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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1147018 |
審判番号 | 不服2004-19825 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-04-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-09-24 |
確定日 | 2006-11-07 |
事件の表示 | 平成11年特許願第255685号「通常の電話機にスピーカホンの機能を具備させる装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 4月 7日出願公開、特開2000-101702〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成11年9月9日の出願(パリ条約による優先権主張、1998年9月11日、アメリカ合衆国)であって、平成16年4月13日に手続補正がなされたが、同年6月24日付けで拒絶査定され、同年9月24日に審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成16年9月24日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年9月24日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 本件補正により特許請求の範囲の請求項1が次のように補正された。 (補正前) 「【請求項1】 スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 該装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカと、 該装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 該通常の電話機の受話器用ジャックへ該装置をインタフェースする受話器用ジャックインタフェースと、 電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続するオーディオモジュールとを有し、 該装置は通常の電話機間の輸送のためにポータブルであり、ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存することを特徴とする装置。」 (補正後) 「【請求項1】 スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 該装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカと、 該装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 該通常の電話機の受話器用ジャックへ該装置をインタフェースする受話器用ジャックインタフェースと、 電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続するオーディオモジュールとを有し、 該装置は通常の電話機間のポータブルな輸送のためにバッテリによって駆動されており、ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存することを特徴とする装置。」 上記補正は、補正前の請求項1の「輸送のためにポータブルであり」を、「ポータブルな輸送のためにバッテリによって駆動されており」と補正することにより、「スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置」に関して限定したものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した特表平9-505960号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の記載がある。 (ア)「本発明は、送受話器を付属機器に置換することを可能にする送受話器付き電話機のための交換装置に関する。」(4ページ4?5行) (イ)「図3は、本発明に従った交換装置5の一実施態様を概略的に示している。 これには、送受話器3の「受話器」端部31と「送話器」端部32を収容するための2つのレセプタクルつまり空洞51及び52が備わったケース50が含まれている。 この送受話器3は通常、ケース10内の専用に設けられた収納部に載る。送受話器3と付属機器6、例えば図に示したような受話器60と送話器61を備えたヘッドホンを置換しい場合、交換装置5のケース50上に送受話器3を置く。より厳密に言うと、上述した通り、送受話器3の受話器31と送話器32の端部をそのそれぞれのレセプタクル51及び52の中に導入する(矢印下によって象徴される動き)。 図示された例においては、レセプタクル51は、例えばその底面上に、2つの安定した交換状態をもつガルバーニ電気接点を伴う交換機構510を備えている。送受話器3の重量、さらに一般的には送受話器3の存在によって、交換機構510は起動させられる。この動作により、望ましい交換を得ることができる。送受話器3は非使用状態にされ、それと同時に付属機器6がこれと置換する。交換機構510の作動は、図4及び5に関連して、以下で説明される。 有利なことに、電話機のタイプが許す場合つまり差し込み接続可能なコネクタ300がコード30に備わっている場合、このコネクタは、電話機1のケース10から接続解除される。交換装置5のケース50には、コネクタ300を収容するための雌コネクタ301を備えつける。