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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1147457
審判番号 不服2002-23574  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-06 
確定日 2006-11-17 
事件の表示 平成11年特許願第 64197号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月12日出願公開、特開平11-276684〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続きの経緯・本願発明

本願は、平成10年3月5日に出願した特願平10-73204号の一部を平成11年3月11日に新たな特許出願としたものであって、平成11年3月11日付で手続補正され、平成13年11月5日付で手続補正され、平成14年2月28日付の拒絶理由に対し平成14年4月19日付で手続補正がなされ、平成14年11月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し平成14年12月6日付で拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成14年4月19日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「 複数の図柄を表示可能な図柄表示器を表示ソフトウエアを介して制御する表示制御装置と、大当たり等の遊技を遊技ソフトウエアを介して制御する遊技制御装置を備える遊技機であって、
本機用と類似機用の表示ソフトウエア及び本機用と類似機用の遊技ソフトウエアは、本機と類似機で作動可能であり、
本機用の表示ソフトウエアと類似機用の表示ソフトウエアは同じであり、共に本機と類似機の機種名が記憶してあり、
本機用の遊技ソフトウエアと類似機用の遊技ソフトウエアは、異なる大当たり確率を記憶すると共に、異なる表示図柄データを記憶し、
更に、本機用の遊技ソフトウエアには本機機種データを記憶すると共に類似機用の遊技ソフトウエアには類似機機種データを記憶し、
電源投入時の図柄表示器の初期表示において、
本機に本機用の遊技制御装置を装着すると、前記表示ソフトウエアを介して前記本機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄と本機機種名を図柄表示器に表示し、
本機に類似機用の遊技制御装置を装着すると、前記表示ソフトウエアを介して前記類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄と、類似機機種名を図柄表示器に表示することを特徴とする遊技機。」

2.引用例
原査定の拒絶理由(理由B)に引用された特開平6-198045号公報(以下「引用例」という)には、図面とともに以下の記載がある。

(記載事項1)
「【請求項1】 表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に所定の遊技価値が付与可能となる複数の遊技機と、
該複数の遊技機に所定のデータを出力して供給するデータ出力装置とを含む遊技用装置であって、
前記データ出力装置は、
前記複数の遊技機に共通に用いられるデータであって前記遊技機による遊技を制御するための遊技制御用データを格納する遊技制御用データ格納手段と、
前記複数の遊技機に共通に用いられるデータであって前記可変表示装置により表示される表示用データを格納する表示用データ格納手段と、
前記遊技制御用データ格納手段に格納されている遊技制御用データと前記表示用データ格納手段に格納されている表示用データとを前記複数の遊技機に出力する出力手段とを含み、
前記遊技制御用データ格納手段と前記表示用データ格納手段とが前記データ出力装置に対し着脱交換可能に構成されていることを特徴とする、遊技用装置。」(特許請求の範囲)

(記載事項2)
「【課題を解決するための手段】本発明は、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になった場合に所定の遊技価値が付与可能となる複数の遊技機と、該複数の遊技機に所定のデータを出力して供給するデータ出力装置とを含む遊技用装置であって、前記データ出力装置は、前記複数の遊技機に共通に用いられるデータであって前記遊技機による遊技を制御するための遊技制御用データを格納する遊技制御用データ格納手段と、前記複数の遊技機に共通に用いられるデータであって前記可変表示装置により表示される表示用データを格納する表示用データ格納手段と、前記遊技制御用データ格納手段に格納されている遊技制御用データと前記表示用データ格納手段に格納されている表示用データとを前記複数の遊技機に出力する出力手段とを含み、前記遊技制御用データ格納手段と前記表示用データ格納手段とが前記データ出力装置に対し着脱交換可能に構成されていることを特徴とする。
【作用】本発明は、複数の遊技機に所定のデータを出力して供給するデータ出力装置が設けられており、複数の遊技機に共通に用いられるデータであって遊技機による遊技を制御するための遊技制御用データを格納する遊技制御用データ格納手段と、複数の遊技機に共通に用いられるデータであって可変表示装置により表示される表示用データを格納する表示用データ格納手段とがデータ出力装置に設けられている。そして、それら両データ格納手段に格納されている遊技制御用データと表示用データとが前記複数の遊技機に出力される。また、前記遊技制御用データ格納手段と表示用データ格納手段とがデータ出力装置に対し着脱交換可能に構成されているために、それらのデータ格納手段を他の新たなものに交換することにより前記複数の遊技機の遊技制御と表示制御とが新たな制御内容に変更される。」(段落【0006】?【0007】)

