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審決分類 再審 全部無効 請求書の表示、請求 無効としない A61F
再審 全部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益 無効としない A61F
再審 全部無効 審理方式、審理手続 無効としない A61F
管理番号 1146408
審判番号 再審2002-95004  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許再審公報 
発行日 1994-01-18 
種別 再審 
審判請求日 2002-04-19 
確定日 2004-06-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第2795782号発明「アイシング材」に係る特許無効審判事件(無効2000-35412)に対する再審事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件再審の請求は、成り立たない。 再審費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件は,特許第2795782号に係る無効審判事件(無効2000-35412)に対する再審事件であるが,本件特許権に係るこれまでの手続の主な経緯は次のとおりである。
・平成4年7月23日:特許出願(特願平4-218583号,優先権主張:同年4月28日(特願平4-135783号に基づく))
・平成10年6月26日:特許権の設定登録(特許権者:加納達哉(本件再審請求人))
・平成11年9月1日:特許異議の申立て(平成10年異議第76255号)に対して,「訂正を認め,特許を維持する」旨の決定がなされる。(同月16日確定)
・平成12年3月22日:鳴神鐘(原審判被請求人)への特許権の移転が登録される。
・平成12年7月27日:無効審判請求(請求人:ライオン株式会社(本件再審被請求人))〔原審判事件〕
・平成12年11月2日:加納達哉から原審被請求人への補助参加申請がなされる。〔乙第1号証〕
・平成13年3月14日:第1回口頭審理開催
・平成13年4月23日:参加許否の決定(加納達哉の参加申請を許可する。)〔乙第2号証〕
・平成13年9月11日:第2回口頭審理開催
・平成14年1月22日:審決(同年2月28日に確定)〔甲第2号証〕
・平成14年4月19日:本件再審請求
・平成14年5月9日:原告加納達哉,被告鳴神鐘間の大阪地方裁判所平成12年(ワ)第11763号事件の確定判決(同年3月4日判決言渡,同月20日確定)〔甲第3,4号証〕に基づく「『平成12年3月22日付けの特許権の移転登録』の抹消」が登録される。

2.原審判事件の審決
原審判事件(無効2000-35412)の審決は,当事者として,請求人をライオン株式会社(代理人:中村稔・外10名),及び被請求人を鳴神鐘(代理人:中野収二)と記載し,さらに参加人として加納達哉(代理人:清原義博)を記載した上で,次のとおり結論した。(甲第2号証参照)
「特許第2795782号の請求項1,請求項3,請求項6〜9に係る発明についての特許を無効とする。
特許第2795782号の請求項2,請求項4,請求項5,請求項10〜13に係る発明についての審判請求は,成り立たない。
審判費用は,審判費用中参加によって生じたものは補助参加人の負担とし,その他の審判費用は,これを13分し,その6を被請求人の負担とし,その余を請求人の負担とする。」
そして,この審決の謄本は平成14年1月29日に原審判事件の上記当事者及び参加人に送達されたが,その後,当事者及び参加人のいずれからも特許法178条第1項の審決に対する訴えが提起されなかったことから,該審決は同年2月28日をもって確定した。

