ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B |
---|---|
管理番号 | 1147207 |
審判番号 | 不服2005-15373 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2003-04-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-08-11 |
確定日 | 2006-11-09 |
事件の表示 | 特願2001-296907「放送受信機及びバックアップ方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月11日出願公開、特開2003-110988〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成13年9月27日の特許出願であって、平成17年7月1日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年8月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年9月12日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成17年9月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 平成17年9月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 〔理 由〕 1.補正前及び補正後の本願発明 本件補正は、明細書及び特許請求の範囲についてするもので、特許請求の範囲については、補正前に 「【請求項1】 放送を受信する放送受信機において、 記録媒体に無秩序に記録された複数のコンテンツを、前記コンテンツの第1の属性によって自動的に抽出する抽出手段と、 前記抽出手段で抽出したコンテンツを一時的に保存する保存手段と、 前記抽出したコンテンツを格納する他の記録媒体を選択する選択手段と、 前記保存手段で一時的に保存された前記抽出したコンテンツを、前記抽出したコンテンツの第2の属性に応じ、自動的に並べ替えて前記選択手段で選択された他の記録媒体に格納する配列手段と、 を有することを特徴とする放送受信機。 【請求項2】 前記第1の属性は、前記コンテンツのジャンルまたはタイトルであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項3】 前記第2の属性は、前記コンテンツの録画日時であることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項4】 前記各記録媒体のいずれかまたは双方はハードディスクであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項5】 前記各記録媒体のいずれかまたは双方はデジタルビデオテープであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項6】 前記第1の属性をユーザが選択可能なように表示する表示手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項7】 前記選択手段は、表示手段に表示された複数の記録媒体の中からユーザの指示に応じて前記抽出したコンテンツを格納する前記他の記録媒体を選択することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項8】 前記選択手段で選択した前記他の記録媒体の容量を検査する検査手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項9】 前記検査手段で検査した前記他の記録媒体の容量が不足している場合は、警告を表示することを特徴とする請求項8記載の放送受信機。 【請求項10】 複数の記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、前記選択手段で選択された前記他の記録媒体に格納することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項11】 表示手段に表示された前記複数の記録媒体の中から選択された記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、前記選択手段で選択された前記他の記録媒体に格納することを特徴とする請求項10記載の放送受信機。 【請求項12】 第1の記録媒体に記録されているコンテンツを第2の記録媒体にバックアップするバックアップ方法において、 第1の記録媒体に無秩序に格納されているコンテンツを、前記コンテンツの第1の属性に応じて自動的に抽出し、 抽出したコンテンツを一時的に保存し、 前記抽出したコンテンツを格納する第2の記録媒体を選択し、 一時的に保存された前記抽出したコンテンツを、前記抽出したコンテンツの第2の属性に応じて自動的に並び替えて、選択された第2の記録媒体に記録することを特徴とするバックアップ方法。 