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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1145841
審判番号 不服2003-2482  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-17 
確定日 2006-10-25 
事件の表示 平成 9年特許願第113373号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月27日出願公開、特開平10-286345〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願の手続の経緯
本願は、平成9年4月14日に出願したものであって、平成14年12月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成14年12月20日付けで手続補正がなされ、平成15年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成15年2月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

【2】平成15年2月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成15年2月17日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
平成15年2月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技
領域に到る遊技機であって、
発射路に1個の検出器を設置すると共に複数の点灯器を配置し、
前記検出器で遊技球を検出すると、この遊技球の案内に伴う時間間隔で、前記複数の点灯器を順次点灯することを特徴とする遊技機。」

2.補正の適否の検討
本願補正発明に係る請求項1の補正は、平成14年12月20日付けで補正された【請求項1】の「点灯器」に関して、「前記複数の点灯器を順次点灯する」を、「この遊技球の案内に伴う時間間隔で、前記複数の点灯器を順次点灯する」と限定的に特定するものであって、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.引用例に記載の発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された実願昭51-64293号(実開昭52-156187号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「パチンコ玉の弾じき出る玉の通過によつて開閉するスイッチ(F)を玉ガードレール内に設け、内部にランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)を固定板(7)に設け、パチンコ機内の四隅角に、ランプを具備した広告入り角隅広告器(E)を設けるとともに、スイッチ(F)と少なくとも一個の広告器とを接続し、玉の通過によつて広告器が点滅することを特徴とするパチンコ機用広告器。」(引用例の「実用新案登録請求の範囲」)
(イ)「本考案は、パチンコ機用広告器に係り、特に、パチンコ店における既設のパチンコ機の内部四隅角に設ける広告器、或は順位ナンバーを表示するナンバー組み込み広告器を照光式と成し、ハンドル又は電動ダイヤルによつて弾かれた玉によつて照光式広告器が点滅又は明滅するパチンコ機用広告器に関するものである。」(第1頁第13〜19行)
(ウ)「パチンコ機(以下本機と略称する)は多数の本機を並列するため必ず本機の順位ナンバー(NO1から順次に所定台数まで)をプレート又は照光式として表示してある。この順位ナンバーは本機を並列設置する場合の長尺の固定板(7)に設けるのが通常である。この固定板(7)に順位ナンバーを組み込んで広告器(D)を設置する。」(第2頁第9〜16行)
(エ)「本機は殆ど角型であるが玉が弾じかれるため内部表面は玉用のガイドレール(板)が円型状のため、内部表面の上下左右の各四隅角は空洞状となつている(最近の本機はこの四隅角に装飾的象型図形などが組み込んであるが着脱可能である)。この四隅角空洞部に適合の角隅用広告器(E)を設置する。この広告器は内部にランプを具備し照光式と成し、玉が弾き出る隣接箇所に、玉の流動により開閉するスイッチ(F)を設け、照光式広告器とこのスイッチを回路的に接続し、玉の弾き出によつて広告器が点滅又は明滅しうるように構成したものである。」(第2頁第17行〜第3頁第9行)
(オ)「本機(C)の内部表面四隅角に適合しうる角隅広告器(E)を形成するに当り、四隅角に接するL状側面板(19)に、四隅側は角状であつて内方は玉のガイドレール(板)(25)の湾曲に適合する湾曲面(20)から成る正面板(18)を連設し、内部に1個又は複数個のソケット付きランプ(15)を設ける。」(第4頁第7〜12行)
(カ)「(1)は本機の基台であり、(2)は玉受皿、(3)はハンドル又は電動ダイヤル、(4)はガラス、(5)は本機内部の仕切板、(6)は本機内部であつて、玉の弾き出る隣接箇所のガードレール(板)(25)に、接点(F)が接触しない間隙を設けてガードレール(25)を切断する。固定接点(23)に絶縁板(22)を挿入し、常時はガードレール(25)の切断した間隙間でガードレール線より露出し、突出部と辺から成る可動接点(24)を玉(10)の通過によつて固定接点(23)に接触しうるよう形成し、絶縁板(22)を介して固定接点(23)と一体としスイツチ(F)を構成するとともに、他の絶縁板(22)を介してガードレール(25)に可動接点(24)の突出部を露出し固定する。」(第4頁第19行〜第5頁第12行)
(キ)「さて、遊技を始め玉を弾じくと玉の通過によつて接点(F)が開閉し、ランプ(15)が点滅するため、広告器は点滅又は明滅して感じられ、広告文字が自然と記憶されるものである。」(第6頁第12〜15行)

上記記載事項(ア)乃至(キ)の記載及び図面からみて、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「ハンドル又は電動ダイヤルによって弾じき出る玉の通過によつて開閉するスイッチ(F)を玉ガードレール内に設け、内部にランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)を固定板(7)に設け、パチンコ機内の四隅角にランプを具備した広告入り角隅広告器(E)を設けるとともに、スイッチ(F)と少なくとも一個の広告器とを接続したパチンコ機であって、玉ガードレールの玉の通過によってスイッチ(F)が開閉し、広告器が点滅するパチンコ機。」