(記載事項3)
「図1は、遊技機の一例のパチンコ遊技機19を示す全体正面図である。パチンコ遊技機19の前面枠52の右下隅には、回動調整可能な打球操作ハンドル56が設けられており、遊技者がこの打球操作ハンドル56を操作することにより、、前面板53の前面側に設けられている玉貯留皿54上に貯留されているパチンコ玉が1つずつ遊技盤1前面に形成されている遊技領域2内に打込まれる。遊技領域2には、複数種類の図柄を可変表示することにより表示状態が変化可能な可変表示装置3が臨んでいる。この可変表示装置3の周囲を囲む状態で飾部材60が遊技盤1に設けられている。」(段落【0009】)

(記載事項4)
「図2は、パチンコ遊技機19の一部内部構造を示す全体背面図である。遊技盤1の裏面側には機構板22が設けられており、その機構板22には、開口24が形成されている。この開口24に対応する位置に、可変表示装置3を構成しているLCDユニット35が設けられている。このLCDユニット35は、取付孔61にビス止めすることにより機構板22の裏面側に固定されている。この状態で、LCDユニット35の表示部が遊技盤1前面側から視認できる。LCDユニット35はカバーで覆われており、そのカバー内には、可変表示装置3を表示制御するための表示用データが記憶されたRAM38と、そのRAM38の記憶データに基づいて可変表示装置3を表示制御するための表示制御マイコン37とが実装された基板36が設けられている。
機構板22には、さらに、ゲーム制御用基板28が設けられている。このゲーム制御用基板28は、パチンコ遊技機19の遊技制御を行なうものであり、その図示左側に、コネクタ30,32,33,34が設けられている。コネクタ32とコネクタ40とが電気的に接続され、ゲーム制御基板28と可変表示装置の基板36との間でデータの伝送が可能に構成されている。機構板22の裏面側には、さらに開口25が設けられており、この開口25部分に中継端子基板41が設けられ、その中継端子基板41のコネクタ42とゲーム制御用基板28のコネクタ33とが電気的に接続されている。この中継端子基板41は、パチンコ遊技機19の前面側に設けられているランプやLEDやセンサ等とゲーム制御用基板28とを電気的に中継するためのものである。ゲーム制御用基板28には、遊技機による遊技制御を行なうための遊技制御用データを格納するRAM30とその格納データに基づいて遊技制御を行なうための遊技制御マイコン29とが実装されている。」(段落【0015】?【0016】)