同じ要領で、コネクタ400(電話機1側)及び401(交換ケース5側)の備わったコード40を用いて、送受話器の代りに、交換装置5のケース50を接続する。最後に、付属機器6を、コネクタ410の備わったコード41を用いて交換装置5のケース50に接続することができる。 この有利な配置によると、コネクタ410を単に接続解除しもう1つの付属機器を再接続することによって、交換装置5の同じケース50上にさまざまなタイプの付属機器を接続することができる。同様に、図示していない1つの変形態様においては、複数の付属機器を並列に接続することも考えられる。 一方、同様に単純な要領で、送受話器3を常設的に再接続するため、コード40を接続解除し(コネクタ400により)、その代りにケース10上にコード30を接続する(コネクタ300により)ことによって、交換装置5のケース50を非使用状態におくことができる。 当然のことながら、交換機構510は、レセプタクル51内に設置するのではなくレセプタクル52の中に設置することができる。」(8ページ13行?9ページ19行) (ウ)「なお、このことは、汎用ではなくても少なくとも数多くのタイプの電話機に適したケースを実現するために活用することができる。市場で最も一般的である電話機を考慮に入れて、レセプタクル51及び52のために比較的大きい寸法を採用し、それ相応にそれらの離隔距離も調節するだけで充分である。」(10ページ1?4行) (エ)「その上、すでに示してきたように、交換手段は、ガルバーニ電気接点に基づくもの以外のテクノロジーを利用することができる。オプトエレクトロニクス、容量性又は磁気式の存在検出器を利用することも可能である。 図7は、光源8及び光検出器8’により構成された電気光学センサーの一例を示す。 交換装置5のケース50は、図4及び5に関連して記述されてきたものと類似のタイプすなわち、送受話器3の受話器部分31(例えば)を収容するための唯一の空洞51’が備わったタイプのものである。 光源8及び光検出器8’は、空洞51’の側壁上に配置されている(図示した例中)。光源8は、光検出器8’によって検出されるビーム80を発出する。送受話器の受話器部分31を空洞51’の中に置いた場合、受話器部分は発出された光ビーム80を遮断する。 この作用により、送受話器3の存在が検出できる。光検出器8’の出力信号を受理する適切な電子回路が、望まれる交換を制御する、すなわち、送受話器3と付属機器(図3:6)の置換を行ない、この送受話器を非使用状態におく。 しかしながら以上で説明してきた例においてそうであったようなガルバーニ電気式以外のセンサーは、交換装置5のケース50内の電源の存在(又は少なくともこれに給電すること)及び前述の電子回路を必要とする、という欠点をもつ。 同様に、交換装置5のケース50の中には、特に付属機器(図3:6)向けの補助機能を内蔵させることができる。図7には、これらの機能が、包括的参照番号9で象徴されている。すなわち、ケースに音声増幅器が内蔵されている場合には音量制御「+」及び「-」であり、又「ハンズフリー」での電話通信において特に有用な機能である「S」という参照器号のついた「サイレンス」ボタンなどである。 交換装置5のケース50の中に補助機能のみならず付属機器の全体又は一部を内蔵させることも可能である。」(11ページ18行?12ページ17行) (オ)「図3の付属機器6も同様に、図3に示されているもののような受話器及び送話器を含みしかもハンズフリー電話通信を可能にするヘッドホン又は類似の機構、音声信号の再生手段拡声器又は電気音響トランスデューサ及び音声信号収集手段(マイクロホン)を伴うテレビ電話会議用機器、補足的電話通信機器などといったさまざまなタイプのものであってよい。同様に、図7に示されている実施態様が示唆する通り、音声補正、遠隔制御などの前記付属機器に結び付けられるエレクトロニクスの全て又は一部を取り込むこともできる。」(12ページ下から2行?13ページ5行) 引用例において、上記摘記事項(オ)に「図3の付属機器6も同様に、・・・中略・・・、音声信号の再生手段拡声器又は電気音響トランスデューサ及び音声信号収集手段(マイクロホン)を伴うテレビ電話会議用機器、補足的電話通信機器などといったさまざまなタイプのものであってよい。」と記載され、さらに、同(エ)に「交換装置5のケース50の中に補助機能のみならず付属機器の全体又は一部を内蔵させることも可能である。」と記載されていることから、「交換装置5」は、「付属機器」として、「拡声器」及び「マイクロホン」を有する「スピーカホン」を有し、該「スピーカホン」は「交換装置」に「取り付けられている」といえる。 また、上記摘記事項(イ)に「電話機のタイプが許す場合つまり差し込み接続可能なコネクタ300がコード30に備わっている場合、このコネクタは、電話機1のケース10から接続解除される。交換装置5のケース50には、コネクタ300を収容するための雌コネクタ301を備えつける。同じ要領で、コネクタ400(電話機1側)及び401(交換ケース5側)の備わったコード40を用いて、送受話器の代りに、交換装置5のケース50を接続する。・・・中略・・・。一方、同様に単純な要領で、送受話器3を常設的に再接続するため、コード40を接続解除し(コネクタ400により)、その代りにケース10上にコード30を接続する(コネクタ300により)ことによって、交換装置5のケース50を非使用状態におくことができる。」と記載されているから、「電話機1」が「コネクタ400(電話機1側)」を収容するための「雌コネクタ」を有することは明らかであって、「コネクタ400(電話機1側)及び401(交換ケース5側)の備わったコード40」は、該「雌コネクタ」へ「交換装置5」を「取り外し可能なようにインタフェースするインタフェース手段」であるといえる。 