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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1147643
審判番号 不服2003-7014  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-24 
確定日 2006-11-24 
事件の表示 特願2000-105113「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月19日出願公開、特開2001-290962〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年4月6日の出願であって、平成15年3月3日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成15年5月21日付で手続補正がなされると共に、平成15年6月30日付手続補正指令書(方式)に対応して平成15年8月4日付で前記平成15年5月21日付手続補正によって補正された内容の一部を補正する手続補正(方式)がなされたものである。

2.平成15年8月4日付の手続補正(方式)によって補正された平成15年5月21日付の手続補正の適否
平成15年8月4日付の手続補正(方式)によって補正された平成15年5月21日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成15年1月20日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る「保証しれた」なる記載を「保証した」なる記載に補正するものであるから、特許法第17条の2第4項第3号に規定する誤記の訂正を目的としたものであることは明らかである。
したがって、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定を満たしているので適法になされたものである。

3.本願請求項1に記載の資源物又は廃棄物の循環型再利用方法
本件補正は、上記2.にて言及したように適法になされたものであるから、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る資源物又は廃棄物の循環型再利用方法は、本件補正より補正された明細書および図面の記載からみて、その請求項1に記載された
「a)資源物又は廃棄物に関するデータを記録転送手段によりデータ管理部に転送処理すると共に、前記資源物等を撮像手段により撮影し、当該撮像手段によって得られた資源物等の動画像と静止画像の双方又はどちらか一方の画像データを画像転送手段によりデータ管理部に転送処理する段階と、
b)前記資源物等は、必要に応じ選別して製品化し又は貯蔵物として貯蔵し、その選別した製品又は貯蔵物に関するデータを記録転送手段によりデータ管理部に転送処理すると共に、前記製品又は貯蔵物を撮像手段により撮影し、当該撮像手段によって得られた製品又は貯蔵物の動画像と静止画像の双方又はどちらか一方の画像データを画像転送手段によりデータ管理部に転送処理する段階と、
c)前記データ管理部に転送処理した資源物等又はその製品又は貯蔵物のデータを基に、当該資源物等又はその製品又は貯蔵物をインターネットショップに出展し、当該資源物等又はその製品又は貯蔵物はその画像等のデータにより保証した上で再利用に供する段階と、
より成ることを特徴とする、資源物又は廃棄物の循環型再利用方法。」(以下、便宜上、「本願発明」という。)により特定されるものと認められる。
なお、上記請求項1の「どちから」は、明らかに「どちらか」の誤記である。

4.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、平成15年3月3日付の拒絶査定からみて以下のとおりである。
「この出願については、平成14年10月24日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、3によって、拒絶査定する。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討したが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。

備考
<理由3について>
請求項1-3に記載の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」は、資源物や廃棄物の取引方法及びそれに付随して利用される資源物又は廃棄物に関するデータの取り扱い方法等の人為的取り決めに基づく、資源物又は廃棄物の取り扱い手順を記載したものであり、各請求項中に記載された「記録転送手段」、「データ管理部」、「撮像手段」、「インターネット」等についても、単に道具として用いられているに過ぎないから、各請求項に記載の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」は、全体として自然法則を利用したものとは認められない。
よって、請求項1-3に記載の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」は、自然法則を利用した技術的思想の創作であることを要件とする特許法上の「発明」に該当しないから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。

<理由1について>
上記拒絶理由通知書にて述べたとおり、資源物や再生品等の売買を、商品画像の提供を伴うショッピングモールやオークションサイトを用いて、インターネット経由で行うことに、当業者が格別の創作能力を要するものとは認められない。
よって、本願各請求項に係る発明は、上記拒絶理由通知書にて引用した各刊行物記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」

5.平成15年3月3日付の拒絶査定の理由3についての当審の判断
(5-1)
特許法第29条第1項柱書には、「産業上利用することができる発明をした者は、・・・その発明について特許を受けることができる。」と規定され、特許法第2条第1項には、特許法でいう「発明」について、「発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義されている。

(5-2)
そして、特許法でいう「発明」に該当するか否かを判断するにあたっての一般的な基準は、特許庁の「特許・実用新案 審査基準」の「第II部 特許要件」の「第1章 産業上利用することができる発明」の項にて、更に、請求項に係る発明がその発明の実施にソフトウェアを必要とするものである場合に求められる特有の判断、取扱いについては、特許庁の「特許・実用新案 審査基準」の「第VII部 特定技術分野の審査基準」の「第1章 コンピュータ・ソフトウェア関連発明」の「2.特許要件」の項にて広く周知されているところである。
そこで、まず、本願発明が、その発明の実施にソフトウェアを必要とするものであるかについて検討する。

(5-3)
本願発明の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」を構成している上記a)段階、b)段階、c)段階には、それぞれ、発明特定事項として、
(a-1)『資源物又は廃棄物に関するデータを記録転送手段によりデータ管理部に転送処理する』こと、
(a-2)『資源物等を撮像手段により撮影』すること、
(a-3)『撮像手段によって得られた資源物等の動画像と静止画像の双方又はどちらか一方の画像データを画像転送手段によりデータ管理部に転送処理する』こと、
(b-1)『資源物等は、必要に応じ選別して製品化し又は貯蔵物として貯蔵』すること、
(b-2)『その選別した製品又は貯蔵物に関するデータを記録転送手段によりデータ管理部に転送処理する』こと、
(b-3)『製品又は貯蔵物を撮像手段により撮影』すること、
(b-4)『撮像手段によって得られた製品又は貯蔵物の動画像と静止画像の双方又はどちらか一方の画像データを画像転送手段によりデータ管理部に転送処理する』こと、
(c-1)『データ管理部に転送処理した資源物等又はその製品又は貯蔵物のデータを基に、当該資源物等又はその製品又は貯蔵物をインターネットショップに出展』すること、
(c-2)『資源物等又はその製品又は貯蔵物はその画像等のデータにより保証した上で再利用に供する』こと、
が記載されている。