(記載事項5)
「図4は、遊技用装置の全体構成を示すブロック図である。遊技場におけるある1つの遊技機設置島の複数台のパチンコ遊技機19A?19Iが設置されている。そして、それぞれのパチンコ遊技機19A?19Iには前述した入出力制御装置45A?45Iが設けられている。この入出力制御装置45A?45Iは、CPU,RAM,ROM,I/Oポート等からなる入出力制御用のマイクロコンピュータを内蔵している。この遊技機設置島にはデータ出力装置49が設けられている。このデータ出力装置49は、CPU,RAM,ROM,I/Oポート等からなるデータ出力制御マイコン50を有するとともに、ROMカセット(ROMカートリッジ等からなるゲームパック)51が着脱交換可能に設けられている。このROMカセット51は、遊技機の遊技制御を行なうための遊技制御プログラムおよび遊技制御データを記憶している遊技制御用データ格納手段51aと、可変表示装置3の表示用データである表示制御プログラムおよびキャラクタデータ等を記憶した表示用データ格納手段51bとを含む。この遊技制御データは、具体的には、スピーカ21から発せられる効果音等の音データ,各種ランプ20,18を点灯または点滅制御するためのランプデータ,ソレノイド13の励磁期間等を定めるソレノイドデータ,各種タイマのタイムアップ時間を定めるタイマデータ,大当りを発生させることが事前決定された場合の可変表示装置3より表示される当り図柄の組合せ種類をテーブルの形で記憶している当り図柄テーブル等である。遊技制御プログラムまたは遊技制御データはセキュリティコードと暗号化されたデータ演算用の演算式とを含んでいる。これらセキュリティコードと演算式とは、後述するように、遊技制御プログラムや遊技制御データが適正なデータであるか否かをチェックするために用いられる。また、遊技制御プログラムまたは遊技制御データは、後述するように、遊技制御用データ格納手段51aに格納されていた遊技制御用データと表示用データ格納手段51bに格納されていた表示用データとの整合性をチェックするための暗号化された演算式を含むとともに、賞球個数データも含んでいる。この賞球個数データとは、所定の入賞口にパチンコ玉が入賞した場合に払出すべき賞球個数を定めるデータである。キャラクタデータとは、可変表示装置3によって表示される図柄の形状や色を定めるデータである。表示制御プログラムまたはキャラクタデータは、それらのデータが適正なデータであるか否かをチェックするためのセキュリティコードと暗号化された演算式とを含むとともに、表示用データ格納手段51bに格納されていた表示用データと遊技制御用データ格納手段51aに格納されていた遊技制御用データとの整合性をチェックするためのセキュリティコードと暗号化された演算式を含んでいる。
このROMカセット51に記憶されている記憶データがデータ出力制御マイコン50により各入出力制御装置45A?45Iに出力される。各入出力制御装置45A?45Iでは、送信されてきたデータのうち、遊技制御用データ格納手段51aに格納されていた遊技制御プログラムおよび遊技制御用データをゲーム制御用基板28の遊技制御マイコン29に送信し、遊技制御マイコン29では、送信されてきたデータをRAM30に記憶させる。また、遊技制御マイコン29は、送信されてきた遊技制御用データのうち賞球個数データを払出制御基板43の払出制御部44に送信して払出制御部に記憶させる。なお、賞球個数データを払出制御部44に送信する代わりに遊技制御マイコン29により記憶しておき、パチンコ玉の入賞に応じて対応する賞球個数データに基づいて払出すべき賞球個数信号をその都度払出制御部44に出力するようにしてもよい。
入出力制御装置45A?45Iは、送信されてきたデータのうち表示用データ格納手段51bに記憶されていた表示制御プログラムおよび表示用データを表示制御マイコン37に出力する。表示制御マイコン37は、伝送されてきた表示用データをRAM38に記憶させる。この遊技制御マイコン29には、後述するように、受信データをRAM30に格納するためのプログラムと受信データに含まれる前述した演算式を復号化するためのプログラムとが内蔵されている。また、表示制御マイコン37には、後述するように、受信データをRAMに格納するためのプログラムと受信データに含まれる前述した演算式を復号化するためのプログラムとが内蔵されている。前記データ出力制御マイコン50により、前記遊技制御用データ格納手段に格納されている遊技制御用データと前記表示用データ格納手段に格納されている表示用データとを前記複数の遊技機に出力する出力手段が構成されている。前記遊技制御マイコン29とRAM30とにより、前記出力手段が出力した前記遊技制御用データに従って遊技制御を行なう遊技制御手段が構成されている。表示制御マイコン37とRAM38とにより、前記出力手段が出力した前記表示用データに従って前記可変表示装置を表示制御する表示制御手段が構成されている。」(段落【0023】?【0025】)

(記載事項6)
「・・・送信するデータの内容は、図4において説明したように、遊技制御プログラムや遊技動作データ等の遊技制御用データと表示制御プログラムやキャラクタデータ等の表示用データと、それらのデータを送信し終った旨を表わす受信終了データである。・・・」(段落【0027】)

