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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1149105
審判番号 不服2002-7168  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-25 
確定日 2006-12-20 
事件の表示 特願2000-214403「データ記憶媒体処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月13日出願公開、特開2001- 62134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成5年12月28日に出願された特許出願(特願平5-349235号)の一部が特許法第44条第1項の規定により平成12年7月14日に新たな特許出願とされたものであって、平成13年11月29日付けの拒絶理由通知に対し平成14年2月7日付けで手続補正がなされ、平成14年3月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年4月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成14年5月27日付けで明細書に係る手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成14年5月27日付けの手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される「データ記憶媒体処理装置」にあると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
【請求項1】遊技機での遊技に用いる遊技媒体との交換が可能な貨幣およびデータ記憶媒体を受け入れる夫々の受入部と、
上記貨幣の受入部より受け入れた貨幣に対応したデータ記憶媒体を発行するデータ記憶媒体処理手段と、
上記データ記憶媒体の受入部より受け入れたデータ記憶媒体に対してデータの読出しおよびデータの書込みが可能なデータ読出し・書込み手段と、
上記貨幣の受入部より受け入れた貨幣を回収する貨幣回収手段と、
回収した貨幣を収納する群管理装置と、
上記データ読出し・書込み手段によって読み出したデータ若しくは上記データ記憶媒体処理手段によって発行された貨幣に対応するデータを、記憶データとして内部に記憶すると共に、この記憶されたデータの範囲内で遊技媒体を遊技者に貸し出す貸出制御装置へ上記記憶データを供給し、実際に遊技媒体の貸出に供されたデータを減算記憶するデータ記憶制御手段とを備え、
上記データ記憶制御手段は、
貨幣を受け入れたときは、貨幣価値に対応するデータに基づいて記憶したデータの範囲内で遊技媒体データを隣接する遊技機に供給し、
遊技機における遊技終了条件が生じた時点で上記データ記憶制御手段の記憶するデータの残高が「0」以外の場合は、上記データ記憶媒体処理手段により上記データ記憶制御手段が記憶するデータの残高を上記データ読出し・書込み手段によりデータ記憶媒体に書き込み、該データ記憶媒体を遊技者に供給するが、遊技媒体貸出可能なデータの残高が「0」になった時点又は遊技機における遊技終了条件が生じた時点で上記データ記憶制御手段の記憶するデータの残高が「0」の場合は、データ記憶媒体を遊技者に供給しないようにし、
データ記憶媒体を外部より受け入れたときは、記憶したデータの範囲内で遊技媒体データを隣接する遊技機に供給すると共に、遊技媒体データの残高が「0」となった時点または遊技機における遊技終了条件が生じた時点において、上記データ記憶制御手段の記憶するデータの残高に拘わらず、受け入れたデータ記憶媒体に上記残高をデータ読出し・書込み手段により書き込ませて当該データ記憶媒体を遊技者に返却し、
上記貨幣の受入部で受け入れた貨幣を貨幣回収手段で回収して群管理装置内に収納するようにしたことを特徴とするデータ記憶媒体処理装置。

3.引用発明
(1)引用発明1
i.原査定の拒絶理由において引用された、先の出願前に国内において頒布された刊行物である実願平3-4732号(実開平4-95087号)のマイクロフィルム(平成4年8月18日公開、以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