3.再審請求人の主張
再審請求人は,原審判事件の審決を取り消す原因として,「平成14年3月4日に大阪地方裁判所において,本特許権の登録抹消手続請求事件の給付判決(形式的権利者である鳴神鐘氏の登録を抹消する)の言い渡しが行われ,平成14年3月20日に確定した。 本再審請求人は,平成12年3月22日付け本特許権の移転登録を抹消すべく,平成14年4月18日付で移転登録の抹消申請を行った。 従って,原審被請求人である鳴神鐘氏に対する移転登録は抹消され,本特許権の権利者は,本件登録以後,現在まで一貫して本再審請求人加納達哉であることが判示された。」(再審請求書3頁15行〜末行)と述べた上で,本件再審の理由として,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第8号,第5号及び第3号(以下,それぞれ単に「第8号」,「第5号」及び「第3号」ということがある。)に該当することを挙げて,原審判事件の審決は取り消されるべきものであると主張している。
上記再審の理由は具体的に言えば,第8号は「審決の基礎となった行政処分(本件特許権の移転登録)が,後の行政処分(該移転登録の抹消登録)により変更された」(再審請求書4頁4〜10行)というものであり,同第5号は「刑事上罰すべき他人の行為(鳴神鐘が偽造された譲渡証書及び単独申請承諾書によりなした本件特許権の移転登録)により,審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出すること(特許権者すなわち被請求人に当然与えられる弁駁書提出,訂正請求の機会等)を妨げられた」(同頁13〜24行)というものであり,また同第3号は「原審判事件の被請求人代理人は本件特許権者の加納達哉の授権を一切受けずに手続を行った」(同5頁2〜5行)というものである。
なお,再審請求人は,再審を求める本件原審判の請求について,「本件無効審判の請求は,請求人ライオン株式会社によって被請求人鳴神鐘氏に対してなされたが,本特許権の権利者は鳴神鐘氏ではなく,本再審請求人の加納達哉氏であるから,本来ならば本件無効審判の被請求人は加納達哉氏でなければならない。よって,本件無効審判の請求は,被請求人を誤ってなされたものである。当然,被請求人の同一性が失われるような補正はすることができない。」(再審請求書5頁7〜14行)と述べ,したがって,原審判の請求は,不適法な審判の請求であって,その補正をすることができないものであるから,特許法第174条3項で準用する同法135条第1項の規定により,却下されるべきものである旨主張している。

4.再審被請求人の主張
再審被請求人は再審請求人の上記主張に対し,「無効審判において被請求人が誰であるかは形式上の問題に過ぎず,審判の基礎にかかわるものではないと考えられる。更に加えて,原審判においては,本再審の請求人は補助参加人として参加し,充分に主張し,防御を尽くしているものであり,原審決はそれを踏まえて判断しているのであるから,実質的にも,又無効審判において特許権者が当事者,すなわち被請求人とされている趣旨を考えても,請求外鳴神氏を被請求人としてなしたことは審決の基礎にかかわるものではない。」(答弁書5頁12〜20行)として,特許法第171条2項により準用される民事訴訟法第338条1項8号には該当しないと述べている。
さらに,再審被請求人は,「参加人(本件再審請求の請求人)は原審判手続への参加を許されていたから,特許法第148条3項にしたがい,原審判事件において一切の審判手続をすることができたものであり,現実にも,特許権を防御するための充分な機会を与えられ,防御を尽くしたのである。原審決に不服であれば,東京高裁に審決取消訴訟を提起できたのに,提起することなく,自らの判断で原審決を確定させたのである。」(同8頁20〜26行)と原審判事件において再審請求人が参加人として行った,あるいは行い得たにもかかわらず行わなかった手続を指摘し,これを前提として,「民事訴訟法第338条1項を特許法第171条2項により審判手続に準用する場合,民事訴訟法第338条1項のただし書は『当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき,又はこれを知りながら主張しなかったときは,この限りでない』と規定されていること,このただし書は再審の補充的性格を規定したものであって,本件再審請求のように,原審判事件において,すでに再審請求人の利害関係が認められて参加が許可され,再審請求人は充分に防御を尽くし,その上で審決が確定しているときは,民事訴訟法第338条1項のただし書にしたがい,かさねて再審を求めることは許されないのである。」(同9頁4〜16行),本件再審の請求の理由が「(民事訴訟法)第338条1項の1号ないし10号のいずれかの条項に該当するとしても,同条1項の柱書のただし書にしたがい,本件の再審請求は許されないものであるので,(同項)8号,3号または5号に該当するか否かは,詳しく論じる必要を認めない。」(同4頁15〜19行),及び「本件の再審請求は却下されるべきものである。」(同8頁第4〜5行)と主張している。

5.当審の判断
上記したように,再審請求人は特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第8号,第5号及び第3号の理由があることを主張するので,これらの主張について検討する。

A.特許法第171号第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第8号
(1) この第8号の再審の事由は,「判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと」というものである。
本件再審事件においては,「審決の基礎となった『平成12年3月22日付け本特許権の移転登録』の行政処分が『平成14年5月9日付け該移転登録の抹消登録』の行政処分により変更された」ことを第8号の再審の理由とするものである。

