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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1147121
審判番号 不服2004-12976  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-24 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 6年特許願第 14058号「信号分離装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月11日出願公開、特開平 7-212794〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成6年1月12日の出願であって、平成16年5月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月26日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年7月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)についての補正却下の決定

[補正却下の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、請求項1、2、10、11について、補正前の発明の構成に欠くことのできない事項である「空間的」について「空間的及び時間的」、同じく「近傍の複数の画素」について「近傍の同一の位相関係にある複数の画素」と補正するもので、当該補正事項はそれぞれ補正前の発明の構成に欠くことのできない事項に対して限定を付加するものであって、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、請求項12について、補正前は「請求項10または11に記載の信号分離装置において」と記載されていたところ、「請求項10または11に記載の信号分離方法において」と補正するもので、当該補正事項は誤記の訂正に該当する。

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号が供給され、上記ディジタル入力信号から上記複数の信号を個々に分離する信号分離装置において、
上記ディジタル入力信号に含まれ、注目画素の空間的及び時間的、又は時間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する相関検出手段と、
上記注目画素の空間的及び時間的、又は時間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から検出された複数の相関に基づいてクラスを生成するクラス生成手段と、
上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数を読み出す予測係数読み出し手段と、
上記読み出された予測係数と上記ディジタル入力信号とから演算により予測値を生成する予測値生成手段と
を有することを特徴とする信号分離装置。」
と補正される。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭60-139090号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。
(ア)「この発明は、デイジタル信号に変換された複合カラーテレビジョン信号から輝度信号及び搬送色信号を分離するY/C分離フィルタに関する。」(公報第1頁左下欄第13行目乃至第15行目)
(イ)「この発明は、入力デイジタルカラービデオ信号の所定の画素データごとに2次元領域を設定し、2次元領域内の複数の画素データの比較により2次元領域のパターン分類を行ない、この分類されたパターンに応じて決定された処理方式を有する2次元Y/C分離フィルタによりY/C分離を行なうようにしたことを特徴とするY/C分離フィルタである。」(公報第2頁第7行目乃至第14行目)
(ウ)「2次元のY/C分離は、入力デイジタルカラービデオ信号が2次元の複数のパターン例えば、216 個のパターンの何れに該当するかを調べ、そのパターンに関し、最適なY/C分離処理を行なうものである。第1図において、17は、2次元ブロックデータ抽出回路2からの現画像データの周辺の画素データを用いて、現画像データと周辺の画素データとのレベル差によつてパターン分けを行なう2次元パターン分類回路を示す。この2次元パターン分類回路17からパターンに応じた複数ビット例えば6ビットのセレクトデータが出力され、このセレクトデータがゲート回路18を介してデコーダ19に供給される。デコーダ19からは、6ビットのセレクトデータに応じて、37ビットのうち1ビットのみが1となるセレクト信号が発生する。この37ビットの各ビットがANDゲートA1,A2,・・・A37に供給される。」(公報第2頁右下欄第7行目乃至第3頁第3行目)