【0007】【実施例】 図1は、遊戯場の設置台1上に、この考案が実施されたメダル貸出機2とスロットマシン3と交互に整列配置した状況を示している。各スロットマシン3は、3個のリール4a,4b,4cを持ち、機械の前面には図柄表示部5,メダル貸与枚数表示器6,メダル投入口7,始動レバー8,3個の停止釦スイッチ9,ゲーム釦スイッチ10,精算釦スイッチ11,メダル受け皿12などがそれぞれ配備されている。
【0018】 図5は、メダル貸出機2の回路構成例を示すもので、制御・演算の主体であるCPU38と、プログラムが格納されるROM39と、ワークエリアとしてのRAM40とでマイクロコンピュータが形成されている。前記CPU38にはI/Oポート41を介して光電センサなどのセンサ群42,送信指令用の押釦スイッチ15,残金表示器14,カード読取器18,紙幣判別器33,カード繰出機構22,紙幣搬送機構28,送信部43などが接続される。
【0020】 図6は、この考案の他の実施例にかかるメダル貸出機2の外観を示している。この実施例は、前記実施例が1000円紙幣のみを受け付けかつ1000円のプリペイドカードのみを発行する構成であるのに対し、5000円紙幣や10000円紙幣も受け付け、また押釦スイッチによる選択操作に応じてプリペイドカードを発行せずに1000円に相当するメダル枚数データを転送したり、或いは預け金額に相当する金額価値のプリペイドカードを発行することを可能としたものである。
【0021】 この実施例では、図2に示す各構成に加えて、預け金額表示器44,カード発行用の押釦スイッチ45,転送指令用の押釦スイッチ46などが設けられている。預け金額表示器44は個々の時点の預け金額を表示する。カード発行用の押釦スイッチ45はプリペイドカードの発行を選択するためのもの、また転送指令用の押釦スイッチ46はプリペイドカードを発行せずに1000円に相当するメダル枚数データを転送することを選択するためのものである。
【0024】 図9は、図2の実施例におけるCPU38によるメダル貸出機2の制御手順を示す。同図のステップ1(図中「ST1」で示す)において、CPU38はプリペイドカードがカード投入口13へ投入されたか否かを判別しており、その判定が「YES」であれば、つぎのステップ2で図示しないカード搬送機構を駆動させてプリペイドカードを取り込み、カード読取器18がそのカードの金額価値を判別する。
【0025】 その金額価値が1000円以上であれば、ステップ3の「残金ありか?」の判定が「YES」となり、CPU38はその金額をRAM40の所定の記憶エリアに記憶させると共に、残金表示器14に残金を表示させる。もしステップ3の判定が「NO」であれば、ステップ5へ進み、プリペイドカードをカード投入口13へ返却させる。
【0026】 ステップ6は、送信指令用の押釦スイッチ15が押されたか否かを判別しており、その判定が「YES」であれば、1000円に相当するメダル枚数データをRAM40の送信エリアに書き込み、その書込データを送信部43より左隣のスロットマシン3の制御回路部へ送信する(ステップ7)。つぎのステップ8ではCPU38はプリペイドカードの残金から1000円を差し引いて新たな金額価値(残金)を算出してRAM40に記憶させる。もし残金が1000円以上あれば、つぎのステップ9の判定は「YES」であり、ステップ4に戻って残金表示器14の表示内容を変更し、送信指令用の押釦スイッチ15の押操作に待機する。
【0030】 図10および図11は、図6に示す実施例におけるCPU38による制御手順を示すが、プリペイドカードがカード投入口13へ投入された場合の制御手順(ステップ1?ステップ9)は図9と同様であり、ここではその説明は省略する。
【0031】 いま貨幣投入口17へ任意の紙幣が投入されると、ステップ10の判定が「YES」となり、CPU38はステップ11で紙幣搬送機構28を駆動させて紙幣を取り込み、紙幣判別器28がその紙幣の真偽や金種を判別する。
【0032】 もし投入紙幣が1000円紙幣、5000円紙幣、10000円紙幣のいずれかであれば、ステップ12の判定が「YES」となり、CPU38は預け金額表示器44にその金額を表示させるが、もしステップ12の判定が「NO」であれば、投入紙幣は貨幣投入口17へ返却される。(ステップ14)。
