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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1145842 |
審判番号 | 不服2003-2483 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-05-08 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-17 |
確定日 | 2006-10-25 |
事件の表示 | 特願2000-330193「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 5月 8日出願公開、特開2001-120730〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】本願の手続の経緯 本願は、平成9年4月14日に出願した特願平9-113373号の一部を、平成12年10月30日に新たな特許出願としたものであって、平成14年12月4日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成14年12月20日付けで手続補正がなされ、平成15年1月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年2月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。 【2】平成15年2月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成15年2月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 平成15年2月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技 領域に到る遊技機であって、 遊技領域上の遊技球の流下通路に1個の検出器を設置すると共に複数の点灯器を配置し、 前記検出器で遊技球を検出すると、この遊技球の流下に伴う時間間隔で、前記複数の点灯器を順次点灯することを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否の検討 本願補正発明に係る請求項1の補正は、平成14年12月20日付けで補正された【請求項1】の「点灯器」に関して、「前記複数の点灯器を順次点灯する」を、「この遊技球の流下に伴う時間間隔で、前記複数の点灯器を順次点灯する」に限定的に特定するものであって、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3.引用例に記載の発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された特開平5-184712号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ア)「【実施例】本発明の入賞器20の実施例を図を参照して説明する。図1は入賞器の全体斜視図、図2は平面図、図3は側面図、図4は遊技盤3に取り付けた図、図5は図4のA〜A断面図を示す。ステンレス製帯板の遊技空間区画部材4と同じ形状の弓状に形成された樹脂製の底板21に打球の誘導路23を形成する一対の側板22が同様の弓状の形状で立設する。又、底板21には表示器用の孔24a〜24d、例えば入賞球として取り扱われる入賞口25及び遊技盤3に取り付るビス孔29を穿設する。更に、該底板21の下部には表示器27a〜27dを内装するケース28を設ける。」(段落【0007】) (イ)「遊技空間部6内の左右側端部分には、前記遊技盤3面上を流下してくる打球を受け入れる入賞器20及び遊技空間部6の内側方向に案内する案内部12を各々設け、各案内部の傾斜下端近傍に回転装飾具13を各々配設する。尚、入賞器20の底板21は遊技盤3と同一面になるようにビス孔29を介してビス止めされる。上記案内部12は、例えば、複数の障害釘14a、14b…を遊技空間区画部材4の内側近くから遊技空間部6の内側に向かって下り傾斜する列状に植設したもので、遊技空間区画部材4の内面と上端の障害釘14aとの間隙は打球が通過可能に植設され、他の障害釘14b〜14d相互間の間隙は打球の直径よりも狭くしてある。従って、遊技空間部6の側端部分に流下してきた打球は、入賞器20の誘導路内23を流下するか或は障害釘14当って遊技空間部6の内側方向に案内され、回転装飾具13に当ると該装飾具13の回転によって様々な方向に流下する。一方、前記した入賞器20の誘導路23に入った打球30は、図5に示すように底板21に穿設されている入賞口25から排出される(打球30a)か或はそのまま流下する(打球30b)。入賞口に入った打球30aは、例えば入賞球として取り扱われ、入賞表示ランプ9、表示器27a〜27d等が点滅表示したり特別遊技装置11を作動する。この様に、本発明の入賞器20を遊技空間区画部材4に沿って配設してあるため、遊技空間部6の側端部分に流下してきた打球であっても入賞球として取り扱うことが出来るため、遊技盤を広く使ってゲームの趣向を向上することができるし、表示器を配設できる空間として用いることができる。」(段落【0009】) (ウ)「次に、図6〜図8は他の入賞器40を示し、図6は平面図、図7は側面図、図8は遊技盤に取り付けた状態での断面図を示す。