【請求項13】 複数の記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、選択された前記第2の記録媒体に格納することを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項14】 表示された前記複数の記録媒体の中から選択された記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、選択された前記第2の記録媒体に格納することを特徴とする請求項13記載のバックアップ方法。 【請求項15】 前記第2の記録媒体の容量を検査することを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項16】 前記第2記録媒体の容量が不足している場合は、警告を表示することを特徴とする請求項15記載のバックアップ方法。 【請求項17】 前記第2の記録媒体の容量が限界に達した場合、第3の記録媒体に選択した前記コンテンツを格納することを特徴とする請求項15記載のバックアップ方法。 【請求項18】 前記第1の属性は、前記コンテンツのジャンルまたはタイトルであることを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項19】 前記第2の属性は、前記コンテンツを録画した録画日時であることを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項20】 前記第1の属性をユーザが選択可能なように表示することを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項21】 表示手段に表示された複数の記録媒体の中からユーザの指示に応じて、前記抽出したコンテンツを格納する前記第2の記録媒体を選択することを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。」 とあったのを、本件補正により、 「【請求項1】 放送を受信する放送受信機において、 受信した複数のコンテンツを記録媒体に記録するように制御する記録制御手段と、 前記コンテンツの第1の属性を表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、 前記表示手段に表示された前記第1の属性の中から所望の属性を選択する第1の選択手段と、 前記記録媒体に無秩序に記録された複数のコンテンツを、前記第1の選択手段により選択された前記第1の属性によって自動的に抽出する抽出手段と、 前記抽出手段で抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存する保存手段と、 前記抽出したコンテンツを格納する他の記録媒体を選択する第2の選択手段と、 前記保存手段で一時的に保存された前記情報に対応するコンテンツを、前記抽出したコンテンツの第2の属性に応じ、自動的に並べ替えて前記第2の選択手段で選択された前記 他の記録媒体に格納する配列手段と、 を有することを特徴とする放送受信機。 【請求項2】 前記第1の属性は、前記コンテンツのジャンルまたはタイトルであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項3】 前記第2の属性は、前記コンテンツの録画日時であることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項4】 前記各記録媒体のいずれかまたは双方はハードディスクであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項5】 前記各記録媒体のいずれかまたは双方はデジタルビデオテープであることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項6】 前記第2の選択手段は、前記表示手段に表示された複数の記録媒体の中からユーザの指示に応じて前記抽出したコンテンツを格納する前記他の記録媒体を選択することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項7】 前記第2の選択手段で選択した前記他の記録媒体の容量を検査する検査手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項8】 前記検査手段で検査した前記他の記録媒体の容量が不足している場合は、警告を表示することを特徴とする請求項7記載の放送受信機。 【請求項9】 複数の記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、前記第2の選択手段で選択された前 記他の記録媒体に格納することを特徴とする請求項1記載の放送受信機。 【請求項10】 前記表示手段に表示された前記複数の記録媒体の中から選択された記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、前記第2の選択手段で選択された前記他の記録媒体に格納することを特徴とする請求項9記載の放送受信機。 