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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1147188
審判番号 不服2004-22258  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-03-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 特願2001-258081「折畳式携帯電話」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月 7日出願公開、特開2003- 69679〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年8月28日の出願であって、平成16年9月17日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年10月28日に拒絶査定に対する不服の審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成16年8月9日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「二分割された筐体の何れか一方にアンテナを備え、前記二分割された筐体をヒンジ部を介して開閉自在に接続してなる折畳式携帯電話であって、
前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面から離間する方向に揺動させて筐体外部に露出させる一方、筐体が閉じられた場合には、前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面に接近する方向に揺動させて筐体内部に収納するアンテナ出没機構と、
前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナを利用した送受信に対して最適化されたインピーダンスを前記筐体内の無線回路と前記アンテナとの間に設定する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体内部に収納された前記アンテナを利用した呼出信号の受信に対して最適化されたインピーダンスを前記無線回路と前記アンテナとの間に設定するインピーダンス最適化機構を備えたことを特徴とする折畳式携帯電話。」

3.先願発明
原査定の拒絶の理由に引用された、特願2000-137451号(特開2001-320459号公報)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には、その公開公報を参照すると次のイ)?リ)の事項が記載されている(下線加筆)。
イ)「【請求項1】所定の第1及び第2の筐体と、
上記第1及び第2の筐体を折畳及び展開自在に連結するヒンジ部と、
上記第1又は第2の筐体に折畳及び展開自在に設けられたアンテナ素子と、
上記第1及び第2の筐体と、上記アンテナ素子との折畳及び展開を連動させる連動手段とを具えることを特徴とする無線通信端末。」(第2頁1欄、特許請求の範囲)、
ロ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線通信端末に関し、例えば、折り畳み式の携帯電話機に適用して好適なものである。」(第2頁1欄)、
ハ)「【0018】図1及び図2において、20は全体として本発明を適用した折り畳み式の携帯電話機を示し、箱状の第1及び第2の筐体21及び22がヒンジ部23を介して折畳及び展開自在に連結されて構成されている。」(第3頁3欄)、
ニ)「【0025】かかる構成に加えて、この携帯電話機20の場合、第2の筐体ケース22の一方の側面22Bには、アンテナ部32が折畳及び展開自在に設けられている。
【0026】すなわち、アンテナ部32は、導電性の線材を棒状に形成したロッドアンテナ33を有し、当該ロッドアンテナ33の一端(以下、これをロッド一端と呼ぶ)が第2の筐体ケース22の右側面22Bの下側に、回動自在に枢支されると共に、当該ロッドアンテナ33にこれを保護する非導電性のアンテナカバー34が被覆されている。
【0027】また、ロッドアンテナ33のロッド一端33Aは、第2の筐体22の内部から第1の筐体21の内部に渡って引き回された所定の伝送線路(図示せず)を介して回路基板の無線通信用の送受信回路に電気的に接続されている。
【0028】そして、ロッドアンテナ33は、そのロッド一端33Aを中心にしてヒンジ部23の回動に連動して回動し得るようになされており、第1及び第2の筐体21及び22が折り畳まれたときには、ロッド一端33Aを中心にして矢印xに示す第2の筐体22に対して折り畳まれる方向(以下、これを折畳方向と呼ぶ)に回転することにより、当該ロッドアンテナ33の長手方向(以下、これをロッド長手方向と呼ぶ)を第2の筐体22の右側面22Bの長手方向(以下、これを側面長手方向と呼ぶ)とほぼ平行にした第1の姿勢となり、待ち受け状態となる。
【0029】また、ロッドアンテナ33は、第1及び第2の筐体21及び22が展開されたときには、ロッド一端33Aを中心にして折畳方向とは逆の第2の筐体22に対して展開する方向(以下、これを展開方向と呼ぶ)に回転することにより、ロッド長手方向を側面長手方向に対して第2の筐体22の背面22C側に所定角度で傾け、当該ロッドアンテナ33の他端(以下、これをロッド他端と呼ぶ)33Bを第2の筐体22の背面22C側に位置させる第2の姿勢となり、通話に使用し得るようになされている。」(第3頁4欄)、
ホ)「【0036】ここで、第1?第3のギア37?39は、第1及び第2の筐体21及び22が折り畳まれたときにロッドアンテナ33を第1の姿勢にすると共に、第1及び第2の筐体21及び22が展開されたときにロッドアンテナ33を第2の筐体22の背面22Cに対して所定角度で傾け、当該第2の筐体22の背面22Cからロッド他端33Bを所定距離だけ離した第2の姿勢とするように、直径及び歯数がそれぞれ選定されている。」(第4頁5欄)、
ヘ)「【0052】なお、上述の実施の形態においては、第2の筐体22の右側面22Bにアンテナ部32を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第2の筐体22の左側面や、背面、また、第1の筐体21の所定の部位等のように、アンテナ部32をこの他第1又は第2の筐体21又は22の種々の部位に設けるようにしても良い。
【0053】因みに、第1又は第2の筐体21又は22の背面にアンテナ部32を設ける場合には、当該第1又は第2の筐体21又は22の背面にアンテナ部32に応じた溝部を設け、第1及び第2の筐体21及び22を折り畳んだときに、その溝部内にアンテナ部32を収納すれば、第1及び第2の筐体21及び22とアンテナ部32とを一体化して携帯性が損なわれることを防止することができる。」(第5頁8欄)、
ト)「【0058】さらに、上述の実施の形態においては、携帯電話機20にロッドアンテナ33のみを設け、これを通話時及び待受時の双方において使用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯電話機の例えば第2の筐体の上側端面や、ロッドアンテナ33のロッド他端33Bにヘリカルアンテナ等の他のアンテナ素子を設けると共に、携帯電話機の内部に所定のアンテナ切換部を設け、通話時にロッドアンテナを使用し、待受時には他のアンテナ素子を使用するようにしても良い。」(第6頁9欄)、
チ)「【0063】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、所定の第1及び第2の筐体と、当該第1及び第2の筐体を折畳及び展開自在に連結するヒンジ部と、第1又は第2の筐体に折畳及び展開自在に設けられたアンテナ素子と、第1及び第2の筐体と、アンテナ素子との折畳及び展開を連動させる連動手段とを設けるようにしたことにより、第1及び第2の筐体と、アンテナ素子とのうちのいずれか一方に対して折畳及び展開の操作を行うだけで、連動手段を介して他方の第1及び第2の筐体、又はアンテナ素子をも折畳及び展開の操作を行うことができ、かくして、無線通信端末の操作性を格段的に向上させることができる。」(第6頁10欄)。