【0033】 つぎのステップ15はカード発行用の押釦スイッチ45が押されたか否か、ステップ18は転送指令用の押釦スイッチ46が押されたか否かを判別しており、もしステップ15が「NO」、ステップ18が「YES」であれば、CPU38はステップ19で1000円に相当するメダル枚数データをRAM40の送信エリアに転送し、つぎのステップ20で投入紙幣の金額より1000円を差し引いて預け金額を新たに算出し、その値をRAM20の所定エリアに記憶させる。
【0034】 つぎのステップ21は送信指令用の押釦スイッチ15が押されたか否かを判別しており、その判定が「YES」であれば、CPU38は1000円に相当するメダル枚数データを送信部43より特定のスロットマシン3の制御回路部へ送信する(ステップ22)。そして預け金額が存在する場合、つぎのステップ23が「YES」となり、ステップ13へ進み、CPU38は預け金額を預け金額表示器44に表示させてつぎの押釦操作に待機する。
【0035】 つぎにカード発行用の押釦スイッチ45が押されると、ステップ15が「YES」となり、CPU38はカード発行部20のカード繰出機構22を駆動させ、書込ヘッド48により預け金額に相当するプリペイドカードを発行させ、カード放出口16へ放出させる(ステップ16)。この場合はつぎのステップ17の「預け金ありか?」の判定は「NO」となる。

ii.前記摘示の記載及び図面によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「スロットマシンでのゲームに用いるメダルと交換が可能な貨幣およびプリペイドカードの投入を夫々に受け付ける貨幣投入口17およびカード投入口13と、
上記貨幣投入口17より投入された貨幣に対応してプリペイドカードを発行するカード発行部20と、
上記カード投入口13より投入されたプリペイドカードに対して該カードの金額価値の読取りが可能なカード読取器18と、
上記貨幣投入口17より投入された貨幣を回収する紙幣搬送機構28と、回収した貨幣を紙幣収納空間36に収納する貨幣処理部19と、
上記カード読取器18によって読み取ったカードの金額価値が1000円以上であれば(ステップ3)、その金額をRAM40の所定の記憶エリアに記憶させると共に、残金表示器14に残金を表示させ(ステップ3)、送信指令用の押釦スイッチ15が押された場合に(ステップ6)、上記1000円に相当するメダル枚数データをRAM40の送信エリアに書き込み送信部43より特定のスロットマシン3の制御回路部へ送信し(ステップ7)、プリペイドカードの残金から1000円を差し引いて新たな金額価値(残金)を算出してRAM40に記憶させ(ステップ8)、残金が1000円以上あれば(ステップ9)、残金表示器14の表示内容を変更し(ステップ4)、 上記貨幣投入口17より投入された貨幣の投入金額がゲームに必要な1000円、5000円、10000円のいずれかの金額であれば(ステップ12)、該投入金額を預け金額表示器44に表示させると共に(ステップ13)、カード発行用の押釦スイッチ45が押されることなく(ステップ15)、転送指令用の押釦スイッチ46が押された場合に(ステップ18)、1000円に相当するメダル枚数データをRAM40の送信エリアに転送し(ステップ19)、上記1000円を差し引いて新たに算出した預け金額を上記RAM40の所定エリアに記憶させ(ステップ20)、次いで送信指令用の押釦スイッチ15が押された場合に(ステップ21)、上記1000円に相当するメダル枚数データを送信部43より特定のスロットマシン3の制御回路部へ送信し(ステップ22)、上記新たに算出した預け金額が存在する場合には(ステップ23)、該預け金額を上記預け金額表示器44に表示させ、ここで、カード発行用の押釦スイッチ45が押されると(ステップ15)、カード発行部20のカード繰出機構22を駆動させて書込ヘッド48により預け金額に相当するプリペイドカードを発行させ(ステップ16)、あるいは、上記預け金額が存在しない場合には(ステップ23)貨幣投入に基づく制御をエンドとする制御手順を実行する、CPU38とROM39とRAM40とからなるマイクロコンピュータを備え、
カード発行用の押釦スイッチ45が押された時点で上記新たに算出した預け金額が存在する場合は、カード発行部20により上記新たに算出した預け金額に相当するプリペイドカードを発行するが、上記新たに算出した預け金額が存在しない場合は、貨幣投入に基づく制御をエンドとするようにし、