【請求項11】 第1の記録媒体に記録されているコンテンツを第2の記録媒体にバックアップするバックアップ方法において、 前記コンテンツの第1の属性を表示手段に表示し、 前記表示手段に表示された前記第1の属性の中から所望の属性を選択し、 前記第1の記録媒体に無秩序に格納されているコンテンツを、選択された前記第1の属性に応じて自動的に抽出し、 抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存し、 前記抽出したコンテンツを格納する第2の記録媒体を選択し、 一時的に保存された前記情報に対応するコンテンツを、前記抽出したコンテンツの第2の属性に応じて自動的に並び替えて、選択された前記第2の記録媒体に記録することを特徴とするバックアップ方法。 【請求項12】 複数の記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、選択された前記第2の記録媒体に格納することを特徴とする請求項11記載のバックアップ方法。 【請求項13】 前記表示手段に表示された前記複数の記録媒体の中から選択された記録媒体に記録されている前記コンテンツを、前記第1の属性に応じて抽出し、前記第2の属性に応じて並び替え、選択された前記第2の記録媒体に格納することを特徴とする請求項12記載のバックアップ方法。 【請求項14】 前記第2の記録媒体の容量を検査することを特徴とする請求項11記載のバックアップ方法。 【請求項15】 前記第2の記録媒体の容量が不足している場合は、警告を表示することを特徴とする請求項14記載のバックアップ方法。 【請求項16】 前記第2の記録媒体の容量が限界に達した場合、第3の記録媒体に選択した前記コンテンツを格納することを特徴とする請求項14記載のバックアップ方法。 【請求項17】 前記第1の属性は、前記コンテンツのジャンルまたはタイトルであることを特徴とする請求項11記載のバックアップ方法。 【請求項18】 前記第2の属性は、前記コンテンツの録画日時であることを特徴とする請求項11記載のバックアップ方法。 【請求項19】 前記表示手段に表示された複数の記録媒体の中からユーザの指示に応じて、前記抽出したコンテンツを格納する前記第2の記録媒体を選択することを特徴とする請求項11記載のバックアップ方法。」 と補正しようとするものである。 2.補正の目的の適否 (1)上記補正は、請求項の数を、補正前に21項であったものを本件補正により19項と減縮するものであるが、単に項数を減らしただけでなく、請求項1については、主として補正前の請求項6に基づいて「表示制御手段」を付加したことに伴い、「第1の選択手段」を付加したものと認められるものの、「保存手段」に関し、補正前は、単に「抽出手段で抽出したコンテンツを一時的に保存する」ものとしていたのを、本件補正により「抽出手段で抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存する」ものとして保存する内容を変更したものであり、このような補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を限定するものとはいえない。また、請求項11についても、主として補正前の請求項20に基づいて「表示手段」を付加したことに伴い、「表示手段に表示された前記第1の属性の中から所望の属性を選択する」工程を付加したものと認められるものの、「保存」に関し、補正前は「抽出したコンテンツを一時的に保存する」としていたのを、本件補正により「抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存する」と規定し、保存する内容を変更したものであり、このような補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を限定するものとはいえない。 また、請求項1、11に係る上記補正が、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 (2)補正の目的についてのむすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさないものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.独立特許要件の検討 上記「2.」で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものと認めることができないものであるから、本来これ以上の検討は不要であるが、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか)否かについても、以下に検討する。 (1)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-24980号公報(以下、「引用例1」という。)には、信号処理装置に関し、図面とともに次の技術事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。 i)「〔発明の属する技術分野〕 本発明は、信号処理装置及び方法に関し、例えば放送或いは記録された放送番組等の信号のカテゴリを自動的に判定可能とした信号処理装置及び方法に関する。」