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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1148763 |
審判番号 | 不服2001-10603 |
総通号数 | 86 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-06-21 |
確定日 | 2006-12-07 |
事件の表示 | 平成11年特許願第300155号「ゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月24日出願公開、特開2001-113051〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1. 手続きの経緯、本願発明 本願は、平成11年10月21日の出願であって、平成13年3月6日付で拒絶理由が通知され、平成13年4月26日付で手続補正がなされ、平成13年5月22日付で拒絶査定がなされ、平成13年6月21日付で拒絶査定に対する審判請求がなされると共に同日付で手続補正がなされたものであって、その請求項9に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成13年6月21日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項9に記載された次のとおりのものである。 「【請求項9】 可搬型電話機と通信可能な通信手段と、 前記可搬型電話機と前記通信手段との間が接続された後、前記可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付ける情報入力手段と、 を具えたことを特徴とするゲーム装置。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由の理由に引用された特開平11-261724号公報(以下「引用例」という)には、図面とともに以下の記載がある。 (記載事項1) 「【請求項1】サーバ装置と情報通信端末との間に通信路が接続された状態で、前記サーバ装置から前記情報通信端末に対して提供情報を送信する提供情報送信工程と、前記サーバ装置と前記情報通信端末との間に接続された前記通信路が解放された後、通信路が未接続の状態で、前記情報通信端末において、前記サーバ装置から提供された前記提供情報に基づいた生成情報を生成する情報生成工程と、前記情報生成工程において生成された前記生成情報を、前記情報通信端末から前記サーバ装置に、電話網を通じた擬似着呼サービスを用いて送信する端末側情報送信工程とを備えることを特徴とする情報通信方法。 【請求項2】前記情報送信工程により、前記情報通信端末から送信されてきた前記生成情報を前記サーバ装置が受信する第1の情報受信工程と、通信路が未接続の状態で、前記第1の情報受信工程において、受信した前記生成情報に対 応する対応情報を生成する対応情報生成工程と、前記対応情報生成工程において生成された前記対応情報を、前記サーバ装置から前記情報通信端末に、電話網を通じた擬似着呼サービスを用いて送信するサーバ側情報送信工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の情報通信方法。 【請求項5】前記提供情報は、対戦型ゲームアプリケーションであって、前記情報通信端末の対戦相手は、前記サーバ装置であることを特徴とする請求項2に記載の情報通信方法。」(特許請求の範囲) (記載事項2) 「【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、情報通信端末とサーバ装置とにより構成される情報通信システムにおいて行われる情報通信方法に関する。」(段落【0001】) (記載事項3) 「この実施の形態の場合、情報通信端末は、携帯無線通信端末の構成とされ、共通サーバ装置からの情報提供サービスなどの提供サービスを受ける機能を備えるほか、PHS(パーソナル・ハンディホン・システム)の電話機能およびファクシミリ、電子メールのデータ通信機能をも備える構成とされる。そして、情報提供サービス、ファクシミリ通信、電子メール通信は、個々の携帯無線通信端末と前記サーバ装置とが協働することにより、行われるように構成されている。 そして、この実施の形態の情報通信端末の使用者は、共通サーバ装置から、例えば将棋や囲碁などの対戦型ゲームアプリケーションの提供を受けて、これを実行し、共通サーバ装置が備えるコンピュータを対戦相手として、あるいは、共通サーバ装置を介して、他の情報通信端末の使用者を対戦相手として、対戦型ゲームを行うことができるようにされている。 