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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1147822
審判番号 不服2002-24998  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-03-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-26 
確定日 2006-11-30 
事件の表示 平成 6年特許願第225516号「電気設備プラン作成支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月12日出願公開、特開平 8- 69497〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年8月26日の出願であって、平成14年11月21日付で拒絶査定され、これに対し同年12月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その後、当審による平成18年7月6日付の拒絶理由通知に対して、平成18年9月11日付手続補正書により特許請求の範囲が補正され、その請求項1に係る発明は、上記平成18年9月11日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「テンキーやマウスなどの入力操作手段によって取込んだデータを表示する表示画面を備え、画像データとコード化された信号を処理するとともに、演算処理する機能を備えたコンピュータと、
住宅間取図を画像データとしてコンピュータに取込む画像データ読取走査手段と、
住宅間取図の各部屋に対して、それぞれの部屋の機能、種別情報を予め記憶した部屋情報テーブル、電気設備に割付けられた商品コードを記憶した商品コードテーブル、電気設備に割付けられた商品コードに応じた標準価格を記憶した価格情報テーブル、所定様式の価格合計表、設計プラン見積書、注文書などの取引書類を記憶した取引書類作成テーブルとを少なくとも含んだ設計設備プランマスタファイルとを備え、
上記画像データ読取走査手段によって住宅間取図が読取走査され、上記コンピュータに取込まれたときには、読取操作された住宅間取図を表示画面に表示し、かつその表示画面に表示された住宅間取図の各部屋について、機能、種別が特定され、更に上記商品コードテーブルを表示させて、電気設備の商品コードを選択して各部屋毎に割付けて入力されることによって、選択された電気設備の品目、価格、員数などの必要な情報を、上記取引書類作成テーブルから読込んだデータに書込んで、価格合計表、設計プラン見積書、注文書などの取引書類を自動的に作成する構成とし、
上記設計設備プランマスタファイルには、部屋の機能、種別、広さ、数などに応じて、予め推奨すべき電気設備をグループ化して記憶させた電気設備推奨テーブルが更に含まれており、住宅間取図を上記コンピュータに取込んで、表示画面に表示させた後に、部屋を特定して、その部屋の機能、種別を選択し、その部屋の種別と、広さ、数などを特定したときには、少なくとも、その特定された部屋の条件に応じた電気設備の品目と、員数とを一覧表示させた電気設備推奨リストをウインドウ表示させる機能を備えた電気設備プラン作成支援システム。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例
これに対して、平成18年7月6日付の拒絶理由通知において引用した特開平4-47373号公報(以下、「引用例1」という。)、特開平5-242205号公報(以下、「引用例2」という。)、特開平6-180663号公報(以下、「引用例3」という。)には、それぞれ、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-1)引用例1の記載事項
(ア)「ディスプレイ上で建築図面を対話的に作成する建築用CADシステムにおいて、作成中の建築図面により示される建築物の部位別にその仕上要素を選択的に指定する手段と、指定された仕上要素に応じてデータベースを参照して当該部位における使用部材を特定する手段と、特定された使用部材に従って当該部位についての見積計算を行う手段とを具備したことを特徴とする建築用CADシステム。」(特許請求の範囲(1))

(イ)「従って仕上についての確認変更を簡易に行いながら、それに応じた見積書の発行を簡易に、且つ効率的に行うことが可能となる。」(第2頁左下欄第8行?第10行)

(ウ)「以下、図面を参照して本発明の一実施例に係る建築用CADシステムについて説明する。
この実施例システムは、基本的にはディスプレイ画面上で対話的に建築図面を作成する機能と、この機能を用いて作成された建築図面をデータベース化して記憶する機能とを主体として構成され、これに加えて種々の部位についての仕上に関する知識を格納したデータベース、およびこのデータベースを参照して前記ディスプレイ上で指定された部位についての仕上別の見積りを計算する機能を備えて構成される。」(第2頁左下欄第12行?同頁右下欄第2行)

(エ)「つまり部屋別・部位別の仕上タイプの組み合わせが予めタイプ別にデータベース化されており、」(第2頁右下欄第15行?第17行)

(オ)「具体的には仕上表(建築図面)にて示される建物の全体構成の中から、例えば或る部屋を特定し、その部屋を洋室にするか和室にするか、更には標準仕上げにするか高級仕上げにするかの指定を行うことによりなされる。」(第3頁左上欄第9行?第14行)

