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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B
管理番号 1147315
審判番号 不服2006-14183  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-05 
確定日 2006-11-16 
事件の表示 平成 8年特許願第331298号「吸収式冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月26日出願公開、特開平10-170090〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年12月11日の出願であって、平成18年5月30日付け(発送日:同年6月6日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月5日に審判請求がなされるとともに、同年8月1日に手続補正がなされたものである。

2.平成18年8月1日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年8月1日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に記載された発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して熱操作流体を循環させ、前記蒸発器内の熱交換用配管から吐出される被熱操作流体の温度を温度検出器にて検出しながら運転を行う吸収式冷凍装置であって、
前記吸収器から前記高温再生器に導く前記熱操作流体と、前記低温再生器から前記吸収器に導く前記熱操作流体(以下、1次側熱操作流体という)との間で熱交換を行う低温熱交換器の入口側と出口側とを連通可能とする開閉弁を備えた管路を設け、前記温度検出器で検出される前記被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記開閉弁を開状態として、前記1次側熱操作流体の全部または一部を前記低温熱交換器を通さずに前記吸収器に導き、前記被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、前記開閉弁を閉状態とすることにより、前記吸収器内に散布される前記熱操作流体の温度低下を抑制して、前記被熱操作流体の凍結を防止する凍結防止手段を具備することを特徴とする吸収式冷凍装置。」

上記補正は、請求項1に記載した「吸収式冷凍装置」について、実質的に、「前記蒸発器内の熱交換用配管から吐出される被熱操作流体の温度を温度検出器にて検出しながら運転を行う」点、「低温熱交換器の入口側と出口側とを連通可能とする開閉弁を備えた管路を設け」た点、「前記温度検出器で検出される前記被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記開閉弁を開状態と」する点、及び「前記被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、前記開閉弁を閉状態とする」点を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開昭62-294866号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。

・「(イ)産業上の利用分野
本発明は濃溶液流路にボンプを付設した吸収冷凍機や吸収ヒートポンプなど(以下、この種の吸収冷凍機という)の改良に関する。」(第1頁右下欄第8-11行)