(段落[0001]) ii)「〔従来の技術〕 従来より、例えば一般的なテレビジョン放送やケーブルテレビジョン放送、衛星放送、通信衛星放送、ラジオ放送などによる各種の放送番組を、記録装置(録画装置や録音装置)にて予約記録(予約録画や予約録音)する場合には、当該記録機器に対して予め記録チャンネル(放送チャネル、周波数)と記録開始時刻および記録終了時刻を指定する記録予約がなされる。しかし、実際の放送は、例えば生中継番組の延長などによって放送時間の変更が頻繁に起こり、そのため記録機器による予約記録の失敗が多発している。 ・・・・・(中略)・・・・・ 〔発明が解決しようとする課題〕 したがって、上述のような特殊なコードを送受信するようなことを行わずに、予約記録の失敗を無くすためには、例えば、放送されている映像信号や音声信号から自動的に放送内容や放送番組のカテゴリを識別し、当該識別した放送内容や放送番組のカテゴリに基づいて記録を制御するような機能を、受信側の装置に備えさせることが望ましい。」(段落[0002]?[0004]) iii)「次に、上述した本発明実施の形態の番組カテゴリ自動分類装置は、図9や図13に示した装置だけでなく、例えば各種の放送番組の各番組カテゴリ毎に各放送番組を編集しながら記録する機能を持った装置(自動番組編集装置)にも適用可能である。 図17には、本実施の形態の番組カテゴリ自動分類装置が適用された自動番組編集装置の概略的な構成を示す。 すなわち、この図17に示す自動番組編集装置は、上述した本発明実施の形態の番組カテゴリ自動分類装置の機能を備えることにより、実際に放送されている放送番組のカテゴリを自動的に分類し、その分類結果に基づいて、予め登録しておいた番組カテゴリに対応する番組を検出し、その検出結果に基づいて、実際に放送されている番組を自動的に編集して記録する装置である。なお、この図17において、図9の構成と同一の構成要素にはそれぞれ図9と同じ指示符号を付して、それらの説明は省略する。 この図17において、編集情報記憶部45は、予め使用者が設定した編集に必要な番組カテゴリや不要な番組カテゴリ、編集順序(例えば優先度や重要度)が編集情報として記憶されている。すなわち、編集情報記憶部45には、編集情報として例えば図18に示すような、ニュース、CM、ドラマのような番組カテゴリと、それら番組カテゴリ毎の優先度が記憶されている。なお、図18の例では、ニュースの優先度が最も高く(優先度1)、ドラマの優先度が次に高く(優先度2)設定されている。CMについては優先度は不要であるため設定されていない。当該編集情報記憶部45に記憶されている編集情報は、編集情報判断部44に送られる。 ここで、当該自動番組編集装置が受信モードになっているとき、チューナ部32が現在受信して出力している映像信号や音声信号は、例えばハードデイスク、又は磁気テープ、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク等で構成された一時記憶部42に一時的に記録される。 また同時に、当該一時記憶部42には、現在受信中の番組の映像信号や音声信号から番組カテゴリ分類部33が分類した番組カテゴリの情報が一時的に記憶される。さらに、上記番組カテゴリ分類部33からの番組カテゴリの情報は、編集情報判断部44にも送られる。 また同時に、編集情報判断部44は、上記番組カテゴリ分類部33から供給された番組カテゴリの情報と、上記編集情報記憶部45に記憶されている編集情報とを比較し、上記番組カテゴリ毎に上記編集情報の優先度に応じた編集ラベルを付与する。当該番組カテゴリ毎の編集ラベルは、上記一時記憶部42に一時的に記憶される。 このように、一時記憶部42には、現在受信中の映像信号や音声信号と、それら映像信号や音声信号からなる放送番組の番組カテゴリの情報と、各番組カテゴリ毎の編集ラベルとが、時間同期して一時的に保存されることになる。 次に、上記放送番組の受信し、一時記憶部42に上記映像信号や音声信号と番組カテゴリと編集ラベルを時間同期させた一時記録を終了した後、当該自動番組編集装置を編集モードに移行させる。 編集モードに移行すると、再生制御部43は、一時記憶部42に一時記録された編集ラベルの優先度に従って、当該優先度の高い編集ラベルが付加された番組の映像信号や音声信号から順に再生するように、上記一時記憶部42を制御する。なお、優先度が同一順序(同じ値)のものについては、放送時間順に再生する。 上記再生制御部43による編集再生制御に応じて上記一時記憶部42から再生された番組の映像信号や音声信号は、録画・録音部46に記録されることになる。すなわち、図17の自動番組編集装置によれば、上述したように予め設定しておいた編集情報に応じて自動的に編集された番組が、録画・録音部46に記録されることになる。」(段落[0130]?[0140]) iv)「以下、図19を用いて、上記自動番組編集装置での具体的な動作例を説明する。 図7の(a)は一時記憶部42に一時記録された各番組を示しており、それら各番組の順番は実際に放送された放送順序となっている。この例では、図の左から順に、CM、ニュースN1、CM、ドラマD1、CM、ドラマD2、CM、ニュースN2、CM、ドラマD3、CM、ドラマD4、CM、ニュースN3、・・・の放送順序の各番組が、一時記憶部42に記録されている。 