(記載事項7)
「・・・送信されてきた遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)・・・」(段落【0029】)

(記載事項8)
「・・・受信した表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)・・・」(段落【0031】)

(記載事項9)
「図8は、遊技用装置の他の例を示す全体構成ブロック図である。この別実施例では、図4に示した遊技用装置と同じ部品に対しては同じ参照番号を付しており、図4のものとの相違点を主に説明する。データ出力装置49のROMカセット51はデータ出力装置49に対し着脱交換自在に構成されており、その中には遊技機による遊技を制御するための遊技制御用データとしての遊技制御データと、可変表示装置により表示される表示用データとしてのキャラクタデータのみを格納する。そして、図4に示した遊技制御プログラムは遊技制御マイコン29に前もって記憶されており、図4に示した表示制御プログラムは表示制御マイコン37に前もっと書込まれている。遊技制御マイコン29や表示制御マイコン36は、前もって書込まれている制御プログラムに基づき、必要なデータをリアルタイムでROMカセット51から入出力制御装置45Aを介して取込み、遊技制御および可変表示装置の表示制御を行なう。また、賞球個数データも遊技制御マイコン29に予め記憶されており、その記憶データに基づいて賞球払出制御を行なうためのデータが払出制御部44に供給される。」(段落【0033】)

(記載事項10)
「【発明の効果】本発明は、遊技制御用データ格納手段と表示用データ格納手段とがデータ出力装置に対し着脱交換可能に構成されているために、遊技制御用データや表示用データを交換して新たな制御に変更する際には遊技制御用データ格納手段と表示用データ格納手段とを他の新たなものに交換することにより可能となり、交換しなければならない対象物を極力少なくして交換に伴うコストを極力安価にすることができる。しかも、1つのデータ出力装置の遊技制御用データ格納手段と表示用データ格納手段とを他の新たなものに交換することにより複数の遊技機の制御を新たなものに変更することができ、複数の遊技機の制御を変更する際の作業が簡単となる。」(段落【0045】)

これらの記載及び図面、並びに、
a)「複数種類の図柄を可変表示することにより表示状態が変化可能な可変表示装置3」(記載事項3)という記載から、可変表示装置3は、複数種類の図柄を「表示可能」であることは明らかであること、
b)「遊技制御用データに従って遊技制御を行なう遊技制御手段」(記載事項5)という記載及び「遊技制御データは、具体的には、・・・大当りを発生させることが事前決定された場合の可変表示装置3より表示される当り図柄の組合せ種類をテーブルの形で記憶している当り図柄テーブル等である。」という記載から、遊技制御手段が、「大当たり等の遊技」を遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)を介して遊技制御することが明らかであること、
c)「可変表示装置3を表示制御するための表示用データ」(記載事項4)及び「遊技機による遊技制御を行なうための遊技制御用データ」(記載事項4)という記載から、パチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49において、表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)及び遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)が「作動可能」であることが明らかなこと、
d)「遊技制御データは、具体的には、・・・大当りを発生させることが事前決定された場合の可変表示装置3より表示される当り図柄の組合せ種類をテーブルの形で記憶している当り図柄テーブル等である。」(記載事項5)という記載から、遊技制御データとして、「大当りの処理に関するデータ」が含まれることは明らかであるから、遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)は、「大当りの処理に関するデータ」を記憶していることは明らかなこと、
e)「可変表示装置3を表示制御するための表示用データ」(記載事項4)という記載、「遊技制御マイコン29とRAM30とにより、前記出力手段が出力した前記遊技制御用データに従って遊技制御を行なう遊技制御手段が構成されている」(記載事項5)という記載及び遊技制御に伴って可変表示装置3が表示制御されることが明らかであるから、遊技制御手段は、遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)に従って表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)を「介して」可変表示装置3を表示制御することが明らかであること、そして、この明らかなことと「遊技制御データは、具体的には、・・・大当りを発生させることが事前決定された場合の可変表示装置3より表示される当り図柄の組合せ種類をテーブルの形で記憶している当り図柄テーブル等である。」(記載事項5)という記載から、パチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49に遊技制御手段が「装着」された「状態」では、表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)を「介して」遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)に記憶の当り図柄テーブルに「対応する」当り図柄を可変表示装置3に表示することもまた明らかであること、