(エ)「第3図は、この一実施例におけるサンプリング周波数4fscの画素データの2次元配列及び各画素データの搬送色信号成分の位相関係を拡大して示すもので、水平の線が1フィールド内のラインLM2、LM1、L0、L1、L2を夫々示し、垂直方向の線が水平方向のサンプリング位置・・・・・・I-2,I-1,I,I+1,I+2,・・・・・・を夫々示す。サンプリング位置の間隔は、(1/4fsc)である。そして、画素データは、例えばラインL0のサンプリング位置I-4の時に、L0(I-4)で表わされる。ここでは、画素データL0(I)(白抜きの四角なドットで示す)をY/C分離の対象とする現在の画素データとしている。
サンプリング周波数が4fscとされているので、同一ライン上でサンプリング間隔の4倍の間隔ごとに位置する画素データ及び1ラインおきの同一サンプリング位置の画素データ(白抜きの円形ドットで示される)が搬送色信号成分に関して現在の画素データと同位相のものとなる。」(公報第3頁右上欄第6行目乃至左下欄第4行目)
(オ)「2次元Y/C分離は、現画素データL0(I)の近傍で且つ同位相の8個の画素データの夫々を現画素データL0(I)とレベル比較し、この比較出力を4個のクラスに分け、クラス分けの結果を用いて216 個のパターンに分類し、37個の2次元Y/C分離処理から各パターンに最適なY/C分離処理を選択するようになされる。現画素データと周囲の8個の画素データの夫々との差は、次のように求められる。
LD1=L0(I-4)-L0(I)
LD2=LM1(I-2)-L0(I)
LD3=LM2(I)-L0(I)
LD4=LM1(I+2)-L0(I)
LD5=L0(I+4)-L0(I)
LD6=L1(I+2)-L0(I)
LD7=L2(I)-L0(I)
LD8=L1(I-2)-L0(I)
これらの差のデータは、第6図Aに示すように分布する。次に、差のデータを第6図Bに示すように、しきい値+LS以上の区分1と、(0?+LS)の区分2と、(-LS?0)の区分3と、-LS以下の区分4とに分ける。したがって、これらの差のデータLD1?LD8のとりうる組合せ即ちパターンは、(48=216 )通りとなる。
上述のパターン分類を行なう2次元パターン分類回路17は、第7図に示すように、減算回路41と比較回路42とクラス分け回路43とテーブルが格納されたROM44とから構成される。減算回路41では、現画素データL0(I)がその周辺の8個の画素データの夫々から減算され、差のデータLD1?LD8が比較回路42に供給される。差のデータLD1?LD8は、第7図において破線図示のように、極性を示す1ビットと共に後段に伝送され、この極性を示す1ビットがクラス分け回路43において用いられる。
比較回路42には、しきい値+LS及び-LSが供給され、差のデータLD1?LD8の夫々と+LSの比較並びに差のデータLD1?LD8の夫々と-LSの比較がなされる。この比較出力と極性を示すビットとがクラス分け回路43に供給され、8個の差のデータLD1?LD8の夫々が区分1、区分2、区分3、区分4の何れに属するかが判定される。例えば・・・計16ビットの出力がクラス分け回路43から発生し、ROM44に供給される。
ROM44は、16ビットのクラス分けの出力がアドレスとして供給され・・・最適な2次元Y/C分離処理を指定するデータを発生する。」(公報第4頁左下欄第16行目乃至第5頁右上欄第15行目)
(カ)「2次元パターンの分類としては、上述の一実施例の他に種々の変形が可能である。例えば現画素データの近傍の他の画素データとの差データを下記のように求めても良い。
LD1=LM1(I-2)-L0(I)
LD2=LM1(I+2)-L0(I)
LD3=L1(I-2)-L0(I)
LD4=L1(I+2)-L0(I)
LD5=LM1(I-1)-L0(I+1)
LD6=LM1(I+1)-L0(I-1)
LD7=L1(I-1)-L0(I+1)
LD8=L1(I+1)-L0(I-1)」
(公報第5頁左下欄第10行目乃至右下欄第1行目)
(キ)「また、2次元Y/C分離処理は、上述のものと異なり、現画像データの近傍の複数の画素データの1次結合として輝度信号を分離するものを用いても良い。
一例として、第9図に示すように、現在の画素データZ5 の周辺の画素データZ1,Z2,Z3,Z4,Z6,Z7,Z8,Z9を用い、これらに重み付け係数a1,a2,a3,・・・a9を乗じることで輝度信号を分離できる。
即ち
Y=a1Z1+a2Z2+a3Z3+・・・・・・+a9Z9 となる。この重み付け係数はa1?a9は、コンピュータシュミレーションにより、誤差が最小となるように定められる。第10図は、重み付け係数a1?a9 の一例を示すもので、実係数は、ハードウエアの簡略化のために、整数近似され、更に、分子、分母の夫々が2のべき乗の分数とされている。この重み付け係数a1?a9 を、2次元パターンに応じて最適なものに設定することにより、誤差の少ないY/C分離を行なうことができる。」(公報第5頁右下欄第14行目乃至第6頁左上欄第12行目)

