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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1147096
審判番号 不服2004-3200  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-18 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 7年特許願第279900号「ラミネートチューブ」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年12月10日出願公開、特開平 8-324600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成7年10月4日(優先日、平成7年3月27日)の出願であって、平成16年1月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年2月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.平成16年3月11日付けの手続補正についての却下の決定
[補正却下の結論]
平成16年3月11日付けの手続補正を却下する。
[理由]
上記手続補正は、補正事項として、特許請求の範囲を次のように補正することを含むものである。
【請求項1】少なくとも、外層、バリア-層としての中間層、および、内層を順次に積層し、かつ、前記の外層と内層とは、それぞれ異材質からなり、前記の外層は、厚さ150?210μmのポリエチレンフィルムからなり、他方、前記の内層は、厚さ60?120の乳白ポリエチレンフィルム、エチレン-ビニルアルコ-ルコポリマ-、または、ポリアクリロニトリルからなり、更に、その両端縁は、それぞれが斜めにカットされた斜めカット端面を有するか、または、それぞれに段差が設けられ段違い端面を有する帯状積層体を用い、該帯状積層体の両端縁の斜めカット端面同志を重ね合わせるか、あるいは、該帯状積層体の両端縁の段違い端面を重ね合わせて、その重ね合わせと同時にその重合部分に、内側からポリエチレンテレフタレ-トフィルムからなる補強テ-プを供給し、上記の重合部分と補強テ-プとを同時に熱圧着して、筒状に接合して胴部を構成すると共にその胴部の接合部に沿って補強テ-プを内貼りし、上記の胴部表面上の段差を少なくしたことを特徴とするラミネ-トチュ-ブ。

この補正後の請求項1は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「外層と内層の層厚みが、夫々100μm以上乃至120μmの範囲にあり」を、「外層は、厚さ150?210μmのポリエチレンフィルムからなり、他方、前記の内層は、厚さ60?120の乳白ポリエチレンフィルム、エチレン-ビニルアルコ-ルコポリマ-、または、ポリアクリロニトリルからなり」に代えることを含むものである。
そして、上記補正前の記載は、材料にかかわらず外層と内層の層厚みが夫々100μm以上乃至120μmの範囲にあることを意味するものと認められるが、この補正は、外層及び内層の材料を限定すると共に、補正前の外層及び内層とも「100μm以上乃至120μm」との層厚みを、外層は「150?210μm」、内層は「60?120」(μm)と拡張変更するものであることから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものではない。 また、この補正は、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものでもない。
よって、この手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定により準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成16年3月11日付けの手続補正は、上記のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年3月7日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】外層、バリアー層としての中間層、内層を順次積層し、かつ、前記の外層と内層の層厚みが、夫々100μm以上乃至120μmの範囲にあり、かつ、外層、及び、内層の材質が異なる帯状積層材を用いて、帯状積層材の流れ方向の両端縁同志を突き合わせてヒートシール等の熱溶着により筒状に接合して胴部となし、該胴部表面上の段差を少なくしたことを特徴とするラミネートチューブ。

4.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平7-41020号広報(以下、引用文献1という。)には、第1-3図の記載と共に、次の事項が記載されている。
(a)「アクリルニトリル系樹脂シートの筒状成形体によるチューブ容器胴部において、該筒状成形体の背貼り部が、前記アクリルニトリル系樹脂シートの左,右の側辺部同士の端面を突き合わせて接着した突き合わせ接着部と、該突き合わせ接着部における筒状成形体の少なくとも内周面側に貼着されているプラスチック製のシールテープとで形成されており、かつ、前記プラスチック製のシールテープがアクリルニトリル系樹脂シートからなることを特徴とするチューブ容器胴部。」(特許請求の範囲)
(b)「また本発明は、背貼り部に段差が無く、密封チューブ容器を得る際のエンドシール部が安定して形成されるチューブ容器胴部を提供する。」(【0015】段落)
(c)「チューブ容器胴部の成形に使用されるシートが積層シートの場合には、アクリルニトリル系樹脂シートによる裏面樹脂層を有する積層シートが利用される。かかる積層シートの1例を説明すると、表面樹脂層側から裏面樹脂層側に向かって、・・・
5「ポリエチレンフイルム層/ポリエチレンテレフタレート樹脂層/アルミニウム箔/アクリルニトリル系樹脂層」の順序で積層されている積層シート
6「ポリエチレンフイルム層/ポリエチレンテレフタレート樹脂層/SiOx 蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフイルム層/アクリルニトリル系樹脂層」の順序で積層されている積層シート」(【0019】?【0025】段落)
(d)「前記チューブ容器胴部をなす筒状成形体2は、厚さ12μの2軸延伸ポリエステルフイルムと厚さ9μのアルミニウム箔とをドライラミネート法で積層した中芯層5と、該中芯層5における2軸延伸ポリエステルフイルム側にドライラミネート法によって積層されている厚さ30μのアクリルニトリル系樹脂[バレックス:登録商標]フイルムによる表面樹脂層6と、中芯層5におけるアルミニウム箔側にドライラミネート法によって積層されている厚さ50μのアクリルニトリル系樹脂[バレックス:登録商標]フイルムによる裏面樹脂層7との積層シート8により、符号3で表示される背貼り部によって筒状に成形されている。」(【0033】段落)

