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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1147006 |
審判番号 | 不服2003-24701 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-11-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-19 |
確定日 | 2006-11-06 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第112763号「複合情報伝送装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月22日出願公開、特開平 8-305645〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年5月11日の出願であって、原審において平成15年11月19日付けで拒絶査定がなされたところ、同年12月19日に審判請求がなされるとともに、平成16年1月15日付けで手続補正がなされたものである。 これに対し、当審において、平成18年6月16日付で前記手続補正を却下するとともに、同日付で拒絶の理由を通知したものである。 2.本願発明 前記拒絶理由通知に対して、本願の特許請求の範囲を補正する手続補正が提出され、当該補正書によれば、本願の特許請求の範囲請求項1に記載された発明(以下、本願発明という。)は、以下のとおりのものであると認める。 「ネットワークを介して送信側及び受信側に設けられる複合情報伝送装置であって、 文書を入力する第1の入力手段と、 入力された文書の情報に基づいて文書ファイルを作成する第1の作成手段と、 音声を入力する第2の入力手段と、 入力された音声の情報に基づいて音声ファイルを作成する第2の作成手段と、 前記音声ファイルを符号化する符号化手段と、 前記文書ファイルと前記音声ファイルとをファイル単位に同一のファイル名で関連付ける関連付手段と、 関連付けられた文書ファイルと音声ファイルを音声付きファイルであることを示す識別子を付加して伝送する伝送手段と、 受信した文書ファイルに前記識別子が付加されているか否かを判別する判別手段と、 受信した文書ファイルを表示すると共に受信した文書ファイルに前記識別子が付加されている場合には、その旨を文書ファイル単位で表示する表示手段と、 前記表示手段の表示内容に基づいて当該音声ファイルの再生を指示する指示手段と、 前記指示手段の再生の指示に基づいて、当該音声ファイルを復号化する復号化手段と、 前記復号化手段で復号化された当該音声ファイルを再生する再生手段とを備えていることを特徴とする複合情報伝送装置。」 3.引用例 当審における拒絶の理由で引用した特開平5-37556号公報(平成5年2月12日出願公開、以下、「引用例1」という。)及び、特開平5-284253号公報(平成5年10月29日出願公開、以下、「引用例2」という。)には、以下の点が記載されている。 引用例1 a.「複数のデータ端末各々に接続され、前記データ端末から入力されてテキストメッセージ蓄積手段に蓄積されたテキストメッセージを該テキストメッセージの転送先のデータ端末に送出するテキストメール装置と、複数の音声端末に接続され、前記音声端末から入力されてボイスメッセージ蓄積手段に蓄積されたボイスメッセージを該ボイスメッセージの転送先の音声端末に送出するボイスメール装置とからなるテキストメールシステムであって、前記テキストメッセージ蓄積手段から読出された前記テキストメッセージに予め付与され、転送先の音声端末およびボイスメッセージのボイスメッセージ蓄積手段における蓄積位置を指定するボイスメッセージ指定情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記ボイスメッセージ指定情報に対応するボイスメッセージを前記ボイスメッセージ蓄積手段から読出して前記ボイスメッセージ指定情報が指定する音声端末に送出するよう前記ボイスメール装置を制御する制御手段とを設けたことを特徴とするテキストメールシステム。」(公報、第1頁【特許請求の範囲】、【請求項1】の記載。) b.まず、テキストメッセージを送付する者が送付先の相手に該テキストメッセージに関連するボイスメッセージを聞いてもらう場合、該テキストメッセージに図2に示すようなボイスメッセージ指定情報“###105143,100###”を付与してテキストメッセージ蓄積部12に蓄積する。