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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1147561
審判番号 不服2004-848  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-13 
確定日 2006-11-21 
事件の表示 平成9年特許願第145015号「基板加熱装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年2月24日出願公開、特開平10-56008〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年6月3日(優先権主張1996年6月3日 米国)の出願であって、その請求項1?22に係る発明は、特許法第17条の2の規定に基づき平成15年6月9日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面(以下、「本願明細書及び図面」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】基板の急速熱処理中に基板を加熱する加熱装置であって、窓を有する排気可能チャンバと、前記チャンバの外部に前記窓と隣接して配置され、前記窓に対して垂直に延びる中央長手軸を有する少なくとも2つの放射エネルギ源と、長手中心軸と第1端とを有し、少なくとも1つの前記放射エネルギ源からの放射エネルギを、前記第1端を出て前記基板に向ける少なくとも1つのリフレクタと、前記少なくとも1つの放射エネルギ源からの放射エネルギを前記窓を通して前記基板に反射し、前記基板の限定された領域を放射するテーパ状領域を備えた前記第1端の正反射性リフレクタ面とを備える加熱装置。」

[2]引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平6-224135号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、及び、同じく頒布された刊行物である特開平7-22326号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、それぞれ下記の事項が記載されている。
[2-1]引用刊行物1
「【請求項1】被処理体を所定位置に位置決め可能な処理室と、その処理室の壁部の少なくとも一部を構成する透過窓と、その透過窓を介して前記被処理体に対してエネルギー線を照射するように構成されたエネルギー線発生源とを備えたエネルギー線加熱装置において、前記エネルギー線発生源が回転テーブルに設けられた複数の加熱手段から成り、それらの複数の加熱手段は複数の組に組み分けされ、前記回転テーブルを回動することにより前記加熱手段の各組がその組ごとに前記被処理体の別個の照射領域に対してエネルギー線を照射するように構成され、前記加熱手段の各組毎にその照射出力を調節することが可能であることを特徴とする、エネルギー線加熱装置。
【請求項2】前記加熱手段が加熱ランプから成り、前記加熱手段の各組に属する加熱ランプの光軸を所定の方向に調整することにより、その組の照射領域が決定されることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー線加熱装置。
【請求項3】前記加熱手段が反射鏡を備え、前記加熱手段の各組に属する加熱手段の反射鏡によるエネルギー線反射方向を所定の方向に調整することにより、その組の照射領域が決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエネルギー線加熱装置。」(【特許請求の範囲】【請求項1】?【請求項3】)、
【実施例】として、「【0021】このCVD装置は、処理室1、例えばアルミニウム製の円筒状真空チャンバと、エネルギー線発生室2とを備えており、適当な載置手段4により、被処理体、例えば半導体ウェハ3を上記処理室1内の所定の位置に載置固定することができるように構成されている。
【0022】上記処理室1の底部には、エネルギー線透過材料、例えばサファイヤあるいは石英ガラスから成る透過窓5が設けられており、後述するエネルギー線発生源からの熱エネルギーを透過して上記被処理体3を加熱することが可能なように構成されている。
【0023】さらに上記処理室1の下方外部には、上記透過窓5を介して、上記エネルギー線発生室2が取り付けられており、そのエネルギー線発生室2内には、複数の加熱手段6が上下2層構造の回転テーブル7A及び7B上の所定の位置に固定されている。その加熱手段6は、加熱ランプ8、例えばプッチンランプ、タングステンランプ、あるいはハロゲンランプなどと、反射鏡9とから構成され、後述するように、それぞれ所定の方向(I、II、III)に、上記透過窓5を介して、エネルギー線を照射するように構成されている。・・・・・
【0025】上記加熱手段6は、図1の装置のA-A線における断面図である図2に示すように、8つの外側円周配列の加熱ランプ6Aと、4つの内側円周配列6B及び6Cの2列配列の加熱ランプ群から構成されている。ただし、上記加熱ランプの数及び配列は例示であって、本発明は上記例に限定されない。
【0026】本発明によれば、それぞれの加熱ランプ8の光軸及び反射鏡9のエネルギー線反射方向は、上記回転テーブル7を回転させることにより、図3及び図4に示すように、図1の装置のB-B断面において、3つの照射軌跡又は照射領域、I(I’)、II、IIIを形成するように調整されており、その照射領域ごとに照射出力を調整することが可能である。」(段落【0021】?【0026】)、
【発明の効果】として、「【0046】・・・本発明に基づくエネルギー線加熱装置によれば、・・・被処理体である半導体ウェハの均一な加熱を迅速に行うことが可能であり、かつ被処理体の温度を一定に保持することが可能である。」(段落【0046】)と記載されており、
そして、上述の記載に対応させて図1?図4が示されており、同図1、図2には、加熱ランプが、エネルギー線照射方向に細長い形状であり、反射鏡が、該加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸の周囲を環状に取り囲み、該軸に沿って延伸し、該エネルギー線照射方向の先端に向けてテーパ状に設けられている点が示され、また、同図3、図4には、加熱ランプのエネルギー線照射及び反射鏡のエネルギー線反射により3つの照射軌跡又は照射領域I(I’)、II、IIIが形成されることが示されている。