によれば、引用例には、次の発明(以下、「引用例の発明」と言う。)が記載されていると認められる。

引用例の発明
「 複数種類の図柄を表示可能な可変表示装置3を表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)を介して表示制御する表示制御手段と、大当たり等の遊技を遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)を介して遊技制御する遊技制御手段を備えるパチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49であって、
表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)及び遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)は、パチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49で作動可能であり、
遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)は、大当りの処理に関するデータを記憶すると共に、当り図柄テーブルを記憶し、
パチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49に遊技制御手段が装着された状態では、前記表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)を介して遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)に記憶の当り図柄テーブルに対応する当り図柄を可変表示装置3に表示するパチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49において、データ出力装置49にはROMカセット51が着脱交換可能に設けられており、ROMカセット51が遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)と表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)を記憶しており、ROMカセット51を他の新たなものに交換することにより、パチンコ遊技機19Aの制御を新たなものに変更することができるパチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49。」

3.対比
(a)本願発明における用語の定義
本願発明における「本機」及び「類似機」の意味について検討する。本機とは本機としての遊技機、類似機とは類似機としての遊技機であることは明らかであるが、更に、「本機と類似機は、遊技ソフトウエアのみを異に構成してあり、それ以外は同じ構成であり、本機と類似機は何れの遊技ソフトウエアも作動可能である。」(本願の出願当初の明細書の段落【0013】)という記載から、本機と類似機は遊技ソフトウエアを除いて同じ構成の遊技機である、と認められる。

(b)また、本願発明における「電源投入時の図柄表示器の初期表示において、 本機に本機用の遊技制御装置を装着すると、・・・を図柄表示器に表示し、本機に類似機用の遊技制御装置を装着すると、・・・を図柄表示器に表示する」は、「電源投入時の図柄表示器の初期表示において、本機に本機用の遊技制御装置が装着された状態では、・・・を図柄表示器に表示し、本機に類似機用の遊技制御装置が装着された状態では、・・・を図柄表示器に表示する」と解される。
してみれば、本願発明における「本機に本機用の遊技制御装置が装着された状態」と「本機に類似機用の遊技制御装置が装着された状態」とでは、本機に装着された遊技ソフトウエアが、本機用の遊技ソフトウエアか類似機用の遊技ソフトウエアかの相違であると認められる。

(c)本願発明と引用例の発明とを比較すると、引用例の発明のa「複数種類」、b「可変表示装置3」、c「表示用データ(表示制御プログラムおよびキャラクタデータ)」、d「表示制御」又は「遊技制御」、e「表示制御手段」、f「遊技制御用データ(遊技制御プログラムおよび遊技制御データ)」、g「遊技制御手段」、h「パチンコ遊技機19A及びデータ出力装置49」、i「当り図柄テーブル」、j「当り図柄」は、それぞれ、本願発明のa「複数」、b「図柄表示器」、c「表示ソフトウエア」、d「制御」、e「表示制御装置」、f「遊技ソフトウエア」、g「遊技制御装置」、h「遊技機」、i「表示図柄データ」、j「図柄」に相当する。