この場合、距離的に離れた者同志が、将棋や囲碁などの同じゲームソフトウエアを実行し、両者の間で、将棋駒や碁石の移動情報、つまり、どこからどこに将棋駒を移動させたか、どこに碁石を打ったかを示す変化データを接続した電話回線を通じて送受することにより、将棋や囲碁などのゲームを楽しむことができるようにされている。 そして、この実施の形態においては、対戦型ゲームの実行中であっても、例えば、将棋駒をどこからどこに進めるなどのゲームに対する変化データを送受するために、常時通信回線をゲームの対戦相手同志の間で接続しておく必要はないようにされる。そして、詳しくは後述するように、ゲームに対する変化データが発生した場合にのみ、情報通信端末と共通サーバ装置との間に通信回線を接続し、変化データを相手先に送信するようにする。これにより、通信コストを低減させ、気軽に通信回線を通じて接続される相手と対戦型ゲームを楽しむことなどができるようにされる。 [ネットワークシステムの説明]図1は、この発明の実施の形態が適用された通信ネットワークシステムの概念構成を説明するための図であり、この図1において、1は共通サーバ装置と契約関係がある携帯無線通信端末、2は共通サーバ装置である。複数個の携帯無線通信端末1と、共通の共通サーバ装置2とは、携帯無線通信端末用のネットワーク3と、このネットワーク3に対して、1?複数個のアクセスポイント4を通じて接続される専用基幹ネットワーク5を通じて接続される。 携帯無線通信端末用ネットワーク3には、共通サーバ装置2と契約関係にない他の携帯無線通信端末も接続されるが、後述するような共通サーバ装置2からのデータ通信サービスを受けることができる携帯無線通信端末は、予め、この共通サーバ装置2と契約関係が結ばれた携帯無線通信端末1のみである。共通サーバ装置2との契約関係がない携帯無線通信端末との混同を避けるため、以下の説明においては、共通サーバ装置2と契約関係にある携帯無線通信端末を会員端末と呼ぶことにする。」(段落【0035】?【0040】) (記載事項4) 「図6は、例えば、対戦型ゲームを行う場合の会員端末と共通サーバ装置との関係を説明するための図である。各会員端末は、共通サーバ装置2との間で通信回線を接続し、WWWブラウザ機能を用いて、オンラインの状態で共通サーバ装置2から例えば将棋の対戦型ゲームアプリケーションの提供を受ける。この対戦型ゲームアプリケーションの提供を受けた後、会員端末は、接続した通信回線を解放して、オフラインの状態に戻す。 これにより、対戦型ゲームの実行環境が整えられ、会員端末は、提供を受けた対戦型ゲームを実行して、共通サーバ装置2を対戦相手として、あるいは、他の会員端末を対戦相手として対戦型ゲームを行うことができるようにされている。 そして、図6において、例えば、会員端末1aが、共通サーバ装置2を対戦相手として、将棋の対戦ゲームを行う場合、会員端末1aは、共通サーバ装置2との間で通信路が接続されていないオフラインの状態で、実行したゲームアプリケーションに応じて、将棋駒の移動指示などの使用者(ユーザ)の指示入力を受け付けて、入力された指示情報を含む送信情報Taを形成し、これを電話会社が提供する擬似着呼サービスを用いて共通サーバ装置2に送信する。 擬似着呼サービスは、通信の相手先の端末などに対して、ベルを鳴動させずに、相手に着信させて相手との通信路を形成し、必要なデータの送信後、即座に回線を切断するものである。この擬似着呼サービスは、比較的に安価な料金で利用することができる。 そして、共通サーバ装置2においては、会員端末1aから擬似着呼サービスにより送信されてきた送信情報Taを受信し、会員端末1aに対して提供する共通サーバ装置2側の将棋駒の移動情報を含む送信情報Raを形成して、これを前述の擬似着呼サービスを用いて共通サーバ装置2から会員端末1aに送信する。 このように、会員端末1aと、共通サーバ装置2との間で行われるデータの送受信を、電話会社が提供する擬似着呼サービスを用いることにより、常時、会員端末1aと共通サーバ装置2との間に通信回線を接続させておかなくてもよいようにされる。」(段落【0136】?【0141】) (記載事項5) 「また、請求項5の発明によれば、安価にサーバ装置を対戦相手として、情報通信端末を用いた対戦ゲームを行うことができる。」(段落【0203】) これらの記載、及び、図面、並びに、 (a)「共通サーバ装置2においては、会員端末1aから擬似着呼サービスにより送信されてきた送信情報Taを受信し、会員端末1aに対して提供する共通サーバ装置2側の将棋駒の移動情報を含む送信情報Raを形成して、これを前述の擬似着呼サービスを用いて共通サーバ装置2から会員端末1aに送信する。」