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用文献1記載の発明(以下、「引用発明」という。)とを各構成要素毎に対比する。

(3-1)発明の前提について
本願補正発明は、「信号分離装置」に係る発明であり、「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号が供給され、上記ディジタル入力信号から上記複数の信号を個々に分離する信号分離装置」を前提とする。
これに対し、記載(ア)(イ)より、引用発明は、複合カラーテレビジョン信号(または入力デイジタルカラービデオ信号)を輝度信号と搬送色信号とに分離するY/C分離フィルタに係る発明であるから、本願補正発明と同様に「信号分離装置」に係る発明といえる。
また、記載(ア)(イ)より、引用発明の複合カラーテレビジョン信号(または入力デイジタルカラービデオ信号)は、少なくとも輝度信号と搬送色信号とを含む。そして、これらの信号が周波数多重され伝送されるものであることは、当該技術分野において技術常識といえるから、引用発明の「複合カラーテレビジョン信号(または入力デイジタルカラービデオ信号)」は本願補正発明の「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号が供給され、上記ディジタル入力信号から上記複数の信号を個々に分離する信号分離装置」に相当する構成を前提として備えている「信号分離装置」に係る発明である。

(3-2)相関検出手段について
本願補正発明は、「上記ディジタル入力信号に含まれ、注目画素の空間的及び時間的、又は時間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する相関検出手段」を発明の構成として含む。
これに対し、記載(エ)によれば、画素データL0(I)はY/C分離の対象となる現在の画素データであり、本願補正発明でいう「注目画素」に相当する。
そして、記載(オ)によれば、2次元Y/C分離は、注目画素であるL0(I)の近傍で且つ同位相の、複数の画素である8個の画素データの夫々をL0(I)とレベル比較し、この比較出力を4個のクラスに分け、クラス分けの結果を用いて216 個のパターンに分類し、各パターンに最適なY/C分離処理を選択するようになされるものである。上記レベル比較は、記載(オ)によれば、8つの画素データと注目画素であるL0(I)との差データを求め、しきい値との比較をすることにより行われる。
また、2次元パターンに分類するために用いられる上記差データとしては、記載(カ)によれば、
LD5=LM1(I-1)-L0(I+1)
LD6=LM1(I+1)-L0(I-1)
LD7=L1(I-1)-L0(I+1)
LD8=L1(I+1)-L0(I-1)
のように注目画素L0(I)の近傍で且つ同位相の複数の画素データ間の差データを用いるものであってもよいとされる。
ここで、注目画素L0(I)の近傍の同一の位相関係にあるこれらの画素データは、記載(エ)(オ)(カ)及び第3図より、同一フィールド内にあるから、注目画素とは「空間的に近傍」の関係にあるといえる。
また、上記差データは「相関」といい得るものである。
以上のことから、引用発明は本願補正発明の「注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する」に相当する処理を行っているものということができる。
ただし、本願補正発明の相関検出手段が「注目画素の空間的及び時間的、又は時間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素」から相関を検出するのに対して、引用発明の相関検出手段は注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する点では相違がある。

(3-3)クラス生成手段について
本願補正発明は、「上記注目画素の空間的及び時間的、又は時間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から検出された複数の相関に基づいてクラスを生成するクラス生成手段」を発明の構成として含む。
これに対し、記載(オ)によれば、固定のしきい値+LS及び-LSとの比較評価を行うために、同一の位相関係にある複数の画素の画素値の差データをLD1、LD2、・・・LD8として求めているから、引用発明においても本願補正発明の「上記注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から検出された複数の相関」に相当するものを検出しているといえる。
また、記載(オ)によれば、上記比較評価の結果はクラス分け回路43に供給され、16ビットの出力がクラス分け回路43から発生し、当該16ビットの出力はROM44に供給され、ROM44により最適な2次元Y/C分離処理を指定するデータ(セレクトデータ)が発生される。
そうすると、クラス分け回路43の出力である16ビットの出力は、「複数の相関」である差データに基づいて生成されるものであり、2次元の複数のパターンに対応した最適な2次元Y/C分離処理を指定するのに用いられることから、本願補正発明の「クラス」に相当するといえ、クラス分け回路43は本願補正発明の「クラス生成手段」に相当する。
したがって、引用発明には、本願補正発明の「上記注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から検出された複数の相関に基づいてクラスを生成するクラス生成手段」に相当する構成が含まれているといえる。
なお、引用文献1の公報第2頁右上欄第13行目乃至第2頁右下欄第6行目、第1図、第2図によれば、1次元のY/C分離処理が2次元のY/C分離処理に優先して行われるところ、1次元のY/C分離処理では上記のようなクラス分けの処理は行っていない。
そうであっても、引用文献1は記載(ウ)(オ)(カ)(キ)に開示される技術的事項を含むことに変わりなく、引用発明は本願補正発明にいう「クラス生成手段」に相当する構成を含むといってよい。