上記先願明細書の記載及びこの分野の技術常識によれば、先願明細書には、
「二分割された筐体の何れか一方にアンテナを備え、前記二分割された筐体をヒンジ部を介して開閉自在に接続してなる折畳式携帯電話であって、
前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面から離間する方向に揺動させて筐体溝部外に露出させる一方、筐体が閉じられた場合には、前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面に接近する方向に揺動させて筐体溝部内に収納する連動手段と、
前記二分割された筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナのうち通話用のロッドアンテナ部分を利用する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体溝部内に収納された前記アンテナのうち待受用のヘリカルアンテナ部分を利用するアンテナ切換部を備えたことを特徴とする折畳式携帯電話。」の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。

4.対比
そこで、本願発明と先願発明とを対比する。

a)先願発明の「筐体溝部外」と本願発明の「筐体外部」は、「外部」という点で一致し、同様に、先願発明の「筐体溝部内」と本願発明の「筐体内部」は、「内部」という点で一致する。
b)先願発明の「連動手段」は、筐体の開閉に連動してアンテナを出没させるものだから、先願発明の「連動手段」は本願発明の「アンテナ出没機構」に相当する。
c)先願発明の「前記二分割された、筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナのうち通話用のロッドアンテナ部分を利用する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体溝部内に収納された前記アンテナのうち待受用のヘリカルアンテナ部分を利用するアンテナ切換部」と、本願発明の「前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナを利用した送受信に対して最適化されたインピーダンスを前記筐体内の無線回路と前記アンテナとの間に設定する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体内部に収納された前記アンテナを利用した呼出信号の受信に対して最適化されたインピーダンスを前記無線回路と前記アンテナとの間に設定するインピーダンス最適化機構インピーダンス最適化機構」は、「前記二分割された筐体が開かれた場合と閉じられた場合とで、利用部分を切換える切換機構」という点で一致する。

したがって、本願発明と先願発明とは、次の[一致点]で一致し、[相違点1]、[相違点2]で一応相違する。

[一致点]
二分割された筐体の何れか一方にアンテナを備え、前記二分割された筐体をヒンジ部を介して開閉自在に接続してなる折畳式携帯電話であって、
前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面から離間する方向に揺動させて外部に露出させる一方、筐体が閉じられた場合には、前記アンテナの基部を支点として前記アンテナを筐体の背面に接近する方向に揺動させて内部に収納するアンテナ出没機構と、
前記二分割された筐体が開かれた場合と閉じられた場合とで、利用部分を切換える切換機構を備えたことを特徴とする折畳式携帯電話。

