• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1147187
審判番号 不服2004-22162  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 8年特許願第279060号「半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年5月15日出願公開、特開平10-125852〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年10月22日の出願であって、平成16年9月21日付けで拒絶査定がなされたところ、平成16年10月28日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において、平成18年6月9日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の平成18年8月14日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものであり、その請求項1、2に係る発明は、前記平成18年8月14日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 半導体素子を装着する素子装着部と、複数のリードを有するリードフレームの前記素子装着部に半導体素子を接着し、前記複数のリードの少なくともいずれか一つと半導体素子の被接続部とをワイヤーで結線し、樹脂封止してなる半導体装置の製造方法において、
前記リードフレームとしては、一方の面が絶縁性接着剤を有する絶縁性フィルムを該リードフレームの少なくとも片面に前記絶縁性接着剤を介して貼り合わせた構造のものを用いるとともに、
前記リードフレームと半導体素子との接着工程の前に、前記絶縁性接着剤を介して前記絶縁性フィルムを貼り合わせた前記リードフレームに当該絶縁性接着剤の揮発成分を放出させるための温度範囲150?200℃、処理時間が5分以上の加熱処理を施す工程を備え、
その後、前記絶縁性フィルムを付着したまま前記リードフレームと前記半導体素子との接着工程を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」

2.当審における拒絶理由通知及びその引用刊行物
当審における拒絶理由は、本願に係る発明は、特開平3-228号公報(以下、「刊行物」という。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、その刊行物には、以下のことが記載されている。

(1-a)「本発明は、フィルム、特に高温で貼り付けるタイプのフィルムを対象とした貼り付け装置に関するものである。」(第2頁左上欄13?15行)

(1-b)「第1図、第4図、第5図、第6図および第7図に示す本発明のフィルム貼り付け装置10を用いて、第3図に示すようなMOSICを搭載する40ピンの長リードを持つ5ピースからなるリードフレーム20の各ピースの長リード直角方向に2ケ所、フィルム24の貼り付けを行った。このフィルム貼り付けは、リード段差(板厚方向のばらつき)の防止およびその後の取り扱い等により生じるリードの変形防止を目的とするものである。 貼り付けたフィルム24は15mmx2mmで、厚さはポリイミド75μm、接着要約20μmである。 接着剤はポリエーテルアミド系接着剤で、接着性を良くするために約1%の溶媒を含んでいる。これにより、仮付けは、0.5程度度と短時間でまた温度は、250℃程度また押し付けは後述するようにごくわずかな力で十分であった。仮付けでは各ピース毎に行うことにより、高い位置精度を得ることができる。
ベーキングは約300℃で1分間程度行った。これは本圧着時の発泡を防止するために、フィルム24の脱湿および接着剤中の余分な溶媒を除去するのが目的である。またフィルムから気化した溶媒が被接着面であるリードフレーム面に吸着され、濡れ性が良くなり接着性が向上する効果も期待できる。」(第6頁右下欄17行?第7頁右上欄2行)

(1-c)「また、特に本発明のベーキング処理装置を有するフィルム貼り付け装置によれば、空気の巻き込み、吸湿あるいは残留溶媒等による発泡を防止することができ、高精度かつ良好で堅固な貼り付けを容易かつ幾分短時間で得ることができる。」(第8頁右上欄12?17行)

3.対比・判断
ここで、上記摘記事項(1-b)を中心に、上記摘記事項(1-a)?(1-c)を勘案すれば、刊行物には、
「MOSICを装着する素子装着部と複数のリードを有するリードフレームにおいて、
リードフレームとしては、一方の面がポリエーテルアミド系接着剤を有するポリイミドフィルムをリードフレームの片面に前記接着剤を介して貼り合わせた構造を有し、
リードフレームとMOSICとの接着工程の前に、前記接着剤を介して、前記フィルムを貼り合わせた前記リードフレームに接着剤の余分な溶媒を除去させるために、約300℃、1分間ベーキング処理を施す工程を備えている半導体装置の製造方法」(以下、「刊行物発明」という。)
が開示されている。
ここで、本願発明と刊行物発明とを対比すると、刊行物発明の「MOSIC」、「ポリエーテルアミド系接着剤」、「ポリイミドフィルム」、「接着剤の余分な溶媒を除去」、「ベーキング処理」は、各々本願発明の「半導体素子」、「絶縁性接着剤」、「絶縁性フィルム」、「揮発成分を放出」、「加熱処理」に対応するので、
両者は、
「半導体素子を装着する素子装着部と、複数のリードを有するリードフレームにおいて、
リードフレームとして一方の面が絶縁性接着剤を有する絶縁性フィルムをリードフレームの片面に前記接着剤を介して貼り合わせた構造を有し、
リードフレームに半導体素子を搭載する前に、前記接着剤を介して、前記フィルムを貼り合わせた前記リードフレームに前記絶縁性接着剤の揮発成分を放出させるための加熱処理を施す工程を備えている半導体装置の製造方法」
である点で一致し、以下の点で相違する。

第1の相違点
本願発明は、半導体素子を装着する素子装着部と複数のリードを有するリードフレームの素子装着部に半導体素子を接着し、前記複数のリードの少なくともいずれか一つと半導体素子の被接続部とをワイヤーで結線し、樹脂封止してなる半導体装置の製造方法において、リードフレームと半導体素子の接着工程前にリードフレームに加熱処理を施す工程を有するのに対して、刊行物発明は、加熱処理を施したリードフレームを用いた半導体装置の製造方法である点

第2の相違点
本願発明は、温度範囲150?200℃、処理時間が5分以上の加熱処理を施す工程を備えているのに対して、刊行物発明では、約300℃、1分間加熱処理を施す工程を備えている点

以下、上記各相違点について検討する。

第1の相違点について
リードフレームの素子搭載部に半導体素子を接着し、複数のリードの少なくともいずれか一つと半導体素子の被接続部とをワイヤーで結線し、樹脂封止してなる半導体装置の製造方法は、半導体の実装技術として一般的な工程からなる周知技術であり、半導体素子の接着を完成したリードフレームを用いて行うことも、通常のダイボンディング技術として周知技術である。
したがって、第1の相違点は、当業者が刊行物発明を当該各周知技術に適用することにより、容易になし得た事項である。

第2の相違点について
リードフレームに施す加熱処理は、接着剤の揮発成分を放出させるためのものであり、所望の揮発特性を得るために、加熱処理時に制御すべき主要なパラメータは、加熱温度と加熱時間であることから、溶剤の量、溶剤中の成分等を考慮して、加熱温度及び加熱時間を決定することは、当業者が適宜に最適化し得る事項である。
また、刊行物発明に開示されされている例は、「約300℃、1分間」という加熱条件であるが、仮に当該条件よりも加熱温度を低く設定すれば、所望の揮発特性を得るためには、加熱時間が長くなることはあきらかである。
さらに、本願発明の温度範囲及び処理時間の条件設定により、特別な効果を奏しているとは認められない。
したがって、加熱条件について、温度範囲150?200℃、処理時間が5分以上と限定することについて、格別の意義は見いだせず、当業者が容易になし得たことである。

よって、本願発明は、当業者が、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平8-279060
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 英夫  
特許庁審判長 池田 正人
特許庁審判官 川真田 秀男
大嶋 洋一
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 船橋 國則  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