(3-4)予測係数読み出し手段、予測値生成手段について
本願補正発明は、「上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数を読み出す予測係数読み出し手段」と「上記読み出された予測係数と上記ディジタル入力信号とから演算により予測値を生成する予測値生成手段」を発明の構成として含む。
これに対し、前記したとおり、記載(オ)より、クラス分け回路43の出力がROM44に供給され、ROM44より、最適な2次元Y/C分離処理を指定するデータ(セレクトデータ)が発生される。ROM44内には6ビットのセレクトデータを発生するためのテーブルが格納されている。そして、当該セレクトデータはクラス分け回路43の出力を受けて生成されるものであるから生成されたクラスに対応したものである。
すなわち、生成されたクラスに対応したデータ(最適な2次元Y/C分離処理を指定する)を読み出す読み出し手段の存在が認められる。
また、記載(キ)によれば、重み付け係数と注目画素の周辺の画素データとからの演算により、輝度信号を得ることも可能であるとされる。
当該重み付け係数は、記載(キ)によれば、コンピュータシュミレーション(シミュレーションの誤記)により、誤差が最小となるように定められるものとされ、具体的なコンピュータシミュレーションの演算方法は明示されていないが、
Y=a1Z1+a2Z2+a3Z3+・・・・・・+a9Z9という1次結合の式において、誤差が最小となるように重み付け係数が定められるのであるから、例えば本願の発明の詳細な説明の段落【0024】、段落【0026】乃至段落【0037】に開示される手法と同様と解され、コンピュータシミュレーションによる演算結果を用いることから、当該重み付け係数は本願補正発明の予測係数と同様に「予め学習された」ものといえる。
また、記載(キ)によれば、上記重み付け係数は2次元パターンに応じて最適なものに設定されるのであるから、本願補正発明にいう「生成されたクラスに対応した」ものといえる。
また、前記のように重み付け係数は誤差が最小となるように定められるから、これを用いて記載(キ)に示す1次結合の式で演算される輝度信号Yは予測値というべきものであり、重み付け係数は予測値を計算するための係数であるから「予測係数」と称しても差し支えないものである。
よって、引用発明は本願補正発明の「上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数」に相当する構成を含むといえる。
また、前記のように、重み付け係数と画素データZ1?Z9を用いた1次結合の式により輝度信号Yの予測値を演算し生成する手段が含まれているから、引用発明には本願補正発明の「上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数」を用いて、「予測係数と上記ディジタル入力信号とから演算により予測値を生成する予測値生成手段」に相当する構成の存在が認められる。
なお、本願の発明の詳細な説明においては、段落【0027】乃至段落【0037】にあるように、色信号を演算により予測するものが記載されているのに対し、記載(キ)によれば、引用発明は輝度信号を演算により予測するものであるが、引用発明も予測値を生成し、当該予測値はディジタル入力信号から複数の信号を個々に分離するために用いられているから、相違はない。
もっとも、本願補正発明が予測係数を読み出す「予測係数読み出し手段」を備え、本願補正発明の予測値生成手段が「読み出された予測係数」を用いるのに対し、引用発明では、Y/C分離処理において予め学習された予測係数を用いる場合、これを読み出す手段を備えるのかは、記載(キ)には明示がない。ただし、生成されたクラスに対応したデータ(最適な2次元Y/C分離処理を指定する)を読み出す読み出し手段の存在は前記のとおり認められる。

