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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1147224
審判番号 不服2001-17950  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-05 
確定日 2006-11-10 
事件の表示 平成 5年特許願第111198号「画像表示カードゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年10月25日出願公開、特開平 6-296753〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願の手続の経緯
本願は、平成5年4月15日の出願であって、平成13年8月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成13年10月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月5日付けで手続補正がなされたものである。

【2】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成13年11月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】カードゲームを画像表示手段の画面上でシミュレーションし、プレイヤーが勝つとメダルの払出しをするカードゲーム装置において、
プレイヤーの操作によりメダルのベット数を設定するベット数設定手段と、
前記ベット数設定手段により設定されたベット数に応じて、プレイヤーに配られたカードで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールと、特定カードを追加してプレイするルールのいずれかのゲームルールにルールを変更するルール変更手段とを備えたことを特徴とする画像表示カードゲーム装置。」

【3】引用例に記載の発明
1.本願発明の原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された特開昭60-21783号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ア)「本発明は、表示画面上にトランプ等のカード絵柄を表示し、遊戯者のキー操作に基づき、画像を変化させて、ポーカーゲーム等のカード遊びを進行させるカードゲーム機に関する。」(第1頁左下欄第15?18行)
(イ)「図示例のゲーム機は、テーブル1の上面にCRT(Cathodo Ray Tube)の表示画面2を設け、テーブル1の前後面に夫々メダル投入口3と、ゲーム進行用のキーボード4とが配設してある。キーボード4には、第2図に示す如く、ホールドキー5a?5e、キャンセルキー6、カード操作キー7、セットキー8、ライン指定キー9a?9d等の各種キーが配備されている。」(第1頁右下欄第19行?第2頁左上欄第6行)
(ウ)「CPU(Central Processing Unit)10は、ROM(Read Only Memory)11に格納されたプログラムに基づき、RAM(Randam Access Memory)12に対するデータの読み書きを行ないつつ各種演算、処理を実行すると共に・・・・キーボード15やメダルメカ部16の入出力動作を制御する。」(第2頁左上欄第8?14行)
(エ)「更にドライブ回路25はメダルメカ部16を駆動し、メダルの検知や放出動作を実行する。」(第2頁右上欄第5?7行)
(オ)「まずメダル投入口3へ適当枚数(例えば10枚)のメダルが投入されると、・・・・つぎにゲームの掛け率に相当する回数(例えば2)だけセットキー8を繰返し押すと、ステップ33が”YES”となり、メダルセット数がRAM12のエリアm2にセットされる。・・・・前記数字表示部Xにメダルセット数「2」が表示される」(第2頁右上欄第9?20行)
(カ)「表示画面2上部位置のカード整列表示部Yに52枚全てのカードが裏返した状態で4行×13列に亘り整列表示される。この整列された全てのカードは、前記セットキー8の操作時点で各絵柄が特定されており、・・・・つぎに上記カード配列の中から5枚のカードを抽出する操作に入る。例えば第1行、第8列目のカードを抽出したい場合には、1行目を指定するライン指定キー9aを押すと、表示画面2中、1行目のカード列が順次点灯してゆく。そして、点灯位置が8列目のカードに至つたとき、ライン指定キー9aの押圧を解除する。・・・・同様の操作を5回繰返すと、その都度、RAM12のエリアm3にカード指定数が加算され、その結果、第6図(2)に示す如く、カード整列表示部Yにおいて5枚のカードが表返り、またカード抽出表示部Zにはそのカード絵柄の拡大画像が抽出順に表示される。」(第2頁左下欄第1行?同頁右下欄第6行)
(キ)「今、第6図(2)のカード絵柄に着目すると、・・・・そこで5番目のホールドキー5eを押して、スペードの「5」のカードにつきホールドを解除すると、・・・・引き続きカード操作キー7を押すと、ステップ41が”NO”、ステップ42が”YES”となり、つぎにカード交換操作に入る。この操作において、例えば第1行、第3列目のカードを指定したい場合には、前記同様、・・・・第5番目のカードが今指定されたカードの絵柄と入れ変つて表示される。」(第2頁右下欄第9行?第3頁左上欄第10行)
(ク)「前記「フラッシュ」の組合せが成立し、ステップ46、47の判定が共に”YES”となり、ステップ48において、組合成立を知らせる表示が表示画面2の適所に表示され、「フラッシュ」に相当する配当率にメダルセット数を掛けた数が現メダル数に加算され、数字表示部Xの表示が更新される。」(第3頁右上欄第12?18行)
(ケ)「尚5枚のカードが当初から何等かの組合せを構成していた場合には、いずれのホールドキーをも押す必要がなく、直ちにセットキー8を押す。」(第3頁右上欄第8?11行)

以上の(ア)乃至(ケ)の記載、及び図面の記載から、「引用例」には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明>
「カード遊びをCRT(Cathodo Ray Tube)の表示画面2上で表示し、カードの組合せが成立すると現メダル数に加算され、メダルの放出動作を実行するカードゲーム機において、遊戯者がメダル投入口3にメダルを投入しセットキー8の操作によりメダルセット数がRAM12にセットされると、該表示画面2上には全てのカードが裏返した状態で整列表示され、全てのカードは各絵柄が特定されており、キーボード4により上記カードの配列の中から5枚のカードの抽出順の表返りの表示や、前記表示されたカードからカードを指定し交換操作を行いカードを入れ変えて表示を行う、カードゲーム機。」

