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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L |
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管理番号 | 1146173 |
審判番号 | 不服2004-22576 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2003-06-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-05 |
確定日 | 2006-10-30 |
事件の表示 | 特願2001-402115「豆腐製造の装置と方法およびパック詰め豆腐の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月 3日出願公開、特開2003-159021〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年11月26日の出願であって、平成16年9月21日に拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年10月6日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成16年10月6日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年10月6日付の手続補正を却下する。 [理由] 上記補正は、出願当初の請求項4に係る発明である「豆腐の材料を、凝固温度保持装置を有し豆腐多数丁分の容積を有し且つ、製造品目に対応した型箱の上部入り口側から、所要流量で供給していくと、所要時間経過した材料は、型箱の下部より次々と豆腐になるので、豆腐になり次第、押し込まれて閉じていた底板を引き出し、自重移動しないときは移動手段を用いて、所要の厚みまで、パックもしくは受け板、いずれかで受けて取り出し、底板を押し込み切断して製造する、凝固温度を保持した豆腐の製造方法。」を、請求項3として「豆腐の材料を、豆腐多数丁分の容積を有し且つ、製造品目に対応した型箱の入り口側から、所要流量で型箱へ供給していくと、所要時間経過した材料は、型箱の出口側より次々と豆腐になるので、豆腐になり次第、型箱の所要部の所要数の底板を出し入れして、豆腐を移動し切断しパックに詰める、パック詰豆腐の製造方法。」と補正するものである。 しかるに、当初の請求項4は、「凝固温度保持装置を有し」を発明特定事項とするものであるところ、補正後の請求項3では、「凝固温度保持装置を有し」という発明特定事項については記載するところがない。そうすると、上記発明特定事項が削除された補正は、実質的に特許請求の範囲を拡張するものであるから、特許法17条の2,4項各号に規定する事項のどれにも該当しない。 してみれば、本件補正は、特許法17条の2、4項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成16年10月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「豆腐の材料を所要流量で型箱へ供給する手段を有する装置、凝固適温保持装置を有する豆腐多数丁分の容積の型箱、型箱の所要部には出し入れ出来る手段を有する所要数の底板、からなる豆腐製造装置。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された「特開平8-56601号公報」(以下、「引用例」という。)には、 (a)「【請求項1】筒状の本体と、この本体の入口部に設けられ、凝固剤を添加した豆乳を本体に供給する豆乳供給部と、上記本体の出口部に設けられ、凝固、熟成した豆腐を取り出す取出部を有してなり、本体内で豆乳が凝固、熟成しながら出口部へ移動するようにした豆腐連続自動製造装置。」(請求項1)、 (b)「【請求項5】請求項1ないし4のいずれか1項において、上記取出部は、上記本体の豆乳収容部内で豆乳が凝固、熟成した豆腐を所望の厚さに切断するための刃を有し、かつ本体の豆乳収容部と外部とを仕切るためのカッターと、該カッターの下方に設けられ、該カッターにより切断された豆腐を載せるための底板と、該底板に取り付られ、該底板を昇降するための昇降機構と、上記底板に載せられた豆腐を底板の側方に押出すための押出部からなること特徴とする豆腐連続自動製造装置。」(請求項5)、 (c)「このような構成の豆腐連続自動製造装置により、豆腐を製造するには、凝固剤が添加され、温度が40〜97℃の豆乳を豆乳供給パイプ3から本体1内に供給する。本体1内の豆乳は、凝固剤の凝固作用によって凝固、熟成し、その底部には凝固、熟成した豆腐が形成されてゆく。そして、一定の時間を経て、下層の豆乳が十分凝固、熟成し、豆腐となったとき、図3に示すように昇降機構5が作動し、底板4が所定距離下降する。また、これと同時に、移動装置7が作動し、カッター6が後退する。すると、本体1の底板開口を覆っているカッター6が外れることにより、本体1中の豆乳(一部凝固)はその自重により下降し、特にその下層は十分凝固、熟成して豆腐となっていることから底板4の上に落ち、その状態で底板4の下降に伴って下降する。」(段落【0015】)、及び (d)「そして、昇降機構5の作動が一旦停止し、底板4の下降が停止すると、移動装置7が再度作動し、図4に示すようにカッター6が前進して再度本体1の豆乳収容部1dと外部とを仕切る。