ここで、「アルミニウム箔」を有する「中芯層」がバリアー層であること、及び、「チューブ容器」がラミネートチューブであること、外層及び内層の材質が異なることは明らかである。
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、引用発明1という。)が記載されているものと認める。
表面樹脂層、バリアー層としての中芯層、裏面樹脂層を順次積層し、かつ、前記の表面樹脂層の層厚みが30μ、裏面樹脂層の層厚みが50μであり、外層及び内層の材質が異なる積層材を用いて、積層材の両端縁同志を突き合わせてヒートシール等の熱溶着により筒状に接合して胴部となし、該胴部表面上の段差を少なくしたラミネートチューブ。

また、原査定の拒絶の理由に引用された、特公平5-15174号公報(以下、引用文献2という。)には、「包装チューブ」の発明として、第1-8図の記載と共に、次の事項が記載されている。
(e)「第1図における参照数字10は3つの層11,12および13を包含する積層体チユーブに関する。中間の層12は、5?40ミクロンの間の厚みを有するガス及び蒸気障壁、通常アルミニウムによつて形成する金属薄板層である。この層においては、もし必要ならプライマ即ち他の補助装置の使用により、代表的には10?50ミクロンの厚みを有するポリオレフイン層11,13、普通はポリエチレンまたはポリプロピレンが取り付けられている。層11,13は被覆剤即ちフイルムとして得られてもよい。」(第5頁第9欄第32-42行)
(f)「第5図において、チユーブ主要部10に関した積層体のウエブは、縁と縁を対向して設置した積層体の縁を有する長手方向の継ぎ目28が得られるように、マンドレル27上にわたつて円筒形状に一対の折り曲げたレール39により折り曲げられかつこのマンドレル上にわたつて設置されることがどのように行われるかを示している。積層体26は第1図におけるチユーブ主要部10に関して記載された基本構造をなすものである。」(第6頁第11欄第42行-第12欄第6行)

「積層体26」は帯状であることは第5図の記載から明らかであり、「包装チューブ」がラミネートチューブであることもまた明らかである。

したがって、引用文献2には次の発明(以下、引用発明2という。)が記載されているものと認める。

外層、バリアー層としての中間層、内層を順次積層し、かつ、前記の外層と内層の層厚みが代表的には10?50ミクロンの帯状積層材を用いて、帯状積層材の両端縁同志を突き合わせてヒートシール等の熱溶着により筒状に接合して胴部となしたラミネートチューブ。

5.対比
本願発明と引用発明1とを比較すると、両者は、
外層、バリアー層としての中間層、内層を順次積層し、かつ、外層及び内層の材質が異なる積層材を用いて、積層材の両端縁同志を突き合わせてヒートシール等の熱溶着により筒状に接合して胴部となし、該胴部表面上の段差を少なくしたラミネートチューブ。
である点で一致し、次の各点で相違する。

<相違点1>
本願発明においては、外層と内層の層厚みが、夫々100μm以上乃至120μmの範囲にあるのに対し、引用発明1においては、外層の層厚みが30μ、内層の層厚みが50μである点。
<相違点2>
本願発明においては、帯状積層材を用いて、帯状積層材の流れ方向の両端縁同志を突き合わせているのに対し、引用発明1においては、積層材の両端縁同志を突き合わせているが、「帯状積層材の流れ方向の両端縁」か否かについて特段の記載がない点。

6.判断
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
外層、バリアー層としての中間層、内層を順次積層した積層材を用いたチューブにおいて、外層と内層の層厚みが、夫々100μm以上乃至120μmの範囲にあるものは従来より周知であるから(例えば、上記拒絶査定で提示された特開平4-238024号公報、特開平5-16949号公報、及び特開平6-171659号公報参照)、引用発明1における外層と内層の層厚みを夫々100μm以上乃至120μmと限定することに格別の困難性は認められない。
<相違点2>について
引用発明2では、積層材の両端縁同志を突き合わせて構成したラミネートチューブにおいて帯状積層材を用いており、その突き合わされる両端縁の位置は、本願の明細書及び図面に記載された突き合わされる両端縁の位置と同じである。そして、引用発明1も引用発明2も同一の技術分野に属するので、引用発明1に引用発明2を適用し、引用発明1において帯状積層材の流れ方向の両端縁同志を突き合わせる構成とすることは、その適用に特段の阻害要因もないことから、当業者であれば容易になし得ることである。
また、本願発明が奏する効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。

7.むすび
したがって、本願発明は、上記引用文献1、2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
以上のとおりであるから、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平7-279900
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B65D)
P 1 8・ 574- Z (B65D)
P 1 8・ 571- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
P 1 8・ 573- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 嘉章  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 豊永 茂弘
宮崎 敏長
発明の名称 ラミネートチューブ  
代理人 金山 聡  

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