• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1147189
審判番号 不服2004-22289  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 8年特許願第 63901号「処理状態通知方法及び処理状態通知システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月 5日出願公開、特開平 9-233213〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年2月27日の出願であって、平成16年9月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月26日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明

上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を、
「ネットワークに接続されるOA機器の処理状態通知方法において、
前記OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容としての文字列を付加情報として設定し、
前記OA機器の処理状態を検知し、
前記検知された処理状態に応じて前記設定された通知先に前記設定された付加情報の文字列を通知することを特徴とする処理状態通知方法。」という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである(アンダーラインは補正箇所を示す。)。

2.補正の適否

(2-1)新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、「通知の対象となる処理状態及び」という記載を削除するものであるから、直列的に記載された発明特定事項の一部の削除になるため、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、本件補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるとも、誤記の訂正を目的とするものであるとも認められない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項各号のいずれの事項を目的とするものにも該当しないので、同法第17条の2第4項の規定に適合しない。

(2-2)独立特許要件について
仮に、本件補正が、実質的に、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、補正後の発明は、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-70858号公報(以下、「引用例」という。)に記載された発明、及び周知技術に基いて当業者が容易になし得たものと認められ、特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項に規定する独立特許要件に違反する。
以下、この点について詳述する。

(2-2-1)補正後の発明
上記「1.本件補正」の項で認定したとおりである。

(2-2-2)引用発明及び周知技術
A.原査定の拒絶の理由に引用された上記特開昭61-70858号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線加筆)。
イ.「[技術分野]
本発明は通信装置、特に選択信号送信手段を用いて相手先端末を呼び出す機能を有する通信装置に関するものである。」(第1頁左下欄13行?16行)、
ロ.「[目的]
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、通信終了時に装置から離れた場所にいる担当の操作者に通信終了と通信結果を報知し、それまで操作者が無駄な時間を費やすことがなく、業務の効率を向上できる通信装置を提供することを目的とする。」(第2頁左上欄2行?8行)、
ハ.「第1図は本発明を採用したファクシミリ装置Fおよびその周辺の一実施例構成を示しており、図において符号11で示されているものは構内交換器(PBX)10に接続された電話回線(外線)である。構内交換機10には複数の電話機8a?8cが回線(内線)9a?9cを介して接続されている。さらに、構内交換機10には回線9dを介してファクシミリ装置Fが接続されている。」(第2頁左上欄13行?20行)、
ニ.「以上の通信動作の操作中、あるいは通信に先立って、操作者は操作表示部の所定のスイッチ、あるいはテンキーなどの入力手段を用いて通信終了時のメッセージ送信を行なうかどうか、行なう場合にはメッセージの送信相手先を指定する。たとえば操作者の席が別室など離れた席にあり、この席に電話機8aがある場合には電話機8aの内線番号を入力しておく。この操作により、入力された電話番号は相手先指定情報としてメモリ4内の所定領域に格納される。」(第2頁右下欄3行?12行)、
ホ.「送信動作が終了し、ステップS1で前記操作によりメッセージ送信先が指定されている場合には、主制御部2はステップS2でメモリ4内に格納されている相手先指定情報に応じて通信制御部7を制御し、回線9dを介して選択信号を送信する(ステップS3)。構内交換機10はこれにより選択信号で示された端末に呼び出し信号を送信する。・・・(中略)・・・自席に戻っている操作者が・・・(中略)・・・応答した場合には主制御部1はステップS7での通信の結果判定に応じて正常終了、あるいはエラー終了を示す所定の信号音をステップS8ないしS9で回線に送信させ、通信の終了とその成否を別室の操作者に報知する。」(第2頁右下欄19行?第3頁左上欄16行)、
へ.「以上では内線電話に終了メッセージを送信する例を示したが、もちろん公衆回線を用いて外線の電話機に終了メッセージを送信するようにもできる。また、通信動作は送信動作に限らず、受信の場合にも同様に終了メッセージを送信して記録紙切れなどのエラーを報知することができる。また、メッセージの受信端末は電話機に限定されるものではなく、他のファクシミリ装置であってよい。その場合にはもちろんメッセージは画像情報として送られる。
また、メッセージは信号音に限定されることなく、音声合成装置、あるいはテープレコーダ、ROMなどを用いた音声記憶装置から「通信を終了しました」あるいは「エラーが発生しました」などの音声メッセージを送信するように構成すればより親しみやすく、わかりやすいメッセージの伝達が可能になる。」(第3頁右上欄9行?左下欄5行)、
ト.「[効 果]
以上の説明から明らかなように、本発明によれば選択信号を送信する手段と、所定の相手先指定情報を格納する記憶手段とを有し、所定の通信動作終了後前記記憶手段に格納された相手先指定情報に対応する相手先端末に前記選択信号送信手段から選択信号を送信して発呼を行ない、通信の終了と通信結果の良否を報知する構成を採用しているので、通信終了時に装置から離れた場所にいる担当の操作者に通信終了と通信結果を報知し、操作者が無駄な時間を費やすことがなく、業務の効率を向上できる優れた効果がある。」(第3頁左下欄11行?右下欄2行)。

