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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない B23B
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない B23B
管理番号 1148895
審判番号 訂正2006-39103  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-11-02 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-06-15 
確定日 2006-12-04 
事件の表示 特許第2571325号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1.本件の特許第2571325号の請求項1に係る発明についての特許出願は、平成4年4月14日の特許出願であって、同8年10月24日に特許権の設定の登録がなされた。
2.これに対して、平成15年9月3日に本件の請求項1に係る特許を無効とすべき旨の特許無効審判(2003-35369)が請求され、同16年7月7日付で上記審判の請求は成り立たない旨の審決(以下、「一次審決」という。)がなされたところ、上記審決に対して同16年8月13日に上記審決を取り消す旨の判決を求める訴え(平成17年(行ケ)第10317号)が提起され、同17年9月13日に上記審決を取り消す旨の判決の言渡しがあった。
3.その後、上記判決に対して上告及び上告受理申立てがなされたが、平成18年1月19日に上告を棄却する旨及び上告審として受理しない旨の決定があった。
4.平成18年3月23日付けで、本件の請求項1に係る発明についての特許を無効とするとの審決がなされ、同18年4月29日に当該審決の取消しを求める訴(平成18年(行ケ)第10206号)が知的財産高等裁判所に提起された。
5.平成18年6月15日に、本件訂正審判が請求され、同18年7月18日付けで訂正拒絶理由が通知された。
6.請求人より、平成18年8月18日付けで意見書が提出された。

第2 訂正の内容
本件審判請求の要旨は、特許第2571325号の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線は対比の便宜のため当審で付したものである。

1.訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、
「【請求項1】 回転又は非回転主軸(以下、主軸という)1に設けたテーパ孔2に、鍔部5を有する工具ホルダー3のテーパシャンク部4を嵌合して主軸1に工具ホルダー3を取付けるようにした工具ホルダー取付装置であって、主軸1のテーパ孔2及びこれに嵌合される工具ホルダー3のテーパシャンク部4の最大径D、主軸側端面1aとこれに対向する鍔部端面5aとの間の許容の対向間隙Yが工業規格で定められた数値の範囲内で製作される工具ホルダーの取付装置において、上記主軸側端面1aと、これに対向する鍔部端面5aとの夫々を、工業規格で定められた許容の製作誤差Δiの数値より多く延出すると共に、両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲内で、互いに対向方向に延出して夫々延出端面1b,5bに形成し、しかして、両延出端面1b,5bが互いに吻合するようにして、主軸1に工具ホルダー3を取付けることが可能となっている工具ホルダー取付装置。」から、
「【請求項1】 回転又は非回転主軸(以下、主軸という)1に設けたテーパ孔2に、鍔部5を有する工具ホルダー3のテーパシャンク部4を嵌合して主軸1に工具ホルダー3を取付けるようにした工具ホルダー取付装置であって、主軸1のテーパ孔2及びこれに嵌合される工具ホルダー3のテーパシャンク部4の最大径D、主軸側端面1aとこれに対向する鍔部端面5aとの間の許容の対向間隙Yが工業規格で定められた数値の範囲内で製作される工具ホルダーの取付装置において、上記主軸側端面1aと、これに対向する鍔部端面5aとの夫々を、工業規格で定められた許容の製作誤差Δiの数値より多く延出すると共に、主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができるように、互いに対向方向に延出して夫々延出端面1b,5bに形成し、しかして、両延出端面1b,5bが互いに吻合するようにして、主軸1に工具ホルダー3を取付けることが可能となっている工具ホルダー取付装置。」と訂正する。

2.訂正事項b
特許明細書の段落【0009】における、「両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲で、」を、
「主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができるように、」と訂正する。

3.訂正事項c
特許明細書の段落【0010】における、「その延出量α1,α2の合計が前述の許容対向間隙Yの範囲内、即ちその数値より少ないこと、」を、
「主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができるようにしたこと、」と訂正する。