上記貨幣投入口17より投入された貨幣を紙幣搬送機構28で回収して、上記スロットマシン3と交互に整列配置した上記貨幣処理部19の紙幣収納空間36に収納するようにしたプリペイドカード処理装置。」

(2)引用発明2
i.原査定の拒絶理由において引用された、先の出願前に国内において頒布された刊行物である特開平2-264686号公報(平成2年10月29日公開、以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「有価データとセキュリティデータとを少なくとも記憶させたカードと、上記カードの発行、精算を統括するカード発行センターと、上記カードを遊技者に販売するカード販売装置と、上記カードに記憶した有価データの範囲内で遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、上記遊技媒体を投入することにより遊技を行なう遊技機と、上記遊技機で獲得した景品遊技媒体を精算する精算機と、上記カード販売装置と、遊技媒体貸出装置と、遊技機と、精算機とに伝送路を介して電気的に接続され、カードの販売状況、遊技媒体の貸出状況、および獲得遊技媒体の精算状況を演算記憶する管理装置と、上記管理装置で演算された演算結果をカード発行センターへ伝達する伝達手段とを備え、該演算結果に基づき精算を行なうカード式遊技システムであって、上記遊技媒体貸出装置は、カードの有価データを読み取る有価データ読取手段と、一定数の遊技媒体を貸与する遊技媒体排出手段と、カードの有価データから使用有価データを減算する減算手段と、減算手段での演算結果をカードに再記憶する更新手段と、遊技者が貨幣を投入することによりカードの有価データを追加更新する追加更新手段と、使用した有価データおよび追加購入に係る売上げとを管理装置へ伝達する有価データ伝達手段とからなることを特徴とするカード式遊技システム。」(第1頁左下欄第5行?右下欄第17行)、
「玉貸機4は上記パチンコ機5の上部に載置してあり、箱体14の前面に、表示操作部15を有する。表示操作部15には上部にカード2に記憶された有価データの残高を表示する金額表示器16を設け、金額表示器16の下部にはカード挿排口17を開設し、カード挿排口17の右側にはカード2を強制的に返却させるための返却スイッチ18を設け、カード挿排口17の下部には遊技者の選択により有価データの範囲内で球を貸し出す金額を指示するための購入選択スイッチ19が左右に並設してある。この購入選択スイッチ19は、例えば100円、300円、500円用のスイッチからなり、遊技者が所望のスイッチを押すことにより、各スイッチの金額に相当する球が貸し出される。また、表示操作部15の右側には、カード2に記憶された有価データを追加更新するための紙幣を投入する紙幣挿入口20が開設してあり、紙幣挿入口20の下部にはパイロットランプ21が設けてある。箱体14の内部を第3図に示す。箱体14の内部にはカード挿排口17に連通する位置にカードリーダライタ22を、紙幣挿入口20に連通する位置に紙幣識別器24を設けるとともに、玉貸機4の各機器を制御するための制御装置25、球を排出するための球排出装置26が設けてある。また、制御装置25には各玉貸機に固有の台番号を発生するための台番号設定スイッチ27、各機器における異常回復を管理装置8に指示するためのリスタートスイッチ28が設けてある。また、表示操作部15の内側には遊技における効果音等を発生するためのスピーカー29が設けてある。上記した制御装置25は、カード2の読み書きに関する制御を行なうメイン制御装置25aと、これ以外の制御を行なうローカル制御装置25bからなる。」(第3頁右上欄第4行?左下欄第18行)、
「磁気データ記憶部38には、カード2の有効金額を表わす金額データと、カード2の発行金額を表わすカード種別データと、カード2の偽造を防止するためのセキュリティデータを記憶してある。金額データはカード製造時にカード2の有効金額を記憶し、玉貸機4でカードが使用されると、使用金額を減算して再記憶される。」(第4頁右上欄第9?15行)、
「遊技者がカード2をカード挿排口17に挿入すると、挿入検出サンサー45がカード2の先端を検出してメイン制御装置25aに信号を送り、搬送モータ42を作動させてカード2を取り入れ、正常にカード2が取り入れられると、リードライトヘッド47で磁気データ記憶部38のデータを読み取り、」(第6頁左上欄第10?15行)、