このとき、該テキストメッセージを送付する者は該テキストメッセージに関連するボイスメッセージを予めボイスメッセージ蓄積部32に蓄積しておき、そのボイスメッセージの蓄積位置を示すボイスメール番号をボイスメッセージ指定情報に記述しておく。 ボイスメッセージ指定情報検出部13は制御部11からのテキストメッセージに情報“###”がついていることからボイスメッセージ指定情報が付与されていることを検出すると、そのボイスメッセージ指定情報をボイスメッセージ指定信号線116 を介してボイスメール制御部14に送出する。ボイスメール制御部14はボイスメッセージ指定情報検出部13からのボイスメッセージ指定情報をボイスメール制御情報に変換し、そのボイスメール制御情報をボイスメール制御信号線130 を介してボイスメール装置3に送出する。ここで、ボイスメール制御部14からはボイスメール制御情報としてボイスメッセージの読出し要求と、ボイスメール番号“105143”と、送付先番号“100 ”とがボイスメール装置3に送出される。(公報、第3頁段落【0020】、【0023】及び【図2】の記載。) c.ボイスメール装置3はボイスメール制御部14からボイスメール制御情報を受取ると、ボイスメール制御情報のボイスメール番号“105143”によって指定されたボイスメッセージをボイスメッセージ蓄積部32から読出す。制御部31は読出したボイスメッセージを送付先番号“100 ”とともに音声端末情報信号線131を介して音声端末インタフェース30に送出し、該ボイスメッセージを音声端末インタフェース30から音声端末信号線140-jを介して、送付先番号“100 ”によって指定された送付先の音声端末4-jに送出する。 これにより、テキストメッセージを送付する者は送付先の相手に該テキストメッセージと、それに関連するボイスメッセージとを連動して送出することができる。 このように、送付先に送出するテキストメッセージに該テキストメッセージに関連するボイスメッセージの蓄積位置および送付先の音声端末4-jを指定するボイスメッセージ指定情報を予め付与しておき、テキストメッセージ蓄積部12から読出された該テキストメッセージに該ボイスメッセージ指定情報が付与されていることがボイスメッセージ指定情報検出部13で検出されたとき、該ボイスメッセージ指定情報によって指定されるボイスメッセージを該ボイスメッセージ指定情報が指定する音声端末4-jに送出するようボイスメール制御部14によってボイスメール装置3を制御することによって、テキストメッセージの出力とそれに関連するボイスメッセージの出力とを連動させることができる。(公報、第4頁段落【0024】乃至【0026】の記載。) 引用例2 d.【請求項1】コード情報あるいはイメージ情報からなる文書を電子的に入力する文書入力手段および上記文書に関係した音声による説明を電子的に入力する音声入力手段を有する入力部と、 この入力部にて生成された上記文書および音声を蓄積記憶する記憶手段と、 この記憶手段から読み出された上記文書と音声を出力する文書出力手段および音声出力手段を有する出力部と、 上記入力部にて生成された文書および音声を所望の出力部に伝送するための伝送手段とを具備し、上記入力部より生成される文書とこの文書の説明に関係した音声を出力部にて同時に閲覧並びに聴取可能にしたことを特徴とする電子メイルシステム。 【請求項2】記憶手段は、文書および音声を各別に蓄積記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電子メイルシステム。(公報、第1頁【特許請求の範囲】、【請求項1】及び【請求項2】の記載。) e.この表示により受信側Bの端末2より受信端末ごとにシステムにあらかじめ登録されているIDコードなど特定コードを入力し、文書の閲覧を要求すると文書用蓄積制御装置3に蓄積された文書が同端末2に送られ表示されるとともに、同文書には音声メッセージが付加されている旨が表示される。 また、同端末2より音声メッセージの要求を入力すると、同要求は例えば図11に示すように音声蓄積制御装置起動要求信号および受信先電話番号、音声メッセージ識別番号からなる制御信号として文書メイル用交換ネットワーク1および電話交換ネットワーク4を介して音声用蓄積制御装置6に送られ、同装置6より受信側Bの電話機5が呼ばれる。受信者が電話機5のハンドセットを取り上げると、音声用蓄積制御装置6に蓄積された音声メッセージが読み出され、電話交換ネットワーク4を介して電話機5に出力される。これにより受信者は、メッセージを聞きながら端末2の表示装置22に表示された文書を閲覧できることになる。