第3 訂正の適否について
1.訂正の目的の適否
(1)訂正事項aについて
本件特許明細書の特許請求の範囲における「両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲内で、互いに対向方向に延出して夫々延出端面1b,5bに形成し、しかして、両延出端面1b,5bが互いに吻合するようにして、」の記載に関して、関連する無効審判事件の上記一次審決に対する審決取消請求事件の判決(以下、「判決」という。)は、判決書第25頁第4行?第27頁第2行において、
「なお、当初明細書等における「対向間隙Y」は、本件明細書等における「対向間隙Y」と同じ概念であると解されるところ、本件明細書等における「対向間隙Y」が主軸のテーパ孔と工具ホルダーテーパシャンク部が密着嵌合した状態における間隙であるといえるかについて、念のために検討しておくこととする。
・・・・(中略)・・・・
ここでいう「両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲内」とは「α1+α2<Y」を意味すると理解し得るが、他方で上記請求項1には「両延出端面1b,5bが互いに吻合する」との記載があり、両記載を矛盾なく理解しようとすれば、本件明細書等における「対向間隙Y」は主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパシャンク部が接する状態における間隙を意味し、その状態では「両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲内」であるが、工具ホルダが弾性変形により主軸奥側にわずかに移動することにより「両延出端面1b,5bが互いに吻合する」と解する余地がある。しかしながら、本件明細書等には、「対向間隙Yが工業規格で定められた数値の範囲内」(請求項1)、「対向許容間隙Yは3mm(ISO規格では3.20mm)」(段落【0003】)との記載があり、本件明細書等の「対向間隙Y」も、当初明細書等における「対向間隙Y」と同様、規格化されたものであると認めることができる。このように規格化された「対向間隙Y」は、主軸に工具ホルダーを取り付けた状態、すなわち主軸のテーパ孔に工具ホルダーのテーパシャンク部が密着嵌合した状態における対向間隙の数値であると理解すべきであることは、前記判示のとおりである。
・・・・(中略)・・・・
以上によれば、本件明細書等における「対向間隙Y」も、当初明細書等における「対向間隙Y」と同様、主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパシャンク部が接する状態における対向間隙を意味するのではなく、テーパ孔とテーパシャンク部が密着嵌合した状態における対向間隙を意味するというべきである。」と判示している。

これに対して、請求人は審判請求書第5頁第6?15行において、「主軸1のテーパ孔2と工具ホルダー3のテーパシャンク部4とが接する状態において、α1+α2<Yが成立しており、主軸1の延出端面1bと工具ホルダー3の延出端面5bとの間には隙間があるところ、この状態から工具ホルダーを主軸奥側に引き込み、工具ホルダーを主軸奥側に移動することにより、主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合し、それと同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bとの間の隙間をなくして両延出端面1b,5bを密着(吻合)させることができることが明確になる。」として、当該訂正事項が明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当すると主張している。

しかしながら、上記判決の判示するところによれば、特許明細書における「対向間隙Y」は、主軸のテーパ孔に工具ホルダーのテーパシャンク部を密着嵌合した状態における対向間隙を意味すると理解すべきであるから、テーパ孔2とテーパシャンク部4とが接する状態だけでなく密着嵌合した状態においてもα1+α2<Yが成立している。しかも、請求人は、平成16年6月4日付けの上申書において、本件特許発明の技術思想がα1+α2=Yとなる態様を含むとの主張を撤回している。
そうすると、主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合し、主軸1の延出端面1bと工具ホルダー3の延出端面5bとの間に隙間がある状態から工具ホルダーを主軸奥側に引き込み、工具ホルダーを主軸奥側に移動して延出端面1bに延出端面5bを密着させることができないことは明らかである。
したがって、主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合し、それと同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bとの間の隙間をなくして両延出端面1b,5bを密着(吻合)させることができることが明確になるということはできず、当該訂正事項aが明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当するということはできない。

