ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R |
---|---|
管理番号 | 1148960 |
審判番号 | 不服2004-10664 |
総通号数 | 86 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-08-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-20 |
確定日 | 2006-12-06 |
事件の表示 | 特願2000- 24777「IC試験装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月 3日出願公開、特開2001-208797〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成12年1月28日の出願であって、平成16年4月16日付け(発送日:同月20日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月21日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成16年6月21日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年6月21日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.平成16年6月21日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容 本件補正は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲に補正することを含むものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 BGA、CSP又はLSIの電気特性を測定するIC試験装置に おいて、BGA、CSP又はLSIを吸着或いは開放する吸着ヘッドをスライダークラン ク機構で上下動させるピックアンドプレースユニットを備えたことを特徴とするIC試験 装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】BGA、CSP又はLSIの電気特性を測定するIC試験装置において、BGA、CSP又はLSIを吸着或いは開放する吸着ヘッドをスライダークランク機構で上下動させるピックアンドプレースユニットを備え、前記ピックアンドプレースユニットは、上下方向に配設され互いに対向した左右一対のガイドレールと、この一対のガイドレールの対向面に沿って上下動する一対のスライダーと、前記一対のスライダーにそれぞれ取付けられ2個が同時に上下動する一対の前記吸着ヘッドとを有することを特徴とするIC試験装置。」 なお、アンダーラインは、補正箇所を示すために付したものである。 2.本件補正についての当審の判断 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ピックアッププレースユニット」について、「上下方向に配設され互いに対向した左右一対のガイドレールと、この一対のガイドレールの対向面に沿って上下動する一対のスライダーと、前記一対のスライダーにそれぞれ取付けられ2個が同時に上下動する一対の前記吸着ヘッドとを有する」との限定を付加するものである。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められ、特許法第17条の2第4項第2号の規定に該当するものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 (1)引用刊行物 ア 刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-280882号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【特許請求の範囲】【請求項1】ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースの方式において、ICハンドラのアーム(8)にレーザ変位差計(1)を設け、Z方向制御用モータ(2)及びプーリ(4)を設け、Z方向駆動用ボールネジ(3)とシャフト(5)及びバキューム(6)と吸着口(7)を設け、以上の構成を具備することを特徴とする、ICハンドラ上の、被測定ICのピックアンドプレースの方式。」 (イ)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースの方式に関する。 【0002】【従来の技術】ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースの際の被測定ICと収納ケースとの高低段差は機械的に吸収する図2に示す構造であった。ハンドラアームに装着したZ軸方向駆動用シリンダ10にスプリング9を装填した被測定ICのピックアップとプレース用の吸着口7の構成によって、被測定ICの収納ケースの反り、歪みの高低段差を吸収する方式を取った。」 (ウ)「【0006】【実施例】以下本発明の実施例について説明する。 (A)IC位置決めハンドラのアーム8にレーザ変位差計1を設け (B)Z方向駆動用ボールネジ3とZ方向制御用モータ2及びプーリ4を設け (C)シヤフト5とバキューム6及び吸着口7を設け、 本発明は以上のような構造で、被測定ICの位置はICハンドラが決定する、ICハンドラのアーム8に設けられたレーザ変位差計1によって測定のためのピックアップアンドプレースのハンドリングの都度、高さ方向の位置が高精度に決定される。」 イ 刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-94906号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【特許請求の範囲】【請求項1】 テスト回路基板を精密位置決めする位置決め機構及びクランプ機構、テストピンをZ軸方向に移動して前記テスト回路基板に接触させるプローブ上下機構、及び該プローブ上下機構をXY平面上に移動させるXYステージを少なくとも結合する剛構造の支持フレームと、 前記支持フレームを支持する柔構造の外部筐体とを具備したことを特徴とするインサーキットテスタ。 ・・・・ 【請求項9】 前記プローブ上下機構は、 回転運動を直線運動に変換するクロス・スライダ・クランク機構によって前記テストピンを上下させ、該テストピンが前記テスト回路基板に対してソフトランディングを行うことを特徴とする請求項1?8のうちのいずれか1項記載のインサーキットテスタ。 【請求項10】 前記ソフトランディングは、さらに、前記テストピンが前記テスト回路基板に接触する下死点近傍及び上死点近傍における前記回転運動を減速制御することを特徴とする請求項9記載のインサーキットテスタ。」 (イ)「【0083】次に、プローブ上下機構19によるプローブ100の上下機構について説明する。このプローブ100の上下機構は、モータ22の回転運動をプローブ100の上下運動に変換する、いわゆるクロス・スライダ・クランク機構によって達成される。 【0084】プローブ100は、ロッド130に結合し、このロッド130の上下により、上下運動する。ロッド130は、軸方向の動きを許容するスプライン機構140を介して上下運動するとともに、ロッド130に固着されたアーム130aを介してスライダー131に結合する。 【0085】従って、スライダー131がガイド132に沿って上下すると、これに応じてロッド130及びプローブ100が上下する。スライダー131は、横長の開口部131aを有し、この開口部131aには、クランクピン133が挿通され、クランクピン133は、開口部131aの周面に摺接する。クランクバー134は、クランクピン133を軸支するとともに、モータ23の出力軸に軸着される。従って、モータ23の回転は、クランクバー134の回転となり、クランクピン133が所定の半径をもって回転する。 