(5-4)
そして、前記発明特定事項である(a-1)?(c-2)には、『記録転送手段』、『撮像手段』、『画像転送手段』、『データ管理部』が明示されており、それらに関して、発明の詳細な説明には以下のような記載がある。
『記録転送手段』については、「前記の記録転送手段4としては、文字データを転送可能な携帯電話、PHS、通信機能付き電子手帳、ノートPC等が好適に使用される。」(【0017】)
『撮像手段』については、「撮像手段2としては、携帯用のデジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、カメラ付ノートPCや携帯テレビ電話等が好適である。」(【0019】)
『画像転送手段』については、「画像転送手段3としては、携帯電話、モデム、衛星13等を一構成要素とするものやノートPC等があるが、前記記録転送手段4と一体型のものであってもよい。」(【0019】)
『データ管理部』については、「ここでいうデータ管理部5とは、コンピュータシステム(ホストコンピュータ、サーバー、アプリケーション等)を含み、当該データ管理部5に蓄積されている資源物1等のデータ6、7は、インターネットショップ17やショッピングモール、更にはインターネットサイトとデータ交換自在に接続されているものである。(【0020】)、「次に、前記資源物1等を選別して個々の有用な製品1aに製品化し、その製品1aに関するデータ6aを記録転送手段4によりデータ管理部5に転送処理すると共に、前記製品1aは撮像手段2により撮影し、当該撮像手段2によって得られた製品1aの画像データ7aを画像転送手段3によりデータ管理部5に転送処理して管理されている。」(【0025】)、及び「さらに、資源物等の処理過程で残存したものや将来活用できる可能性があるものが貯蔵され、その貯蔵物をもデータ管理部で集中管理されて保証した資源物バンクが実現される。」(【0056】)

(5-5)
上記(5-4)にて言及したように、発明の詳細な説明における『記録転送手段』、『撮像手段』、『画像転送手段』に関しての記載は、いずれも、前記各手段として使用される機器が例示されているに留まり、さらに、前記各手段の動作主体を特定する記載も認められない。
してみると、前記各手段の関与が明示されている上記(a-1)?(a-3)、(b-2)?(b-4)の発明特定事項の動作主体が『ヒト』であることを含むものと解されることから、上記発明特定事項である(a-1)?(a-3)、(b-2)?(b-4)を実行するに際して、必ずしもソフトウェアを必要とするものであると特定できるものではない。
そして、『データ管理部』については、上記(5-4)にて言及したように、『データ管理部』に何らかのソフトウェアが保持されていること自体は否定しないものの、発明の詳細な説明には『データ管理部』が自身の保持するソフトウェアを用いて実行する情報処理の内容を想起させる記載さえない。更に、本願発明の上記発明特定事項の記載をみても、『データ管理部』は、データ(例えば、資源物又は廃棄物に関するデータ、その選別した製品又は貯蔵物に関するデータ、画像データ)の単なる転送処理先として規定されているに過ぎない。
また、上記発明特定事項である(b-1)、(c-1)、(c-2)についても、発明の詳細な説明の中にその動作主体は特定されておらず、これらの発明特定事項の動作主体が『ヒト』であることを含むものと解される。
したがって、本願発明の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」に係る発明特定事項の中に『記録転送手段』、『撮像手段』、『画像転送手段』、『データ管理部』が明示されているとしても、本願発明が、必ずしも、その発明の実施にソフトウェアを必要とするものであるとは認められない。
したがって、本願発明は、いわゆるコンピュータ・ソフトウェア関連発明に該当するとは認められないので、本願発明をコンピュータ・ソフトウェア関連発明として判断、取扱いすることはできない。

(5-6)
上記(5-2)?(5-5)において検討してきたように、本願発明はその発明の実施にソフトウェアを必要とするものであるとは認められず、更に、本願発明の発明特定事項は、いずれも、その動作主体が『ヒト』であることを含むものであるから、上記発明特定事項(a-1)?(c-2)に記載された事項は、いずれも、資源物又は廃棄物を再利用するために行う人為的取り決めに基づく手順を規定しているに過ぎず、そして、『記録転送手段』、『データ管理部』、『撮像手段』、『画像転送手段』についても、前記人為的取り決めに基づく手順を行うにあたっての単なる道具として用いられるものであると解さざるを得ない。

(5-7)
以上、検討したように本願発明の「資源物又は廃棄物の循環型再利用方法」を構成している上記a)、b)、c)のそれぞれの段階にて規定されている各発明特定事項は、いずれも、資源物又は廃棄物を再利用するために行う人為的取り決めに基づく手順を規定しているに過ぎず、そして、本願発明は、機器等の制御を行うものではなく、また、対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を行うものでもないから、本願発明は、人為的取り決めのみを利用したものであり、自然法則を利用したものとはいえず、特許法第2条第1項において定義されている「発明」に該当しないから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないものであるから、他の拒絶の理由及び他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-11 
結審通知日 2006-09-19 
審決日 2006-10-03 
出願番号 特願2000-105113(P2000-105113)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 佐藤 智康
阿波 進
発明の名称 資源物又は廃棄物の循環型再利用方法  
代理人 庄司 建治  

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