ところで、請求人は、甲第1?3号証を提出し、上記意見書第4頁第8行?第6頁第8行において、
「ア まず、「JIS B6339(マシニングセンターツールシャンク及びブルスタッド)」(甲第1号証)に規定するツールシャンクと、「JISB6340(マシニングセンター主軸端の形状・寸法)」(甲第2号証)に規定する主軸端とは互いに適合し(「JIS B6339」及び「JIS B6340」のそれぞれ1頁の「1.適用範囲」の「備考1」参照)、組み合わせて用いられるものであるところ、「JIS B6339」の「図1ツールシャンク」には、主軸の基準端面(ゲージ面)と鍔部端面との間の対向間隙yが記載されており、「表1ツールシャンク」には、当初明細書等に記載の「呼び番号BT50」について、対向間隙yが3mmであることが記載されています。そして、この表には、「7/24テーパ角度の許容差ATD」として、「+0.0051?0」と記載されています。また、「JISB6340」の「表1マシニングセンタの主軸端」には、「呼び番号BT50」について、「7/24テーパ角度の許容差ATD」として「0?-0.0050」と記載されています。すなわち、主軸の許容差とツールシャンクの許容差にはそれぞれ正負の異なる片側公差が指示されているので、基準寸法が一致するときには、両者のテーパ面には隙間が生じていることになります。
したがって、両者の基準寸法D1が一致したときの値である対向間隙yの寸法は、両者のテーパが密着嵌合している状態ではなく、両者のテーパが接している状態における寸法であることが明らかです。言い換えれば、主軸のテーパ孔、工具ホルダーのテーパシャンク部ともに弾性変形していない状態における対向間隙の寸法です。
イ 上記の点は次のJIS規格からも明らかです。
すなわち、「JIS B0616(円すいはめあい方式)」(甲第3号証)の「参考図4(b)」(10頁)には、基準テーパ角度に関して片側に異なる符号の許容差をもつ場合は、「大端径当たり」又は「全円すい面当たり」になることが記載されています。ここで、「全円すい面当たり」になる場合とは、主軸と工具ホルダーの両者のテーパ角度の公差がいずれも0となる場合ですが、意図的に公差が存在しない主軸と工具ホルダーを生産することは不可能であることからすると、結局、基準テーパ角度に関して片側に異なる符号の許容差をもつ場合は、「大端径当たり」になります(・・・中略・・・)。
そして、「大端径当たり」の場合は、主軸のテーパ孔の直径が基準寸法D1となる位置(ゲージ面)と、工具ホルダーのテーパーシャンク部の直径が基準寸法D1となる位置(ゲージ面)とが接触し、主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパーシャンク部との間にはテーパ角度の開きが存在します(・・・中略・・・)。つまり、基準テーパ角度に関して片側に異なる符号の許容差をもつ場合は、主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパシャンク部が、それぞれ基準寸法D1の位置で接しており、主軸のテーパ孔、工具ホルダーのテーパシャンク部ともに弾性変形していない状態であることを表しています。
ウ 以上から明らかなように、前記JIS規格における対向間隙yと同じ概念である当初明細書等に記載された「対向間隙Y」は、主軸のテーパ孔に工具ホルダーのテーパシャンク部が密着嵌合している状態ではなく、主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパシャンク部とが接している状態での対向間隙を表しています。
以上のとおりですので、「本件明細書等における『対向間隙Y』も、当初明細書等における『対向間隙Y』と同様、主軸のテーパ孔と工具ホルダーのテーパシャンク部が接する状態における対向間隙を意味するのではなく、テーパ孔とテーパシャンク部が密着嵌合した状態における対向間隙を意味するというべきである。」との判示内容はJIS規格に照らすとき誤りであると言わざるを得ず、このような判決に従った今回の拒絶理由通知には承服することができません。」と主張している。

上記主張について検討するに、上記甲第1号証「JIS B6339」の表1には、「呼び番号BT50」のツールシャンクについて、鍔部端面とゲージ面との間隙yが3mmであることが記載され、前記表1及び甲第2号証「JISB6340」の表1には、「7/24テーパ角度の許容差ATD」として、ツールシャンクについて「+0.0051?0」の許容差が、テーパ孔について「0?-0.0050」の許容差が記載されている。
また、甲第3号証「JIS B0616(円すいはめあい方式)」の参考図4(b)には、内円すいに0ないし負の許容差、外円すいに0ないし正の許容差をもつ場合は、「大端径当たり」又は「全円すい面当たり」になることが記載されている。
しかしながら、上記記載は、ツールシャンク及びテーパ孔のテーパ角度について、単に、製作時に許容差の範囲の製作誤差が許容されるということを示しているにすぎず、甲第1号証?甲第3号証には、製作誤差が許容されることによりその後ツールシャンク又はテーパ孔を弾性変形させて密着させるのか否かについて何ら記載されていない。
そうすると、甲第1号証?甲第3号証にテーパ角度に関して片側に異なる符号の許容差をもつことが記載されていることをもって直ちに対向間隙Yが両者のテーパ面が密着嵌合した状態でなく両者のテーパが接している状態における寸法であることが明らかであるとすることはできない。
しかも、本件特許明細書には、上記テーパ角度の許容差についての記載は一切なく、特許明細書において対向間隙Yと両突出量α1,α2との関係を決定する上で上記テーパ角度の許容差について考慮されていると認めることもできない。
したがって、請求人が提出した甲第1号証?甲第3号証によっても、特許明細書における「対向間隙Y」が、主軸のテーパ孔に工具ホルダーのテーパシャンク部を密着嵌合した状態における対向間隙を意味するとの判決における認定を覆すに足りるものということはできない。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。