(公報、第4頁段落【0029】乃至【0030】の記載。) f.図4において、8は文書および音声の伝送交換を行う複合交換ネットワークで、このネットワーク8に文書メイルおよび電話機(音声メイルも含む)の機能を有する複数台(図示例では2台)の複合端末9を接続するとともに、文書用蓄積制御装置10および音声用蓄積制御装置11を接続している。この場合、複合端末9は、図5に示すように図2における構成要素に加えて電話機としての機能および音声メイルとしての機能をもつためのハンドセット29および同ハンドセット29の拡声を行うための拡声装置30を有したもので、その他は図2と同様であり、同一部分には同符号を付して説明を省略する。(公報、第5頁段落【0034】の記載。) 4.対比・判断 引用例1の記載事項a、b及びcによれば、引用例1には、「送付する者及び転送先に設けられるデータ端末及び音声端末であって、データ端末から入力されたテキストメッセージと音声端末から入力されたボイスメッセージと、テキストメッセージとボイスメッセージをボイスメッセージ指定情報を付加して伝送する伝送手段と、受信したテキストメッセージにボイスメッセージ指定情報が付加されているか否かを判別するボイスメッセージ指定情報を検出する検出手段とを備えている情報伝送装置」が記載されている。 本願発明と前記引用例1記載事項とを対比すると、前記引用例1に記載された「送付する者」、「転送先」、「データ端末及び音声端末」、「ボイスメッセージ指定情報」及び「検出手段」は、それぞれ本願発明における「送信側」、「受信側」、「情報伝送装置」、「識別子」及び「判別手段」に相当する。 また、引用例1の記載において、テキストメッセージとボイスメッセージとは、それぞれデータ端末と音声端末から入力されているものであるところから、「テキストを入力する第1の入力手段と、入力されたテキストの情報に基づいてテキストメッセージを作成する第1の作成手段と、音声を入力する第2の入力手段と、入力された音声の情報に基づいてボイスメッセージを作成する第2の作成手段」は、引用例1に記載された事項である。 引用例1の「テキストメッセージに予め付与され、転送先の音声端末およびボイスメッセージのボイスメッセージ蓄積手段における蓄積位置を指定する」旨の記載からみて、「テキストメッセージとボイスメッセージとを関連付ける関連付手段」は、引用例1に記載された事項である。 また、引用例1に記載された「メッセージ」もメッセージ蓄積部に蓄積され、また、メッセージとして転送されたりしているところから、ファイルと同様の取り扱いがなされており、引用例1に記載された「テキストメッセージ」及び「ボイスメッセージ」は、本願発明における「文書ファイル」と「音声ファイル」に対応し、それぞれ文書データと音声データである点で一致する。。 したがって、両者は、「送信側及び受信側に設けられる情報伝送装置であって、文書を入力する第1の入力手段と、入力された文書の情報に基づいて文書データを作成する第1の作成手段と、音声を入力する第2の入力手段と、入力された音声の情報に基づいて音声データを作成する第2の作成手段と、文書データと音声データとを関連付ける関連付手段と、関連付けられた文書データと音声データを音声データがあることを示す識別子を付加して伝送する伝送手段と、受信した文書データに前記識別子が付加されているか否かを判別する判別手段とを備えた情報伝送装置」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1:本願発明においては、「ネットワークを介して送信側及び受信側に設けられる複合情報伝送装置」であるのに対し、引用例1には、明瞭な記載がない点。 相違点2:文書及データ及び音声データを本願発明においては、「ファイル」として扱うのに対し、引用例1発明においては、「メッセージ」として扱う点。 相違点3:本願発明においては、音声ファイルを符号化して伝送し、受信した音声ファイルを復号化して再生しているのに対し、引用例1には、特段の記載がない点。 相違点4:関連付け手段において、本願発明は、「文書ファイルと音声ファイルとをファイル単位に同一のファイル名で関連付け」ているのに対し、引用例1発明ではそうではない点。 相違点5:本願発明において「受信した文書ファイルを表示すると共に受信した文書ファイルに前記識別子が付加されている場合には、その旨を文書ファイル単位で表示する表示手段と、表示手段の表示内容に基づいて当該音声ファイルの再生を指示する指示手段と、前記指示手段の再生の指示に基づいて、当該音声ファイルを復号化する復号化手段と、前記復号化手段で復号化された当該音声ファイルを再生する再生手段とを備えている」のに対し、引用例1には、詳細な構成が明示されていない点。 