(d)また、本願発明の「大当たり確率」と引用例の発明の「大当りの処理に関するデータ」とは、「大当りの処理に関するデータ」という点で共通している。

(e)本願発明に擬えた引用例の発明
そして、前記(a)を踏まえると、引用例の発明も、遊技機に遊技制御装置が装着された状態では、表示ソフトウエアを介して遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示するものであって、遊技ソフトウエアと表示ソフトウエアを記憶したROMカセット51を他の新たなものに交換することにより、パチンコ遊技機19Aの制御を新たなものに変更することができる遊技機であるから、引用例の発明も、遊技ソフトウエアと表示ソフトウエアを記憶したROMカセット51を他の新たなものに交換することにより、遊技ソフトウエア(本機用の遊技ソフトウエア)及び表示ソフトウエア(本機用の表示ソフトウエア)も他の新たなもの(類似機用遊技ソフトウエア及び類似機用表示ソフトウエア)に交換されることとなり、本機に本機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記表示ソフトウエアを介して前記本機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示し、本機に類似機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記表示ソフトウエアを介して前記類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示することは明らかであるし、遊技ソフトウエア(本機用の遊技ソフトウエア)及び表示ソフトウエア(本機用の表示ソフトウエア)並びに他の新たなもの(類似機用遊技ソフトウエア及び類似機用表示ソフトウエア)が本機及び類似機で作動可能であることも明らかである。

引用例には、本願発明に擬えると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 複数の図柄を表示可能な図柄表示器を表示ソフトウエアを介して制御する表示制御装置と、大当たり等の遊技を遊技ソフトウエアを介して制御する遊技制御装置を備える遊技機であって、
本機用と類似機用の表示ソフトウエア及び本機用と類似機用の遊技ソフトウエアは、本機と類似機で作動可能であり、
本機用と類似機用の遊技ソフトウエアは、大当りの処理に関するデータを記憶すると共に、表示図柄データを記憶し、
本機に本機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記本機用の表示ソフトウエアを介して本機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示し、
本機に類似機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記類似機用の表示ソフトウエアを介して類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示する遊技機。」

そして、本願発明と引用発明とは、

「 複数の図柄を表示可能な図柄表示器を表示ソフトウエアを介して制御する表示制御装置と、大当たり等の遊技を遊技ソフトウエアを介して制御する遊技制御装置を備える遊技機であって、
本機用と類似機用の表示ソフトウエア及び本機用と類似機用の遊技ソフトウエアは、本機と類似機で作動可能であり、
本機用と類似機用の遊技ソフトウエアは、大当りの処理に関するデータを記憶すると共に、表示図柄データを記憶し、
本機に本機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記表示ソフトウエアを介して本機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示し、
本機に類似機用の遊技制御装置が装着された状態では、前記表示ソフトウエアを介して類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄を図柄表示器に表示する遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
表示ソフトウエアに関して、本願発明では、本機用の表示ソフトウエアと類似機用の表示ソフトウエアは同じであり、共に本機と類似機の機種名が記憶してあるのに対し、引用発明1は本機用の表示ソフトウエアと類似機用の表示ソフトウエアが同じか否かは明らかでない点

相違点2
遊技ソフトウエアに関して、本願発明では本機用の遊技ソフトウエアには本機機種データを記憶すると共に類似機用の遊技ソフトウエアには類似機機種データを記憶しているのに対し、引用発明1では当該機種データを記憶していない点。

相違点3
本願発明においては、本機用の遊技ソフトウエアと類似機用の遊技ソフトウエアは、表示図柄データ、大当りの処理に関するデータである大当たり確率が異なるものであるのに対し、引用発明においては、表示図柄データ及び大当りの処理に関するデータが、異なるか否か不明である点。

相違点4
本願発明においては、
電源投入時の図柄表示器の初期表示において、
本機に本機用の遊技制御装置を装着すると、前記表示ソフトウエアを介して前記本機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄と本機機種名を図柄表示器に表示し、
本機に類似機用の遊技制御装置を装着すると、前記表示ソフトウエアを介して前記類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の表示図柄データに対応する図柄と、類似機機種名を図柄表示器に表示するのに対して、
引用発明では、電源投入時の図柄表示器の初期表示が明らかではない点。

