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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1147421
審判番号 不服2001-22501  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-14 
確定日 2006-11-13 
事件の表示 平成 4年特許願第277534号「遊戯機の入賞信号出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 5月10日出願公開、特開平 6-126028〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成4年10月15日の出願であって、平成13年4月25日付の拒絶理由に対し平成13年7月10日付で手続補正がなされ、平成13年8月27日付の拒絶理由に対し平成13年10月29日付で手続補正がなされ、平成13年11月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成13年12月14日付で拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成14年1月15日付で手続補正がなされたものであって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成14年1月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「 遊技機における全ての特賞のそれぞれに対応する、特賞の種類の識別が可能な電気信号から当たり信号を検出し、検出された当たり信号を独立して外部に取り出す端子又は導線が、検出された当たり信号により特賞に対応してそれぞれ独立して点灯する役物大当たりランプを備える、遊技機の上の幕板部分に取り付けられる管理ボードに接続されていることを特徴とする遊技機の入賞信号出力装置。」

2.引用例
原査定における拒絶の理由に引用された特開昭63-168194号公報(以下「引用例」という)には、図面とともに以下の記載がある。

(記載事項1)
「パチンコ機には少くとも入賞球があったことを検出する入賞球検出器と、賞球排出装置の上タンク内の予備球の残量を検出する完了検出器と、特別遊技態様が発生したことを検出する特別遊技態様検出部とを設け、パチンコ機裏側上部一側には、上記各検出手段からの信号をパチンコ機外部へ出力するための接続端子が集約的に設けられてなる入出力装置を設け、上記入賞球検出器、完了検出器、特別遊技態様検出部からの信号線の一端を上記入出力装置へ集合させて接続したことを特徴とするパチンコ機の入出力装置。」(特許請求の範囲)

(記載事項2)
「第1図に本発明に係る入出力装置を備えたパチンコ機の一実施例を示す背面図が、また第2図にその入出力装置の拡大図が示されている。
その実施例の入出力装置10は、基板11と、この基板11上に固定された4個の受側コネクタ12.13,14,15と、電源用フィーダコンセント16と、ブレーカ間とからなり、基板11によってパチンコ機1の裏面、右上隅に固定されている。また、入出力装置10の基板11には、AC24Vのような電源に接続されるプラグ18aを有する給電用配線18が接続され、上記フィーダコンセント16を介して基板11からパチンコ機裏面および前面のランプやモータ等の電気系統に給電するようになっている。
上記受側コネクタ12?15のうち、コネクタ12は入賞球検出信号の出力用、コネクタ13は完了検出信号の出力用、また、コネクタ14は特別遊技態様検出信号の出力用の接続端子とされる。
さらに、コネクタ15は、打球発射モータ制御信号の入力用の接続端子とされる。
上記コネクタ12、13には、パチンコ機裏面の第1図に示すような位置にそれぞれ配設されている入賞球検出器SW1、完了検出器SW2から引き出された信号線L1、L2の他端が接続されている。完了検出器SW2は賞球排出装置の上タンクが空になったことを検出するマイクロスイッチである。
また、上記コネクタ14には、特別遊技態様発生時に遊技制御基盤2から出力される特別遊技態様検出信号を伝える信号線L3の一端が接続されている。なお、この信号線は中継基盤3を介して入出力装置10へ接続されるようになっている。
さらに、コネクタ15には、打球発射モータ4から金枠スイッチSW3や操作ダイヤルスイッチSW4等を介して引き出された給電線L4の一端が接続されている。上記金枠スイッチSW3は、遊技盤の前面を覆うガラス板を保持する金枠の開閉状態を検出する検出器であって、金枠が閉じているとオンされる。
一方、基板11上に設けられたフィーダコンセント16は、遊技制御基盤2から引き出された給電線(図示省略)の端部のプラグが差し込まれることにより、上記給電線18より供給される24Vの電源電圧を、制御基盤2へ供給する。
また、基板11上に設けられたブレーカ17は、制御基盤2から出力される特別遊技態様検出信号を伝える信号線L3とコネクタ14との間に介挿され、コネクタ14に誤って他の配線(特に給電線)のコネクタが接続されたときに遮断状態にされて制御基盤2を保護するようになっている。」(第2頁右下欄第6行?第3頁右上欄第15行)