(記載事項4)という記載から、(i)共通サーバ装置2が、会員端末1aと「通信可能」な「通信手段」を具えることが明らかなこと、(ii) 共通サーバ装置2が、会員端末1aから受信される送信情報Taを「受け付ける」「情報入力手段」を具えることが明らかなこと、 を勘案すれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 引用発明 「 会員端末1aと通信可能な通信手段と、 前記会員端末1aから受信される送信情報Taを受け付ける情報入力手段と、を具えた共通サーバ装置2。」 3.対比 「情報通信端末の使用者は、共通サーバ装置から、例えば将棋や囲碁などの対戦型ゲームアプリケーションの提供を受けて、これを実行し、共通サーバ装置が備えるコンピュータを対戦相手として、・・・対戦型ゲームを行うことができる」(記載事項3)のであるから、引用発明における「共通サーバ装置2」は、「対戦型ゲーム」を行う際のコンピュータとして使用可能である。よって、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明におけるa「共通サーバ装置2」は、本願発明におけるA「ゲーム装置」に相当する。 また、引用発明のb「受信」、は、それぞれ、本願発明のB「入力」に相当する。 また、「情報通信端末は、携帯無線通信端末の構成とされ、共通サーバ装置からの情報提供サービスなどの提供サービスを受ける機能を備えるほか、PHS(パーソナル・ハンディホン・システム)の電話機能およびファクシミリ、電子メールのデータ通信機能をも備える構成とされる。・・・以下の説明においては、共通サーバ装置2と契約関係にある携帯無線通信端末を会員端末と呼ぶことにする。」(記載事項3)という記載からみて、引用発明のc「会員端末1a」は、本願発明のC「可搬型電話機」に相当する。 さらに、「将棋駒の移動指示などの使用者(ユーザ)の指示入力を受け付けて、入力された指示情報を含む送信情報Ta・・・共通サーバ装置2においては、会員端末1aから擬似着呼サービスにより送信されてきた送信情報Taを受信し、会員端末1aに対して提供する共通サーバ装置2側の将棋駒の移動情報を含む送信情報Raを形成して、これを前述の擬似着呼サービスを用いて共通サーバ装置2から会員端末1aに送信する。」(記載事項4)という記載からみて、引用発明のd「送信情報Ta」は、本願発明のD「ゲーム関連情報」に相当する。 よって、両者は、 「 可搬型電話機と通信可能な通信手段と、 前記可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付ける情報入力手段と、を具えたゲーム装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 情報入力手段が、本願発明では、可搬型電話機と通信手段との間が接続された後、可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付けるのに対して、引用発明では、可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付けはするものの、それが、可搬型電話機と通信手段との間が接続された後であるか否かは明らかでない点。 4.判断 相違点について検討する。 可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付けるためには、可搬型電話機と通信手段との間が接続された後でなければならないことは明らかであるし、引用発明は、可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付ける情報入力手段を具えるから、引用発明における情報入力手段を、可搬型電話機と通信手段との間が接続された後、可搬型電話機から入力されるゲーム関連情報を受け付けるようにして、相違点に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到できることである。 5.本願発明の作用効果について 本願発明の奏する効果は、引用発明に明らかなことを適用したものから当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものではない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び明らかなことに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-10-03 |
結審通知日 | 2006-10-06 |
審決日 | 2006-10-26 |
出願番号 | 特願平11-300155 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 植野 孝郎 |
特許庁審判長 |
三原 裕三 |
特許庁審判官 |
渡部 葉子 篠崎 正 |
発明の名称 | ゲーム装置 |
代理人 | 阿部 和夫 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 橋本 傳一 |