・「(へ)実施例
図面は本発明によるこの種の吸収冷凍機の一実施例を示した概略構成説明図である。図において、(1)は高温発生器、(2)は低温発生器(3)および凝縮器(4)より成る発生凝縮器、(5)は蒸発器(6)および吸収器(7)より成る蒸発吸収器、(8)、(9)はそれぞれ低温、高温溶液熱交換器、(PR)は蒸発器(6)の未気化冷媒をこの蒸発器に再循環させるための冷媒液用ポンプ、(PLA)は稀溶液用ポンプ、(PHA)は濃溶液用ポンプ、(10)は気液分離器で、これら機器は揚液管(11)、中間濃度の溶液(以下、中間溶液という)の流れる管(12)、(13)、濃溶液の流れる管(14)、(15)、(16)、稀溶液の流れる管(17)、(18)、(19)、(20)、冷媒の流れる管(21)、冷媒液の流下する管(22)、冷媒液の還流する管(23)、(24)により接続されて冷媒〔水〕と溶液〔臭化リチウム水溶液〕の循環路が形成されている。
(B)は高温発生器(1)のバーナー、(25)は低温発生器(3)の加熱器、(26)は凝縮器(4)の冷却器、(27)は蒸発器(6)の熱交換器、(28)は吸収器(7)の冷却器であり、(29)、(30)は熱交換器(27)と接続した冷水〔温水〕用管路である。また、(31)、(32)、(33)は冷却器(28)、(26)を直列に接続した冷却水用管路である。
(34)は気液分離器(10)と低温発生器(3)とを接続したオーバーフロー管で、この管の途中にはボールフロート型、バケット型などのように弁部が中間溶液の流入により開かれる一方冷媒蒸気の流入により閉じられるトラップ(T)を備えている。また、(35)は気液分離器(10)と蒸発吸収器(5)とを接続した冷温切替弁(VCH)付きの管である。
(SW)は冷水用管路(30)に備えた温度検出器、(SR)は管(23)に備えた温度検出器、(SP)は吸収器(7)の気相部に備えた圧力検出器、(SL)は蒸発器(6)の液溜め(36)に備えた液面検出器で、これら検出器のいずれかの信号により制御器(C)を介して濃溶液用ポンプ(PHA)および冷媒液用ポンプ(PR)が同時に発停制御されるようになっている。なお、(CB)は温度検出器(S)の信号によりバーナー(B)の燃焼量を調節するコントローラーである。
そして、(37)は管(14)と管(16)とを接続したバイパス管であり、このバイパス管経由で濃溶液用ポンプ(PHA)の停止時に溶液が低温溶液熱交換器(8)をバイパスして吸収器(7)へ流れるようになっている。なお、濃溶液用ポンプ(PHA)の作動時にはバイパス管(37)における濃溶液の流量がほぼ零となるようにポンプ(PHA)の揚程や管(14)、(15)、低温溶液熱交換器(8)、管(16)の流通抵抗などが設計されている。
次に、このように構成された吸収冷凍機(以下、本機という)の動作例を説明する。
今、本機の運転中、冷房を必要とする部屋の数が例えば著しく急減した場合、本機の冷凍能力が冷房負荷に対して急激に過大となるため、負荷側と蒸発器(6)の熱交換器(27)との間を循環する冷水の温度が急に降下し始める。そして、これをそのまま放置していると冷水が凍結して熱交換器(27)が破損することになる。このような場合、本機においては温度検出器(SW)の感知温度が下限設定値〔例えば5℃〕に達したとき、この検出器の信号により制御器(C)を介して冷媒液用ポンプ(PR)と濃溶液用ポンプ(PHA)の作動が止められる。その結果、蒸発器(6)の熱交換器(27)での冷媒液の気化がほとんど行なわれなくなると同時に低温発生器(3)からの濃溶液が低温溶液熱交換器(8)をバイパスしつつ高温のままで吸収器(7)に流入する。このため、蒸発器(6)および吸収器(7)内の飽和蒸気圧、飽和温度が再び上昇し始め、熱交換器(27)内の冷水も昇温し始めてその凍結が防止されろ。そして、蒸発器(6)の熱交換器(27)から流出する冷水の温度が再び所定の温度〔例えば7℃〕に復帰すると、温度検出器(SR)の信号により制御器(C)を介して冷媒液用ポンプ(PR)および濃溶液用ポンプ(PHA)が再び稼動され、本機の通常の運転が再開される。また、本機において、通常の運転の再開までの間、通常の運転時よりも高温の溶液が稀溶液用ポンプ(PLA)により各機器へ送られつつ機内を循環するので、溶液の結晶のおそれもほとんどない。」(第2頁左下欄第8行ー第3頁左下欄第2行)

また、「温度検出器(SW)の感知温度が下限設定値〔例えば5℃〕に達したとき、」及び「蒸発器(6)の熱交換器(27)から流出する冷水の温度が再び所定の温度〔例えば7℃〕に復帰すると、」は、「温度検出器で検出される冷水の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、」及び「冷水の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、」といえる。

これらの記載及び図面を参照すると、引用例には次の発明が記載されている(以下、「引用例発明1」という。)。

「高温発生器、低温発生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して冷媒及び溶液を循環させ、前記蒸発器内の熱交換用配管から吐出される冷水の温度を温度検出器にて検出しながら運転を行う吸収式冷凍装置であって、
前記吸収器から前記高温発生器に導く前記溶液と、前記低温発生器から前記吸収器に導く前記溶液(以下、1次側溶液という)との間で熱交換を行う低温溶液熱交換器の入口側と出口側とを接続するバイパス管を設け、かつ前記低温発生器から前記低温溶液熱交換器に前記溶液を導く管路における前記バイパス管の入口側と前記低温溶液熱交換器との間に濃溶液用ポンプを設け、前記温度検出器で検出される前記冷水の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記濃溶液用ポンプの作動を停止し、バイパス管を経由して、前記1次側溶液を前記低温溶液熱交換器を通さずに前記吸収器に導き、前記冷水の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、前記濃溶液用ポンプを作動し、バイパス管の流量をほぼ零とすることにより、前記吸収器内に散布される前記溶液の温度低下を抑制して、前記冷水の凍結を防止する凍結防止手段を具備する吸収式冷凍装置。」

