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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23Q
管理番号 1146326
審判番号 不服2004-19812  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-24 
確定日 2006-11-01 
事件の表示 特願2000-221188「切削加工金属部品の欠陥検出装置。」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月 5日出願公開、特開2002- 36070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成12年7月21日の特許出願であって、同16年1月5日付で拒絶の理由が通知され、同16年3月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同16年8月17日付で拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同16年9月24日に本件審判の請求がされるとともに手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。

(1) 補正前の請求項1
「モータにより定速回転し、しかも金属部品の固定手段を備えたターンテーブルと、該ターンテーブルに固定された金属部品内部に向けて進退させる手段により進退自在であって、金属部品の内周面に沿って施された凹状の切削溝内底面に沿って転動が可能なローラー測定子と、該ローラー測定子と同軸に設けられた円盤と、該ローラー測定子および円盤をその進退方向に対して交差する一定方向に変位させるエアシリンダー若しくは油圧シリンダーとを有する測定部と、上記円盤の外周面に当接し、円盤の変位を感知して異物の存在あるいは凹部変形を検出するリミットスイッチ又は変位センサによるセンサ部とからなる切削加工金属部品の欠陥検出装置。」

(2) 補正後の請求項1
「鋳造あるいは鍛造成型された自動車部品等の金属部品であって、内径側に凹状の溝を切削成型加工してなる金属部品における成型凹部内の異物の存否を確認するためのものであって、モータにより定速回転し、しかも金属部品の固定手段を備えたターンテーブルと、該ターンテーブルに固定された金属部品内部に向けて進退させる手段により進退自在であって、金属部品の内周面に沿って施された凹状の切削溝内底面に沿って転動が可能なローラー測定子と、該ローラー測定子と同軸に設けられた円盤と、該ローラー測定子および円盤をその進退方向に対して交差する一定方向に変位させるエアシリンダー若しくは油圧シリンダーとを有する測定部と、上記円盤の外周面に当接し、円盤の変位を感知して異物の存在あるいは凹部変形を検出するリミットスイッチ又は変位センサによるセンサ部とからなる切削加工金属部品の欠陥検出装置。」

2 補正の適否
請求項1における補正は、切削加工金属部品の欠陥検出装置が鋳造あるいは鍛造成型された自動車部品等の金属部品であって、内径側に凹状の溝を切削成型加工してなる金属部品における成型凹部内の異物の存否を確認するためのものである旨の限定事項を付加し、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

(1) 補正発明
補正発明は、本件補正により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、上記1の(2) の補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

(2) 引用例記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に頒布された刊行物である実願昭63-77899号(実開平2-606号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、以下のとおり記載されている。
「[課題を解決するための手段]
本願考案に係る鋳鉄管受口内面の凹溝自動検査装置は、鋳鉄管を装置内の所定の位置に搬入して位置を定める手段、鋳鉄管受口内面の凹溝へ移動自在に検出ローラを嵌入したのち一定角度だけ鋳鉄管を回動する手段、この回動中において検出ローラの管軸方向およびこれと直角方向への移動量をカウントするパレススケール、さらに一定角度ごとの回動とそのカウントを繰返し当該カウント量が所定の基準を超えるときは警告を発信する手段とからなることによって前に述べた課題を解決した。
[作用・実施例]
第1図は本願考案の実施例を示す全体の平面図、第2図と第3図は検査装置を具体的に示す正面図である。これらの図面に基いて本願考案の作用を説明する。
第1図の自動検査装置1は検出ローラおよびその駆動機構2(第2図)と、これと直角方向に流れる鋳鉄管Pの搬入および位置決めの公知手段3と、この測定結果を入力して自動的に合否を判定し警告を発信する電子回路4とからなっている。
第2図は検出ローラおよびその駆動機構2の実施例を示し、第3図はこれによる検査の原理を示す正面断面図である。第1図において検出ローラ5は図の左右(水平)、上下(垂直)の何れの方向へも移動可能に軸支されており、当然ローラ幅は対象とする内面凹講の溝幅よりは小さく設定されている。検査ローラ5は油圧シリンダー6によって上下に昇降すると共に油圧シリンダー7によって左右に水平移動することができる。なお、この実施例では凹溝の管端からの位置が管の種類(口径や形状)によって異なるので、これに対応して鋳造管Pが左右へ進退できるように別の油圧シリンダ8を設けている。鋳造管Pを一定角度だけ、たとえば90°だけ回動するのは回転ローラ9の時間的に制御された駆動による。
第2図は検出ローラ5を油圧シリンダ6,7,8の駆動によって鋳造管Pの凹溝Dの底面へ嵌入した状態(実線)から、前記手段によって90°だけ鋳造管Pを回動させたとき、もし凹溝D内に鋳瘤Lがあれば検出ローラ5はこのために持ち上げられ、正常な状態から水平方向に△x、垂直方向に△yだけ持ち上げられ(点線)、この△x,△yの量はパルススケール10でカウントし、パルスカウンター11からマイクロコンピュータ12に入る。
パルススケールとは、光学式スケールでガラスにクロムを蒸着しエッチングして目盛りを形成したもので、これが主尺となり主尺に同じピッチのスケールを対向させてある角度傾けるとモアレ縞が発生し、このモアレ縞の明暗を太陽電池が検出して光電変換を行い計測する原理に立つ。この値はカウンターからパーソナルコンピュータへ入った後、あらかじめ記憶されている当該測定管の属する管種ごとに与えられた基準値(例えば第1表)と比較して合否の判定をする。」(明細書5頁3行-7頁19行)