上記記載のうち、送信動作が終了した状態、受信動作が終了した状態、又は記録紙切れなどエラーが発生した状態は、処理状態であるということができ、正常終了、あるいはエラー終了を示す所定の信号音、記録紙切れなどのエラーメッセージの画像情報、更には音声記憶装置から取出された「通信を終了しました」などの音声メッセージは、送信相手先とともに設定される報知の内容であるということができる。
すると、上記記載、及びこの技術分野の技術常識によれば、引用例には、
「回線に接続されるファクシミリ装置の処理状態の報知方法において、
前記ファクシミリ装置の処理状態を報知する送信相手先を指定するとともに、前記報知の内容を指定し、
前記ファクシミリ装置の処理状態を検知し、
前記検知された処理状態に応じて前記指定された送信相手先に、前記指定された報知の内容を報知することを特徴とする処理状態の報知方法。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

同様に、上記記載のうち、送信動作が終了した状態、受信動作が終了した状態、又は記録紙切れなどエラーが発生した状態は、報知の対象となる処理状態であるということができるとともに、報知に際して報知される正常終了、あるいはエラー終了を示す所定の信号音、記録紙切れなどのエラーメッセージの画像情報、更には「通信を終了しました」などの音声メッセージは、処理状態に応じて(記憶保持手段から)取出されることが自明である。
すると、上記記載、及びこの技術分野の技術常識によれば、引用例には、
「回線に接続されるファクシミリ装置の処理状態の報知方法において、
送信相手先と共に、報知の対象となる処理状態及び報知の内容を含む指定情報を指定し、
前記ファクシミリ装置の処理状態を検知し、
前記指定情報のうち前記検知された処理状態に応じたものを取出し、前記指定された送信相手先に前記取出された指定情報の通知の内容を報知することを特徴とする処理状態の報知方法。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

B.また、例えば特開平7-297826号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項(イ?ニ)が記載されており、また、例えば特開平6-320845号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項(ホ、ヘ)が記載されている(下線加筆)。

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の出力手段をもつ複合機器における障害通知システムに関するものである。」(第2頁1欄)、
ロ.「【0033】図5は、ある特定の障害が発生した場合に、その障害を通知する方法を設定する場合の処理を示すフローチャートである。また、図9は、この場合の設定画面を示す説明図である。」(第4頁5欄)、
ハ.「【0034】まず、入力インターフェース5に接続されたユーザ入力部14より、これから登録する通知方法を使用する障害の種類を設定する(S501)。図9の例は、ファクシミリの障害に関する設定画面であり、障害の種別として、「相手応答せず」、「通信エラー」、「紙切れ」、「ハードウエア障害」、「回線障害」が用意されており、図では、V字状のカーソルで「回線障害」を設定した状態を示している。」(第4頁5欄)、
ニ.「【0036】また、S502での判定が適切であれば、次に、障害が発生した場合に使用される出力手段(S503)、通知メッセージ(S504)、メッセージの宛先(S505)をそれぞれ設定するが、この設定にあたり、図9に示すOptionキーを押すことにより、例えば、新たな番号の電子メールやファクシミリ、また、新たな内容の通知メッセージや宛先を、初期的に設定されていない任意の組み合わせで設定することができる。なお、この場合、通知メッセージや宛先は、上述したテンプレートを用いることなく、文字入力機能を用いて任意に入力することができる。」(第4頁5欄)、
ホ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:以下LANという)に接続されたプリンタに係り、特にプリンタに発生する情報に応じた通知先及び通知方法で通知する通知機能を有するプリンタに関するものである。」(第2頁1欄)
ヘ.「【0028】またメッセージテーブル51は、エラーコードに対応して、用紙切れ、トナー切れ、ジャム、等の状態や障害の種類を表すメッセージが設定されている。これらの情報に応じた通知先、通知方法の設定及びメッセージの設定は、必要に応じて予めKB7からの入力で行われる。」(第4頁5欄)。

上記「ハ」の項に記載されたファクシミリや、「ホ」の項に記載されたプリンタはOA機器であり、同じく、「ハ」の項に記載された「相手応答せず」、「通信エラー」、「紙切れ」、「ハードウエア障害」、「回線障害」や、「ホ」の項に記載された用紙切れ、トナー切れ、ジャム、等の状態は、処理状態の一種であるということができる。
更に、「ニ.」の項に記載された、文字入力機能を用いて任意に入力された通知メッセージは、「文字列」で構成されることが技術常識である。
すると、周知例1、2の記載、及びこの技術分野の技術常識によれば、「OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容としての文字列を付加情報として設定するとともに、通知する」こと、又は「OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容としての文字列を設定するとともに、通知する」ことは、周知であると認められる。