[相違点1]
アンテナの露出と収納に関し、本願発明では、アンテナを「筐体外部に露出させ」、「筐体内部に収納する」のに対して、先願発明では、アンテナを「筐体溝部外に露出させ」、「筐体溝部内に収納する」点。

[相違点2]
切換機構に関し、本願発明では、「前記二分割された筐体の開閉操作に応動し、筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナを利用した送受信に対して最適化されたインピーダンスを前記筐体内の無線回路と前記アンテナとの間に設定する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体内部に収納された前記アンテナを利用した呼出信号の受信に対して最適化されたインピーダンスを前記無線回路と前記アンテナとの間に設定するインピーダンス最適化機構」を備えるのに対し、先願発明では「前記二分割された筐体が開かれた場合には露出した前記アンテナのうち通話用のロッドアンテナ部分を利用する一方、筐体が閉じられた場合には、筐体溝部内に収納された前記アンテナのうち待受用のヘリカルアンテナ部分を利用するアンテナ切換部」を備えるものの、その余の構成については不明な点。

5.判断

[相違点1について]
本願発明におけるアンテナの収納空間について、本願発明の詳細な説明の段落0028に説明があり、そこには「【0028】下カバー2bの内部は隔壁11によって2つの空間に分離され、その一方を形成するアンテナ収納空間12に、アンテナ5が揺動自在に収納されるようになっている。このアンテナ収納空間12の背面には隔壁がなく、アンテナ5がその基部を中心として図2中で後方に揺動した際に、下カバー2bの背面側から自由に外部に露出できる構造である。」旨、記載されている。当記載によれば、本願発明のアンテナが収納される「筐体内部」とは、「隔壁」と「自由に外部に露出できる」面とによって形成される空間を含むものである。
このような空間は、先願発明の構成である「筐体の背面に設けられた溝部」と実質的な差異を有しないから、本願発明の(アンテナを)「筐体外部に露出させ」、「筐体内部に収納する」構成は、先願発明の「筐体溝部外に露出させ」、「筐体溝部内に収納する」構成と実質的に相違するものではない。
したがって、相違点1は実質的な相違ではない。

[相違点2について]
アンテナと給電回路の間にインピーダンス整合を設定することが必要であることは、アンテナ分野の技術常識である(必要であれば、例えば、虫明康人著、「アンテナ・電波伝搬」、第3版、株式会社コロナ社、昭和37年12月20日、P113の「8.4 インピーダンスの整合」参照)。
そして、この技術常識に照らした具体的な利用装置として、本願発明や先願発明のような携帯電話において、通話用のロッドアンテナと待受用のヘリカルアンテナの各々に最適化されたインピーダンスの整合回路を設置すること、及び使用するアンテナの切換に応動してインピーダンス整合回路を最適化されたものに自動的に切り換えることは、例えば特開平10-209905号公報(第7頁の段落0073?0078に、「携帯電話機10Jが待ち受け状態にある携帯時には、・・・ヘリカルアンテナ51は、支持金具52、給電ばね54、アンテナ整合回路44および切換えスイッチ46を通じて、RF送受信回路43に接続される。・・・また、携帯電話機10Jの通話時には、・・・ロッドアンテナ25は、給電ばね26、アンテナ整合回路45および切換えスイッチ46を通じて、RF送受信回路43に接続される。」旨、記載されている。)や特開平8-148918号公報(第3頁段落0017?段落0019の記載を参照。)に開示されているように、周知慣用のことである。
一方、先願発明にはインピーダンスの整合及び筐体内の無線回路について明示がないが、先願発明がその筐体内に無線回路を備えることは自明であると共に、上記技術常識及び周知慣用技術に照らせば、当該無線回路との間に、切換えて使用される「ロッドアンテナ部分」を利用した通話に対して最適化されたインピーダンスを設定すること、及び「ヘリカルアンテナ部分」を利用した待受に対して最適化されたインピーダンスを設定することは、当業者が当然に行うことであるから、当該構成は先願明細書に開示されているに等しい事項であるということができる。
そして、このような先願発明の「通話に対して最適化され」と「待受に対して最適化され」は、それぞれ本願発明の「送受信に対して最適化され」と「呼出信号の受信に対して最適化され」に他ならないから、上記相違点2においても実質的な相違は存在しない。

5.むすび
したがって、本願発明は先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願2001-258081(P2001-258081)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 勝広  
特許庁審判長 羽鳥 賢一
特許庁審判官 中木 努
浜野 友茂
発明の名称 折畳式携帯電話  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 机 昌彦  
代理人 工藤 雅司  
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