「ここで、紙幣挿入口20へ紙幣が挿入された場合には、追加購入処理へ移行する。次いで、カード2に記憶された金額値を確認し、残高がある場合にはカード金額データをローカル制御装置25bへ送信して次の処理へ移行し、残高がない場合にはカード2の外部搬送処理へ移行する。」(第6頁右上欄第3?9行)、
「玉貸し処理では、ローカル制御装置25bで制御する球の排出動作が終了し、購入金額データが送られてくると、カード金額の減算処理を行い、リードライトヘッド47により磁気データ記憶部38の金額を更新し、暗号によって台番号、カード種別、購入金額等のデータを加工し、売上データとして管理装置8へ送信する。」(第6頁左下欄第7?13行)、
「そして、メイン制御装置25aからカード金額データを受け取ると、金額表示器16に金額を表示する。ここで、返却スイッチ18が押されるとカード返却信号をメイン制御装置25aへ送信し、カード金額の確認処理へ戻る。また、紙幣挿入口23へ紙幣が挿入されると、追加購入処理へ移行する。追加購入処理では、紙幣識別器24で紙幣を鑑定し、受入金額をメイン制御装置25aへ送信し、メイン制御装置25aでは追加購入処理を実行する。ここで、メイン制御装置25aからカードリーダライタ22内にカード2がない場合の紙幣返却信号を受信すると紙幣を外部へ搬送する。カードリーダライタ22内にカード2が存在する場合には、金額表示器16に受入金額を加算して表示する。購入選択スイッチ19が操作され、指定された金額に足りる残高が有る場合は、球排出動作に移る。」(第7頁左上欄第8行?右上欄第6行)、
「尚、カード2の返却は購入選択スイッチ19が操作され球が排出される毎ではなく、遊技者が遊技を終了する場合に返却スイッチ18を操作することにより行なってもよい。すなわち、磁気データ記憶部38に記憶された残高の範囲内で球の貸し出しを行ない、各購入毎のデータはRAM60aに記憶しておき、返却スイッチ18が操作された場合に、一活してカード2に更新記憶してもよい。」(第7頁右下欄第9?16行)。

ii.前記摘示の記載及び図面によれば、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「パチンコ機5での遊技に用いる遊技媒体との交換が可能な貨幣およびカード2を夫々に受け入れる紙幣挿入口20およびカード挿排口17と、
上記紙幣挿入口20より受け入れた貨幣に対応して上記カード2の有価データを追加更新すると共に、上記カード挿排口17より受け入れた上記カード2に対してデータの読取りおよびデータの更新が可能なリードライトヘッド47を設けたカードリーダライタ22と、
上記リードライトヘッド47によって読み取ったカード2の磁気データ記憶部38の有価データ若しくは上記紙幣挿入口20より受け入れた貨幣に対応して追加更新されたカード2の有価データを記憶して該有価データをローカル制御装置25bに送信すると共に、実際に遊技媒体の貸出に供された有価データを減算記憶するメイン制御装置25aと、紙幣挿入口20より受け入れた貨幣に対応した有価データを上記メイン制御装置25aに送信すると共に、上記メイン制御装置25aから送信されて追加更新されたカード2の有価データの範囲内で遊技媒体を遊技者に貸し出す球排出装置26を制御するローカル制御装置25bとからなる制御装置25と、を備え、
上記制御装置25は、
貨幣を受け入れたときは、貨幣価値に対応して追加更新されたカード2の有価データの範囲内で遊技媒体を隣接する遊技機に供給し、
カード2をカード挿排口17より受け入れたときは、読み取った有価データの範囲内で遊技媒体を隣接する遊技機に供給すると共に、遊技者が遊技を終了する場合に返却スイッチ18を操作した時点において、上記制御装置25のRAM60aに記憶しておいた実際に遊技媒体の貸出に供された有価データに基づいて、上記カード2の有価データの残高を上記リードライトヘッド47により更新して当該カード2をカード挿排口17から外部へ搬送するようにした玉貸機4。」

4.対比及び判断