(2) 「判決の基礎となった」の意味及びその該当性
ここで,「判決の基礎になった」とは,(i)裁判又は行政処分が,再審の対象となっている判決に対して拘束力を有する場合と,(ii)その裁判又は行政処分により事実認定をし右事実に基づき判決をしている場合をいう,とされている。(千葉地裁昭和30年(カ)第1号・昭和35年1月30日判決・下民11巻1号176頁)
ところで,原審判事件の審決は,原審判事件の審判官合議体が審判請求人が提出した刊行物の記載及び審判請求人が不備と指摘した本件特許明細書の記載について,事実認定をし,この事実に基づいて本件特許の無効の理由の有無について判断したものであり,「平成12年3月22日付け本件特許権の移転登録」の行政処分はこの判断に何の影響も与えておらず,「平成14年5月9日付け該移転登録の抹消登録」の行政処分がなされたことが当該審決の結論に影響を及ぼす(結論の異なる審決のなされる)可能性もない。
そうすると,「平成12年3月22日付け本件特許権の移転登録」の行政処分はその確定審決の結論及び理由を拘束するものではなく,また,原審判事件における事実認定は当該移転登録に基づいたものでもないといえるから,同行政処分と原審判事件とは同一の特許権に係るものであるという以上の関係は存在せず,「平成12年3月22日付け本件特許権の移転登録」の行政処分が原審判事件の「審決の基礎となった」ものではないことは明白である。

(3) まとめ
そうすると,再審請求人の述べる再審の理由は,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第8号に該当するものではない。

B.特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第5号
(1) この第5号の再審の事由は,「刑事上罰すべき他人の行為により,自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと」というものであるが,同号を再審の事由とする場合には,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項に,「前項第4号から第7号までに掲げる事由がある場合においては,罰すべき行為について,有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき,又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定判決を得ることができないときに限り,再審の訴えを提起することができる。」と規定されていることから,同号における「刑事上罰すべき他人の行為」は「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定」しているか「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定判決を得ることができない」ものでなければならないことが明らかである。

(2) 同号の該当性
ところが,再審請求人自身,この「刑事上罰すべき他人の行為」について,「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定」したものであること,あるいは,「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定判決を得ることができない」ものであることを,本件再審における審理の終結の通知(特許法第174条第3項で準用する同法第156条第1項)時までに何ら主張も立証もしていない。
そうすると,再審請求人の主張する事実が特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第5号に該当するか否かについて判断するまでもなく,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項の規定により,同号を理由として本件再審を請求することができない。

(3) 再審請求日について
第5号を再審の理由とする場合,「刑事上罰すべき他人の行為」が「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定」等の条件が満たされなければ再審の理由が生じないことに鑑みると,第5号に該当する事実自体を知るだけでなく,この「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定」等を知ることも「再審の理由を知ること」に該当すると解されるが,本件において「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定」等の条件が満たされていないことは,前述したとおりである。
そうすると,第5号の再審の理由は生じておらず,当然,「再審の理由を知った日」も到来していないこととなるから,特許法第173条第1項の規定により,同号を理由として本件再審を請求することはできない。

(4) まとめ
以上のとおり,本件再審事件において,再審請求人の主張する特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第5号に係る再審の理由をもっては,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項の規定または特許法第173条第1項の規定により本件再審を請求することができない。

C.特許法第171号第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号
(1) 理由の概要
この第3号の再審の事由は,「法定代理権,訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。」というものである。
具体的には,再審請求人の主張によると,前記大阪地方裁判所における本件特許権の登録抹消手続請求事件(平成12年(ワ)第11763号)の給付判決が確定し,再審請求人は「平成12年3月22日付け本特許権の移転登録」の抹消登録申請を行ったので,「原審被請求人である鳴神鐘氏に対する移転登録は抹消され,本特許権の権利者は,本件登録以後,現在まで一貫して本再審請求人加納達哉であること」(再審請求書3頁24行〜末行)になり,そうすると,原審判事件の被請求人は特許権者である「加納達哉」でなければならないが,「原審における被請求人代理人である弁理士中野収二氏は,本特許権の権利者である加納達哉氏の授権を一切受けずに手続きを行った。 従って,原審の被請求人代理人は必要な授権をなくして手続きを行ったものである」(同5頁2〜5行),すなわち「被請求人代理人への授権の欠缺」を本件再審の理由とするものである。