(カ)「上述した如く分類される各種の部位には、それぞれその部位別の仕上タイプやグレードに応じて、その部位がどのような使用部材を用いて構築されるかの情報がデータベース化されて準備されている。」(第3頁右下欄第11行?第15行)

(キ)「例えばCAD設計に用いられる各種部品のシンボルを指定しながら、その個数等を指定しながら見積り計算を行うようにしても良い。この場合には、例えば第3図に示すように平面・立体図形で示される各種部品・機器のシンボルに対応付けて、その部品・機器を構成するセット部材や単一部材を階層構造化してデータベースに登録しておく。このような構造のデータベースを用いれば、シンボルを選択指定することにより、そのシンボルが対応付けられた部品や機器についての情報が単一部材として求められ、その単一部材の単価等と必要個数等に従って見積り計算が行われることになる。」(第4頁第15行?同頁右上欄第7行)

(ク)「例えば有る建物を特定し、その全体的な仕上タイプを特定することにより、前述したディスプレイ画面上にはデータベース検索によりその建物についての第5図(a)に示すような建築図面(平面図)が表示される。このような表示画面上でカーソルCを用いて或る部屋を指定すると、システム側ではその部屋についても仕上タイプについての問い合わせを行う。この問い合わせは、例えば第5図(b)に示すように、上述した如く特定された部屋を「洋風標準仕上」とするか「洋風高級仕上」とするか、更には「和風標準仕上」とするか「和風高級仕上」とするか等、予め定められたタイプ・グレード別の仕上の種類をメニュー画面表示することにより行われる。
このようなメニュー画面において、例えば「和風高級仕上」タイプを指定した場合、前述した部屋を和室として構築する場合に必要な各部位についての構成要素の表示が第5図(c)に示すように行われる。この例では、「床を畳」とすること、「巾木は畳み寄せ」とすること、「腰壁および壁については京じゅらく壁」とすること等が部位別の仕上の要素として一覧表表示される。
この際、CAD設計された前記部屋の寸法的な情報に従って、例えば「畳みの面積が30.27m2」であること等の寸法・面積的な建築数量が同時に求められ、前記各部位についての属性情報として同時に画面表示される。
同様にして前述した部屋について、その仕上タイプを「洋間標準」として指定した場合には、その指定された仕上のタイプ・グレードに従ってその部屋を洋風に構築するに必要な各部位の仕上の構成要素が第5図(d)に示すように表示される。そしてこの場合には「床をカーペット敷込」とすること等が求められる。」(第4頁右上欄第13行?同頁右下欄第6行)

(ケ)「ここで上述した部位別の仕上名に関するリストに従って、例えば「床」の項目を選択指示すると、上述した仕上名で示される構成部材の要素が第5図(e)に示すように表示される。この表示リストは上述した仕上名と連動するもので、前述したデ-タベースを参照することによりその構成部材がその使用数量や単位・単価の情報と共に求められる。」(第4頁右下欄第16行?第5頁左上欄第3行)

(コ)「かくしてこのように構成された実施例システムによれば、仕上のタイプ別・グレード別に階層構造化されている建物についての構成部材を、例えば建物全体の仕上タイプ、部屋別の仕上タイプ、部位別の仕上タイプと云うように順に選択的に指定していくことで、その指定された仕上タイプ・グレードに応じた部位別の構成部材を特定することができ、更にその構成部材に応じてその単価・必要数量等を求めて上記部位別の必要経費についての見積りを求めることができる。」(第5頁右上欄第5行?第14行)

(サ)「また仕上タイプを選択的に指定していく過程において、その仕上タイプを変更したり、構成部材の変更を指示することで、その変更された構成部材に応じた見積り計算を行うことが可能となる。」(第5頁右上欄第17行?最終行)

(シ)「尚、本発明は上述した実施例に限定されるものではない。例えば前述したように部品・機器を示すシンボルの指定によって、そのシンボルが示す部品・機器についても見積り計算を行うことも勿論可能である。この場合にあっても、シンボルに従って部品・機器を個々に特定し、その単価を求める等して見積り計算を行うようにすれば良い。」(第5頁左下欄第11行?第17行)