上記相違点につき検討する。 相違点1:引用文献2の記載fに「文書および音声の伝送交換を行う複合交換ネットワークで、このネットワーク8に文書メイルおよび電話機(音声メイルも含む)の機能を有する複数台(図示例では2台)の複合端末9を接続する」旨記載されており、情報伝送装置を「ネットワークを介して送信側及び受信側に設けられる複合情報伝送装置」とすることは、本願出願前公知技術であって、当該公知技術を引用例1記載のものに採用して、本願発明のように構成することに格別の創意を要するものではない。 相違点2:前述したように、引用例1記載された「メッセージ」もメッセージ蓄積部に蓄積され、また、メッセージとして転送されたりしているところから、ファイルと同様の取り扱いがなされており、また、文書データ及び音声データを「ファイル」として扱うことは、本願出願前周知技術であって、当該事項を参酌すれば、引用例1に記載された文書データ及び音声データにおいても、ファイルとして扱い、本願発明のように構成することに格別の創意を要するものではない。(周知技術の事例として、特開平7-73122号公報等を参照。) 相違点3:音声を伝送するに際して、送信側で符号化し、受信側で再生する際に復号化することは、普通になされる慣用手段であり、当該慣用手段を引用例1発明に採用して、本願発明のように構成することに格別の創意を要するものではない。 相違点4:文書ファイルと音声ファイルとをファイル単位に同一のファイル名をつけることにより、各ファイルを相互に関連付けることは、本願出願前周知技術であり、引用例1発明に採用して、本願発明のように構成することに格別の創意を要するものではない。(周知技術の例として特開平7-73122号公報を参照されたい。) 相違点5:前記引用例2の記載事項eには、「受信側Bの端末2より受信端末ごとにシステムにあらかじめ登録されているIDコードなど特定コードを入力し、文書の閲覧を要求すると文書用蓄積制御装置3に蓄積された文書が同端末2に送られ表示されるとともに、同文書には音声メッセージが付加されている旨が表示される。 また、同端末2より音声メッセージの要求を入力すると、・・・音声用蓄積制御装置6に蓄積された音声メッセージが読み出され、電話交換ネットワーク4を介して電話機5に出力される。これにより受信者は、メッセージを聞きながら端末2の表示装置22に表示された文書を閲覧できることになる。」旨記載されており、また、前述したように、符号化された音声ファイルの再生に際して、当該音声ファイルを復号化することは、本願出願前周知技術であることから、「受信した文書ファイルを表示する(引用例2における「文書が同端末2に送られ表示される」に相当する。以下、括弧内の記載は、引用例2の記載を示す。)と共に受信した文書ファイルに前記識別子が付加されている場合には、その旨を文書ファイル単位で表示する表示手段(「文書が同端末2に送られ表示されるとともに、同文書には音声メッセージが付加されている旨が表示される。」)と、表示手段の表示内容に基づいて当該音声ファイルの再生を指示する指示手段(「端末2より音声メッセージの要求を入力」)と、前記指示手段の再生の指示に基づいて、当該音声ファイルを復号化する復号化手段と、前記復号化手段で復号化された当該音声ファイルを再生する再生手段(「音声メッセージが読み出され、電話交換ネットワーク4を介して電話機5に出力される。」)とを備え」ることは、本願出願前公知技術であって、当該公知技術を引用例1記載のものに採用して、本願発明のように構成することに格別の創意を要するものではない。 本願発明のように構成することによる作用効果も前記引用例1、2及び周知技術からみて格別のものでもない。 したがって、本願発明は、前記引用例1、2及び周知技術から当業者が容易に発明できたものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、前記引用例1、2及び周知技術から当業者が容易に発明できたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-13 |
結審通知日 | 2006-09-15 |
審決日 | 2006-09-26 |
出願番号 | 特願平7-112763 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、竹井 文雄、津幡 貴生 |
特許庁審判長 |
川嵜 健 |
特許庁審判官 |
小林 正明 山崎 慎一 |
発明の名称 | 複合情報伝送装置及び方法 |
代理人 | 小堀 益 |
代理人 | 堤 隆人 |