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「スロットマシン」、「ゲーム」、「メダル」、「貨幣投入口17」、「プリペイドカード」、「カード発行部20」、「カード読取器18」、「紙幣搬送機構28」、「読み取ったカードの金額価値」、「投入金額」、「制御回路部」、「1000円」、「差し引いて」、「マイクロコンピュータ」、「新たに算出した預け金額」、「新たな金額価値(残金)」、「プリペイドカード処理装置」は、それぞれ、本願発明における「遊技機」、「遊技」、「遊技媒体」、「受入部」、「データ記憶媒体」、「データ記憶媒体発行手段」、「データ読出し手段」、「貨幣回収手段」、「読み出したデータ」、「発行された貨幣に対応するデータ」、「貸出制御装置」、「遊技媒体の貸出に供されたデータ」、「減算」、「データ記憶制御手段」、「遊技媒体貸出可能なデータの残高」、「遊技媒体データの残高」、「データ記憶媒体処理装置」に相当する。
そして、引用発明1が、読み取ったカードの金額をRAM40の所定の記憶エリアに記憶させると共に残金表示器14に残金を表示させる機能、及び、1000円、5000円、10000円のいずれかの金額が投入されると、その投入金額(発行された貨幣に対応するデータ)を預け金額表示器44に表示させる機能を有することからみて、本願発明における、読み出したデータ若しくは発行された貨幣に対応するデータを「記憶データとして内部に記憶する」機能を有していること、引用発明1が、カードの金額価値若しくは投入金額のうちから1000円に相当するメダル枚数データを特定のスロットマシン3の制御回路部へ送信する機能を有することからみて、本願発明における、読み出したデータ若しくは発行された貨幣に対応するデータの「範囲内」で遊技媒体を遊技者に貸出す貸出制御装置へ貸出に供されるデータを供給する機能を有していることは、明らかである。
また、引用発明1における、「新たに算出した預け金額が存在する場合は、これに相当するプリペイドカードを発行する(ステップ16)」ことは、本願発明における、「データの残高が「0」以外の場合は、データ記憶媒体を遊技者に供給する」ことに相当するとともに、引用発明1における、「新たに算出した預け金額が存在しない場合に貨幣投入に基づく制御をエンドとする」(ステップ23)ことは、このときに「プリペイドカードを発行しないようにした」ことが明らかであるから、本願発明における、「遊技媒体貸出可能なデータの残高が「0」になった時点で、データ記憶媒体を遊技者に供給しないようにした」ことに相当する。
さらに、本願発明における「遊技機における遊技終了条件が生じた時点」とは、本願明細書によれば「カード返却スイッチ29が操作された場合」を実施例とすることから、引用発明1における「カード発行用の押釦スイッチ45が押された時点」と、いずれも「カード発行の契機となる条件が生じた時点」で共通している。
さらに、引用発明1における「貨幣処理部19」と、本願発明における「群管理装置」は、いずれも「貨幣収納装置」で共通している。
そうすると、本願発明と引用発明1の両者は、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違するものと認められる。
一致点「遊技機での遊技に用いる遊技媒体との交換が可能な貨幣およびデータ記憶媒体を受け入れる夫々の受入部と、
上記貨幣の受入部より受け入れた貨幣に対応してデータ記憶媒体を発行するデータ記憶媒体処理手段と、
上記データ記憶媒体の受入部より受け入れたデータ記憶媒体に対してデータの読出しが可能なデータ読出し手段と、
上記受入部より受け入れた貨幣を回収する貨幣回収手段と、回収した貨幣を収納する貨幣収納装置と、
上記データ読出し手段によって読み出したデータ若しくは上記データ記憶媒体処理手段によって発行された貨幣に対応するデータを、記憶データとして内部に記憶すると共に、データの範囲内で遊技媒体を遊技者に貸し出す貸出制御装置へ遊技媒体の貸出に供されるデータを供給し、実際に遊技媒体の貸出に供されたデータを減算記憶するデータ記憶制御手段と、を備え、
上記データ記憶制御手段は、
貨幣を受け入れたときは、貨幣価値に対応するデータに基づき、記憶したデータの範囲内で遊技媒体データを隣接する遊技機に供給し、
カード発行の契機となる条件が生じた時点で上記データ記憶制御手段の記憶するデータの残高が「0」以外の場合は、上記データ記憶媒体処理手段により上記データ記憶制御手段が記憶するデータの残高をデータ読出し・書込み手段によりデータ記憶媒体に書き込み、該データ記憶媒体を遊技者に供給するが、遊技媒体貸出可能なデータの残高が「0」になった時点で上記データ記憶制御手段の記憶するデータの残高が「0」の場合は、データ記憶媒体を遊技者に供給しないようにし、