また、第2図には装置の実施例を示す正面断面図、第3図には検査の原理を説明する正面断面図が記載されており、検出ローラ5の移動量△y、すなわち検出ローラ5の軸の移動量△yを検出ローラ5から離れた位置に設けたパルススケール10でカウントしているのであるから、検出ローラ5の軸の変位を示す部材が設けられていることは技術常識より明らかである。

以上のとおりであるので、技術常識を踏まえ、補正発明に照らして整理すると、引用例には、次の「鋳鉄管の検査装置」が記載されていると認める。
「鋳鉄管Pを支持し回動する手段と、該手段に支持された鋳鉄管P内部に向けて進退させる油圧シリンダーにより進退自在であって、鋳鉄管Pの内周面に沿って施された凹溝D内底面に沿って転動が可能な検出ローラ5と、検出ローラ5の軸の変位を示す部材と、該検出ローラ5と該部材をその進退方向に対して交差する一定方向に変位させる油圧シリンダーとを有する測定手段と、上記部材の変位を感知して凹溝Dの突出物を検出するパルススケール10、パルスカウンター11等による検出手段とからなる鋳鉄管の検査装置。」(以下「引用例記載の発明」という。)。

(3) 対比
補正発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「鋳鉄管P」は、補正発明の「金属部品」に相当しており、以下同様に、「検出ローラ5」は「ローラー測定子」に、「鋳鉄管内部に向けて進退させる油圧シリンダー」は「金属部品内部に向けて進退させる手段」に、「測定手段」は「測定部」に、「検査装置」は「欠陥検査装置」にそれぞれ相当していることが明らかである。
また、補正発明の「円盤」は、ローラ測定子の軸の変位をセンサ部で感知できるようにローラ測定子の軸と一体に変位するものと解されるので、引用例記載の発明の「ローラー測定子の軸の変位を示す部材」は、その限りで、補正発明の「円盤」と一致しており、引用例記載の発明の「金属部品を支持し回動する手段」は、その限りで、補正発明の「モータにより定速回転し、しかも金属部品の固定手段を備えたターンテーブル」と一致している。
さらに、引用例記載の発明の「凹溝D」は、「凹状の溝」であることに限り、補正発明の「凹状の切削溝」と一致し、引用例記載の発明の「凹溝Dの突出物を検出する」ことは、「凹状の溝の欠陥を検出する」ことに限り、補正発明の「異物の存在を検出する」ことと一致し、引用例記載の発明の「パルススケール、パルスカウンター等による検出手段」は、「センサ部」であることに限り、補正発明の「リミットスイッチ又は変位センサによるセンサ部」と一致している。

以上のとおりであるので、両者は、次の「金属部品の欠陥検査装置」で一致している。
「金属部品を支持し回動する手段と、該手段に支持された金属部品内部に向けて進退させる手段により進退自在であって、金属部品の内周面に沿って施された凹状の溝内底面に沿って転動が可能なローラー測定子と、該ローラー測定子の軸の変位を示す部材と、該ローラー測定子および該部材をその進退方向に対して交差する一定方向に変位させる油圧シリンダーとを有する測定部と、上記部材の変位を感知して凹状の溝の欠陥を検出するセンサ部とからなる金属部品の欠陥検出装置。」

