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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1149597
審判番号 不服2004-17145  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-01-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-18 
確定日 2007-01-04 
事件の表示 平成 6年特許願第 912号「自動焦点調節システムの無限距離検出回路」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 1月10日出願公開、特開平 7- 5357〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成6年1月10日(優先権主張;1993年1月11日 韓国)の出願であって、平成16年5月17日付け(発送日;同月21日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月10日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年9月10日付けの手続補正について
(1)補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】 被写体までの距離により変わる位置検出信号を発生する位置状態検出器から前記位置検出信号を入力して無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する自動焦点調節システム検出回路において、
前記位置検出信号を一端子に入力し、他の端子に第1基準電圧を入力して前記第1基準電圧より大きい位置検出信号のみ増幅する第1の増幅器と、
前記増幅器の出力をコントロールクロックにより前記増幅された位置検出信号をサンプルアンドホールドするサンプルアンドホールダ及び、一端子に前記サンプルアンドホールダの出力を入力し、他の端子に前記第1基準電圧より低い第2基準電圧を入力し、可変抵抗を調節して設定した増幅度により増幅する第2の増幅器を備える、前記増幅度を調節して前記無限距離判定基準信号を発生する無限距離判定基準信号発生器と、
前記第1の増幅器の出力を前記無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する比較器を備えることを特徴とする自動焦点調節システムの無限距離検出回路。」
を、
「【請求項1】 被写体までの距離により変わる位置検出信号を発生する位置状態検出器から前記位置検出信号を入力して無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する自動焦点調節システム検出回路において、
前記位置検出信号を一端子に入力し、他の端子に第1基準電圧を入力して前記第1基準電圧より大きい位置検出信号のみ増幅する第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の出力をコントロールクロックにより前記増幅された位置検出信号の基準レベルをサンプルアンドホールドするサンプルアンドホールダ及び、一端子に前記サンプルアンドホールダの出力を入力し、他の端子に前記第1基準電圧より低い第2基準電圧を入力し、可変抵抗を調節して設定した増幅度により前記サンプルアンドホールダの出力を増幅する第2の増幅器を備える、前記増幅度を調節して前記無限距離判定基準信号を発生する無限距離判定基準信号発生器と、
前記第1の増幅器の出力を前記無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する比較器を備えることを特徴とする自動焦点調節システムの無限距離検出回路。」
と補正する補正事項を含むものである。
なお、アンダーラインは補正箇所を明示するために付したものである。

(2)補正の目的の適合性
上記補正は、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内でなされたものであって、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「サンプルアンドホールダ」について、そのサンプルホールドする内容を「増幅された位置検出信号の基準レベル」とする点を主たる補正内容とするものであるところ、この点は、実質的に拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてなされた明りょうでない記載の釈明と認められるから、上記手続補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第4号に該当するものと認められる。

3.本願発明について
平成16年9月10日付けの手続補正は、上記のとおり適法になされたものと認められるので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年2月20日付け、及び、平成16年9月10日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められる(「2.(1)」の補正後の特許請求の範囲参照。以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

