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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01P
管理番号 1146361
審判番号 不服2004-22333  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-06-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-11-02 
事件の表示 平成 9年特許願第318120号「アンテナ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 8日出願公開、特開平11-154807〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は,平成9年11月19日の出願であって,特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成15年12月1日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「同軸線路と,上記同軸線路の同軸外導体に上記同軸線路の伸長方向に対して略垂直に,かつ上記同軸外導体を分断するように設けたスリットと,中空内部を上記同軸線路が貫通し上記スリットを覆うように配置した使用周波数帯の1/2波長の長さの中空導体パイプと,を備えた電磁結合による同軸線路給電ダイポールアンテナを素子アンテナとし,上記素子アンテナを上記同軸線路の伸長方向に複数個配列したアレーアンテナであって,
給電側に最も近い第1の素子アンテナから,使用周波数帯の電気長で1/2波長の整数倍の距離だけ給電側へ離れた任意の位置に,同軸線路伸長方向の長さが使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器を装架することを特徴とするアンテナ装置。」

2.引用発明
A.原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-250927号公報(以下,「引用例1」という。)には図面とともに以下イ〜への事項が記載されている。

イ.「【請求項1】 同軸線路と,上記同軸線路の外導体に,同軸線路の伸長方向に略垂直に設けられ,上記外導体を分断するスリットと,その中空内部を上記同軸線路が貫通し,上記スリットを覆うように配置され,使用周波数帯における電気長が約1/2波長の長さの導体パイプとを備えたアンテナ装置。」(第1頁第1欄第2〜7行)
ロ.「【請求項5】 請求項1,2,3または4記載のアンテナ装置を素子アンテナとし,上記素子アンテナを同軸線路または円形同軸線路の伸長方向に複数個備えてアレーアンテナを形成したことを特徴とするアンテナ装置。」(第1頁第1欄第23〜26行)
ハ.「【作用】請求項1のアンテナ装置においては,同軸ダイポールアンテナの放射導体を,給電同軸線路外導体中のスリットと電磁結合させることにより,簡単な構造のアンテナが実現できる。」(第3頁第4欄第49行〜第4頁第5欄第2行)
ニ.「【0023】請求項5のアンテナ装置においては,素子アンテナが同軸給電電磁結合ダイポールアンテナであり,これを複数個多段に設けているので,アレーアンテナとしての動作特性が得られる。」(第4頁第5欄第18〜21行)
ホ.「【発明の効果】以上のように,請求項1の発明によれば,同軸外導体と放射用中空導体パイプの接合が不要なので,構造が簡単で加工工程を簡略化できる。」(第7頁第12欄第45〜47行)
ヘ.「【0065】請求項5の発明によれば,素子アンテナが同軸給電電磁結合ダイポールアンテナであり,これを複数個多段に設けているので,アレーアンテナとしての動作特性が得られる。」(第8頁第13欄第7〜10行)
したがって,上記摘記事項イ〜ヘ及び関連図面を考慮することにより,上記引用例1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されている。
「同軸線路と,上記同軸線路の外導体に上記同軸線路の伸長方向に対して略垂直に,かつ上記外導体を分断するように設けたスリットと,中空内部を上記同軸線路が貫通し上記スリットを覆うように配置した使用周波数帯における電気長が約1/2波長の長さの導体パイプと,を備えた同軸給電電磁結合ダイポールアンテナを素子アンテナとし,上記素子アンテナを上記同軸線路の伸長方向に複数個配列したアレーアンテナを含むアンテナ装置。」

B.同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-213303号公報(以下,「引用例2」という。)には図面とともに以下ト〜チの事項が記載されている。