(2)訂正事項b及びcについて
訂正事項aは、上述のとおり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しないから、訂正事項aによる特許請求の範囲の記載の訂正に伴って発明の詳細な説明の記載を訂正するものである訂正事項b及びcも、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当しない。

そして、訂正事項a?cは、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正のいずれを目的とするものにも該当しない。

2.新規事項の有無、
特許明細書の段落【0011】には、「主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができる。」と記載されており、訂正事項a?cは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であり、新規事項の追加に該当するものではない。

3.特許請求の範囲の拡張・変更の適否
上記1(1)に示したとおり、判決の判示するところによれば、特許明細書における「対向間隙Y」は、主軸のテーパ孔に工具ホルダーのテーパシャンク部を密着嵌合した状態における対向間隙を意味すると理解すべきである。しかも、請求人は、前述のとおり上記上申書において、本件特許発明の技術思想がα1+α2=Yとなる態様を含むとの主張を撤回している。
そうすると、訂正前の請求項1において、「両延出量α1,α2の合計が上記許容の対向間隙Yの数値の範囲内で」、すなわちα1+α2<Yであることから、主軸のテーパ孔にテーパシャンク部が密着嵌合した状態では両延出端面1b,5bは吻合しておらず、テーパシャンク部が密着嵌合している状態であるから、工具ホルダーをさらに引き込んで延出端面1bに延出端面5bを密着させることができないことも明らかである。
訂正事項aは、これを「主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができるように」と訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

4.独立特許要件
独立特許要件についても、念のため以下検討する。
訂正後の請求項1には、「上記主軸側端面1aと、これに対向する鍔部端面5aとの夫々を、工業規格で定められた許容の製作誤差Δiの数値より多く延出すると共に、主軸1のテーパ孔2に工具ホルダー3のテーパシャンク部4を密着嵌合させると同時に、主軸1の延出端面1bに工具ホルダー3の延出端面5bを密着させることができるように、互いに対向方向に延出して夫々延出端面1b,5bに形成し、しかして、両延出端面1b,5bが互いに吻合するようにして、主軸1に工具ホルダー3を取付けることが可能となっている」と記載されている。
しかしながら、両延出端面の延出量α1,α2については、訂正明細書の段落【0018】に「尚且つ各延出量α1,α2の合計が上記許容対向間隙Yの範囲内にあることを意味するものである。」と記載されており、しかも、請求人は、前述のとおり上記上申書において、本件特許発明の技術思想がα1+α2=Yとなる態様を含むとの主張を撤回している。
そうすると、密着嵌合した状態における対向間隙を意味する対向間隙Yの範囲内で延出する両延出端面を、どのようにして吻合させるのであるか不明である。
したがって、訂正明細書は、当業者が容易にその実施をすることができる程度にその発明の目的、構成及び効果を記載したものとすることができない。
また、訂正後の請求項1は、両延出端面1b,5bをどのように吻合させるか明確でないから、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものとすることができない。
以上のとおり、訂正後の明細書及び請求項1の記載は、平成5年法律第26号改正前の特許法第36条第4項及び第5項第2項に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおりであり、本件審判請求は、平成6年改正前特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合しないので、本件訂正は認められない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-20 
結審通知日 2006-09-25 
審決日 2006-10-23 
出願番号 特願平4-94526
審決分類 P 1 41・ 855- Z (B23B)
P 1 41・ 853- Z (B23B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 豊原 邦雄
佐々木 正章
鈴木 孝幸
菅澤 洋二
登録日 1996-10-24 
登録番号 特許第2571325号(P2571325)
発明の名称 工具ホルダー取付装置  
代理人 富田 克幸  
代理人 中村 哲士  
代理人 蔦田 正人  
代理人 筒井 豊  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 夫 世進  
代理人 比嘉 廉丈  

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