(ス)「また仕上のタイプに応じて予め選択可能性の在る複数の構成部材をその単価と共に呈示し、これが選択された時点で見積り計算を行うようにしても良い。
また、CAD上における種々の部位とその仕上との関係を予め設定しておくようにすれば、上述したように一々その選択指定を行わなくても自動的に見積り計算を行わせることが可能となる。要するに本発明は各部位の仕上名に関連してその構成部材を特定し、特定された構成部材に従って当該部位についての単価や単位数量、掛け率、単位等の情報に従って必要経費の見積り計算を自動的に計算する機能を備えたことを特徴とするものであり、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。」(第5頁左下欄第18行?同頁右上欄第12行)

上記摘記事項(ア)?(ス)の記載を参酌すると、引用例1には、
「コンピュータと、
建築図面や種々の部位についての仕上に関する知識、各種構成部材に関する情報、各種部品・機器に関する情報、単価等を格納したデータベースとを備え、
建築図面をディスプレイ画面上に表示し、かつそのディスプレイ画面に表示された建築図面の部屋について、その部屋のタイプ・グレード別の仕上の種類をメニュー画面表示し当該メニュー画面表示されたタイプ・グレード別の仕上の種類から所望のものを指定することで前記部屋の仕上の種類が特定され、更に当該仕上の種類に応じて予め選択可能性の在る複数の構成部材をその単価と共に呈示し所望の構成部材を選択すると、前記データベースを参照して自動的に見積り計算を行い見積書を発行する構成とし、
更に、ディスプレイ画面上に表示された建築図面内の或る部屋を指定し、前記メニュー画面表示されたタイプ・グレード別の仕上の種類から所望のものを指定することで前記部屋の仕上の種類を特定すると、その特定された仕上の種類に応じて、必要な各部位についての構成要素を一覧表示させる機能を備えた、
建築用CADシステム。」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されているものと認められる。

(2-2)引用例2及び引用例3の記載事項
(タ)「図1の概略構成図に示すように、当該装置は、予め撮影した一戸建て住宅やマンション等の建造物の写真、及び予め作成した建造物の各室の間取りの図面を読み込むイメージスキャナ等でなる画像読込装置1と、・・・(以下省略)・・・。」(引用文献2の【0007】)

(チ)「以上の構成に於いて、制御と機能を説明する。この電子ファイルシステムにおいて、情報の登録時、例えば上記情報が前記のような不動産物件情報である場合を考えると、建物の外観図、間取り図、地図等から成る基礎の画像情報が登録処理部61によりスキャナ5から入力され、・・・(以下省略)・・・。」(引用文献3の【0011】)

上記摘記事項(タ)、(チ)の記載を参酌するに、引用例2及び3には、
「イメージスキャナで住宅間取図を画像データとしてコンピュータに取り込むこと」が開示されている。

3.対比
本願発明と引用例1発明とを比較する。

引用例1発明に係る「建築図面」は、本願発明に係る「住宅間取図」に相当し、同様に、引用例1発明に係る「ディスプレイ画面」、「見積書」は、それぞれ、本願発明に係る「表示画面」、「取引書類」に相当する。

上記摘記事項の(ウ)、(キ)、(ク)には、「この実施例システムは、基本的にはディスプレイ画面上で対話的に建築図面を作成する機能と、この機能を用いて作成された建築図面をデータベース化して記憶する機能とを主体として構成され、これに加えて種々の部位についての仕上に関する知識を格納したデータベース、およびこのデータベースを参照して前記ディスプレイ上で指定された部位についての仕上別の見積りを計算する機能を備えて構成される。」(上記摘記事項(ウ)参照。)、「例えばCAD設計に用いられる各種部品のシンボルを指定しながら、その個数等を指定しながら見積り計算を行うようにしても良い。」(上記摘記事項(キ)参照。)、「例えば有る建物を特定し、その全体的な仕上タイプを特定することにより、前述したディスプレイ画面上にはデータベース検索によりその建物についての第5図(a)に示すような建築図面(平面図)が表示される。このような表示画面上でカーソルCを用いて或る部屋を指定すると、システム側ではその部屋についても仕上タイプについての問い合わせを行う。」(上記摘記事項(ク)参照。)旨記載されており、これらの記載事項を参酌するに、引用例1発明に係る「コンピュータ」が、「入力手段によって取込んだデータを表示する表示画面を備え、画像データとコード化された信号を処理するとともに、演算処理する機能を備え」ていると解することは自然であり、「テンキーやマウスなど」は入力操作手段としては極めて一般的なものである。
してみると、引用例1発明に係る「コンピュータ」は、本願発明に係る「テンキーやマウスなどの入力操作手段によって取込んだデータを表示する表示画面を備え、画像データとコード化された信号を処理するとともに、演算処理する機能を備えたコンピュータ」に対応する。