4.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開昭63-1918号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
1a.「通常コンパクトカメラのオートフォーカスにおいては、無限遠の測距対象物に対しては、被写界深度の関係上、レンズの停止位置は必ず最遠段でなくてはならず1ステップの誤差も許されない。ところが現在のところ演算回路で発生するノイズおよびセンサより発生するノイズを総合すると、この限界を越してしまうのが現状であった。・・・本発明の目的は、前述した無限遠の距離測定に関連する問題点を解決することができる無限遠判定回路を備えた距離測定装置を提供することにある。」(2頁左下欄17行?右下欄13行)
1b.「本発明による距離測定装置は、測距対象に向けてパルス光を投射し、反射光のスポットを半導体位置検出装置上に形成し、前記半導体位置検出装置の両端子から取り出される前記光スポットによるパルス光電流をそれぞれ光電流増幅回路により増幅して取り出し、その差をとって前記測距対象までの距離に対応するディジタル出力を得る距離検出装置において、前記光電流増幅回路のどちらか一方の出力が光パルス投射時にある一定電圧以上上昇しない場合、測距対象が無限遠に対応する領域にあるとみなす無限遠判定回路を設け前記領域にあると見なされたときは前記無限遠領域に対応する1つのディジタル出力を出力するように構成されている。」(2頁右下欄15行?3頁左上欄8行)
1c.「コンパクトカメラのオートフォーカスにおいて、多くの場合いわゆるゾーンフォーカスが許容されている。つまりある範囲内の距離に存在する被写体は、同一レンズ位置で撮影する。今ここで問題としている無限距離の被写体を撮影するのと同一のレンズ位置において、9m程度の距離にある被写体も撮影する・・・いいかえると9m以遠の被写体に対しては、すべて無限遠とみなしてもさしつかえないということである。第1図に示す回路は以上の考え方を基礎にして構成されたものである。無限遠判定回路のサンプルホールド回路5は、光電流増幅回路IIの対数圧縮電圧変換回路16の出力V2+ΔV2を、光パルスが入射しないときに(つまり出力はV2である)サンプルホールドする。無限遠判定回路の加算回路6は、これに一定電圧VAを加算する。パルス光が入射した時に、光電流増幅回路IIの出力はV2+ΔV2となる。無限遠判定回路の比較回路7は前記V2+ΔV2と加算回路6の出力V2+VAとを比較する。
V2+ΔV2<V2+VAの関係が成立するとき、これを無限遠とみなし、ディジタル測距出力を最遠段とするのである。また同時にこの結果をラッチして出力する。
V2+ΔV2>V2+VAの場合には通常の測距結果が出力される。」(3頁右上欄13行?右上欄2行)
1d.「したがって、入力のない無限遠測距において、様々なノイズにより最遠段をとびこしてしまうような場合を防止することができる。前記距離検出装置をカメラのオートフォーカスに利用することにより、鮮明な写真が得られることが期待される。」(4頁右上欄15行?20行)

5.対比・判断
上記「4.」の「1a.」乃至の「1d.」の記載からみて、引用刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「測距対象に向けてパルス光を投射し、反射光のスポットを半導体位置検出装置上に形成し、前記半導体位置検出装置の両端子から取り出される前記光スポットによるパルス光電流をそれぞれ光電流増幅回路により増幅して取り出し、その差をとって前記測距対象までの距離に対応するディジタル出力を得るオートフォーカスに設けられ、
前記半導体位置検出装置の端子の出力を入力する前記光電流増幅回路の、光パルスが入射しないときの出力V2をサンプルホールドするサンプルホールド回路5と、前記サンプルホールド回路5の出力V2に一定電圧VAを加算する加算回路6と、パルス光が入射したときの前記光電流増幅回路の出力V2+ΔV2と、前記加算回路6の出力V2+VAとを比較し、V2+ΔV2<V2+VAの関係が成立するとき、無限遠として検出する比較回路7とを備えたオートフォーカスの無限遠判定回路。」

そこで、本願発明(前者)と上記引用発明(後者)とを対比する。
・後者の、「測距対象」、「半導体位置検出装置」、「半導体位置検出装置の両端子から取り出される光スポットによるパルス光電流」、「オートフォーカス」は、それぞれ、前者の、「被写体」、「位置状態検出器」、「位置検出信号」、「自動焦点調節システム」に相当する。
・後者の「半導体位置検出装置の端子の出力を入力する光電流増幅回路」は、半導体位置検出装置の端子から取り出されるパルス光電流を増幅するものであるから、上記相当関係も勘案すれば、前者の、位置検出信号を入力して増幅する「第1の増幅器」と、「位置検出信号を入力して増幅する増幅手段」である点で共通する。
・後者の「光パルスが入射しないときの出力V2」は、前者の「増幅された位置検出信号の基準レベル」に相当し、後者の「サンプルホールド回路5」は、この出力V2をサンプルホールドするためのものであり、また、通常サンプルホールドがサンプリングクロックのタイミングでなされることを考慮すれば、前者の「コントロールクロックにより増幅された位置検出信号の基準レベルをサンプルアンドホールドするサンプルアンドホールダ」に相当する。
・後者の「加算回路6」は、サンプルホールド回路5の出力V2に一定電圧VAを加算した加算出力を得るためのものであり、その加算出力は、パルス光が入射したときの光電流増幅回路の出力と比較して無限遠判定を行うための基準として用いられるものであるから、上記相当関係も勘案すれば、前者の「一端子に前記サンプルアンドホールダの出力を入力し、他の端子に前記第1基準電圧より低い第2基準電圧を入力し、可変抵抗を調節して設定した増幅度により前記サンプルアンドホールダの出力を増幅する第2の増幅器を備える、前記増幅度を調節して無限距離判定基準信号を発生する無限距離判定基準信号発生器」と、「サンプルホルダの出力を受けて無限距離判定基準信号を発生する無限距離判定基準信号発生手段」である点で共通する。
・後者の「比較回路7」は、前者の「比較器」に相当する。
・後者の「無限遠判定回路」は、前者の構成要素と相当関係及び対応関係にある上記各回路から構成され、パルス光が入射したときの光電流増幅回路の出力と加算回路6の出力との間に所定の関係が成立するときに無限遠として検出するものであるから、前者の「自動焦点調節システム検出回路」及び「自動焦点調節システムの無限距離検出回路」に相当する。
したがって、両者は、
「被写体までの距離により変わる位置検出信号を発生する位置状態検出器から前記位置検出信号を入力して無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する自動焦点調節システム検出回路において、前記位置検出信号を入力して増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力をコントロールクロックにより前記増幅された位置検出信号の基準レベルをサンプルアンドホールドするサンプルアンドホールダ及び、前記サンプルホルダの出力を受けて無限距離判定基準信号を発生する無限距離判定基準信号発生手段と、前記増幅手段の出力を前記無限距離判定基準信号と比較して無限距離を検出する比較器を備えることを特徴とする自動焦点調節システムの無限距離検出回路。」
の点の構成で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
増幅手段に関して、前者が、位置検出信号を一端子に入力し、他の端子に第1基準電圧を入力して前記第1基準電圧より大きい位置検出信号のみ増幅する第1の増幅器を用いているのに対し、後者には、光電流増幅回路についてこのような構成の記載がない点。
[相違点2]
無限距離判定基準信号発生手段に関して、前者の無限距離判定基準信号発生器が、一端子にサンプルアンドホールダの出力を入力し、他の端子に第1基準電圧より低い第2基準電圧を入力し、可変抵抗を調節して設定した増幅度により前記サンプルアンドホールダの出力を増幅する第2の増幅器を備えているのに対し、後者は、サンプルホールド回路5の出力V2に一定電圧VAを加算する加算回路6を設けている点。