(3)対比
本願補正発明と上記引用例発明1とを比較する。

引用例発明1の「高温発生器」は本願補正発明の「高温再生器」に相当し、以下同様に「低温発生器」は「低温再生器」に、「冷媒及び/又は溶液」は「熱操作流体」に、「冷水」は「被熱操作流体」に、また、「低温溶液熱交換器」は「低温熱交換器」に相当する。

したがつて、両者は、

「高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して熱操作流体を循環させ、前記蒸発器内の熱交換用配管から吐出される被熱操作流体の温度を温度検出器にて検出しながら運転を行う吸収式冷凍装置であって、
前記吸収器から前記高温再生器に導く前記熱操作流体と、前記低温再生器から前記吸収器に導く前記熱操作流体(以下、1次側熱操作流体という)との間で熱交換を行う低温熱交換器を設け、前記温度検出器で検出される前記被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記1次側熱操作流体を前記低温熱交換器を通さずに前記吸収器に導くことにより、前記吸収器内に散布される前記熱操作流体の温度低下を抑制して、前記被熱操作流体の凍結を防止する凍結防止手段を具備する吸収式冷凍装置。」の点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明では、低温熱交換器の入口側と出口側とを連通可能とする開閉弁を備えた管路を設け、温度検出器で検出される被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記開閉弁を開状態として、1次側熱操作流体の全部または一部を前記低温熱交換器を通さずに吸収器に導き、前記被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、前記開閉弁を閉状態とするのに対して、
引用例発明1では、低温熱交換器の入口側と出口側とを接続するバイパス管を設け、かつ低温再生器から前記低温熱交換器に1次側熱操作流体を導く管路における前記バイパス管の入口側と前記低温熱交換器との間に濃溶液用ポンプを設け、温度検出器で検出される被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、前記濃溶液用ポンプの作動を停止し、前記バイパス管を経由して、前記1次側熱操作流体を前記低温熱交換器を通さずに前記吸収器に導き、前記被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、前記濃溶液用ポンプを作動し、前記バイパス管の流量をほぼ零とする点。

(4)相違点についての判断
一般に、バイパス管において、バイパスする時には開とし、バイパスしない時には閉とする開閉弁を設けることは、バイパス管の機能からして、従来周知のことである。

したがって、引用例発明1において、被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、バイパス管の流量をほぼ零とするために、前記濃溶液用ポンプの揚程、並びに低温溶液熱交換器(8)及び管の流通抵抗などを適宜設計すること(引用例第3頁左上欄第10-13行参照)に代えて、バイパス管に、被熱操作流体の温度が上昇側の所定値以上に上昇したときに、閉状態とし、被熱操作流体の温度が下降側の所定値以下に低下したときに、開状態とする開閉弁を設け、上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。

この点に関して、審判請求人は、平成18年8月1日付けの審判請求理由を補充する手続補正書において、「本願発明(審決注:本願補正発明に相当)では、(中略)元々前記溶液用ポンプ(審決注:濃溶液用ポンプに相当)を備えていないものである。」と主張する。

しかし、本願補正発明は、当該請求項の記載から明らかなように、濃溶液用ポンプを備えていないことを構成要件とするものではないので、この主張は失当である。

また、引用例発明1の濃溶液用ポンプは、単に濃溶液の流れを促進するためのものであり(引用例第2頁右上欄第11-12行参照)、このような濃溶液用ポンプがなくても、この種の吸収式冷凍装置が作動することは、従来周知のことであるから(例えば、本願明細書に従来技術を記載した文献として挙げられた特開平6-88654号公報を参照のこと。)、引用例発明1において、バイパス管に上記開閉弁を設けるに際して、濃溶液用ポンプがなくても、吸収式冷凍装置が所定の作動することは、当業者にとって明らかなことである。