引用例1発明に係る「建築図面や種々の部位についての仕上に関する知識、各種構成部材に関する情報、各種部品・機器に関する情報、単価等を格納したデータベース」と本願発明に係る「住宅間取図の各部屋に対して、それぞれの部屋の機能、種別情報を予め記憶した部屋情報テーブル、電気設備に割付けられた商品コードを記憶した商品コードテーブル、電気設備に割付けられた商品コードに応じた標準価格を記憶した価格情報テーブル、所定様式の価格合計表、設計プラン見積書、注文書などの取引書類を記憶した取引書類作成テーブルとを少なくとも含んだ設備設計プランマスタファイル」とは、「各種情報を記憶したデータベース」という概念で共通している。

引用例1発明に係る「建築図面をディスプレイ画面上に表示し、かつそのディスプレイ画面に表示された建築図面の部屋について、その部屋のタイプ・グレード別の仕上の種類をメニュー画面表示し当該メニュー画面表示されたタイプ・グレード別の仕上の種類から所望のものを指定することで前記部屋の仕上の種類が特定され、更に当該仕上の種類に応じて予め選択可能性の在る複数の構成部材をその単価と共に呈示し所望の構成部材を選択すると、前記データベースを参照して自動的に見積り計算を行い見積書を発行する構成」と本願発明に係る「住宅間取図を表示画面に表示し、かつその表示画面に表示された住宅間取図の各部屋について、機能、種別が特定され、更に上記商品コードテーブルを表示させて、電気設備の商品コードを選択して各部屋毎に割付けて入力されることによって、選択された電気設備の品目、価格、員数などの必要な情報を、上記取引書類作成テーブルから読込んだデータに書込んで、価格合計表、設計プラン見積書、注文書などの取引書類を自動的に作成する構成」とは、「住宅間取図を表示画面に表示し、かつその表示画面に表示された住宅間取図の部屋について、所望の情報を入力すると、見積書作成のために必要な情報をデータベースから読込んで見積書を自動的に作成する構成」という概念で共通している。

引用例1発明に係る「ディスプレイ画面上に表示された建築図面内の或る部屋を指定し、前記メニュー画面表示されたタイプ・グレード別の仕上の種類から所望のものを指定することで前記部屋の仕上の種類を特定すると、その特定された仕上の種類に応じて、必要な各部位についての構成要素を一覧表示させる機能」と本願発明に係る「住宅間取図を上記コンピュータに取込んで、表示画面に表示させた後に、部屋を特定して、その部屋の機能、種別を選択し、その部屋の種別と、広さ、数などを特定したときには、少なくとも、その特定された部屋の条件に応じた電気設備の品目と、員数とを一覧表示させた電気設備推奨リストをウインドウ表示させる機能」とは、「表示画面上に表示された住宅間取図内の或る部屋を特定して、その部屋に関する所定の条件を特定すると、その特定された条件に応じた構成要素を一覧表示させる機能」という概念で共通している。

引用例1発明に係る「建築用CADシステム」と本願発明に係る「電気設備プラン作成支援システム」とは、「プラン作成支援システム」という概念で共通している。

したがって、本願発明と引用例1発明とは、
「テンキーやマウスなどの入力操作手段によって取込んだデータを表示する表示画面を備え、画像データとコード化された信号を処理するとともに、演算処理する機能を備えたコンピュータと、
各種情報を記憶したデータベースとを備え、
住宅間取図を表示画面に表示し、かつその表示画面に表示された住宅間取図の部屋について、所望の情報を入力すると、見積書作成のために必要な情報をデータベースから読込んで見積書を自動的に作成する構成とし、
表示画面上に表示された住宅間取図内の或る部屋を特定して、その部屋に関する所定の条件を特定すると、その特定された条件に応じた構成要素を一覧表示させる機能を備えたプラン作成支援システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明は、支援の対象を電気設備に限定したプラン作成支援システムであるのに対し、引用例1発明は、かかる限定がない点。

[相違点2]
本願発明には、「住宅間取図を画像データとしてコンピュータに取込む画像データ読取走査手段」が備わっているのに対し、引用例1発明には、かかる手段が備わっていない点。