(2) 民事訴訟法第338条第1項ただし書の解釈
特許法第171号第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項柱書には,「次に掲げる事由がある場合には,確定した終局判決に対し,再審の訴えをもって,不服を申し立てることができる。ただし,当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき,又は これを知りながら主張しなかったときは,この限りでない。」と規定されている。
この民事訴訟法第338条第1項ただし書(以下,単に「ただし書」ということがある。)の規定の解釈については,判例に従えば,「再審事由のあることを知っていたのに,上訴を提起しながら上訴審においてこれを主張しない場合のみならず,上訴を提起しないで判決を確定させた場合も含むものと解すべき」であるとされている(東京高裁昭和33年(ム)第10号・昭和34年12月22日判決,東京高裁昭和40年(行ケ)第34号・昭和40年8月31日判決・判タ185号208頁,最高裁昭和41年(オ)第833号・昭和41年12月22日判決・民集20巻10号2179頁等参照)。そうすると,「再審の理由のあることを知っており,訴えによってこれを主張できたにもかかわらず,訴えの提起を怠った場合」には,このただし書の規定により,もはやその理由に基づいては再審を請求できないと解される。

(3) ただし書の該当性
上記ただし書についての解釈に従えば,本件再審事件において,再審請求人が,(i)原審判事件の審決の確定前に再審の理由を知っていること,(ii)上訴,すなわち特許法第178条第1項の審決に対する訴え(以下,「審決取消訴訟」という。)を提起できたこと,及び,(iii)審決取消訴訟において再審の理由を主張できたことの3点すべてに該当する場合には,再審の請求は許されない。

(a) 各要件の該当性の検討
(i) 再審の理由を知った日
特許法第173条第3項には「請求人が法律の規定にしたがって代理されなかったことを理由として再審を請求するときは,第1項に規定する期間は,請求人又はその法定代理人が送達により取消決定又は審決があったことを知った日の翌日から起算する。」と規定されている。ここで,同条第1項には「再審は,請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知った日から30日以内に請求しなければならない。」と規定されているから,結局,「再審の理由を知った日」とは「請求人又はその法定代理人が送達により取消決定又は審決があったことを知った日」と認定すべきことを規定したものといえる。
これらの規定に基づけば,本件再審事件においては,再審請求人は,上記したように原審判事件の参加人として平成14年1月29日に審決の謄本の送達を受けていることから,この送達の日をもって「被請求人代理人への授権の欠缺」の再審の理由を知った日ということになる。
そうすると,原審判事件の審決が確定したのは同年2月28日であるから,再審請求人は,その前に「被請求人代理人への授権の欠缺」の再審の理由を知っていたということができる。

(ii) 再審請求人による審決取消訴訟の提起
上記したように,再審請求人は,原審判事件において,平成12年11月2日付けで参加申請をし,その結果,平成14年4月23日付け「参加許否の決定」において特許法第148条第3項の規定による参加が認められた。(乙第1,2号証参照)
そうすると,同項の規定による参加人は,一切の審判手続をすることができる(同条第4項)だけでなく,審決取消訴訟を提起することができる(同法第178条第2項)のであるから,再審請求人は参加人として,原審判事件において被請求人と同様に本件特許権の維持に関し必要な主張をし,また審決があった後においては,その審決の取消しについて訴訟を提起して,当事者として直接争うことのできる立場にあったことは疑う余地のないところである。
しかし,上記したように,原審判事件の審決に対し,参加人(すなわち再審請求人)及び被請求人は審決取消訴訟を提起しなかったことから,平成14年2月28日をもって該審決は確定した。
すなわち,再審請求人は「訴えの提起を怠った」ということができる。

(iii) 審決取消訴訟における再審の理由の主張
上記のとおり,再審請求人は,原審判事件の審決が確定する前に,原審判事件の審決において「被請求人代理人への授権の欠缺」の問題があることを明確に認識していたものと認められ,その時点において再審請求人自身が審決取消訴訟を提起できたことは明らかである。
そうであれば,再審請求人が審決取消訴訟を提起し,そこで「被請求人代理人への授権の欠缺」,すなわち「(真の)特許権者から授権を受けていない者を被請求人代理人として行った審判手続及び/又は審決は,それ自体違法であること」を審決取消しの理由として主張することを妨げる理由は何ら存在しなかったものと認められる。

