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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1147819
審判番号 不服2002-21182  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-31 
確定日 2006-11-30 
事件の表示 特願2000-198661「提供情報処理装置及び提供情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月18日出願公開、特開2002- 15114〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯・本願の発明
本願は,平成12年6月30日の出願であって,平成14年9月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年10月31日に本件審判の請求がなされたものであり,その後,当審による平成18年5月19日付けの拒絶理由通知に対して同年7月21日付けで手続補正がなされたものである。
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記の平成18年7月21日付け手続補正において特許請求の範囲の請求項1として記載された次のとおりの事項により特定されるものである。

「懸賞情報の掲示を制御する掲示制御手段と;
前記掲示制御手段によって掲示制御された前記懸賞情報に対して端末装置を通して応募した応募者の属性を応募者情報として応募者情報記憶手段に登録させる登録制御手段と;
前記登録制御手段によって登録制御された前記応募者情報を記憶する前記応募者情報記憶手段と;
前記応募者情報には所定のジャンルの商品としての車両と前記応募者との関係を表す属性としての個人情報及び嗜好車両情報が少なくとも含まれる状態で,前記所定のジャンルの商品に関する商品情報としての車両関連情報を情報サイトから取得する商品情報取得手段と;
前記商品情報取得手段によって取得された前記車両関連情報と,前記応募者情報記憶手段に登録されている前記応募者情報の前記応募者の属性としての前記個人情報及び前記嗜好車両情報との条件合致に基づいて提供情報を作成する提供情報作成手段と;
前記提供情報作成手段によって作成された前記提供情報を対応の前記応募者の前記端末装置に送信する送信手段と;
を備える提供情報処理装置。」

2.平成18年7月21日付け拒絶理由通知に係る拒絶の理由
当審が平成18年7月21日付け拒絶理由通知により通知した本願に対する拒絶の理由の概要は,以下のとおりである。

(理由1)
本願の請求項1から7に係る発明は,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので,特許を受けることができない。

(理由2)
本願は,特許請求の範囲の記載に不備があるから,特許法第36条第6項第1号に規定する要件,及び同項第2号に規定する要件を満たしていない。

(理由3)
本願の請求項1から7に係る発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由3の刊行物として引用したものは,以下のとおりである。
刊行物1: 橋本雄一.「オプトインメール広告サービス 希望者だけに
DM配信 費用は1通10円から」.日経ネットビジネス,
第56号,2000年1月15日,118?119ページ.
刊行物2: 久保田美樹.「データベース・マーケティングの「Match
Logic」 顧客属性を1000万件蓄積 効果的なバナ
ー配信を実現」.日経ネットビジネス,第49号,1999
年7月15日,146?149ページ.
刊行物3: [ANONYMOUS]. Two Weeks And Counting! e-centives'
'Pick Your Perfect Prize' Sweepstakes Enters Final Two
Weeks. PR Newswire [online], 1999.05.06.
刊行物4: 特表平11-506859号公報.
刊行物5: [無記名] 「知らせたい情報を,求めている人に送る クリ
ック率抜群の「DM型メール配信」」.[宣伝会議別冊]顧
客獲得・販売直結!!のダイレクトプロモーション全手法,
2000年5月,4ページ.
刊行物6: [無記名] 「インターネットによるDMの新しさとイージー
オーダーでのDM作成システム トッパンフォームズの「サ
イバーDM」と「産直倶楽部」」.[同上],2000年5
月,66?69ページ.

3.刊行物1に記載された発明
以下,上記の理由3(特許法第29条第2項関係)について検討する。

理由3に係る上記の刊行物1の記事は,許諾をとった希望者だけに広告配信する「オプトインメール広告」の手法を紹介するものであり,サービス提供会社一覧(表1)とともに,手法の一般的特徴やサービスの各社ごとの特徴を説明する以下のとおりの記載がある。