また、上記摘記事項(エ)の「交換装置5のケース50の中には、特に付属機器(図3:6)向けの補助機能を内蔵させることができる。・・・中略・・・。すなわち、ケースに音声増幅器が内蔵されている場合」との記載、および、上記摘記事項(オ)の「音声補正、遠隔制御などの前記付属機器に結び付けられるエレクトロニクスの全て又は一部を取り込むこともできる。」との記載から、「交換装置5」は「オーディオ手段」を有しているといえる。 また、上記摘記事項(エ)の「しかしながら以上で説明してきた例においてそうであったようなガルバーニ電気式以外のセンサーは、交換装置5のケース50内の電源の存在(又は少なくともこれに給電すること)及び前述の電子回路を必要とする」との記載から、「交換装置5」は「電源」を有しているといえる。 したがって、上記引用例記載の各事項、関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 「スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 スピーカホンの拡声器と、 該装置に取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 電話機の雌コネクタへ該装置を取り外し可能なようにインタフェースするインタフェース手段と、 オーディオ手段とを有し、 該装置は、電源を備えることを特徴とする装置。」 (3)対比・判断 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「拡声器」は、「装置」の近辺において音を生成するものであるから、引用発明の「スピーカホンの拡声器」と本願補正発明の「装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカ」との間に実質的な差異はない。 また、引用発明の「装置に取り付けられるスピーカホンのマイクロホン」と本願補正発明の「装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホン」との間に実質的な差異はない。 また、引用発明の「電話機の雌コネクタ」と本願補正発明の「通常の電話機の受話器用ジャック」との間に実質的な差異はない。 また、引用発明の「オーディオ手段」と本願補正発明の「オーディオモジュール」との間に実質的な差異はない。 よって、両者は、 「スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 該装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカと、 該装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 該通常の電話機の受話器用ジャックへ該装置をインタフェースする受話器用ジャックインタフェースと、 オーディオモジュールとを有することを特徴とする装置。」で一致し、下記の各点で異なる。 [相違点1] 「オーディオモジュール」に関し、本願補正発明は、「電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続するオーディオモジュール」であるのに対し、引用発明には、「オーディオモジュール」が「電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続」されている否か明示されていない点。 [相違点2] 本願補正発明の「装置」は、「通常の電話機間のポータブルな輸送のためにバッテリによって駆動されて」いるのに対し、引用発明の「装置」は「電源」を有しているが、「通常の電話機間のポータブルな輸送のためにバッテリによって駆動され」ることが明示されていない点。 [相違点3] 本願補正発明の「装置」は、「ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存」しているのに対し、引用発明の「装置」は、「ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存」しているか否か明示されていない点。 上記相違点を検討する。 [相違点1]について 上記「2.」の「(2)」の摘記事項(イ)および(エ)の各記載からも明らかなように、引用発明の「オーディオ手段」は、「装置」に内蔵され、「電話機」から「インタフェース手段」を介して入力された「音声」を処理するものであり、該「装置」は「電話機の雌コネクタ」に取り外し可能なように「インタフェース手段」によりインタフェースされて接続されるものであって、該「オーディオ手段」と「インタフェース手段」とを直接接続するか否かは当業者が適宜なし得る事項である。 よって、引用発明においても、「オーディオモジュール」を「電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続」するように構成することに格別な困難性はない。 [相違点2]について 上記「2.」の「(2)」で示したように、引用発明の「装置」は「電源」を備えており、電源として「バッテリ」を利用することは当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項であって、電話機のハンドフリー装置において、ハンドフリー装置に電源を内蔵し、該ハンドフリー装置自体を電源により駆動することは周知(例えば、特開平9-238182号公報、特開昭53-29606号公報、各参照。)である。 また、上記「2.」の「(2)」の摘記事項(ウ)の「汎用ではなくても少なくとも数多くのタイプの電話機に適したケースを実現するために活用することができる。」