これらの図から明らかなように、図1〜5に示す入賞器20とは入賞口の形成箇所が異なる。即ち、本実施例での入賞口42は側板22に形成されている。従って、図5に示すように誘導路23に入ってきた打球30は、側板22に形成されている入賞口42から排出されて遊技盤状の図示略の入賞器に誘導され入賞球30a(図示略)となるか或は障害釘(図示略)に当接する。一方、入賞口42に入らなかった打球30bは、そのまま流下して排出される。尚、側板22に入賞口42を形成していても、誘導路23が弓状に形成してあるため入賞口42から排出されることは当然生ずる。尚、前記した例での入賞口の数は何れも1個であるが複数個としてもよいことは言うまでもない。」(段落【0010】) 上記記載事項(ア)乃至(ウ)の記載、及び図面の記載からみて、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「遊技空間部6内の左右側端部分には、前記遊技盤3面上を流下してくる打球を受け入れる入賞器20及び遊技空間部6の内側方向に打球30を案内する案内部12を各々設けたパチンコ機であって、遊技盤3に取り付けた入賞器20は、遊技空間区画部材4と同じ形状の弓状に形成された底板21に打球の誘導路23を形成する一対の側板22が同様の弓状の形状で立設され、底板21には表示器用の孔24a〜24dを穿設し、底板21の下部には表示器27a〜27dを内装するケース28を設けてなり、遊技空間部6の側端部分に流下してきた打球は、入賞器20の誘導路23を流下するか或は障害釘14に当って遊技空間部6の内側方向に案内され、一方、入賞器20の誘導路23に入った打球30は、底板21に穿設されている入賞口25から排出されるか、或はそのまま流下し、入賞口に入った打球30は、例えば入賞球として取り扱われ、表示器27a〜27d等を点滅表示させるパチンコ機。」 4.対比 本願補正発明と引用発明との対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「打球30」が「遊技球」に相当し、以下同様に「遊技空間部6」が「遊技領域」に、「パチンコ機」が「遊技機」に、「表示器27a〜27d等」が「複数の点灯器」に、「点滅表示」が「点灯」にそれぞれ相当している。 また、引用発明の「パチンコ機」は、遊技球が発射装置により発射路を案内された後に遊技空間部6(遊技領域)に至り遊技が行われるのは、パチンコ機における遊技の性質上明らかであることから、本願補正発明と同様に「遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技領域に到る遊技機」として機能するものといえる。 そして、引用例の上記記載事項(ア)「・・遊技盤3に取り付けた・・・・底板21には表示器用の孔24a〜24d、・・を穿設する。更に、・・底板21の下部には表示器27a〜27dを内装する・・」、同じく記載事項(イ)「・・遊技空間部6内の左右側端部分には、前遊技盤3面上を流下してくる打球を受け入れる入賞器20・・遊技空間部6の側端部分に流下してきた打球は、入賞器20の誘導路内23を流下するか・・」なる記載、及び【図5】の記載からみて、引用発明の「表示器27a〜27d等」は、遊技盤3に対して取り付けられており、遊技空間部6(遊技領域)上に打球30(遊技球)の流下通路に配置されていると解されるから、本願補正発明と同様に「遊技領域上の遊技球の流下通路に複数の点灯器を配置」された構成を備えるといえる。 さらに、本願補正発明の「検出器」に関して、引用例の上記記載事項(イ)「入賞器20の誘導路23に入った打球30は、・・底板21に穿設されている入賞口25から排出される・・か或はそのまま流下する・・。入賞口に入った打球30aは、例えば入賞球として取り扱われ、・・表示器27a〜27d等が点滅表示したり・・」なる記載に基づけば、誘導路23に入った打球30(遊技球)が入賞口に入賞すると、表示器27a〜27d等(複数の点灯器)を点滅表示(点灯)させるものであり、しかも、点灯させる契機として打球30(遊技球)を何らかの検出装置で検出させることはパチンコ機分野における技術常識(例えば、特開平9-24138号公報(段落【0007】〜【0009】)、実願平5-64062号(実開平7-33384号)のCD-ROM、参照)といえるから、引用発明は、本願補正発明と「検出器で遊技球を検出すると、複数の点灯器を点灯する」点で共通の構成を備えるといえる。 してみると、引用発明と本願補正発明とは、 「遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技領域に到る遊技機であって、 遊技領域上の遊技球の流下通路に複数の点灯器を配置し、 検出器で遊技球を検出すると、前記複数の点灯器を点灯する遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 本願補正発明は、検出器が遊技球の流下通路に1個設置され、1個の検出器で遊技球を検出すると複数の点灯器が遊技球の流下に伴う時間間隔で順次点灯するのに対し、引用発明は、検出器が遊技球の流下通路に1個設置されているか否か明らかでなく、また、複数の点灯器が遊技球の流下に伴う時間間隔で順次点灯するものでない点。 5.