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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61H
管理番号 1147351
審判番号 不服2004-271  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-05 
確定日 2006-11-16 
事件の表示 特願2000-279252号「歩行補助車」拒絶査定不服審判事件〔平成14年3月26日出願公開、特開2002-85497号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年9月14日の出願であって、平成15年11月27日付けでなされた拒絶査定に対し、平成16年1月5日に拒絶査定不服の審判の請求がなされるとともに、平成16年2月4日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

第2 平成16年2月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
【結 論】
平成16年2月4日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
【理 由】
1.補正の内容
本件補正の内容は、特に特許請求の範囲の請求項1について、次のような補正を求めるものである。
「【請求項1】 前輪が取り付けられる前輪フレーム、
後輪が取り付けられかつ前記前輪フレームに対して軸支される後輪フレーム、
押し手が取り付けられかつ前記前輪フレームに対して軸支される主フレーム、および
前記主フレームの回動によって前輪フレーム及び後輪フレームを開閉脚させる折り畳み手段を備え、
前記折り畳み手段が、
前記前輪フレームに軸支された前方フレーム、
前記後輪フレームに軸支されるとともに前記前方フレームと大略同じ長さである後方フレーム、ならびに
前記主フレームと前方フレームと後方フレームとに接続される接続フレームを含み、
接続フレームの上部が主フレームに軸支されるとともに、接続フレームの下部と前方フレームの後部と後方フレームの前部との三者が接続部で一つに軸支されている歩行補助車であって、
主フレームを下方向に回動させると、前記接続フレーム並びに接続部が下向きに動いて、前輪及び後輪が回動しながら前方フレーム及び後方フレームの両者が接続部を基点にして相互接近することにより、前輪フレーム及び後輪フレームが閉脚状態になる、歩行補助車。」
(下線は、補正箇所を示す。)

上記特許請求の範囲の請求項1に係る補正事項を分説すると、次のとおりである。
(1)補正前の請求項1に記載された、発明を特定する事項である、前輪フレームと前方フレームとの連結の態様、後輪フレームと後方フレームとの連結の態様、接続フレームと前方フレームと後方フレームとの三者の連結の態様について、「軸支され」たものであるという限定を付加する。
(2)補正前の請求項1に記載された、発明を特定する事項である、「接続フレームの下部と前方フレームと後方フレームとが接続部で一つに接続され」るという点について、接続部で一つに接続される部位が、前方フレームの「後部」であり、かつ、後方フレームの「前部」であるという限定を付加する。
(3)補正前の請求項1に記載された、発明を特定する事項である、「前方フレーム及び後方フレームの両者が接続部を基点にして相互接近」するという点について、「前輪及び後輪が回動しながら」という限定を付加する。
(4)補正前の請求項1に記載された、発明を特定する事項である、「後方フレーム」について、「前方フレームと大略同じ長さである」という限定を付加する。

2.新規事項追加の有無、補正の目的の適否
上記補正事項のうち、(4)について検討する。
本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)には、前方フレームと後方フレームが大略同じ長さである点について、何ら明示的に記載されていない。たしかに、願書に最初に添付した図面のうち、【図3】においては、前方フレーム40と後方フレーム42が大略同じ長さに描かれているようにも見受けられるが、願書に添付された図面は、本来、発明の具体的構成を図示してその技術的内容を理解しやすくするため、明細書の補助手段として使用される任意書面であって、明細書の記載を補完するものであり、所定の様式が定められているとはいえ、設計図面に要求されるような正確性をもって図示されるとは限らない(平成14年(行ケ)第521号判決参照。)ものであるから、【図3】を含むいずれの図面も、当初明細書に何ら明示的に記載されていない「前方フレームと後方フレームが大略同じ長さである」ことを意図して描かれたものと解することはできず、また、これらの図面がそのことを明示しているとも解せられない。
さらに、歩行補助車に請求項1に記載された折り畳み手段を形成した場合に、必然的に前方フレームと後方フレームが大略同じ長さとなるという他の根拠も見当たらず、前方フレームと後方フレームが大略同じ長さであることが願書に最初に添付された明細書又は図面の記載からみて自明なことであるともいえない。
ましてや、請求人が審判請求書(平成16年2月14日付け手続補正(方式))の(3)iv)で主張するような作用効果も、当初明細書に何ら記載されていないのであるから、この補正は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものとはいえない。