(1)118ページ左欄8?21行
「サービス提供会社は無料サービスやプレゼント企画など様々な特典を用意し,ユーザーを募集する。ユーザーには性別,年齢,職業,居住地域などの基本属性に加え,興味を持っているジャンルや趣味,し好などを登録してもらう。その項目はイベント情報,生活情報,コンピュータ関連情報など様々で,数十から数百項目にも及ぶ。そして登録してもらったし好情報に関する広告配信の許諾をとる。こうしてユーザーが興味を持っているジャンルとクライアントが告知したい内容をマッチングさせる仕組みだ。」

(2)118ページ中央欄6?14行
「サービスを利用する場合はクライアントがテキスト形式やHTML形式で広告を作成し,入稿する。文字数は制限のあるところと,制限がないところがある。サービス提供会社はユーザー情報をデータベース化して管理する。クライアントがジャンルやし好情報を指定すれば,その対象となるユーザーにだけ広告を配信する。」

(3)118ページ中央欄15?23行
「例えば,自動車メーカーなら「自動車」というジャンルに登録しているユーザーに新車の案内を告知するといった利用法が考えられる。更に「アウトドア」に興味を持っているならRV車の案内に限って配信するといったように,複数ジャンルやし好情報を指定できる。年齢・性別などの基本属性で対象者を絞り込むこともできる。」

(4)118ページ右欄1?9行
「一般に原稿は電子メールやフロッピーディスクで入稿する。,エルゴ・ブレインズの「DEmail」とガーラの「INFO@MAIL」はWebぺージ上で条件検索して絞り込んだ対象者に,原稿の登録と同時に配信するサービスも提供する。いずれのサービスも基本的に電子メール1通につき1社のみの広告が掲載される。」

(5)118ページ右欄10?22行
「配信されたメール広告のURLをクリックすると,サービス提供会社のサーバーを経由してクライアント企業のぺージにつながる。そのためクリック率,クリック数なども把握できる。「DEmail」以外は後日,測定結果をサービス実施レポートとして報告する。第一通信の「ポイントメール」のように,測定結果をオンラインでリアルタイムに確認できるところもある。「クリック率は一般的な電子メール広告の3?5倍,平均20?30%はある」(ガーラの村本理恵子会長)。」

これらの記載事項を整理すると,刊行物1では,その記載を通して,実質的に以下のような構成をもつ発明(以下「刊行物1の発明」という。)が開示されている,ということができる。

(刊行物1の発明)
「無料サービスやプレゼント企画など様々な特典を用意してユーザーを募集する手段と,
性別,年齢,職業,居住地域などの基本属性の情報に加えて,興味を持っているジャンル,趣味,し好などの情報をユーザーに登録させる手段と,
それらのユーザー情報をデータベース化して管理する手段と,
テキスト形式やHTML形式で作成されたメール広告の入稿とともに,年齢・性別などの基本属性での絞り込みや,ジャンルやし好情報の指定をクライアントから受け付ける手段と,
その指定の対象となるユーザーにだけメール広告を配信する手段と,
メール広告のURLをクリックしたユーザーを,サーバーを経由してクライアントのページに接続させるところの,サーバーと
を備える,電子メール広告システム。」