(記載事項3)
「この実施例では、各パチンコ機1の上方の上記フリッカランプ210に隣接して前記特別遊技態様の発生回数等を表示可能な大当り回数表示装置230を設けである。」(第5頁左下欄第8?11行)

(記載事項4)
「一方、パチンコ機の入出力装置10を介して出力される特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)は、フリッカランプ210と大当り回数表示装置230へ各々供給されて、ランプの点滅と数字による回数表示が行なわれるようにされている。」(第6頁右上欄第2?6行)

これらの記載及び図面、並びに、
a)「各パチンコ機1の上方の上記フリッカランプ210」(記載事項3)、「一方、パチンコ機の入出力装置10を介して出力される特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)は、フリッカランプ210と大当り回数表示装置230へ各々供給され」(記載事項4)及び第8図においてパチンコ機の入出力装置10からフリッカランプ210へ矢印が引かれていることから、引用発明においては、特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)を「外部に取り出す」「導線」が、フリッカランプ210を備える、パチンコ機の上方の「部分」に「取り付けられ」る「部材」に「接続」されていることが明らかなこと、
b)第7図の記載及び技術常識(例えば、特開平3-275089号公報参照。)から、フリッカランプ210を備える部材が「幕板部分」であるとことが明らかなこと、

によれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」と言う。)が記載されていると認められる。

「パチンコ機における特別遊技態様に対応する特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)を外部に取り出す導線が、特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)により特別遊技態様に対応して点滅するフリッカランプ210を備える、パチンコ機の上方の幕板部分に取り付けられる部材に接続されているパチンコ機の入出力装置10。」

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明のa「特別遊技態様発生検出信号(大当り信号)」、b「フリッカランプ210」、c「パチンコ機」、d「上方」、e「特別遊技態様」は、それぞれ、本願発明のa「当たり信号」、b「役物大当たりランプ」、c「遊技機」、d「上」、e「特賞」に相当する。
また、引用発明における「点滅」と本願発明における「点灯」とは「点灯表示」という点で、また、「入出力装置10」と「入賞信号出力装置」とは、それぞれ、「点灯表示」、「入出力部」という点で共通している。

よって、両者は、

「 遊技機における特賞に対応する当たり信号を外部に取り出す導線が、当たり信号により特賞に対応して点灯表示する役物大当たりランプを備える、遊技機の上の幕板部分に取り付けられる部材に接続されている遊技機の入出力部。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願発明では、特賞の種類が複数であって、入出力部が特賞の種類の識別が可能な電気信号から特賞に対応する当たり信号を検出し、その検出した当たり信号を端子又は導線により独立して外部に出しており、当たり信号が全ての特賞に対応しており、役物大当たりランプが、当たり信号により特賞に対応してそれぞれ独立して点灯表示するのに対して、引用発明では、特賞の種類が一種類であって、入出力部が当たり信号をそのまま外部に出しており、当たり信号が一種類の特賞に対応しており、役物大当たりランプが、当たり信号により特賞に対応して点灯表示する点。