データ記憶媒体を外部より受け入れたときは、記憶したデータの範囲内で遊技媒体データを隣接する遊技機に供給し、
上記貨幣の受入部で受け入れた貨幣を貨幣回収手段で回収して貨幣収納装置内に収納するようにしたデータ記憶媒体処理装置。」
相違点A.データ記憶媒体の受入部より受け入れたデータ記憶媒体に対して読み出したデータ若しくはデータ記憶媒体処理手段によって発行された貨幣に対応するデータについて、本願発明は、上記データを貸出制御装置へ供給するのに対し、引用発明1は、上記データのうちから、所定のデータ(1000円に相当するメダル枚数データ)を貸出制御装置へ供給する点。
相違点B.カード発行の契機となる条件が、本願発明は、遊技機における遊技終了条件が生じた時点であるのに対し、引用発明1は、カード発行用の押釦スイッチ45が押された時点である点。
相違点C.データ記憶媒体を遊技者に供給しない場合として、本願発明は、遊技機における遊技終了条件が生じた状態において、データ記憶制御手段の記憶するデータの残高が「0」の場合を含むのに対し、引用発明1は、前記の場合を含まない点。
相違点D.本願発明は、データ記憶媒体の受入部より受け入れたデータ記憶媒体に対してデータの書込みが可能なデータ書込み手段を備え、データ記憶媒体を外部より受け入れたときは、遊技媒体データの残高が「0」となった時点または遊技機における遊技終了条件が生じた時点において、データ記憶制御手段の記憶するデータの残高に拘わらず、受け入れたデータ記憶媒体に上記残高をデータ書込み手段により書き込ませて当該データ記憶媒体を遊技者に返却するようにしたのに対し、引用発明1は、データ記憶媒体の受入部より受け入れたデータ記憶媒体に対してデータの書込みが可能なデータ書込み手段を備えず、データ記憶媒体を外部より受け入れたときに、遊技媒体データの残高をどのように処理するのか明らかでない点。
相違点E.貨幣回収手段で回収した貨幣を収納する貨幣収納装置として、本願発明は、群管理装置を備えるのに対し、引用発明は、スロットマシン3と交互に整列配置したデータ記憶媒体処理装置に貨幣を収納する貨幣処理部19を有し、上記群管理装置を備えていない点。

(2)判断
i.相違点Aについて
データ記憶媒体発行手段によって発行されたデータを貸出制御装置へ供給する方式として、該発行されたデータの全額を貸出制御装置へ供給するか、あるいは、引用発明1のように、発行されたデータのうちの一部の額を貸出制御装置へ供給するかは、遊技媒体を遊技者に貸出すシステム上の単なる設計的事項(例えば、引用発明2には「カード2の有価データの範囲内で遊技媒体を遊技者に貸し出す球排出装置26を制御するローカル制御装置25bへ上記有価データを供給する」技術が開示されている。)にすぎないから、引用発明1における、発行されたデータのうちの一部の額を貸出制御装置へ供給する方式に代えて、該発行されたデータの全額を貸出制御装置へ供給する方式を採用して、前記相違点Aに係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
ii.相違点Bについて
引用発明1は、カード発行用の押釦スイッチ45が押された時点で、特定のスロットマシン3の制御回路部へ送信した1000円に相当するメダル枚数データを差し引いて新たに算出した預け金額に相当するプリペイドカードを発行するものであるところ、遊技者が遊技を終了するために、前記のようにカード発行用の押釦スイッチ45を押す場合が当然想定されるが、これは、前記に対比したように、本願発明における、遊技機における遊技終了条件が生じた時点と同じことといえる。
そうすると、引用発明1における、カード発行の契機となる条件として、遊技終了時点を想定して、前記相違点Bに係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
iii.相違点Cについて
引用発明1は、遊技データの残高が「0」になった時点で、データ記憶媒体を遊技者に供給しないようにするものであるところ、前記相違点Cに係る本願発明の構成のように、遊技データの残高が「0」か否かの判断を遊技機における遊技終了条件が生じた状態において行うようにすることは、単なる設計的変更にすぎない。