[2-2]引用刊行物2
「【請求項1】整流ガス吹き出し口を介して反応室内に供給されたガスに光入射窓を透過して光源からの光を照射することにより光化学反応を促進し、反応室内に設置された基板上に薄膜を堆積させる光CVD装置において、前記光源から光入射窓を介して反応室内に供給される光が前記整流ガス吹き出し口に照射されないように光源付近に遮蔽板を設置したことを特徴とする光CVD装置。
【請求項2】前記光源が反応室の一部を構成する光入射窓に対して平行に複数個並設され、各光源の間に前記遮蔽板が設置されると共に前記整流ガス吹き出し口側に近接するにつれて前記遮蔽板の長さが長くなっていることを特徴とする請求項1の光CVD装置。」(【特許請求の範囲】)、
実施例として、「【0013】また、光入射窓2の上方には、光化学反応の励起源となる低圧水銀ランプ3が複数個配設されており、それぞれの低圧水銀ランプ3の間には遮蔽板4が光入射窓2に対して垂直な方向に並設されている。」(段落【0013】)と記載されており、
そして、上述の記載に対応させて図1、図2が示されている。

[3]対比・判断
[2-1]に摘記した事項を総合すると、引用刊行物1には、「被処理体である半導体ウェハの均一な加熱を迅速に行う加熱装置であって、透過窓を有する真空チャンバの処理室と、該チャンバの下方外部に該透過窓を介してエネルギー線発生室が取り付けられ、該エネルギー線発生室内には、各1個の加熱ランプと反射鏡とからなる加熱手段が複数個配置され、該各加熱ランプは、エネルギー線照射方向に細長い形状であり、該各反射鏡は、各加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸の周囲を環状に取り囲み、該軸に沿って延伸し、該エネルギー線照射方向の先端に向けてテーパ状に形成され、該各加熱ランプのエネルギー線照射方向、及び該各反射鏡のエネルギー線反射方向が、夫々上記透過窓を通り上記半導体ウェハの各照射領域に照射されるように調整されている加熱装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「半導体ウェハ」、「真空チャンバ」、「加熱ランプ」、「加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸」は、夫々本願発明1における「基板」、「排気可能チャンバ」、「放射エネルギ源」、「中央長手軸」、に該当し、また、引用発明において、「該各反射鏡は、各加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸の周囲を環状に取り囲み、該軸に沿って延伸し、該エネルギー線照射方向の先端に向けてテーパ状に形成され、該各加熱ランプのエネルギー線照射方向、及び該各反射鏡のエネルギー線反射方向は、夫々上記透過窓を通り上記半導体ウェハの各照射領域に照射されるように調整されている」のであるから、上記「反射鏡」は、加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸と重なる「長手中心軸」と、エネルギー線照射方向の先端のテーパ状の「第1端」とを有し、少なくとも1つの加熱ランプのエネルギー線を、該「第1端」を出て半導体ウェハの基板に向けているものであり、本願発明1の「リフレクタ」に相当する。また、引用発明の上記「反射鏡」は、エネルギー線照射方向の先端に向けてテーパ状に形成され、少なくとも1つの加熱ランプのエネルギー線を、透過窓を通り半導体ウェハの各照射領域に照射するように反射させるのであるから、「少なくとも1つの前記放射エネルギ源からの放射エネルギを窓を通して基板に反射させ、前記基板の限定された領域を放射するテーパ状領域を備えた上記第1端のリフレクタ面」を備えることが明らかであるし、該「リフレクタ面」が引用発明の上記「反射鏡」に「正反射性」を与えていることも明らかである。
してみると、両者は、「基板の急速熱処理中に基板を加熱する加熱装置であって、窓を有する排気可能チャンバと、前記チャンバの外部に前記窓と隣接して配置され、中央長手軸を有する少なくとも2つの放射エネルギ源と、長手中心軸と第1端とを有し、少なくとも1つの前記放射エネルギ源からの放射エネルギを、前記第1端を出て前記基板に向ける少なくとも1つのリフレクタと、前記少なくとも1つの放射エネルギ源からの放射エネルギを前記窓を通して前記基板に反射し、前記基板の限定された領域を放射するテーパ状領域を備えた前記第1端の正反射性リフレクタ面とを備える加熱装置」の点で一致し、次の点で相違する。
(イ)本願発明1では、放射エネルギ源の中央長手軸が窓に対して垂直に延びているのに対し、引用発明では、そのように記載されていない点。

そこで、上記相違点(イ)について検討するに、引用刊行物2に、遮蔽板を光入射窓に対して垂直な方向に並設し、複数の各ランプの光の多くを光入射窓に対して垂直な方向に照射することが記載されているように、複数の各放射エネルギ源の放射方向の軸をチャンバの窓に対して垂直に配置することは本願出願の優先権主張日前周知の技術であり、また、半導体ウェハの均一加熱のために、複数の各放射エネルギ源の中央長手軸をチャンバの窓に対して垂直に配置することも同じく周知の技術であるから(例えば、特公平6-93440号公報,第7欄6?9行,20?41行,第3図,第4図;特開平8-53766号公報,段落【0017】?【0022】,図1参照)、複数の各加熱ランプのエネルギー線照射方向を調整して半導体ウェハの均一加熱を行う引用発明において、半導体ウェハの均一加熱のために、複数の各加熱ランプのエネルギー線照射方向の軸である中央長手軸が透過窓に対して垂直に延びるように調整することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、本願発明1の作用・効果について検討してみても、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知の技術から、当業者が普通に予測できる程度のものであって、格別のものは見当らない。
したがって、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[4]むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用刊行物1、2に記載された発明、及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、本願の請求項2?22に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-14 
結審通知日 2006-06-19 
審決日 2006-06-30 
出願番号 特願平9-145015
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 英夫  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 日比野 隆治
市川 裕司
発明の名称 基板加熱装置  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 村社 厚夫  
代理人 今城 俊夫  
代理人 中村 稔  
代理人 大塚 文昭  
代理人 小川 信夫  

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