次に、上記補正事項(4)が仮に新規事項を追加するものではなく、前方フレームと後方フレームが大略同じ長さであることが、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであるとした場合について検討する。
前述のように、上記補正事項(1)?(4)は、いずれも補正前の請求項1に記載された発明を特定するのに必要な事項を限定するものであり、かつ補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものか否か)について、以下に検討する。

3.本願補正発明の独立特許要件について
(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める(上記1.の補正後の特許請求の範囲参照)。

(2)引用発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に、引用文献1として引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-117673号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次のように記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に高年齢者が買い物その他外出時に使用するのに適した通常、老人車、又はシルバーカーと称されている折り畳み自在な手押車タイプの車両(以下、シルバーカーと言う)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置において図5?図7に示すような構造を有するシルバーカーは広く知られている。公知のシルバーカー84は、左右一対の前輪を下端部に支持している前脚であって前方から見て概ねU字形を有している前脚85と、同様に左右一対の後輪を公知の手段によって下端部に支持している一対の後脚86と、シルバーカー84の使用者が着座するための所定の寸法を有している概ね矩形形状を有しているシートフレーム87と、シルバーカー84を押すための概ねU字形状を有している押棒88と、シルバーカー84の側面にて一端を前脚85へ枢着した前方レバー89と、シルバーカー84の側面にて一端を後脚86へ枢着した後方レバー90と、前脚85へ固着され押棒88の下端部を枢着している取り付け金具91と、一端を押棒88へ他端をシートフレーム87へ枢着した第1レバー92と、一端を該第1レバー92の一端の取り付け位置よりも上方にて前記押棒88へ枢着し他端を後方レバー90へ枢着してある第2レバー93と、押棒88又は前脚85へ枢着され前脚85又は押棒88へ取付けられているロックピン102へフック係合するストッパ94と、から構成されている。
【0003】前脚85の上端部分がU字形に折り曲げてあり、この部分に、背当部分95を形成している。また、後脚86はその上端部に、肘当部分96を備えている。前脚85と後脚86とは、ピン97によって枢動可能に連結されている。シートフレーム87には、ピン98によって前脚85が、更にピン99によって第2レバー92の下端部が、それぞれ枢動可能に連結されている。また、前方レバー89の他端と後方レバー90の他端とはピン100によって互いに枢動可能に連結されている。
・・・中略・・・
【0005】図5の組立て位置から、図7に示す折り畳み位置へシルバーカー84を折り畳む場合には、初めにストッパ94を回転し、押棒88と前脚85との係合を解く。次いで押棒88を後方かつ下方へ移動する。押棒88が後方かつ下方へ移動するため、第1レバー92及び第2レバー93がそれぞれシートフレーム87の後方部分及び後方レバー90の他端を下方へ移動する。このためシートフレーム87の前方部分が上方に移動すると共に前方レバー89の他端が下方に引き込まれ、前輪が後輪側へ接近する。これと同時に、前脚85の上方部分即ち背当部分95が前方へ移行する。押棒88を取り付け金具91へ枢着しているピン101の周りに更に下方にほぼ真下の位置まで移動することにより、前輪と後輪とが互いに接近し、最終的に前輪と後輪とが互いに同一平面内にて接触し、直立位置を保持し、折り畳み作業が完了する。」(第2頁第1?2欄段落【0001】?【0005】)