以上(3-1)?(3-4)のことから、本願補正発明と引用発明とでは、
「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号が供給され、上記ディジタル入力信号から上記複数の信号を個々に分離する信号分離装置において、
上記ディジタル入力信号に含まれ、注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する相関検出手段と、
上記注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から検出された複数の相関に基づいてクラスを生成するクラス生成手段と、
上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数を用い、
上記予測係数と上記ディジタル入力信号とから演算により予測値を生成する予測値生成手段と
を有する信号分離装置。」である点で一致し、以下の各点で相違している。
(相違点1)
本願補正発明の相関検出手段が、注目画素の「空間的及び時間的、又は時間的に」近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出するのに対して、引用発明では相関検出手段が注目画素の空間的に近傍の同一の位相関係にある複数の画素から相関を検出する点
(相違点2)
本願補正発明が予測係数を「読み出す予測係数読み出し手段」を備え、本願補正発明の予測値生成手段が「読み出された予測係数」を用いるのに対して、引用発明がこのような手段を備えるのかは明示がない点

(4)検討
以下、上記各相違点につき、検討する。
(相違点1について)
本願補正発明と同様の信号分離装置に用いる、信号分離のための相関検出の態様として、画素間の相関検出に空間的に近傍の位置関係にある画素を用いることに加え、時間的に近傍の位置関係にある画素をも用いること、すなわち、「空間的及び時間的に」近傍の画素を用いることは、特開平3-184492号公報(公報第9頁左上欄第8行目乃至左下欄第5行目)に示されるように、従来周知の事項である。
また、注目画素の空間的及び時間的に近傍の「同一の位相関係にある」複数の画素から相関を検出することも、前記公報の第9頁左下欄第1行目乃至第5行目、第14図にあるように従来周知の事項に過ぎない。
引用発明に上記周知技術を適用し、上記相違点1に係る本願補正発明の如く構成することに特段の阻害要因は見出せず、当業者が容易に想到し得たことといえる。
(相違点2について)
引用発明の予測値生成手段は予測係数とディジタル入力信号とから演算により予測値を生成するものであるところ、ディジタル演算処理をするのに、演算の対象となるデータを例えばレジスタなどの記憶手段に格納しておき、該記憶手段から当該演算の対象となるデータを読み出し手段により読み出して演算が実行されるように構成することは、慣用技術に過ぎないことである。
したがって、引用発明において、予測値生成手段における演算の対象データである予測係数を、何らかの記憶手段に格納しておき、該記憶手段から読み出し手段により該予測係数を読み出して予測値生成手段内で演算処理されるように構成すること、言い換えれば、予測係数読み出し手段を設け、予測値生成手段に用いる予測係数を、当該予測係数読み出し手段から読み出したものとすることは、格別なことではなく当業者が容易に想到し得ることである。

そして、上記各相違点を総合しても格別のこととはいえず、また、本願補正発明の作用効果も、引用文献1及び上記周知技術から予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年7月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年4月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「周波数多重された複数の信号を含むディジタル入力信号が供給され、上記ディジタル入力信号から上記複数の信号を個々に分離する信号分離装置において、
上記ディジタル入力信号に含まれ、注目画素の空間的又は時間的に近傍の複数の画素から相関を検出する相関検出手段と、
上記注目画素の空間的又は時間的に近傍の複数の画素から検出された複数の相関に基づいてクラスを生成するクラス生成手段と、
上記生成されたクラスに対応した予め学習された予測係数を読み出す予測係数読み出し手段と、
上記読み出された予測係数と上記ディジタル入力信号とから演算により予測値を生成する予測値生成手段と
を有することを特徴とする信号分離装置。」
(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「空間的」について「及び時間的」との限定を省き、同じく「近傍の複数の画素」について「同一の位相関係にある」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、更に他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平6-14058
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 直樹  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 新宮 佳典
堀井 啓明
発明の名称 信号分離装置および方法  
代理人 杉浦 正知  
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