4.対比
上記の刊行物1の発明と本願発明とを対比する。
まず,刊行物1の発明における上記の「無料サービスやプレゼント企画など様々な特典を用意してユーザーを募集する手段」については,プレゼント企画の典型的な一形式が懸賞形式のプレゼントである,という関係があるから,この「手段」と本願発明の「掲示制御手段」とは,プレゼント企画情報を掲示する「手段」として共通する,ということができる。
上記の「性別,年齢,職業,居住地域などの基本属性の情報に加えて,興味を持っているジャンル,趣味,し好などの情報をユーザーに登録させる手段」については,ユーザーはいうまでもなく募集に対する「応募者」であるから,この「手段」は,本願発明に即していえば,掲示された前記プレゼント企画情報に対して「応募した応募者の属性を応募者情報として応募者情報記憶手段に登録させる」ところの「登録制御手段」であるといえる。
ここで,上記の属性のうち,基本属性は,一般的にいう個人情報であり,かつ,上記のようにマーケティング上の絞り込みに使える属性であり,所定の相関度で所定のジャンルの商品のユーザー層となりうることを示す属性であるから,それは本願発明でいうところの「所定のジャンルの商品」と「前記応募者との関係を表す属性」としての「個人情報」であることになる。また,それを含めた上記の各種の属性の情報は,そもそも,構造上,「応募者情報」に「少なくとも含まれる状態」の情報であり,ユーザーに登録してもらう際の状態も,データベース化して管理する際の状態も,当然,この「状態」であると解することができる。
上記の「それらのユーザー情報をデータベース化して管理する手段」については,この「手段」は明らかに本願発明の「前記登録制御手段によって登録制御された前記応募者情報を記憶する前記応募者情報記憶手段」に相当する。
上記の「テキスト形式やHTML形式で作成されたメール広告の入稿とともに,年齢・性別などの基本属性での絞り込みや,ジャンルやし好情報の指定をクライアントから受け付ける手段」については,本願発明に即していえば,「前記所定のジャンル」も含まれるところの「所定のジャンル」の「商品」に関する「商品情報」や関連情報を「取得」している「商品情報取得手段」である,ということができる。
上記の「その指定の対象となるユーザーにだけメール広告を配信する手段」については,「指定」の対象「にだけ」配信する仕組みとは,換言すれば,上記3.(1)の記載にいう「マッチングさせる仕組み」,すなわち本願発明でいう「条件合致」であるから,この仕組みを本願発明に即していえば,提供元から取得した情報と「前記応募者情報記憶手段に登録されている前記応募者情報の応募者の属性」との「条件合致」であるといえ,上記の「手段」は,その条件合致「に基づいて」メール広告の配信を行うものである,ということができる。ここで,電子メールを配信する一般的な処理は,通常,宛先を決めてメールのデータを作成する処理と,作成したデータを電子メール送信手段によって各宛先に送信する処理とに区切って捉えることができるから,刊行物1の上記の「手段」は,さらに,「条件合致に基づいて提供情報を作成」する「提供情報作成手段」と,それら「作成された前記提供情報」を「対応の前記応募者の端末装置に送信」する「送信手段」とに分けて捉えることができる(送信相手の装置として応募者側に「端末装置」が存在するのは明らかである)。
そして,全体としての上記の「電子メール広告システム」は,データベースによる情報管理や,クライアントからの電子的な入稿と指定の受け付けや,メール広告の配信や,サーバーによるユーザーからの接続の誘導を行っているシステムであるから,明らかに,情報処理装置であって,本願発明でいうところの「提供情報処理装置」に相当するものといえる。
以上をまとめると,本願発明と刊行物1の発明とは次の点で一致しているといえる。

(一致点)
共に,
「プレゼント企画情報を掲示する手段と,
掲示された前記プレゼント企画情報に対して応募した応募者の属性を応募者情報として応募者情報記憶手段に登録させる登録制御手段と
を備え,
前記応募者情報は,当該応募者情報に所定のジャンルの商品と応募者との関係を表す属性としての個人情報が少なくとも含まれる状態の情報であり,
さらに,
前記登録制御手段によって登録制御された前記応募者情報を記憶する前記応募者情報記憶手段と,
前記所定のジャンルの商品に関する情報を取得する商品情報取得手段と,
前記商品情報取得手段によって取得された情報と,前記応募者情報記憶手段に登録されている前記応募者情報との条件合致に基づいて提供情報を作成する提供情報作成手段と,
前記提供情報作成手段によって作成された前記提供情報を対応の前記応募者の前記端末装置に送信する送信手段と
を備える提供情報処理装置」
である点。

そして,本願発明と刊行物1の発明とは,以下の相違点において相違している。

(相違点1)
プレゼント企画情報に係る掲示と応募について,本願発明では,プレゼント企画が「懸賞」形式であり,その情報を掲示する手段は「掲示制御」手段として「懸賞」情報の掲示を「制御」しており,掲示「制御」された情報に対して応募者は「端末装置を通して」応募しているのに対して,刊行物1の発明では,どのような形式のプレゼントの企画であるのか,情報を掲示する手段が「掲示制御」手段として掲示を「制御」しているか否か,掲示「制御」された情報に対して応募者が「端末装置を通して」応募しているか否かがはっきりしていない,という点。