【4】対比
1.本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「カード遊び」が本願発明の「カードゲーム」に相当し、以下同様に、「CRT(Cathodo Ray Tube)の表示画面2上で表示し」が「画像表示手段の画面上でシミュレーションし」に、「遊戯者」が「プレイヤー」に、「メダルの放出動作を実行する」が「メダルの払出しをする」に、「カードゲーム機」が「カードゲーム装置」にそれぞれ相当している。
また、引用発明の「カードゲーム機」は、本願発明と同じく「画像表示」を行う機能を備えることは明らかである。
そして、引用発明の「カードの組合せが成立すると現メダル数に加算され」ることは、プレイヤーが勝つことと実質同義であるから、本願発明の「プレイヤーが勝つ」に相当するといえる。
また、引用発明の「セットキー8の操作によりメダルセット数がRAM12にセットされる」ことから、遊戯者がベット数を設定する手段を実質的に具備するといえるから、引用発明は、本願発明と同様に「プレイヤーの操作によりメダルのベット数を設定するベット数設定手段」の構成を備える点で一致している。

してみると、引用発明と本願発明とは

「カードゲームを画像表示手段の画面上でシミュレーションし、プレイヤーが勝つとメダルの払出しをするカードゲーム装置において、
プレイヤーの操作によりメダルのベット数を設定するベット数設定手段と、を備えた画像表示カードゲーム装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
カードゲーム装置が、本願発明においては、ベット数に応じて、プレイヤーに配られたカードで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールと、特定カードを追加してプレイするルールのいずれかのゲームルールに変更するルール変更手段を備えるのに対し、引用発明においては、上記のルール変更手段を備えていない点。

2.相違点についての検討
<相違点>について
本願発明のベット数に応じて、プレイヤーに配られたカードで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールと、特定カードを追加してプレイするルールのいずれかのゲームルールに変更するのは、メダルの投入枚数に応じてゲームのルール、即ちゲームの内容をプレイヤーが自ら選択できる目的のものと解される。
ところで、プレイヤーがメダルの投入枚数に応じてゲームの内容を自ら選択できる点に関して、メダルを投入して行うゲーム機一般において、例えば、機械に投入されるコイン数に応じてゲームを選択できる点が、(1)特表昭64-500405号公報(第3頁右下欄第7行?第4頁左上欄第13行、第5頁左上欄第15行?同頁左下欄第14行参照)に、また、メダルの投入枚数に応じて一旦決定された絵柄表示部の差し替え動作を0?所定回数できるようにした点が、(2)特開平2-92385号公報(第4頁右下欄第4行?第5頁左上欄第1行参照)に、そして、メダルの投入枚数に応じて入賞ライン位置を決定するライン指示リールが一度停止した後に、再起動して再び停止操作を0?2回できるようにした点が、(3)特開昭63-23685号公報(第9頁左上欄第11行?同頁左下欄第12行、第10頁左上欄第15行?同頁右上欄第8行参照)に、また、メダルのベット数に応じてポーカーゲームの入賞ラインが有効化される本数を決定する点が、(4)特開平4-49988号公報(第3頁左下欄第14?19行、第5頁右上欄第7行?同頁左下欄第17行参照)、特開平3-149067号公報(第3頁右上欄第10?19行、第7頁右下欄第6?15行参照)にそれぞれ記載されており、上記(1)?(4)に示したように、メダルの投入枚数に応じてゲーム自体の内容が変わることに他ならないから、メダルを投入して行うゲーム機一般において、プレイヤーがメダルの投入枚数に応じてゲームの内容を自ら選択できることは、従来周知の技術(以下、「周知技術A」という。)であり、上記したように、投入するメダル数に応じてゲームの内容に有利な変更が行われることは、メダル投入するゲーム機における技術常識というべきである。
また、選択されるルールに関して、例えば、特開平3-30792号公報(第5頁左下欄第1行?同頁右下欄第7行参照)、引用発明(引用例の上記記載事項(ケ)参照)、実願昭56-144604号(実開昭58-48286号)のマイクロフィルム(第4頁第5行?第6頁第8行)に示すように、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールでゲームを行う場合、プレイヤーに配られたカードのみで勝負するルールにプレイヤーが自ら選択してゲームを行うことができるから、プレイヤーに配られたカードで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールは、カードゲームに通常広く取り入れられるルールであり、また、ジョーカー等の特定カードを追加し所望のカードの変わりとするルール(例えば、特開平3-149067号公報(第7頁右下欄第6行?第8頁左上欄第14行参照)も、前記のルールと合わせて、カードゲームで極一般的に採用されるルール(以下、「周知技術B」という。)といえる。
そして、引用発明と上記周知技術A,Bは、共にゲーム機に異なる数のメダルを投入してゲームを行う点で技術分野が共通するから、投入するメダル数に応じてゲームの内容に有利な変更が行われる上記技術常識を参酌しつつ、引用発明のカードゲーム機でプログラムが行う各種演算、処理する条件及び内容に代えて、ゲームの内容に有利な変更が行われる条件として、プレイヤーがメダルの投入枚数に応じてゲームの内容を自ら選択できる上記周知技術A、及び選択されるルールの内容として、プレイヤーに配られたカードのみで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールと、ジョーカーなどの特定カードを追加して所望のカードの変わりとするルールでゲーム行う上記周知技術Bを各々適用し、ベット数に応じて、プレイヤーに配られたカードで勝負するルールと、プレイヤーの手持ちカードを交換できるルールと、特定カードを追加してプレイするルールのいずれかのゲームルールに変更するルール変更手段を備えさせること、即ち、本願発明の相違点に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
3.作用効果・判断
そして、本願発明における作用効果は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が当然予測できるものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

【5】むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2006-01-05 
結審通知日 2006-01-11 
審決日 2006-09-26 
出願番号 特願平5-111198
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 川島 陵司
辻野 安人
発明の名称 画像表示カードゲーム装置  
代理人 江原 望  
代理人 中村 訓  
代理人 小田 光春  

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