発明では、液晶表示手段(15)であるのに対して、引用発明では、デジタル表示器である点。 相違点2 本願補正発明では、電圧分配回路が、遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置され、外部電力をACからDCに全波整流する整流手段(53a) 、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a)、変換後の電圧を制御基板に供給する分配手段(55a)と共に測定手段(52)が設けられた電源回路(33)であるのに対して、 引用発明では、電圧分配回路が、機構板30に取りつけられ、分配手段(55a)のみ備え、整流手段、変換手段(54a)、測定手段(52)を備えていない点。 相違点3 異常電圧表示手段は、本願補正発明では、表示手段の表示領域に測定結果を表示するのに対して、引用発明では、低電圧検出表示ランプ21である点。 (4)判断 前記各相違点について検討する。 前記相違点1ついて検討する。 特別図柄表示手段(24) を構成する表示手段として、液晶表示手段(15)を採用した遊技機は、文献を提示するまでもなく周知技術(以下、「周知技術A」という。)であって、引用発明において、特別図柄表示手段(24)を構成する表示手段として前記周知技術Aの液晶表示手段(15)を採用することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。 前記相違点2について検討する。 外部からの供給電力を動作電圧の相違する各制御基板(31)(38)(46)に分配する分配手段として整流回路を介して所定電圧に変換することは周知の分配変換手段(以下、「周知技術B」という。)(例えば、特開平11-98685号公報、実願平4-57527号(実開平6-21387号)のCD-ROMを参照。)であるから、引用発明において、外部からの供給電力を受け入れ、各制御基板に分配する作用を行う電源供給基板(32) の電圧分配回路に前記周知の分配手段を適用し、もって、外部電力をACからDCに全波整流する整流手段(53a) 、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a)、変換後の電圧を制御基板に供給する分配手段(55a)を電圧分配回路に設けることは、当業者が適宜為し得る設計的事項である。 当該周知の分配手段を引用発明の電源供給基板(32)の電圧分配回路に適用することが設計的事項であるとした引用発明において、所定電圧変換前の電圧を監視する測定手段(52)を、所定電圧変換前の電圧監視の為に、前記電源供給基板(32)の所定電圧に変換する変換手段(54a)を備えた電圧分配回路に設けて、電圧分配回路を電源回路(33)となすことは当業者が容易に想到できることである。 また、電源回路を遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置することは周知技術(以下、「周知技術C」という。)(例えば、特開平11-76567号公報(特に、段落【0020】、【0050】、図2、図3を参照。)、特開平9-122341号公報(特に、段落【0109】を参照。)を参照。)であるから、引用発明において、電源手段である電圧分配回路を前記周知技術Dの如く遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。 前記相違点3について検討する。 遊技機における異常の有無を特別図柄表示手段(24)にて報知することは周知技術(以下、「周知技術D」という。)(例えば、特開平7-178223号公報(特に、段落【0038】、図21を参照。)、特開平6-285235号公報(特に、段落【0032】、図7を参照。)を参照。)であるから、引用発明において、遊技機における異常の有無である供給電力の異常の有無を、前記周知技術Dの如く特別図柄表示手段(24)にて報知して相違点に係る本願補正発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。 (5)まとめ 本願補正発明の作用効果を含め、相違点を総合的に判断しても格別のものとは認められないから、本願補正発明は、引用例記載の発明及び前記周知技術A〜Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (6)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成14年5月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年2月25日付手続補正書の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「 特別図柄表示手段(24)を構成する液晶表示手段(15)を遊技盤(5) に備え、外部電源装置(50)からの供給電力により遊技動作可能な遊技機において、前記供給電力の異常の有無を測定する測定手段(52)と、該測定手段(52)の測定情報を報知する測定情報報知手段(54)とを備え、該測定情報報知手段(54)は前記液晶表示手段(15)の表示領域に測定結果を表示するようにしたことを特徴とする遊技機。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「測定手段(52)」についての構成である「前記測定手段(52)は遊技機本体(1) の前枠(3) の裏側に配置され且つ前記外部電源装置(50)からの供給電力を受け入れる電源供給基板(32)の電源回路(33)に、前記外部電力をACからDCに全波整流する整流手段(53a) 、整流後に所定電圧に変換する変換手段(54a) 、変換後の電圧を各制御基板(31)(38)(46)に供給する分配手段(55a) と共に設け、」を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.に記載したとおり、引用例、及び、前記周知技術A〜Dに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例、及び、周知技術A〜Dに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明、及び、前記周知技術A〜Dに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-29 |
結審通知日 | 2006-08-29 |
審決日 | 2006-09-12 |
出願番号 | 特願平11-267195 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀬津 太朗、一宮 誠 |
特許庁審判長 |
中村 和夫 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 篠崎 正 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 谷藤 孝司 |