(相違点2)
応募者情報の「状態」と商品情報取得手段が行う情報の「取得」との関係について,本願発明では,「応募者情報」に属性として所定の情報が含まれる「状態で」商品情報取得手段が車両関連情報の「取得」を行っているのに対して,刊行物1の発明に関しては,そのような「状態」とそのような「取得」との相互関係は特に示されていない,という点。

(相違点3)
「商品情報取得手段」がどこから情報を取得しているかについて,本願発明では,「情報サイトから」情報を取得しているのに対して,刊行物1の発明では,「情報サイト」というべき情報源から情報を取得しているか否かははっきりしていない,という点。

(相違点4)
「登録」や「取得」から「条件合致に基づ」く提供情報の「作成」までの処理に関わる各種の情報について,本願発明では,「登録」される応募者情報に少なくとも含まれるところの情報は「所定のジャンルの商品としての車両と前記応募者との関係を表す属性」としての「個人情報及び嗜好車両情報」であり,「取得」される情報は「所定のジャンルの商品に関する商品情報としての車両関連情報」であり,「条件合致」はそれら「前記個人情報及び前記嗜好車両情報」と「前記車両関連情報」との合致となるのに対して,刊行物1の発明では,このとおりの情報の組み合わせによって「登録」や「取得」から「条件合致に基づ」く「作成」までの処理を行ってはいない,という点。

5.判断
(1)相違点1について
マーケティング的側面のある懸賞形式のプレゼント企画でインターネット上で実施されるようなものは,例えば刊行物2や3にもみられるように,ごく一般的に知られたものであるから,刊行物1の発明においても,プレゼント企画が懸賞であり,オンラインの「懸賞情報」の掲示が「制御」され,掲示制御された情報に対する「端末装置を通して」の応募を受け付けているような形態は,当業者であればごく容易に想起できる形態であるといえる。すなわち,相違点1について本願発明のとおりとすることは,当業者であれば容易にできたことである。

(2)相違点2について
前述のとおり,刊行物1の発明における各種の属性の情報は構造上「応募者情報」に「少なくとも含まれる状態」の情報であり,このような「状態」はいつの時点でどのようにして情報を「取得」するかに依存しないから,これらの間の相互関係には特に技術的意味は認められず,この相違点2は実質的な相違点とは認められない。
また,仮に,本願発明の発明特定事項が,新たな応募者からの登録を受けて「応募者情報記憶手段」に属性の新たな値が記憶された「状態で」取得を行う,という意味で特定されていたとしても,通常の広告業務の形態として,ユーザーからの応募の受付の後にクライアントからの最新の入稿がありうるような形態は想起されうる形態といえるから,そのような発明特定事項は当業者が想起できる程度の事項といえる。
してみると,相違点2について本願発明のとおりとすることも,当業者であれば容易にできたことである。

(3)相違点3について
本願における「情報サイト」とは,段落0033の記載からみるならば,WebサーバやWebサイトを意図して技術的に限定した意味で用いている語ではなく,情報を集積した拠点や施設であってそれらの情報を電子メールかその他の手段によって送付することができる通信手段を有しているもの,という程度の意味で用いている語と解され,そのような意味では刊行物1にいうクライアントも当然「情報サイト」を有していることが想定されるから,この相違点3も実質的な相違点とはいえない。
また,仮に,「情報サイト」は上記のように技術的に限定された意味のものであり,また,「取得」も取得リクエストに対する応答としてのメッセージの取得を意味する,と解するとしても,Webサーバなどを含み通信サイトとして機能しているようなクライアントの拠点や施設は通常想起されうるものであり,刊行物1の記載をみても,そのような通常の拠点や施設の利用や周知の通信形態の採用ができないと判断させるような技術的な制約は特に認められないから,そのような意味での「情報サイト」からの「取得」は当業者が任意にかつ容易に採用できる程度のことといえる。
してみると,相違点3について本願発明のとおりとすることも,当業者であれば容易にできたことである。