図7の(b)はCMを除く上記各番組に付加された編集ラベルを示しており、この例では、図の左から順にニュースN1には優先度が1番であることを示す編集ラベルL1、ドラマD1には優先度が2番であることを示す編集ラベルL2、以下同様に、ドラマD2には編集レベルL2、ニュースN2には編集ラベルL1、ドラマD3には編集ラベルL2、ドラマD4には編集ラベルL2、ニュースN3には編集ラベルL1、・・・がそれぞれ付加されている。 図7の(c)には、上記再生制御部43が、各番組に付加されている編集ラベルに応じた編集順序で、上記一時記憶部42に記録されている各番組を再生させて録画・録音部46に記録させた、編集後の各番組の順序を示している。ここで図7の(c)から判るように、ニュースN1,N2,N3にはそれぞれ優先度が1番であることを示す編集ラベルL1が付加され、ドラマD1,D2,D3,D4にはそれぞれ優先度が2番であることを示す編集ラベルL2が付加されているため、各ニュースN1,N2,N3が各ドラマD1,D2,D3,D4よりも前に配置され、また、それぞれ同じ値の編集ラベルが付加されている各ニュースと各ドラマについては放送時間順に配置される。したがって、この図7の(c)の例の場合、編集後に得られる各番組の順序は、ニュースN1、ニュースN2、ニュースN2、ドラマD1、ドラマD2、ドラマD3、ドラマD4、・・・の順序となる。」(段落[0141]?[0144]) 上記摘記事項及び図面の記載を参酌すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める(特に、第17、19図)。 「放送番組を編集しながら記録する自動番組編集装置において、 チューナー部32が現在受信して出力している番組の映像信号や音声信号、現在受信中の番組の映像信号や音声信号から番組カテゴリ分類部33が分類した番組カテゴリの情報、及び、編集情報判断部44により付与された番組カテゴリ毎の編集情報の優先度に応じた編集ラベルを一時的に記憶するハードディスク、又は磁気テープ、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク等で構成された一時記憶部42と、 編集モードに移行したとき、一時記憶部42に一時記録された編集ラベルの優先度に従って、当該優先度の高い編集ラベルが付加された番組の映像信号や音声信号から順に、また、優先度が同一順序のものは放送時間順に再生するように上記一時記憶部42を制御する再生制御部43と、 上記再生制御部43による編集再生制御に応じて上記一時記憶部42から再生された番組の映像信号や音声信号が記録される録画・録音部46と、 を有する自動番組編集装置。」 (2)対 比 本願補正発明と引用例1に記載された発明とを対比する。 引用例1に記載された発明が対象とする「自動番組編集装置」は、実際に放送されている番組を受信し自動的に編集して記録する装置であり、本願補正発明が対象とする「放送受信機」に相当する。 引用例1に記載された発明における「チューナー部32が現在受信して出力している番組の映像信号や音声信号」とは、番組の内容つまり「コンテンツ」のことであるから、引用例1に記載された発明における「ハードディスク、又は磁気テープ、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク等で構成された」「一時記憶部42」は、複数のコンテンツを記録媒体に記録するという意味で、本願補正発明における「記録媒体」及び「記録制御手段」に相当する。 引用例1に記載された発明における「番組カテゴリ毎の編集情報の優先度に応じた編集ラベル」及び「放送時間順」は、それぞれ、本願補正発明における「第1の属性」及び「第2の属性」に相当する。 引用例1に記載された発明における「再生制御部43」は、自動番組編集装置(放送受信機)が編集モードに移行したとき、一時記憶部42(記録媒体)に一時記録された編集ラベルの優先度(第1の属性)に従って、当該優先度の高い編集ラベルが付加された番組の映像信号や音声信号(コンテンツ)から順に(第1の属性によって自動的に抽出し)、優先度が同一順序のものは放送時間順に(第2の属性に応じ、自動的に並べ替えて)再生するように上記一時記憶部42を制御するものであり、同じく「録画・録音部46」は、上記再生制御部43による編集再生制御に応じて上記一時記憶部42から再生された番組の映像信号や音声信号(コンテンツ)が記録(格納)されるものである。したがって、引用例1に記載された発明は、記録媒体に記録された番組(コンテンツ)を第1の属性によって自動的に抽出すると言う意味で本願補正発明における「抽出手段」に相当する構成を具えているものであり、また、抽出したコンテンツの第2の属性に応じ、自動的に並べ替えて他の記録媒体に格納すると言う意味で本願補正発明における「配列手段」に相当する構成を備えているものである。 そうすると、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「放送を受信する放送受信機において、 受信した複数のコンテンツを記録媒体に記録するように制御する記録制御手段と、 前記記録媒体に無秩序に記録された複数のコンテンツを、前記第1の属性によって自動的に抽出する抽出手段と、 コンテンツを、前記抽出したコンテンツの第2の属性に応じ、自動的に並べ替えて他の記録媒体に格納する配列手段と、 を有する放送受信機。」 