(2-2-3)対比・判断

補正後の発明と引用発明1とを対比する。
イ.引用発明1の「回線」、「ファクシミリ装置」、「報知」、「送信相手先」、「指定」は、それぞれ補正後の発明の「ネットワーク」、「OA機器」、「通知」、「通知先」、「設定」に相当する。
ロ、引用発明1の「前記報知の内容を指定し」と補正後の発明の「前記通知の内容としての文字列付加情報の文字列を付加情報として設定し」は、「前記通知の内容を設定し」という点で一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明1は、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「ネットワークに接続されるOA機器の処理状態通知方法において、
前記OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容を設定し、
前記OA機器の処理状態を検知し、
前記検知された処理状態に応じて前記設定された通知先に前記設定された通知の内容を通知することを特徴とする処理状態通知方法。」

(相違点)
補正後の発明は「前記通知の内容としての文字列を付加情報として設定し」、「前記設定された付加情報の文字列を通知」するのに対し、引用発明1は通知の内容を設定し、その通知の内容を通知するものの、文字列を付加情報として設定するかどうか、またその付加情報の文字列を通知するかどうか不明な点。

そこで、相違点について検討すると、上記「(2-2-2)引用発明及び周知技術」の「B」の項で述べたように、「OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容としての文字列を付加情報として設定するとともに、通知する」ことは、周知である。
そして、この周知技術と引用発明1は、OA機器における処理状態の通知技術として共通するとともに、この周知技術を引用発明1に適用することに特段の阻害要因は見あたらないから、この周知技術を引用発明1に適用し、補正後の発明のように「前記通知の内容としての文字列を付加情報として設定し」、「前記設定された付加情報の文字列を通知」するよう構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、補正後の発明の効果も引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

よって、補正後の発明は、引用例に記載された発明、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないものであり、仮に、同法第17条の2第4項第2号の規定に該当するものであるとしても、同法第17条の2第5項の規定により準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明
平成16年11月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年6月25日付けで補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「ネットワークに接続されるOA機器の処理状態通知方法において、
通知先と共に、通知の対象となる処理状態及び通知の内容としての文字列を含む設定情報を設定し、
前記OA機器の処理状態を検知し、
前記設定情報のうち前記検知された処理状態に応じたものを取出し、前記設定された通知先に前記取出された設定情報の通知の内容としての文字列を通知することを特徴とする処理状態通知方法。」

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.補正却下の決定」の「(2-2-2)引用発明及び周知技術」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明と引用発明2とを対比する。
イ.引用発明2の「回線」、「ファクシミリ装置」、「報知」、「送信相手先」、「指定情報」、「指定」は、それぞれ本願発明の「ネットワーク」、「OA機器」、「通知」、「通知先」、「設定情報」、「設定」に相当する。
ロ、引用発明2の「前記報知の内容」と本願発明の「前記通知の内容としての文字列」は、「前記通知の内容」という点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明2は、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「ネットワークに接続されるOA機器の処理状態通知方法において、
通知先と共に通知の対象となる処理状態及び通知の内容を含む設定情報を設定し、
前記OA機器の処理状態を検知し、
前記設定情報のうち前記検知された処理状態に応じたものを取出し、前記設定された通知先に前記取出された設定情報の通知の内容を通知することを特徴とする処理状態通知方法。」

(相違点)
本願発明は「前記通知の内容としての文字列を含む設定情報を設定し」、「設定情報の通知の内容としての文字列を通知する」のに対し、引用発明2は通知の内容として文字列を含むかどうか、また、通知の内容としての文字列を通知するかどうか不明な点。

そこで、当該相違点について検討すると、上記「(2-2-2)引用発明及び周知技術」の「B」の項で述べたように、「OA機器の処理状態を通知する通知先の設定と共に、前記通知の内容としての文字列を設定するとともに、通知する」ことは、周知である。
そして、この周知技術と引用発明2は、OA機器における処理状態の通知技術として共通するとともに、この周知技術を引用発明2に適用することに特段の阻害要因は見あたらないから、この周知技術を引用発明2に適用し、本願発明のように「通知の内容としての文字列を含む設定情報を設定し」、「設定情報の通知の内容としての文字列を通知する」よう構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本願発明の効果も引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平8-63901
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶尾 誠哉  
特許庁審判長 羽鳥 賢一
特許庁審判官 畑中 博幸
浜野 友茂
発明の名称 処理状態通知方法及び処理状態通知システム  
代理人 後藤 夏紀  
代理人 別役 重尚  
代理人 村松 聡  
代理人 池田 浩  
代理人 二宮 浩康  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