4.判断
相違点1について検討する。
遊技機において別異のキャラクタ表示を行なう表示変更手段として、表示制御プログラムを同一にし、キャラクタデータのみを替える表示変更手段が前記(記載事項9)に示され、また、データ保持態様として、全てのデータをまとめて1つにして保持しておき、必要なデータを指定して使用することは周知のデータ保持態様(以下、「周知技術A」という。)(例えば、特開平10-28774号公報(特に、段落【0010】、【0013】を参照(「貯玉管理ファイル」が会員の貯玉データをまとめて記録)。)、特開平9-313719号公報(特に、段落【0019】、【0072】を参照(「外部記憶装置53」の「貯玉カードファイル」に遊技者の貯玉数をまとめて記憶)。)、ジュークボックス(全ての音楽データをまとめて用意しておき、指定された音楽データのみピックアップ使用されるデータとする。)である。
一方、本願発明においては、類似機のみが使用し、本機が使用することのない表示ソフトウエアの表示用データは、類似機を表す機種名に関する表示データであり、逆に、本機のみが使用し、類似機が使用することのない表示用データは、本機を表す機種名に関する表示データであり、その他の表示データにおいて両者に変わるところはないから、本願発明における、当該表示用データのデータ保持態様として、前記周知のデータ保持態様を採用することは、CPU技術において周知の課題であるメモリの節約との観点から当業者が適宜なし得るものである。
してみると、CPU技術において周知の課題であるメモリの節約との観点から、前記(記載事項9)のように表示制御プログラムを同一にし、さらに、表示データの相違点が微少であるとの観点から前記周知のデータ保持態様を採用すること、すなわち、本機用と類似機用の表示ソフトウエアを同一にすることは、当業者が容易に想到できることである。
したがって、当該相違点は格別なものではない。

相違点2について検討する。
前記「相違点1について検討する」において構成することが容易であるとした表示ソフトウエアにおいては、必要なデータを「指定」する手段を要するところ、当該指定は本機用か類似機用に対応するものであるから、本機用遊技ソフトウエア、又は類似機用遊技ソフトウエアであることを表示ソフトウエアに伝える情報が必要であることは当業者にとっては自明な技術的事項であるから、当該情報である機種データを本機用の遊技ソフトウエア及び類似機用の遊技ソフトウエアに具備させることは当業者ならば当然に行う技術的事項である。

相違点3について検討する。
大当たり確率を異ならせて遊技内容を変更することは周知のバリエーション手段(以下、「周知技術B」という。)(例えば、特開平5-161741号公報(特に、段落【0094】、【0095】を参照)、特開平8-71223号公報(特に、段落【0002】)を参照。)であるし、図柄を変更すれば、遊技内容が変更されることも明らかである。
よって、引用発明における本機用及び類似機用の遊技ソフトウエアにおいて、大当りの処理に関するデータとして、前記周知技術Bの如く異なった大当たり確率を採用し、表示図柄データとして異なるものを採用して、相違点3に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。

相違点4について検討する。
遊技機における電源投入時の図柄表示器の初期表示として、遊技ソフトウエアの区別を表す名前を図柄表示器に表示することは周知技術(以下、「周知技術C」という。)(例えば、特開平8-182825号公報(特に、段落【0031】、図29を参照。)、特開平5-237227号公報(特に、段落【0019】を参照。)、特開平8-131628号公報(特に、段落【0032】を参照。)を参照。)であるし、ソフトウエアの起動時に、ソフトウエアの区別をするために、機種名及び画像を表示することも周知技術(以下、「周知技術D」という。)(例えば、一太郎というソフトウエアをコンピュータで起動すれば、「一太郎」という機種名と画像が画面に表示されることを参照。)である。
してみれば、引用発明において、本機に、本機用の遊技制御装置、又は類似機用の遊技制御装置すなわち、本機用の遊技ソフトウエア、又は類似機用の遊技ソフトウエアが装着されれば、各々、本機用の遊技ソフトウエア又は類似機用の遊技ソフトウエアに記憶の画像である表示図柄データに対応する図柄と、名前である本機機種名又は類似機機種名とを、図柄表示器に表示して、相違点4に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。

5.まとめ
以上のように各相違点は格別のものではなく、それらを総合的に判断しても格別の作用効果は認められないから、本願発明は引用発明及び前記周知技術A?Dに基づいて当業者が容易に発明することができたものである

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例及び周知技術A?Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-26 
出願番号 特願平11-64197
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 渡部 葉子
篠崎 正
発明の名称 遊技機  
代理人 犬飼 達彦  
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