すると、カッター6の先端側には刃が形成されていることから、底板4の下降に伴って下降した豆腐と依然本体1内に留まる豆腐とが切断され分離せしめられる。さらに、カッター6が前進し、本体1の豆乳収容部1dと外部とを完全に仕切った状態となってその前進を停止すると、押出部8が作動して押出板8cが前進し、図5に示すように底板4上の豆腐Sは底板4の側方に押し出される。押し出された豆腐は、さらに切断、容器充填等の工程を経たのち、冷却槽にて中心部の温度が10℃以下に冷却され、製品化される。ここで底板4の近傍に上述した刃が設けられている場合は、底板4上の豆腐Sは底板4の側方に押し出されながら切断され、この後容器充填等の工程を経た後、上記方法と同様にして、製品化される。また、容器充填等の工程の際、豆腐を収容するための容器を一定方向に移動するベルト等に載せて移動させながら、豆腐を収容するようにしてもよい。そして、底板4上より豆腐を押し出すと、押出部8が逆に作動し、押出板8cが後退する。また、押出板8cが後退して図2に示した元の位置に復帰すると、昇降機構5が再度作動し、底板4が上昇して図2に示すようにカッター6の下面に当接した位置に復帰する。」(段落【0016】)が記載されている。 上記(a)ないし(d)の記載からみて、引用例には、「筒状の本体と、この本体の入口部に設けられ、凝固剤を添加した豆乳を本体に供給する豆乳供給部と、上記本体の出口部に設けられ、凝固、熟成した豆腐を取り出す取出部を有してなり、該取出部は、上記本体の豆乳収容部内で豆乳が凝固、熟成した豆腐を所望の厚さに切断するための刃を有し、かつ本体の豆乳収容部と外部とを仕切るためのカッターと、該カッターを前進、後退させる移動装置と、該カッターの下方に設けられ、該カッターにより切断された豆腐を載せるための底板と、該底板に取り付られ、該底板を昇降するための昇降機構と、上記底板に載せられた豆腐を底板の側方に押出すための押出部とからなり、本体内で豆乳が凝固、熟成しながら出口部へ移動するようにした豆腐連続自動製造装置。」が記載されているものと認める。 (3)対比・判断 本願発明と上記のとおり認定した引用例に係る発明を対比する。 引用例に係る「底板」は、昇降機構により昇降するものであるところ、本体に対し昇降するという動作は、本体に対し「出し入れ」することに他ならないから、引用例に係る「底板」は、本願発明で特定する「出し入れ出来る手段を有する底板」に該当する。 また、本願明細書には、「2A 出し入れ出来る手段を有する切断用底板」(図面の簡単な説明)と記載されているところ、引用例においては、移動装置を作動させてカッターを本体に対し出し入れ出来るようにしていることから、引用例に係る「カッター」は、本願発明で特定する「出し入れ出来る 手段を有する底板」に該当する。 さらに、引用例には、「押し出された豆腐は、さらに切断、容器充填等の工程を経たのち、冷却槽にて中心部の温度が10℃以下に冷却され、製品化される。」(摘示事項(d)参照。)と記載されていることからも明らかなとおり、引用例に係る「筒状の本体」は、当然に豆腐多数丁分の容積を有するものである。 上記した事項を踏まえて両者を対比すると、両者は、「豆腐の材料を所要流量で型箱へ供給する手段を有する装置、豆腐多数丁分の容積の型箱、型箱の所要部には出し入れ出来る手段を有する所要数の底板、からなる豆腐製造装置」の点で一致し、ただ、前者では、型箱が「凝固適温保持装置」を有しているのに対して、後者ではそうでない点で、両者は相違する。 (相違点についての検討) 引用例には、「図16は、この発明の第8実施例を示すものであって、この例にあっては、本体1の内面に加熱用電極11,11を相対向して設けたものである。この例の装置は、比較的低温、例えば0〜60℃の豆乳を用いる場合に好適であって、加熱用電極11,11間に交流または直流の電流を印加してジュール熱で豆乳を加熱し、凝固剤の凝固作用を発現させて、豆乳を凝固、熟成させることができる。また、加熱部としては、加熱用媒体を流す加熱用配管を本体1内の空間部分に設けたものであってもよい。」(段落【0045】)との記載があり、この記載の「加熱用電極」及び「加熱用配管」は、まさに本願発明でいう凝固適温保持装置に該当するものであるから、型箱に凝固適温保持装置を設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明に係る効果も、引用例に記載された事項から予測されるところを超えて優れているとはいえない。 そうすると、本願発明は、引用例に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたといえる。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本出願に係る他の請求項について検討するまでもなく、本出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-17 |
結審通知日 | 2006-08-22 |
審決日 | 2006-09-05 |
出願番号 | 特願2001-402115(P2001-402115) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 淳子 |
特許庁審判長 |
田中 久直 |
特許庁審判官 |
長井 啓子 河野 直樹 |
発明の名称 | 豆腐製造の装置と方法およびパック詰め豆腐の製造方法 |