上記各相違点について検討する。
[相違点1]について
非反転増幅器の非反転入力端に信号を入力し、反転入力端に抵抗を介して基準電圧を接続するとともに、出力を抵抗を介して帰還することにより、出力を所定の増幅率で増幅することは、例えば、特開昭63-182633号公報(特に、第1図の「増幅器91」及び6ページの関連する説明参照。)、特開平4-248452号公報(特に、図1の「非反転増幅器11」参照。)に示されるように従来周知である。また、「第1基準電圧より大きい位置検出信号のみ増幅する」点については、「増幅」が、増幅器の出力電圧を入力電圧よりも大きな値とすることを意味するものであり、このためには、位置検出信号を第1基準電圧より大きくしなければならないことは、回路動作上明らかなことであるから、この点に格別の特徴は認められない。
したがって、相違点1に係る構成は、上記のような周知の事項を勘案すれば、格別のものとは認められず、引用発明に周知事項を適用して相違点1に係る構成とすることは、当業者が格別の推考力を要することとは認められない。
[相違点2]について
引用発明の加算回路6は、どの程度の距離以遠をすべて無限遠とみなすかに応じて適宜定められた一定電圧VAを入力電圧に対して加算し、その出力を無限遠判定を行うための基準として用いるものである。
そして、入力電圧に応じて出力電圧を増加させるための回路として、加算回路とともに増幅回路は慣用されており、反転入力端に抵抗を介して基準電圧を接続するとともに、出力を抵抗を介して帰還することにより、非反転入力端に与えられる入力信号を、可変抵抗を調節して設定した増幅度により増幅を行う非反転増幅器も、従来周知(例えば、実願昭53-145143号(実開昭55-61316号)のマイクロフィルム[特に、第2図に示される従来例]参照。)であることを勘案すれば、引用発明の加算回路6に代えて可変抵抗を調節して増幅度を可変にした本願発明のような増幅器を用いることに格別の困難性は認められない。なお、第2の基準電圧を第1の基準電圧より低く設定する点については、上記「[相違点1]について」において指摘したことと同様に、この種の増幅器において当然必要となる設計事項を記載したものにすぎず、格別のものとは認められない。

そして、本願発明による効果も、引用刊行物の記載及び周知事項から当業者が予測しうる範囲内のものにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-31 
結審通知日 2006-08-04 
審決日 2006-08-21 
出願番号 特願平6-912
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 卓弥大和田 有軌  
特許庁審判長 上田 忠
特許庁審判官 後藤 時男
下中 義之
発明の名称 自動焦点調節システムの無限距離検出回路  
代理人 小堀 益  
代理人 堤 隆人  
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