なお、本願発明に係る実施例には、遊技終了条件が生じた状態である、カード返却スイッチ29が操作された状態より以前の段階で、データの残高が「0」であることが判断され、該判断に基づいてカードを発行しないように確定するものが開示されており、相違点Cに係る本願発明の構成は、出願当初の明細書において必ずしも明確に記載されているものではない。
iv.相違点Dについて
本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「カード2」、「紙幣挿入口20、カード挿排口17」、「カードリーダライタ22」、「リードライトヘッド47」、「読み取った磁気データ記憶部38の有価データ」、「貨幣に対応して追加更新されたカード2の有価データ」、「有価データ」、「ローカル制御装置25b」、「制御装置25」、「遊技者が遊技を終了する場合に返却スイッチ18を操作した時点」、「有価データの残高」、「玉貸機4」は、それぞれ、本願発明における「データ記憶媒体」、「受入部」、「データ記憶媒体発行手段」、「データ読出し・書込み手段」、「読み出したデータ」、「発行された貨幣に対応するデータ」、「記憶データ」、「貸出制御装置」、「データ記憶制御手段」、「遊技機における遊技終了条件が生じた時点」、「データの残高」、「データ記憶媒体処理装置」に相当する。
しかして、引用発明2には、遊技機における遊技終了条件が生じた時点において、データ記憶制御手段の記憶するデータの残高に拘わらず、外部より受け入れたデータ記憶媒体に上記残高をデータ書込み手段により書き込ませて当該データ記憶媒体を遊技者に返却するように処理するデータ記憶媒体処理技術が開示されており、前記データ記憶媒体処理技術を遊技機における遊技終了条件が生じた時点のみならず、遊技媒体データの残高が「0」となった時点においても実行することは、外部より受け入れたデータ記憶媒体を用いて遊技した遊技者がデータの残高を所要の時点で確認できるようにするという作用目的に従って、当業者が当然考慮する事項というべきである。
そうすると、引用発明1における、外部よりデータ記憶媒体を受け入れたときにおける残高の処理方式として、同一技術分野に属する引用発明2に示される前記データ記憶媒体処理技術を採用して、前記相違点Dに係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
v.相違点Eについて
ところで、遊技機の技術分野において、複数の遊技機を列設してなる島設備に、貨幣と交換に遊技媒体を遊技者に貸出す玉貸機を並設し、該玉貸機より受け入れた貨幣を回収する貨幣回収手段を設け、該貨幣回収手段にて回収した貨幣を、島の一側に設けた群管理装置内に収納する構成は、周知技術(例えば、特開平3-260790号公報、特開平4-241893号公報、実願平3-42566号〔実開平4-127722号〕のマイクロフイルム参照)であるから、引用発明に示される、データ記憶媒体処理装置における貨幣を収納する構成として前記周知技術を採用して、前記相違点Eに係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
vi.作用効果について
本願発明の作用効果は、引用発明1及び引用発明2並びに周知技術に基づいて当業者が容易に予測できるものである。
vii.まとめ
本願発明は、引用発明1及び引用発明2並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明(引用発明1)及び引用例2に記載された発明(引用発明2)並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-01 
結審通知日 2006-09-26 
審決日 2006-10-10 
出願番号 特願2000-214403(P2000-214403)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 辻野 安人
藤田 年彦
発明の名称 データ記憶媒体処理装置  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  
代理人 加藤 恭介  
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