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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1147858 |
審判番号 | 不服2004-7558 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-12-18 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-15 |
確定日 | 2006-11-30 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 83792号「付加情報付き画像ファイルからの画像プリントシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月18日出願公開、特開平10-334212〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年4月2日(優先権主張平成9年4月1日)の出願であって、平成16年3月4日に拒絶査定がされ、これに対して平成16年4月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年4月15日付けの手続補正について 本件補正は、補正前の請求項8ないし12、及び請求項22ないし25、及び請求項33ないし37を削除したものであるから、請求項の削除を目的とするものであり適法である。 3.本願発明について (1)本願の請求項1に係る発明は、平成16年4月15日付けの手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1(請求項の数は全部で23項である。)に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 被写界を撮影して得られた画像データ、および該画像データに関連する付加情報を取り込む入力手段と、 該入力手段に接続され、前記取り込んだ付加情報に従って前記画像データを処理する画像処理手段と、 該処理された画像データの表わす画像を可視画像として出力する出力手段とを含み、 前記付加情報は、複数の画像の画像データを時間的に関連づける関連付け情報を含み、 前記画像処理手段は、該関連付け情報の指定する複数の画像の画像データを合成することを特徴とする画像プリント装置。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-83925号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。 「【請求項1】 磁気記録部を有するフィルムを備え且つ複数画面に分割した原画の各分割画面を前記フィルムに撮影する手段と、 前記フィルムの磁気記録部に前記各分割画面の撮影条件および前記フィルムの現像条件にかかる情報を書き込む手段と、 前記フィルムに撮影された前記原画の各分割画面を読み取るとともに画像データを生成する手段と、 前記フィルムの磁気記録部に書き込まれた情報を読み出す手段と、 前記各分割画面に対応する画像データを前記磁気記録部より読み出された情報に基づいて補正処理する手段と、 前記補正処理された前記各分割画面に対応する画像データを前記原画に対応する画像データに合成する手段と、 前記合成された画像データをプリントする手段とを具備したことをと特徴とする画像作成装置。」 上記記載より、フィルムの磁気記録部に複数画面に分割した原画の各分割画面の撮影条件及び前記フィルムの現像条件にかかる情報を書き込む手段と、フィルムの磁気記録部に書き込まれた情報を読み出す手段とが記載されており、画像データは各分割画面に対応するものであり、読み出す手段から、読み出される情報は、各分割画面の撮影条件及びフィルムの現像条件にかかる情報であることから、該情報は画像データに関連する情報であるといえる。 以上から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数画面に分割した原画を撮影して得られた各分割画面に対応する画像データ、及び該画像データに関連する情報を読み出す手段と、画像データを磁気記録部より読み出された情報に基づいて補正処理する手段と、補正処理された各分割画面に対応する画像データを原画に対応する画像データに合成する手段と、合成された画像データをプリントする手段とを具備した画像作成装置。」 (3)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「原画」は、撮影される対象となるものであり、本願発明の「被写界」が本願明細書の段落【0006】に「被写界を撮影して得られた画像データ」との記載からみるに、撮影される被写体を意味することで両者に差異はない。 引用発明の「画像データに関連する情報」は、付加情報も情報であるから、本願発明の「画像データに関連する付加情報」に相当し、引用発明の「読み出す手段」は、読み出した情報を補正処理する手段である画像補正装置に取り込んでいるといえるから、本願発明の「取り込む入力手段」に相当する。 引用発明の「補正処理する手段」は、画像データを画像データに関連する情報である撮影条件及びフィルムの現像条件にかかる情報により補正しており、画像データに対し画像処理を行っているといえるから、本願発明の「画像処理手段」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 【一致点】 「被写界を撮影して得られた画像データ、および該画像データに関連する付加情報を取り込む入力手段と、該入力手段に接続され、前記取り込んだ付加情報に従って前記画像データを処理する画像処理手段と、該処理された画像データの表わす画像を可視画像として出力する出力手段とを含み、前記画像処理手段は、該付加情報の指定する複数の画像の画像データを合成することを特徴とする画像プリント装置。」 【相違点】 本願発明の付加情報は、「複数の画像の画像データを時間的に関連づける関連付け情報」を含んでいるのに対し、引用発明には、そのような構成が記載されていない点。 (4)相違点についての判断 引用発明は、一枚の原画を分割してフィルムに記録し、画像データとして取り込んだ後に合成するものである。 引用例には、各分割画面の撮影条件及びフィルムの現像条件にかかる情報を磁気記録部に書き込むことが記載されており、画像データをプリントするにあたり、分割画面に対応する画像データが、それぞれ原画のどこに位置していたかが情報として必要となるところ、原画の分割位置に応じて取り込む順序を予め定めておき、その順序を情報とすることは、一般にも普通に想起されることである。 そうすると、原画の分割位置に応じた取り込む順序をあらかじめ定めておき、その順序を情報とすること、すなわち、順序である時間的な情報を画像データの関連付け情報とすることは、普通に想起されるから、引用発明において、画像データに関連する情報として、複数の画像の画像データを時間的に関連づける関連付け情報とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 なお、請求人は審判請求時の理由として、「本願では、たとえば出願当初の請求項3における記載「時間的または空間的に関連づける関連付け情報」をみても、時間的関連付けを空間的関連付けとは明確に区別している。ところが、引用例に記載の構成では、同時に4コマを撮影することができないから、各コマA1、A2、A3、A4を順番に撮影しただけのことであって、このような引用例の構成では、どのような順序で撮影しようとも、これらのコマを原画11における空間的配置に従って関連づけなければ、原画11を元通りに再現できないのは、当業者に明瞭ではないか。このことを、あえて「時間的に関連付ける」と称するは、トリックにすぎない」と主張しているが、上記判断に記載したように引用発明に、複数の画像の画像データを時間的に関連づける関連付け情報を含むようにすることは当業者が容易に想到しうることであるから、上記主張は採用できない。 (5)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について論ずるまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-27 |
結審通知日 | 2006-10-03 |
審決日 | 2006-10-17 |
出願番号 | 特願平9-83792 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 脇岡 剛 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
伊知地 和之 佐藤 敬介 |
発明の名称 | 付加情報付き画像ファイルからの画像プリントシステム |
代理人 | 香取 孝雄 |