[相違点3]
各種情報を記憶したデータベースについて、本願発明と引用例1発明とは、記憶されている各種情報の具体的内容が異なっている点。

[相違点4]
見積書を自動的に作成する構成について、本願発明と引用例1発明とは、住宅間取図を表示画面に表示するに際しての「画像データ読取走査手段によって住宅間取図が走査され、上記コンピュータに取込まれたときには、読取走査された」なる限定の有無、及び、見積書を作成するに際しての「表示画面の表示内容」及び見積書を作成するために入力される「情報の具体的内容」が異なっている点。

[相違点5]
構成要素を一覧表示させる機能について、本願発明と引用例1発明とは、一覧表示させるために「特定する具体的条件内容」、一覧表示の「具体的な表示内容」、一覧表示の「表示態様」が異なっている点。

4.判断
上記相違点1?5について検討する。

[相違点1]について
上記摘記事項(キ)、(シ)の記載を参酌するに、引用例1発明は部品や機器についても適用可能であり、そして、該部品や機器が住宅に備えられる又は住宅で利用されるものであることは明らかである。更に、住宅に備えられる又は住宅で利用される部品や機器には電気設備が含まれることも明らかである。
してみると、引用例1発明の支援対象を電気設備に限定することは当業者であれば容易になし得るところと認められる。

[相違点2]について
上記(2-2)で言及したように、「イメージスキャナで住宅間取図を画像データとしてコンピュータに取り込むこと」は引用例2及び3に開示されている如く周知の手段であり、引用例1発明において住宅間取図をデータベースに格納する手段として前記周知の手段を用いることは当業者であれば容易になし得るものである。

[相違点3]について
上記摘記事項(ウ)?(サ)の記載を参酌するに、引用例1発明に係るデータベースには、プラン作成支援システムを利用して住宅を設計するために必要な情報や見積書を作成するために必要な情報などの各種情報が格納されており、これら各種情報の具体的な内容やデータ形式を「住宅間取図の各部屋に対して、それぞれの部屋の機能、種別情報を予め記憶した部屋情報テーブル、電気設備に割付けられた商品コードを記憶した商品コードテーブル、電気設備に割付けられた商品コードに応じた標準価格を記憶した価格情報テーブル、所定様式の価格合計表、設計プラン見積書、注文書などの取引書類を記憶した取引書類作成テーブル」及び「部屋の機能、種別、広さ、数などに応じて、予め推奨すべき電気設備をグループ化して記憶させた電気設備推奨テーブル」とすることは、上記[相違点1]についてで言及したように、プラン作成支援システムの支援対象を電気設備に限定することに伴って当業者が適宜設定し得るものである。

[相違点4]について
上記摘記事項(キ)、(シ)に記載を参酌するに、引用例1発明は部品や機器についても適用可能なものであり、見積書を作成するに際しての「表示画面の表示内容」や見積書を作成するために入力される「情報の具体的内容」をどのようにするかは、上記[相違点1]についてで言及したように、プラン作成支援システムの支援対象を電気設備に限定することに伴って当業者が適宜設定し得るものである。
また、住宅間取図を表示画面に表示するに際しての「画像データ読取走査手段によって住宅間取図が走査され、上記コンピュータに取込まれたときには、読取走査された」なる限定を付加することについては、上記[相違点1]についてで言及したように、「イメージスキャナで住宅間取図を画像データとしてコンピュータに取り込むこと」が引用例2及び3に開示されている如く周知の手段であり、イメージスキャナで走査された住宅間取図をコンピュータに取り込んだときに住宅間取図を表示画面に表示することは格別なる事項とは認められない。

[相違点5]について
構成要素を一覧表示させるために「特定する具体的条件内容」を如何なるものにするかは、上記[相違点1]についてで言及したように、プラン作成支援システムの支援対象を電気設備に限定することに伴って当業者が適宜設定し得るものである。
引用例1発明において一覧表示される構成要素は、特定された仕上の種類に応じてデータベースから読出されるものであり、更に、各構成要素については個別に変更することも可能であることから、いわゆる、「推奨のもの」という概念に属するものと認められ、その具体的表示内容は、上記[相違点1]についてで言及したように、プラン作成支援システムの支援対象を電気設備に限定することに伴って当業者が適宜設定し得るものであり、構成要素の一覧をウィンドウ表示する点については、周知の表示態様である。

5.むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、引用例1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-28 
結審通知日 2006-10-03 
審決日 2006-10-16 
出願番号 特願平6-225516
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 阿波 進
佐藤 智康
発明の名称 電気設備プラン作成支援システム  
代理人 中井 宏行  

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