もっとも,特許原簿にはこの審決確定時までに「加納達哉」が特許権者として登録されておらず,本件再審請求の前日に上記大阪地方裁判所判決の確定(甲第3,4号証)に基づく移転登録の抹消登録が申請され(甲第5号証),この申請によって「移転登録の抹消登録」が行われたことが認められる。しかし,再審請求人は,審決が確定する前に大阪地方裁判所に本件特許権の移転登録抹消手続請求を提起していたのであるから,審決が確定する前の時点において,そのことを根拠として「被請求人代理人への授権の欠缺」を理由とする審決取消訴訟を提起することに特段の障害はなかったはずである。したがって,特許原簿において再審請求人が特許権者として記載されていなかったことをもって,「被請求人代理人への授権の欠缺」を審決取消理由とする審決取消訴訟を提起できなかった理由とすることはできない。

(b) そうすると,本件においては,上述した3点の全てが該当することとなり,再審請求人は原審判事件の審決に対し審決取消訴訟を提起することができ,そこで本件再審の理由第3号(すなわち被請求人代理人への授権の欠缺)に基づく審決の取消しを主張し得たにもかかわらず,そもそも審決取消訴訟を提起しなかったのであるから,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項ただし書の規定により,第3号を再審の理由として本件再審を請求することができないことになる。

(4) 再審の請求期間
上記したように,「被請求人代理人への授権の欠缺」を再審の理由とする場合の再審の請求期間は,特許法第173条第3項の規定に従わなければならない。
再審請求人は参加人として平成14年1月29日に原審判事件の審決の謄本の送達を受けているから,本件再審の請求期間は平成14年2月28日(審決確定日と同じ)までとなる。しかし,本件再審の請求日は平成14年4月19日であるから,本件再審の請求は適法な再審請求期間内になされたものではないことは明らかである。(なお,再審請求人は「その責めに帰することができない理由により該期間内にその請求をすることができなかった」旨をその理由とともに述べていないことから,同条第2項の規定の適用もない。)
したがって,この点からも本件再審の請求は許されないこととなる。

(5) まとめ
以上のとおり,再審請求人の主張する特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第3号に係る再審の理由をもっては,特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項ただし書の規定または特許法第173条第1項の規定により再審を請求することができない。

6.むすび
以上のとおりであるから,本件再審の請求には理由がない。
なお,再審請求人は,答弁書に反論したいとの理由により平成15年1月18日付けで審理再開の申立てをした。しかし,続いて再審請求人が平成15年1月16日付けで提出した上申書を参酌しても上記理由を覆すべき理由を見出せないので,審理を再開しない。(当該上申書の(5)については,上記理由の5Cにおいて述べたとおり,第3号の再審事由を再審請求人が知ったのは,再審請求人の主張する大阪地裁平成12年(ワ)第11763号判決が確定した平成14年3月20日ではなく,再審請求人が原審判事件の審決の送達を受けた平成14年1月29日である。(5Bで述べたように,第5号の再審事由については未だ生じていない。)なお,同(2)及び(3)については,再審の理由があるとした場合の原審判事件の審理において考慮すべき事項にすぎず,本件においてはそもそも再審の理由がないのであるから考慮する必要がない。また,原審判事件において同(4)に記載された審判長の主旨説明があったとしても(口頭審理調書には記載されていない),そのことは本件において再審の理由があるか否かの判断には何ら影響しないことである。)
また,審判に関する費用については,特許法第174条第3項で準用する同法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により,再審請求人の負担とする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-12-25 
結審通知日 2003-01-06 
審決日 2003-02-17 
出願番号 特願平4-218583
審決分類 P 5 112・ 05- Y (A61F)
P 5 112・ 02- Y (A61F)
P 5 112・ 01- Y (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 彰  
特許庁審判長 梅田 幸秀
特許庁審判官 松浦 新司
竹林 則幸
登録日 1998-06-26 
登録番号 特許第2795782号(P2795782)
発明の名称 アイシング材  
代理人 今城 俊夫  
代理人 清原 義博  
代理人 村社 厚夫  
代理人 渡辺 光  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 大塚 文昭  
代理人 箱田 篤  
代理人 中村 稔  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 平山 孝二  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 熊倉 禎男  
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