相違点についての検討 <相違点>について パチンコ機分野において、遊技領域上の流下通路に設置される検出器が遊技球を検出すると点灯器を点灯させる技術として、パチンコ玉流下通路に沿って1個のパチンコ玉検出スイッチを設け、パチンコ玉が通過すると発光手段を発光させる点が、実願平5-64062号(実開平7-33384号)のCD-ROM(段落【0009】、【0010】参照)に、また、遊技盤に設けられる表示装置の周辺側面に検出器を設け、可動体(遊技球)の通過を検出すると表示装置の表示を変更させる点が、特開平8-266719号公報(段落【0007】、【0011】、【0019】、【0025】参照)に記載されており、これらから、パチンコ機分野において、遊技球を検出すると点灯器を点灯させる検出器を遊技領域上の流下通路に設置することは、従来周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であり、また、1個の検出器が遊技球を検出すると、複数の点灯器を点灯させる点も、従来周知の技術(例えば、実願昭51-64293号(実開昭52-156187号)のマイクロフィルム(第8図)、特開平9-24138号公報(段落【0007】〜【0009】)参照:以下「周知技術2」という。)といえる。 そして、複数の点灯器が遊技球の流下に伴う時間間隔で順次点灯する点に関して、打球発射装置から打ち出される打球に沿って順次発光LEDを点灯する点が、特開平8-24405号公報(段落【0017】、【0021】、【0022】参照)に、また、パチンコ玉(遊技球)が発射位置から弾発されて遊技領域に移動していく様子を複数の蛍光表示器で順次点灯の制御を行う点が、特開平6-218116号公報(段落【0043】参照)及び特開平6-246051号公報(段落【0043】参照)に記載されており、これらから、複数の点灯器を点灯させるパチンコ機分野において、複数の点灯器を遊技球が移動するように順次点灯を行うことは、従来周知の技術(以下、「周知技術3」という。)といえる。 そして、引用発明及び上記周知技術1、2、3は、遊技機に配置された点灯器を点灯させる点で技術分野が共通しており、また、引用発明における検出器の設置、及び複数の点灯器の点灯態様の制御に、相互に技術の転用を図ることに格別困難性はなく、そして、上記周知技術3の遊技球が移動するように順次点灯を行う際に、遊技球の移動が遊技領域の箇所の違いで発射時や流下時となる等の各態様に合わせて、例えば、遊技球の流下に伴うように順次点灯を行わせることも、適宜に変更し得る設計事項といえるから、引用発明の検出器の設置、及び点灯器の点灯態様に、遊技領域上の流下通路に検出器を備える上記周知技術1、1個の検出器で複数の点灯器を点灯させる上記周知技術2、及び複数の点灯器を遊技球が移動するように順次点灯を行う上記周知技術3を各々適用し、検出器が遊技球の流下通路に1個設置され、1個の検出器で遊技球を検出すると複数の点灯器が遊技球の流下に伴う時間間隔で順次点灯するように制御を行うこと、即ち、本願補正発明に係る相違点を構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 6.作用効果・判断 そして、本願補正発明における作用効果は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が当然予測できるものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 7.むすび 以上のとおり、本願補正発明は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。 よって、上記「補正の却下の決定の結論」のとおり決定する。 【3】本願発明について 1.本願発明 平成15年2月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年12月20日付けの手続補正書の明細書及び図面の記載からみて、以下のとおりである。 「【請求項1】遊技球が発射装置の操作により発射路を案内された後に遊技 領域に到る遊技機であって、 遊技領域上の遊技球の流下通路に1個の検出器を設置すると共に複数の点灯器を配置し、 前記検出器で遊技球を検出すると、前記複数の点灯器を順次点灯することを特徴とする遊技機。」 2.引用例に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記【2】3.に摘記したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、本願補正発明から前記【2】2.で検討した限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに、上記限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記【2】5.で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-03 |
結審通知日 | 2006-08-08 |
審決日 | 2006-09-04 |
出願番号 | 特願2000-330193(P2000-330193) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塩崎 進、太田 恒明 |
特許庁審判長 |
伊波 猛 |
特許庁審判官 |
辻野 安人 渡部 葉子 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 犬飼 達彦 |