【0086】このクランクピン134の回転によってスライダー131はZ方向の上下運動を行うことになる。このスライダー131の上下運動は、クランクピン133の回転をそのまま上下運動に変換するため、この上下運動の速度は、図23に示すように、時間tの経過とともに、三角関数のいわゆるサイン曲線を描くことなる。従って、上下運動の上限近傍あるいは下限近傍の速度は緩やかになり、特にテストピン20,21がテスト回路基板3の表面に接触する点では、速度がほぼ0になり、テストピン20,21のテスト回路基板3への接触時に生じる衝撃を和らげる、いわゆるソフトランディングを達成することができる。 【0087】特に、このソフトランディングは、クロス・スライダ・クランク機構という機械的な駆動のみによって達成され、ソフトランディングを実現するために特別なモータ制御を行う必要はない。」 (2)対比・判断 刊行物1についての上記「第2」の「2.」の「(1)」の「ア」の「(ア)」ないし「(ウ)」の記載から、以下のことが読み取れる。 ・「(ア)」、「(ウ)」の記載から、刊行物1には、「ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースの方式」、すなわち、ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースを行う機構が開示されている。 ・ICハンドラは、LSI等のICの電気特性を測定するIC試験装置において、被測定ICのハンドリングを行うための機構であるから、上記ICハンドラ上の、被測定ICのピックアップとプレースの機構は、LSI等のICの電気特性を測定するIC試験装置において、被測定ICのピックアップとプレースを行うハンドリング機構であるということができる。また、該ハンドリング機構はIC試験装置に具備されるから、刊行物1には、該ハンドリング機構を備えたIC試験装置が記載されていると認められる。 ・「(ア)」ないし「(ウ)」の記載から、上記ハンドリング機構は、被測定ICのピックアップとプレース用の吸着口を有しており、その機能から見て上記ハンドリング機構が該吸着口を上下動させることは明らかである。 以上のことから、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。 「LSI等のICの電気特性を測定するIC試験装置において、被測定ICのピックアップとプレース用の吸着口を上下動させる被測定ICのピックアップとプレースを行うハンドリング機構を備えたIC試験装置。」 本願補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。 ・刊行物1に記載された発明における「被測定ICのピックアップとプレース用の吸着口」は、LSI等の被測定ICのピックアップとプレース時に被測定ICを吸着または解放するものであることは明らかであるから、本願補正発明における「BGA、CSP又はLSIを吸着或いは開放する吸着ヘッド」に相当する。 ・刊行物1に記載された発明における「被測定ICのピックアップとプレースを行うハンドリング機構」は、吸着口、すなわち、吸着ヘッドを上下動させる被測定ICのピックアップとプレースを行う機構である点で、本願補正発明における「ピックアンドプレースユニット」と共通する。 ・刊行物1に記載された発明における「LSI等のICの電気特性を測定するIC試験装置」は、本願補正発明における「BGA、CSP又はLSIの電気特性を測定するIC試験装置」、「IC試験装置」に相当する。 したがって、本願補正発明と刊行物1に記載された発明とは、 「LSIの電気特性を測定するIC試験装置において、LSIを吸着或いは開放する吸着ヘッドを上下動させる被測定ICのピックアップとプレースを行う機構を備えたIC試験装置。」 である点で一致し、次の相違点で相違する。 [相違点] 被測定ICのピックアップとプレースを行う機構が、本願補正発明では、吸着ヘッドをスライダークランク機構で上下動させるピックアンドプレースユニットであり、該ピックアンドプレースユニットは、上下方向に配設され互いに対向した左右一対のガイドレールと、この一対のガイドレールの対向面に沿って上下動する一対のスライダーと、前記一対のスライダーにそれぞれ取付けられ2個が同時に上下動する一対の前記吸着ヘッドとを有するピックアンドプレースユニットであるのに対し、刊行物1に記載された発明では、このような構成のものではない点。 上記相違点について検討する。 被測定ICに与える衝撃を緩和して被測定ICの破損を防止しようとすることは、例えば、特開平11-344529号公報に示されるように、当該技術分野において周知の課題である。 そして、被駆動体(テストピン20、21)を対象物(テスト回路基板3)に対して上方から当接・離反するように昇降駆動する昇降機構において、被駆動体の対象物への接触時に生じる衝撃を和らげるために、スライダークランク機構により被駆動体を上下動させるようにし、ガイド132と、このガイド132に沿ってクランク機構の駆動により上下動するスライダー131と、該スライダー131に被駆動体を結合させて構成したものが刊行物2に示されており、該刊行物2に記載された発明は、回路の電気特性を測定する試験装置において用いられる昇降機構に関するものである点で刊行物1に記載された発明と共通しており、上記周知の課題と同様の課題を解決するためのものであるから、刊行物1に記載された発明に刊行物2に記載された発明を適用することに困難性はない。そして、その際に、2個の吸着ヘッドを同時に上下動させるものも、例えば、特開平7-239362号公報に示されるように周知であるから、ガイド、スライダー、吸着ヘッドを、それぞれ一対設けて上記相違点のように構成することは当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明の奏する効果は、刊行物1及び刊行物2の記載並びに周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別のものではない。 したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 平成16年6月21日付けの手続補正は、上記のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年3月22日提出の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、上記「第2」の「1.」の「(1)」の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 第4 引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「(1)」に記載したとおりのものである。 第5 本願発明と引用刊行物に記載された発明との対比・判断 本願発明は、本願補正発明から発明を特定するために必要な事項についての上記限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の「(2)」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-10-10 |
結審通知日 | 2006-10-11 |
審決日 | 2006-10-25 |
出願番号 | 特願2000-24777(P2000-24777) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01R)
P 1 8・ 575- Z (G01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武田 知晋 |
特許庁審判長 |
瀧 廣往 |
特許庁審判官 |
濱野 隆 下中 義之 |
発明の名称 | IC試験装置 |
代理人 | 熊野 剛 |
代理人 | 白石 吉之 |
代理人 | 山根 広昭 |
代理人 | 江原 省吾 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 田中 秀佳 |