相違点2
点灯表示が、本願発明では「点灯」であるのに対して、引用発明では「点滅」である点。

相違点3
役物大当たりランプを備え、遊技機の上の幕板部分に取り付けられるものが、本願発明では、管理ボードであるのに対して、引用発明では、単なる部材である点。

4.判断
相違点1について検討する。
制御部が発する特賞の種類の識別が可能な電気信号から特賞に対応する当たり信号をランプ駆動手段が検出し、その検出された当たり信号を導線により独立してランプ駆動手段の外部に出し、当たり信号により特賞に対応してそれぞれ独立して点灯表示する役物大当たりランプを備えた遊技機は周知技術(以下、「周知技術A」という。)(例えば、特開平3-258276号公報(特に、第6頁左上欄第5?10行、第6頁左下欄第18行?右上欄第1行に、大当たりと中当たりで異なるランプが点滅する旨が開示されていること、第10図において、CPU70からの信号を受けるドライバから、大当りランプ19a、19b、73に独立して線が引かれていることを参照。)、特開昭64-8987号公報(特に、第4頁左上欄第4行?右上欄第7行に、大当たりと小当たりで異なるランプが点灯する旨が開示されていること、第4図において、CPUからの信号を受ける大当たり表示ランプ駆動部及び小当たり表示ランプ駆動部から大当たり表示ランプL3及び小当たり表示ランプL4に独立して線が引かれていることを参照。)を参照。)である。
してみれば、引用発明において、特賞の種類を前記周知技術Aの如く複数とし、入出力部として前記周知技術Aにおけるランプ駆動手段の如く特賞の種類の識別が可能な電気信号から特賞に対応する当たり信号を検出し、その検出された当たり信号を導線により独立して外部に出すようにし、役物大当たりランプを前記周知技術Aの如く当たり信号により特賞に対応してそれぞれ独立して点灯表示する役物大当たりランプとすること、及び、特賞に当たり信号を対応させる際に、複数の特賞の種類の全てを役物大当たりランプの点灯表示により識別できるようにするために、当たり信号を全ての特賞のそれぞれに対応させる設計変更を加味して相違点1に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。

相違点2について検討する。
点灯表示の態様として、点灯や点滅は適宜選択採用する程度の設計的事項である。

相違点3について検討する。
まず、本願発明における「管理ボード」について検討する。
「管理ボード」という語義に照らせば、管理のためのボード状(板状)のものを意味すると解される。
しかし、特許請求の範囲では、「管理ボード」の構成が「遊技機の上の幕板部分に取り付けられる」点、及び、「役物大当たりランプを備える」点を除いて何ら規定されていない。
そして、「管理ボード7は、図3に示すように複数のランプからなる役物大当たりランプ7a,7b,7cと、ストロボランプ7eと、走行ランプ7fとを備えており、各役物をその種類に応じて役物大当たりランプ7a,7b,7cに点灯させ、またストロボランプ7eを点滅させ、走行ランプ7fにて走行表示する。」(本願の発明の詳細な説明段落【0013】)という発明の詳細な説明の記載を勘案すれば、役物大当たりランプを備えているものが、管理ボードであると認められる。
してみれば、結局のところ、本願発明における「管理ボード」は、遊技機の上の幕板部分に取り付けられ、役物大当たりランプを備えた、管理のためのボード状の部材を包含していると認められる。
そして、上で認定したように、引用発明も、遊技機の上の幕板部分に取り付けられ、役物大当たりランプを備えた部材を有している。そして、遊技機の上の幕板部分は、遊戯者のみならず、遊技店の店内を巡回している店員からも目に入りやすい位置であるから、遊技機の上の幕板部分に、役物大当たりランプを備えた部材を設ければ、大当たりについて管理し易い、つまり、大当たりについての管理にも用いることができることは明らかである。してみれば、引用発明において、遊技機の上の幕板部分に取り付けられ、役物大当たりランプを備えた部材は、ボード状であるか否かが明らかでない点を除いて本願発明における「管理ボード」と格別異ならない。そして、ボード状のものにランプを搭載することは文献を提示するまでもなく周知技術(以下、「周知技術B」という。)であるから、当該部材の形状を単にボード状とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。

5.まとめ
本願発明の奏する効果は、前記引用発明に記載された発明に前記周知技術を適用したものから当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められないから、本願発明は引用発明及び前記周知技術A、Bに基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例及び周知技術A、Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-13 
結審通知日 2006-09-15 
審決日 2006-09-27 
出願番号 特願平4-277534
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 塩崎 進
篠崎 正
発明の名称 遊戯機の入賞信号出力装置  
代理人 堤 隆人  
代理人 小堀 益  

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