(4)相違点4について
一般に,マーケティング業務や広告業務の形態としては,所定のジャンルの商品一般(例えば自動車一般)についてどんな興味があるかを調査するアンケートを実施し,興味が合致した潜在的購買者層ごとに実際の商品の広告や資料を送付する,という形態は,ごくありふれたものである。そして,刊行物1の記載をみると,メール広告の配信を自動車のジャンルで行うことへの言及があり,上記3.(3)の記載にあるように「「アウトドア」に興味を持っているならRV車の案内に限って配信する」例が示されているから,「RV車」に興味を持っているならRV車の案内に限って配信する,というような配信業務の形態,本願発明に即していえば「嗜好車両情報」を用いた「条件合致」で提供情報を「作成」する形態は,当業者にとって,刊行物1の発明を適用できるような配信業務のありうる一形態として,任意にかつ容易に想起できるものといえる。
そして,上記のようなアンケートの実施と潜在的購買者層の特定にあたって,商品への興味や好き嫌いのような選好度(「嗜好」属性)とデモグラフィック属性(基本属性・「個人情報」)とを併用することは,ごくありふれた,広告する商品のジャンルを問わず行われていることであり,刊行物1の発明も上記のようにそもそもデモグラフィック属性を利用するものとして捉えられるものであるから,当業者にとっては,上記のような特定の車種に興味を持っているなら配信するという業務形態にとどまらず,特定の車種やモデルに興味がありかつ(又は)特定の年齢層なら配信するというような形態,すなわち,「個人情報及び嗜好車両情報」を用いた「条件合致」で提供情報を「作成」する形態であっても,やはり,刊行物1の発明を適用できる一形態として任意にかつ容易に想起できるものといえる。
また,上記のような商品の広告や資料の送付にあたって,広告主から広告や資料として何をどのような形態で受け付け,ターゲット層についての指定をどのように受けることにするかは,業務上の事項として個別に検討して決定できることである。そして,刊行物1の前述の3.(3)の記載をみると,「RV車の案内に限って配信する」ために「複数ジャンルやし好情報を指定できる」とあり,案内と指定とを共に電子データとしてオンラインで受け付けていると解されるから,自動車ジャンルで配信業務を行うのであれば,受け付ける情報として,車自体のカタログ的データにその車のカテゴリーやジャンルのデータが含められるかあるいは関連データとして付されているような関連情報を一括して電子データとして受け付けるようにすること,本願発明に即していえば「車両関連情報」を「取得」するようにすることは,やはり,任意に,特段の技術的な考察を要さずに容易に,想起できることといえる。
以上のことを総合すると,ユーザーからは車種やモデルへの興味の情報と年齢層などの情報とを登録事項として受け付けるようにし,クライアントからは車に関する関連情報を受け付けるようにして,所定の条件が合致した潜在的購買者層とみられるユーザーにメール広告を配信するようにすること,上記相違点4に即していえば,「条件合致」における一方の情報として「個人情報及び嗜好車両情報」を採用し,他方の情報として「車両関連情報」を採用し,それらの情報によって「登録」や「取得」から「条件合致に基づ」く「作成」までの処理を行うようにすることは,当業者にとって,特段の技術的な考察を要さずに容易にできることといえる。
してみると,相違点4について本願発明のとおりとすることも,当業者であれば容易にできたことである。

6.むすび
相違点は上記の各点のみであり,いずれの点についても,刊行物1の発明において相違点について本願発明のとおりの構成を採用することは,当業者であれば周知の技術や業務の知識に基づいて容易にできたことといえる。
本願発明が奏する効果は,当業者であれば,刊行物1の発明において本願発明のとおりの構成を採用するに際して刊行物1の記載と周知の技術や業務の知識とから予測することができた程度のものであるといえる。
したがって,本願発明は,刊行物1に記載された発明に基づいて周知の技術や業務の知識により当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-02 
結審通知日 2006-10-03 
審決日 2006-10-17 
出願番号 特願2000-198661(P2000-198661)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 岩間 直純
阿波 進
発明の名称 提供情報処理装置及び提供情報処理方法  
代理人 川口 嘉之  
代理人 遠山 勉  
代理人 和久田 純一  
代理人 松倉 秀実  

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