との記載から、引用例に開示された引用発明の「装置」が複数の電話機に利用可能であることは明らかであり、複数の電話機間で利用するために、該「装置」を持ち運び可能なように構成することは当業者であれば当然なし得る事項である。 よって、引用発明においても、「装置」を、「通常の電話機間のポータブルな輸送のためにバッテリによって駆動され」るように構成することに格別な困難性はない。 [相違点3]について 上記「2.」の「(2)」の各摘記事項から、引用例に開示された「装置」は、通常の「電話機」自体の機能(例えば、ダイヤル機能等)は有しておらず、該「装置」が、該「電話機」自体の機能に対しては該「電話機」に依存していることは明らかである。 よって、引用発明においても、「装置」を、「ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存」するように構成することに格別な困難性はない。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用例から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反するものであり、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年9月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年4月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 該装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカと、 該装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 該通常の電話機の受話器用ジャックへ該装置をインタフェースする受話器用ジャックインタフェースと、 電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続するオーディオモジュールとを有し、 該装置は通常の電話機間の輸送のためにポータブルであり、ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存することを特徴とする装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.」の「(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、 「スピーカホンの機能を持っていない電話機をスピーカホンとして動作させる装置において、 該装置の場所近辺において音を生成するための、スピーカホンのスピーカと、 該装置に適合して取り付けられるスピーカホンのマイクロホンと、 該通常の電話機の受話器用ジャックへ該装置をインタフェースする受話器用ジャックインタフェースと、 オーディオモジュールとを有することを特徴とする装置。」で一致し、下記の各点で異なる。 [相違点ア] 「オーディオモジュール」に関し、本願発明は、「電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続するオーディオモジュール」であるのに対し、引用発明には、「オーディオモジュール」が「電話機の本体の受話器用ジャックへ取り外し可能なようにインタフェースされて接続」されている否か明示されていない点。 [相違点イ] 本願発明の「装置」は、「通常の電話機間の輸送のためにポータブル」としているのに対し、引用発明の「装置」は、「通常の電話機間の輸送のためにポータブル」である否か明示されていない点。 [相違点ウ] 本願発明の「装置」は、「ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存」しているのに対し、引用発明の「装置」は、「ダイヤル機能、呼び出し機能およびフックスイッチ機能に対しては該通常の電話機に依存」しているか否か明示されていない点 上記[相違点ア]および[相違点ウ]については、「2.」の「(3)」の「[相違点1]について」および「[相違点3]について」で示したとおりである。 上記[相違点イ]について検討する。 上記「2.」の「(2)」の摘記事項(ウ)の「汎用ではなくても少なくとも数多くのタイプの電話機に適したケースを実現するために活用することができる。」との記載から、引用例に開示された引用発明の「装置」が複数の電話機に利用可能であることは明らかであって、複数の電話機間で利用する際、持ち運び可能なように「装置」をポータブルとすることは当業者が当然なし得る事項である。 よって、引用発明においても、「装置」を、「通常の電話機間の輸送のためにポータブル」とすることに格別な困難性はない。 そして、本願発明の作用効果も、引用例から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-06-09 |
結審通知日 | 2006-06-12 |
審決日 | 2006-06-27 |
出願番号 | 特願平11-255685 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 戸次 一夫、浦口 幸宏 |
特許庁審判長 |
廣岡 浩平 |
特許庁審判官 |
畑中 博幸 宮下 誠 |
発明の名称 | 通常の電話機にスピーカホンの機能を具備させる装置 |
代理人 | 岡部 正夫 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 朝日 伸光 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 高梨 憲通 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 臼井 伸一 |