ト.「(1)電気的長さがほぼλ/2(λは波長)又はその整数倍の長さの線条導体の一端を給電点とする線条アンテナに於て,該給電点のインピーダンスZaと該線状アンテナを接続する通信機器の入出力端インピーダンスZbとの間の整合をはかる手段として,これら両者間に特性インピーダンスがZ0でかつ長さがほぼλ/4又はその奇数倍の同軸ケーブルを挿入し,前記夫々のインピーダンス関係が|Z0|=√ZaZbであることを特徴とするアンテナ装置。」(第1頁左下欄第5〜14行)
チ.「本発明のアンテナ装置は,以上説明したように,分布定数回路を用いてインピーダンス整合を行っているから集中定数回路素子を用いた従来のものに比して,外部環境の影響を受けにくく極めて安定した放射パターン及び利得を示す効果にすぐれ,かつ,基本周波数帯とその奇数倍の周波数に於て共用することができ,無線通信,特に移動通信の通信可能範囲の拡大及びその安定化に極めて大きな効果をもたらす。」(第4頁右下欄第15行〜第5頁左上欄第3行)
上記摘記事項において,「長さがほぼλ/4又はその奇数倍の同軸ケーブル」が「使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器」と実質的に差異がないことは当業者に自明である。
したがって,上記摘記事項ト〜チ及び関連図面並びにこの技術分野の常識を考慮することにより,上記引用例2には以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が開示されている。
「使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器を設けたアンテナ装置」。

3.対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比する。
引用発明の「外導体」,「使用周波数帯における電気長が約1/2波長の長さの導体パイプ」及び「同軸給電電磁結合ダイポールアンテナ」と本願発明の「同軸外導体」,「使用周波数帯の1/2波長の長さの中空導体パイプ」及び「電磁結合による同軸線路給電ダイポールアンテナ」とはそれぞれ差異はなく,実質的に同じものであることは当業者に自明である。
したがって,本願発明と引用発明1は,以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「同軸線路と,上記同軸線路の同軸外導体に上記同軸線路の伸長方向に対して略垂直に,かつ上記同軸外導体を分断するように設けたスリットと,中空内部を上記同軸線路が貫通し上記スリットを覆うように配置した使用周波数帯の1/2波長の長さの中空導体パイプと,を備えた電磁結合による同軸線路給電ダイポールアンテナを素子アンテナとし,上記素子アンテナを上記同軸線路の伸長方向に複数個配列したアレーアンテナを含むアンテナ装置。」

<相違点>
本願発明が「給電側に最も近い第1の素子アンテナから,使用周波数帯の電気長で1/2波長の整数倍の距離だけ給電側へ離れた任意の位置に,同軸線路伸長方向の長さが使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器を装架する」構成を有するのに対し,引用発明はそのような構成を備えていない点。

上記相違点について検討するに,アンテナのインピーダンス整合を図るためにアンテナ装置に使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器を設けることは引用例2に開示されており,且つインピーダンス整合の技術分野において給電点から使用周波数帯の電気長で1/2波長の整数倍の位置にインピーダンス整合用回路素子を設けることは,例えば,特開平9-205304号公報の請求項1,段落【0013】及び1997年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,講演論文集1,B-1-76,西澤 一史等,「電磁結合同軸ダイポールアレーアンテナの入力インピーダンス整合法」,1997年8月13日,社団法人電子情報通信学会発行等から明らかなように周知技術といえる。してみると,引用発明1に引用文献2及び周知技術を適用して本願発明のような「給電側に最も近い第1の素子アンテナから,使用周波数帯の電気長で1/2波長の整数倍の距離だけ給電側へ離れた任意の位置に,同軸線路伸長方向の長さが使用周波数帯における電気長で1/4波長の長さを持つ変成器を装架する」ことは,当業者であれば容易に想到し得ることである。
そして,本願発明に関する作用・効果も,引用発明1,2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものにすぎない。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明1,2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-30 
結審通知日 2006-09-05 
審決日 2006-09-19 
出願番号 特願平9-318120
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸田 伸太郎  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 小林 紀和
浜野 友茂
発明の名称 アンテナ装置  
代理人 高田 守  

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