4.対比
本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「玉」が本願補正発明の「遊技球」に相当し、以下同様に、「パチンコ機」が「遊技機」に、「玉ガードレール内」が「発射路」に、「スイッチ(F)」が「1個の検出器」に、「ランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)」及び「ランプを具備した広告入り角隅広告器(E)」が「複数の点灯器」に、「点滅」が「点灯」にそれぞれ相当している。
また、引用発明の「ランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)」は固定板(7)に、「ランプを具備した広告入り角隅広告器(E)」は本機(C)に夫々設置されるから、引用発明の「ランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)」及び「ランプを具備した広告入り角隅広告器(E)」は、パチンコ機に対し「配置」される点で、本願補正発明の「複数の点灯器」と共通の構成を具備している。
そして、一般にパチンコ機等の遊技機が、遊技における性質上、遊技球がハンドル又は電動ダイヤルで操作されて発射装置により発射路(玉ガードレール内)を案内された後に遊技領域に到り、遊技が行われることは技術常識であるから、引用発明の「遊技機」は、本願補正発明と同様に「遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技領域に到る遊技機」であること、及び引用発明の「1個の検出器」は、第7図の記載からみて明らかに発射路(玉ガードレール内)に設置されているから、本願補正発明と同様に「発射路に1個の検出器が設置」した構成を具備している。
そして、引用発明の「1個の検出器」は、発射路(玉ガードレール内)を通過する遊技球(玉)を検出すると、複数の点灯器(「ランプを具備した順位ナンバーを組み込んだ広告入り広告器(D)」及び「ランプを具備した広告入り角隅広告器(E)」)を点灯させるから、本願補正発明と「検出器で遊技球を検出すると、複数の点灯器を点灯する」点で共通の構成を備えたものといえる。

してみると、引用発明と本願補正発明とは、

「遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技領域に到る遊技機であって、
発射路に1個の検出器を設置し、複数の点灯器を配置し、
前記検出器で遊技球を検出すると、前記複数の点灯器を点灯する遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
複数の点灯器が、本願補正発明は、発射路に配置され、検出器が遊技球を検出すると遊技球の案内に伴う時間間隔で順次点灯するのに対し、引用発明は、固定板やパチンコ機内の四隅角に配置されており、また、遊技球の案内に伴う時間間隔で順次点灯するものではない点。

5.相違点についての検討
<相違点>について
発射路に複数の点灯器を配置する点に関して、複数の点灯器を点灯させるパチンコ機分野において、発射路に沿って複数の点灯器を配置することは、従来周知の技術(例えば、特開平6-15044号公報(段落【0021】〜【0023】、【図2】)、特開平8-24405号公報(段落【0017】、【0021】、【0022】)参照、以下、「周知技術1」という。)である。
また、点灯の態様に関して、打球発射装置から打ち出される打球に沿って順次発光LEDを点灯させ、前記LEDは打球の移動に伴う時間間隔で点灯していくことが、特開平8-24405号公報(段落【0017】、【0021】、【0022】参照)に、発射位置から弾発されて遊技領域に移動していく様子を順次、蛍光表示器で点灯する表示を行うことが、特開平6-218116号公報(段落【0043】参照)に記載されており、これらから、複数の点灯器を点灯させるパチンコ機分野において、複数の点灯器で発射路に沿って打ち出される遊技球の様子を、同遊技球の移動に伴う時間間隔で順次点灯して表示することは、従来周知の技術(以下、「周知技術2」という。)といえる。
そして、引用発明及び上記周知技術1、2は、パチンコ機に設けられた複数の点灯器を点灯させて遊技を盛りあげる点で技術が共通しており、また、引用発明における複数の点灯器の配置、及び点灯態様の制御に、相互に技術の転用を図ることに格別困難性はないから、引用発明の複数の点灯器の配置、及び点灯態様の制御に、発射路に沿って複数の点灯器を配置する上記周知技術1、及び複数の点灯器で発射路に沿って打ち出される遊技球の様子を、同遊技球の移動に伴う時間間隔で順次点灯して表示する上記周知技術2を各々適用し、複数の点灯器が発射路に配置され、検出器が遊技球を検出すると遊技球の案内に伴う時間間隔で順次点灯する制御を行うこと、即ち、本願補正発明に係る相違点を構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

6.作用効果・判断
そして、本願補正発明における作用効果は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が当然予測できるものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。
よって、上記「補正の却下の決定の結論」のとおり決定する。

【3】本願発明について
1.本願発明
平成15年2月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年12月20日付けの手続補正書の明細書及び図面の記載からみて、以下のとおりである。
「【請求項1】遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技
領域に到る遊技機であって、
発射路に1個の検出器を設置すると共に複数の点灯器を配置し、
前記検出器で遊技球を検出すると、前記複数の点灯器を順次点灯することを特徴とする遊技機。」

2.引用例に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記【2】3.に摘記したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、本願補正発明から前記【2】2.で検討した限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに、上記限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記【2】5.で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-08 
結審通知日 2006-08-15 
審決日 2006-09-01 
出願番号 特願平9-113373
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進太田 恒明  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 辻野 安人
小田倉 直人
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  

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