更に、物ないし装置を製造するに際して、構造をできるだけ単純にし、かつ安価にすることは、従来周知の技術課題である。

したがって、引用例発明1において、バイパス管に上記開閉弁を設けるに際して、濃溶液用ポンプを削除することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成18年8月1日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年10月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。

「高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して熱操作流体を循環することにより前記蒸発器内の熱交換用配管を通る被熱操作流体を冷却する吸収式冷凍装置であって、
前記被熱操作流体の温度が所定値以下に低下したときに、前記吸収器から前記高温再生器に導く前記熱操作流体と、前記低温再生器から前記吸収器に導く前記熱操作流体(以下、1次側熱操作流体という)との間で熱交換を行う低温熱交換器の入口側の前記1次側熱操作流体の全部または一部を前記低温熱交換器を通さずに前記吸収器に導くことにより、前記吸収器内に散布される前記熱操作流体の温度低下を抑制して、前記被熱操作流体の凍結を防止する凍結防止手段を具備することを特徴とする吸収式冷凍装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

そして、引用例には、次の発明が記載されている(以下、「引用例発明2」という。)。

「高温発生器、低温発生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して冷媒及び溶液を循環することにより、前記蒸発器内の熱交換用配管を通る冷水を冷却する吸収式冷凍装置であって、
前記冷水の温度が所定値以下に低下したときに、前記吸収器から前記高温発生器に導く前記溶液と、前記低温発生器から前記吸収器に導く前記溶液(以下、1次側溶液という)との間で熱交換を行う低温溶液熱交換器の入口側の前記1次側溶液を前記低温溶液熱交換器を通さずに前記吸収器に導くことにより、前記吸収器内に散布される前記溶液の温度低下を抑制して、前記冷水の凍結を防止する凍結防止手段を具備する吸収式冷凍装置。」

(3)対比・判断
本願発明と引用例発明2とを対比すると、両者は、次の点で一致し、かつ次の点で相違する。

[一致点]
「高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを含む熱交換器類の所要部分を経由して熱操作流体を循環することにより前記蒸発器内の熱交換用配管を通る被熱操作流体を冷却する吸収式冷凍装置であって、
前記被熱操作流体の温度が所定値以下に低下したときに、前記吸収器から前記高温再生器に導く前記熱操作流体と、前記低温再生器から前記吸収器に導く前記熱操作流体(以下、1次側熱操作流体という)との間で熱交換を行う低温熱交換器の入口側の前記1次側熱操作流体を前記低温熱交換器を通さずに前記吸収器に導くことにより、前記吸収器内に散布される前記熱操作流体の温度低下を抑制して、前記被熱操作流体の凍結を防止する凍結防止手段を具備することを特徴とする吸収式冷凍装置。」

[相違点]
被熱操作流体の温度が所定値以下に低下したときに、本願発明では、1次側熱操作流体の全部または一部を低温熱交換器を通さずに吸収器に導くのに対して、引用例発明2では、1次側熱操作流体を低温熱交換器を通さずに吸収器に導くが、全部または一部を吸収器に導くとの限定がない点。

そこで、上記相違点について検討すると、引用例発明2において、被熱操作流体の温度が所定値以下に低下したときに、1次側熱操作流体の全部または一部を低温熱交換器を通さずに吸収器に導くようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された事項、及び従来周知の技術から当業者が予測できた範囲内のものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明、及び、従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-13 
結審通知日 2006-09-19 
審決日 2006-10-02 
出願番号 特願平8-331298
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25B)
P 1 8・ 575- Z (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 富夫田々井 正吾  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 新海 岳
岡本 昌直
発明の名称 吸収式冷凍装置  
代理人 ▲角▼谷 浩  

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