そして、両者は、次の点で相違している。
ア 金属部品を支持し回動する手段が、補正発明では、モータにより定速回転し、しかも金属部品の固定手段を備えたターンテーブルであるのに対し、引用例記載の発明では、特定されていない点(以下「相違点1」という。)。
イ 補正発明では、ローラー測定子の軸の変位を示す部材が、円盤であってローラー測定子と同軸に設けられており、センサ部が、円盤の外周面に当接し、円盤の変位を感知するリミットスイッチ又は変位センサによるものであるのに対し、引用例記載の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点2」という。)。
ウ 補正発明では、金属部品が鋳造あるいは鍛造成型された自動車部品等の金属部品であって、凹状の溝が切削成型加工された凹状の切削溝であり、また、検出する凹状の溝の欠陥が凹部内の異物の存在であるのに対し、引用例記載の発明では、特定されていない点(以下「相違点3」という。)。

(4) 相違点の検討
上記各相違点について、以下検討する。
ア 相違点1について
部品を支持し回動する手段として、モータにより定速回転し、部品の固定手段を備えたターンテーブルは、例示するまでもなく従来周知である。
したがって、引用例記載の発明の金属部品を支持し回動する手段として上記従来周知なターンテーブルを採用することにより、相違点1における補正発明の特定事項は当業者が容易に想到することができたことである。

イ 相違点2について
ローラー測定子の軸の変位を示す部材について、その形状及びローラー測定子に対する配置をどのようなものとするかは、必要に応じて適宜決定する設計的事項であって、形状を円盤としてローラー測定子と同軸に設けることに格別の困難性は見当たらない。
また、被検出物に当接してその変位を感知するリミットスイッチ又は変位センサは、例示するまでもなく従来周知であるので、上記ローラー測定子の軸の変位を示す部材を円盤に変更するに際し、センサ部を円盤の外周面に当接し、円盤の変位を感知するリミットスイッチ又は変位センサによるものとすることにも格別の困難性は見当たらない。

ウ 相違点3について
引用例記載の発明の凹状の溝は、切削成型加工された凹状の切削溝ではないが、鋳造あるいは鍛造成型された自動車部品等の金属部品あって、内径側に切削成型加工された凹状の切削溝を有するものは、例示するまでもなく従来周知であり、また、引用例記載の発明の欠陥検出装置の検出対象である凹状の溝を、上記従来周知な切削成型加工された凹状の切削溝とすることに阻害要因が見出せない。
したがって、引用例記載の発明の金属部品を鋳造あるいは鍛造成型された自動車部品等の金属部品に代えて、内径側に切削成型加工された凹状の切削溝の欠陥を検出することは、当業者が容易に想到することができたことである。また、検出された凹状の切削溝の欠陥を凹部内の異物の存在とすることは、切削溝である以上、切削屑等の異物の発生は予想されるところであり、例えば特開平8-285762号公報1欄36-38行に溝の内面に押し付けたローラ軸の変位から溝内の異物を検知することが従来の技術として記載されているように、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項にすぎない。

エ 補正発明の作用効果について
補正発明が奏する作用効果は、引用例記載の発明及び上記従来周知の各事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。
したがって、補正発明は、引用例記載の発明及び上記従来周知の各事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1及び2に係る発明は、平成16年3月11日付手続補正書により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認めるところ、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、上記第2の1の(1) の補正前の請求項1に示したとおりである。

2 引用例記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記第2の2の(2) に示したとおりである。

3 対比・判断
本件発明は、上記第2の2で述べたとおり、補正発明の特定事項から、上記限定事項が省かれたものである。
そうすると、上記第2の2の(4) で検討したとおり、補正発明は、引用例記載の発明及び上記従来周知の各事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、補正発明の特定事項から上記限定事項が省かれた本件発明についても、同様の理由により、引用例記載の発明及び上記従来周知の各事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるので、本件発明は、引用例記載の発明及び上記従来周知の各事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件出願の請求項2に係る発明について判断するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-18 
結審通知日 2006-08-29 
審決日 2006-09-11 
出願番号 特願2000-221188(P2000-221188)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木 誠齋藤 健児  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 鈴木 孝幸
佐々木 正章
発明の名称 切削加工金属部品の欠陥検出装置。  
代理人 吉村 公一  

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