上記記載のうち、特に段落【0005】及び【図5】、【図7】によれば、前方レバー(89)、後方レバー(90)、並びに第2レバー(93)が、押棒(88)の回動によって前脚(85)及び後脚(86)を開閉脚させる折り畳み手段を構成するのは明白である。
したがって、以上の記載及び各図の図示内容を総合すると、引用例には、次のような発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「前輪が取り付けられる前脚(85)、
後輪が取り付けられかつ前記前脚(85)に対して枢動可能に連結される後脚(86)、
前記前脚(85)に固着された取り付け金具(91)に枢着される概ねU字形状を有している押棒(88)、及び
前記押棒(88)の回動によって前脚(85)及び後脚(86)を開閉脚させる折り畳み手段を備え、
前記折り畳み手段が、
前記前脚(88)に一端が枢着された前方レバー(89)、
前記後脚(86)に一端が枢着される後方レバー(90)、並びに
前記押棒(88)と後方レバー(90)とに接続される第2レバー(93)を含み、
第2レバー(93)の上部が押棒(88)に枢着されるとともに、第2レバー(93)の下部と後方レバー(90)、並びに前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端がピン(100)によりなる接続部で枢動可能に接続されているシルバーカーであって、
押棒(88)を下方向に回動させると、前記第2レバー(93)並びに前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端との前記接続部が下向きに動いて、前方レバー(89)及び後方レバー(90)の両者が該接続部を基点にして相互接近することにより、前脚(85)及び後脚(86)が閉脚状態になる、シルバーカー。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、文言上の意義、構造及び機能等からみて、引用発明の「前脚(85)」は本願補正発明の「前輪フレーム」に相当し、以下同様に、「後脚(86)」は「後輪フレーム」に、「概ねU字形状の押棒(88)」は「主フレーム」に、「前方レバー(89)」は「前方フレーム」に、「後方レバー(90)」は「後方フレーム」に、「第2レバー(93)」は「接続フレーム」に、そして、「シルバーカー」は「歩行補助車」に、それぞれ相当する。
また、引用発明において、第2レバー(93)は、後方レバー(90)に接続され、前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端とは、ピン(100)によりなる接続部で互いに枢動可能に接続されているのであるから、引用発明の「前記押棒(88)と後方レバー(90)とに接続される第2レバー(93)」と本願補正発明の「前記主フレームと前方フレームと後方フレームとに接続される接続フレーム」とは、「主フレームに接続され、互いに接続された前方フレームと後方フレームとを連動させる接続フレーム」の限りで一致する。
同様に、引用発明における「第2レバー(93)の下部と後方レバー(90)、並びに前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端が枢動可能に接続されている」構成と本願補正発明における「接続フレームの下部と前方フレームの後部と後方フレームの前部との三者が接続部で一つに軸支されている」構成とは、「接続フレームの下部が、前方フレームの後部と後方フレームの前部との接続部と連動するよう軸支されている」構成の限りで一致する。
そして、引用例の【図5】の組み立て状態と同【図7】の折り畳み状態とを総合すれば、引用発明において、シルバーカーを折り畳む際、押棒(88)の回動によって、第2レバー(93)並びに前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端との接続部(ピン100)が下向きに動けば、前脚(85)と前方レバー(89)との枢支点及び後脚(86)と後方レバー(90)との枢支点間の距離が縮まるのであるから、前輪及び後輪の接地を維持するよう折り畳むことにより、両者を回動しながら前方レバー(89)及び後方レバー(90)の両者が接続部であるピン(100)を基点にして相互接近するようにできることは明白である。

したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「前輪が取り付けられる前輪フレーム、
後輪が取り付けられかつ前記前輪フレームに対して軸支される後輪フレーム、
前記前輪フレームに対して軸支される主フレーム、及び
前記主フレームの回動によって前輪フレーム及び後輪フレームを開閉脚させる折り畳み手段を備え、
前記折り畳み手段が、
前記前輪フレームに軸支された前方フレーム、
前記後輪フレームに軸支される後方フレーム、並びに
主フレームに接続され、互いに接続された前方フレームと後方フレームとを連動させる接続フレームを含み、
接続フレームの上部が主フレームに軸支されるとともに、接続フレームの下部が前方フレームの後部と後方フレームの前部との接続部と連動するように軸支されている歩行補助車であって、
主フレームを下方向に回動させると、前記接続フレーム並びに前記接続部が下向きに動いて、前輪及び後輪が回動しながら前方フレーム及び後方フレームの両者が接続部を基点にして相互接近することにより、前輪フレーム及び後輪フレームが閉脚状態になる、歩行補助車。」
<相違点1>
本願補正発明では、主フレームに押し手が取り付けられているのに対し、引用発明では、押棒に押し手が取り付けられていない点。
<相違点2>
本願補正発明では、前方フレームと後方フレームとが大略同じ長さであるのに対し、引用発明では、前方レバー(89)と後方レバー(90)の長さの関係が明確でない点。
<相違点3>
本願補正発明では、接続フレームが主フレームと前方フレームと後方フレームとに接続され、接続フレームの下部と前方フレームの後部と後方フレームの前部との三者が接続部で一つに軸支されているのに対し、引用発明では、第2レバー(93)が押棒(88)と後方レバー(90)とに接続され、第2レバー(93)の下部と後方レバー(90)、並びに前方レバー(89)の他端と後方レバー(90)の他端が枢動可能に連結されている点。

(4)相違点についての検討及び判断
そこで、上記相違点1ないし3について検討する。
(a)相違点1について
シルバーカー等の手動推進車両において、把持部に押し手を別途設けることは、本願出願前より広くなされている事項であるから、引用発明における押棒に押し手を設けることは、当業者が適宜なし得ることである。