そして、次の各点で相違する。 <相違点> (a) 本願補正発明は、「コンテンツの第1の属性を表示手段に表示するように制御する表示制御手段」、「前記表示手段に表示された前記第1の属性の中から所望の属性を選択する第1の選択手段」を備えるものであるのに対し、引用例1に記載された発明は、このような手段について特に示されていない点(以下、「相違点a」という。)。 (b) 本願補正発明は、「抽出したコンテンツを格納する他の記録媒体を選択する第2の選択手段」を備えるものであるのに対し、引用例1に記載された発明は、このような手段について特に示されていない点(以下、「相違点b」という。)。 (c) 本願補正発明は、「抽出手段で抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存する保存手段」を備えるものであるのに対し、引用例1に記載された発明は、このような手段について特に示されていない点(以下、「相違点c」という。)。 (3)判 断 そこで、上記各相違点について検討する。 (相違点aについて) 記録媒体に記録された情報データ(コンテンツ)のジャンル(第1の属性)を画面(表示手段)に表示し、表示されたジャンル(第1の属性)の中からユーザが希望するジャンル(所望の属性)を選択することは、例えば、特開平11-250630号公報、及び、特開平9-50360号公報にもみられるように本願出願前にごく周知の技術であるから、引用例1に記載された発明においても、コンテンツの第1の属性を表示手段に表示するように制御する「表示制御手段」、前記表示手段に表示された第1の属性の中から所望の属性を選択する「第1の選択手段」を備えるようにすることは当業者が適宜容易に想到できたものである。 (相違点bについて) 情報データ(コンテンツ)を記録すべき記録媒体を適宜選択すること自体は、例えば、特開平5-91455号公報(特に、段落[0009]?[0031]、第2、3図)、特開平2000-184230号公報(特に、段落[0094]?[0095])、及び、特開平11-306615号公報(特に、段落[0007]?[0036])にもみられるように本願出願前にごく周知の技術であるから、引用例1に記載された発明においても、抽出した番組(コンテンツ)を記録(格納)すべき他の記録媒体を選択する「第2の選択手段」を備えるように構成することは当業者が容易に想到できたものである。 (相違点cについて) 所定の処理を行うべき情報(コンテンツ)であることを示す情報を一時メモリ(保存手段)に記録することは、例えば、特開2001-257982号公報(特に、段落[0032]等)にみられるように本願出願前に周知の技術であるから、引用例1に記載された発明においても、抽出したコンテンツを示す情報を一時的に保存する「保存手段」を備えるように構成することは当業者が容易に想到できたものである(なお、請求項1における「保存手段」が、実施例のどの構成と対応しているのか明確とはいえない。)。 そして、上記各相違点の判断を総合しても、本願補正発明が奏する効果は引用例1及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たさないものであり、また、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成17年9月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成17年1月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記「第2〔理由〕1.」における本件補正前の請求項1の記載を参照。)。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、上記「第2〔理由〕3.(1)」に示したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「表示制御手段」、「第1の選択手段」を省略し、「保存手段」に関し、その保存内容であるコンテンツを「示す情報」との構成を省略したものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」に示したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-13 |
結審通知日 | 2006-09-19 |
審決日 | 2006-09-27 |
出願番号 | 特願2001-296907(P2001-296907) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B) P 1 8・ 572- Z (G11B) P 1 8・ 574- Z (G11B) P 1 8・ 573- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田付 徳雄、金子 秀彦、小林 大介 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
江畠 博 中村 豊 |
発明の名称 | 放送受信機及びバックアップ方法 |
代理人 | 服部 毅巖 |