(b)相違点2について
引用発明にみられるような折り畳み機構を備えたシルバーカーを設計するに当たり、構造上の強度、使用時の安定性、折り畳み時の収納性等を考慮して、前脚(85)及び後脚(86)の長さ、形状及び両者の連結位置等を適宜選定することは、当業者が当然に考慮すべき事項と解されるところ、こうした前脚及び後脚の態様に応じて、折り畳み手段を構成する各リンクとの連結位置や該連結位置に伴う各リンクの長さを適宜選定することは、例えば登録実用新案第3069538号公報、実願平5-66319号(実開平7-35242号)のCD-ROM等にみられるように、本願出願前より周知の技術である。
してみると、引用発明において、前方レバー(89)と後方レバー(90)の長さを大略同じ長さとすることは、これを妨げる特段の事情も見当たらず、当業者が選定した前脚(85)及び後脚(86)の長さ、形状及び両者の連結位置等に応じて、適宜なし得ることである。

(c)相違点3について
2つのリンクを枢動可能に連結した折り畳み機構において、該2つのリンクを水平に伸ばされた状態からV字状に縮小するにあたり、該2つのリンクの接続点に杆あるいは棒状部材を接続し、この接続点に力の作用点を設けることは、例えば前述した登録実用新案第3069538号公報(特に、段落【0015】-【0016】、第2、4-5図参照。)、実願平5-66319号(実開平7-35242号)のCD-ROM(特に、段落【0019】-【0020】、第4、6図参照。)等にみられるように、本願出願前より周知の技術であるから、引用発明において、該周知の技術を適用し、前方レバー(89)と後方レバー(90)の接続点に第2フレームの下部を接続し、前方レバーと後方レバーの接続点が折り畳み時の力の作用点となるように構成することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(5)相違点についての検討及び判断のむすび
本願補正発明を全体構成でみても、引用発明及び上述した周知の技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、当業者が、引用発明及び上述した周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、仮に本件補正が願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであるとしても、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、本件補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年9月8日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 前輪が取り付けられる前輪フレーム、
後輪が取り付けられかつ前記前輪フレームに対して軸支される後輪フレーム、
押し手が取り付けられかつ前記前輪フレームに対して軸支される主フレーム、および
前記主フレームの回動によって前輪フレーム及び後輪フレームを開閉脚させる折り畳み手段を備え、
前記折り畳み手段が、
前記前輪フレームに取り付けられる前方フレーム、
前記後輪フレームに取り付けられる後方フレーム、ならびに
前記主フレームと前方フレームと後方フレームとに接続される接続フレームを含み、
接続フレームの上部が主フレームに接続されるとともに、接続フレームの下部と前方フレームと後方フレームとが接続部で一つに接続され、
主フレームを下方向に回動させると、主フレームに接続された接続フレームが移動して接続部が移動することによって、接続部を支点として前方フレーム及び後方フレームが互いに接近して、前輪フレーム及び後輪フレームが閉脚状態になる、歩行補助車。」

2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された引用例、その記載事項及び引用発明は、前記第2、【理 由】、3.の「(2)引用発明」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2、【理 由】の「1.補正の内容」で検討した本願補正発明から、以下の構成を省いたものである。
(1)前輪フレームと前方フレームとの連結の態様、後輪フレームと後方フレームとの連結の態様、接続フレームと前方フレームと後方フレームとの三者の連結の態様についての限定事項である、「軸支され」るとの構成。
(2)「接続フレームの下部と前方フレームと後方フレームとが接続部で一つに接続され」るという点についての限定事項である、接続部で一つに接続される部位が、前方フレームの「後部」であり、かつ、後方フレームの「前部」であるとの構成。
(3)「前方フレーム及び後方フレームの両者が接続部を基点にして相互接近」するという点についての限定事項である、「前輪及び後輪が回動しながら」との構成。
(4)「後方フレーム」についての限定事項である、「前方フレームと大略同じ長さである」との構成。

そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2、【理 由】3.の(3)、(4)及び(5)で検討したとおり、当業者が引用発明及び上述した周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が引用発明及び上述した周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-28 
結審通知日 2006-08-29 
審決日 2006-09-28 
出願番号 特願2000-279252(P2000-279252)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61H)
P 1 8・ 121- Z (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小菅 一弘田中 玲子  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 稲村 正義
川本 真裕
発明の名称 歩行補助車  
代理人 青山 葆  
代理人 河宮 治  
代理人 石井 久夫  

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