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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1149604
審判番号 不服2004-19552  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-01-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-22 
確定日 2007-01-04 
事件の表示 平成 9年特許願第162269号「携帯機器の充電構造」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月12日出願公開、特開平11- 8669〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年6月19日の出願であって、平成16年8月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成18年8月16日付けで当審より拒絶理由通知がなされ、同年10月17日に意見書が提出されたものである。

2.本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成15年9月19日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「操作面を上にした状態で充電台に載置することにより、充電状態での操作を可能とする携帯機器の充電構造において、
上記充電台の載置面に、第1の凸部を、載置面の長手方向に対して直交する短手方向に複数設ける一方、
上記携帯機器における操作面の反対側の面に、上記複数の第1の凸部にそれぞれ嵌合する第1の凹部を複数設け、
上記充電台の充電端子が設けられた面に、第2の凸部を設ける一方、
上記携帯機器の充電端子が設けられた面に、上記第2の凸部に嵌合する第2の凹部を設けたことを特徴とする携帯機器の充電構造。」

(2)引用例
(あ)引用例1
当審の拒絶理由通知で引用された特開平8-46671号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.「【0027】図1ないし図3において、1はハンドセット、2はハンドセット1を載置する充電台、3は家庭用コンセントから導かれる交流電源である。
【0028】ハンドセット1について説明すると、正面側の上下両側部に通話音を出力するレシーバ等の受話器4と、通話音を入力するマイク等の送話器5が設けられ、正面側の中間部にダイヤル操作等を行うキー操作部6が設けられている。受話器4はやや前方へ突出され、上部背面側は上端側に至るに従い、次第に正面側へ湾曲されている。背面側の受話器4側寄り位置にはハンドセット1から離れた所でも通話音を聞くことを可能とする拡声用スピーカ7が設けられている。送話器5側の端面(底面)8の内側には充電用の二次コイル9が設けられている。内蔵された充電式電池10は二次コイル9と交流電圧を整流する整流平滑回路11により接続されている。
【0029】充電部2について説明すると、上部にハンドセット収納用の凹部12が形成されている。凹部12における受話器4を収納する側の底面13は受話器4の後方を収納する側の底面14より深くなるように形成されている。送話器収納側でハンドセット51の端面(底面)8と対向する壁面15は上方開放端側に至るに従い、やや外方へ向かって傾斜するように形成されている。底面13および底面14は壁面15から対向する壁面16側に至るに従い、次第に上方に緩やかに傾斜され、底面14における底面13側寄り位置と壁面15側寄り位置の側方に各一対の支持突起17a、17bと18a、18bが一体に設けられている。各組の支持突起17a、17bと18a、18bは底面13の中心側に至るに従い、対称的に次第に低くなるように傾斜されている。そして、ハンドセット1はキー操作部6を下向きにした通常の姿勢で凹部12に収納され(図1参照)、このとき、ハンドセット1における正面側の送話器5寄り位置19が支持突起17a、17b上に載り、受話部20が底面13上に載り、安定状態に支持されるとともに、底面13、14の傾斜により全体が傾斜されて端面(底面)8が壁面15に接触される。またはキー操作部6を上向きにした裏返し(逆向き)の姿勢で凹部12に収納され(図3参照)、このとき、ハンドセット1における背面側の送話器背方位置21と中間部22が支持突起17a、17bと18a、18bの上に載り、安定状態に支持されるとともに、底面14の傾斜により全体が傾斜されて端面(底面)8が壁面15に接触され、拡声用スピーカ7が底面13の上方に離隔されるように設定されている。壁面15の内側にはハンドセット1側の二次コイル9に対応し、電磁結合するための一次コイル23が設けられている。この一次コイル23は上記のようにハンドセット1が凹部12に通常の姿勢と上下逆向きの裏返しの姿勢で選択的に載置されてもハンドセット1の二次コイル9と電磁結合されるように設定されている。また、交流電源3を整流する整流回路24と、整流回路24から出力された電圧を調整するスイッチング回路25と、スイッチング回路25からの出力を交流電圧に変換し、一次コイル23へ供給する発振回路26が設けられている。」(第4頁5?6欄、段落27?29)

b.「【0032】図3に示すように、ハンドセット1をキー操作部6が上向きとなる裏返しの姿勢で充電部2の凹部12に収納し、上記のようにハンドセット1における背面側の送話器背方位置21と中間部22を支持突起17a、17bと18a、18bの上に乗せ、端面(底面)8と壁面15に接触させ、一次コイル23と二次コイル9とを電磁結合させることができる。これにより上記と同様に、電池10に充電することができる。
【0033】そして、ハンドセット1を充電部2から取り上げれば、受話器4と送話器5を使用して通常の電話機として利用することができ、ハンドセット1を充電部2に載置したままの状態で、電話機本体から内線通話で直接呼びかけがあると、拡声用スピーカ7を通して受話し、送話器5により送話することができる。
【0034】また、ハンドセット1を充電部2へ載置したままの状態で、キー操作部6をダイヤル操作することにより、ハンドセット1を充電台2から取り外すことなく、拡声用スピーカ7を通して受話し、送話器5により送話することができる。このとき、ハンドセット1は上記のように底面14の傾斜により全体が傾斜されて拡声用スピーカ7が底面13の上方へ隔離されるので、拡声用スピーカ7からの音が底面13で反射し、音響特性が従来のコードレス電話装置より優れたものとなる。」(第4頁6欄?第5頁7欄、段落32?34)

上記摘記事項a.?b.及び図3の記載から、キー操作部が設けられているハンドセットの面は「操作面」といえる。

よって、上記摘記事項a.?b.の記載、関連する図面及びこの分野の技術常識を考慮すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明1」という。)
「操作面を上にした状態で充電台に載置することにより、充電状態での操作を可能とするハンドセットの充電構造において、
上記充電台の底面14に、支持突起17a,17b,18a,18bを、底面13側寄り位置と壁面15側寄り位置の側方に複数設ける一方、
上記ハンドセットにおける操作面の反対側の面に、上記複数の支持突起にそれぞれ載る送話器背方位置と中間部とを複数設けたハンドセットの充電構造。」

(い)引用例2,3
当審の拒絶理由通知で引用された特開平5-95394号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項c.が、同じく当審の拒絶理由通知で引用された特開平1-314055号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項d.が記載されている。
c.「【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話機はセルラー式電話のサービス地域の拡大等に伴い、その利用者は急増してきている。また、携帯電話機の普及にともない携帯電話機をあたかも自動車電話機のごとく使用可能とするための携帯電話機用車載ホルダーも普及してきている。
【0003】以下、従来の携帯電話機および携帯電話機用車載ホルダーについて図9?図17を参照しながら説明する。図に示すように、携帯電話機の本体11に受話口12,送話口13,操作部14および各種情報を表示する表示部15と伸縮自在に構成されたアンテナ16を設けている。
【0004】そして、本体11の裏側に設けられる携帯時の電源となる蓄電池パック17の装着部には、第1の凹部18と、第2の凹部を有した突起部19と、この突起部19の近傍に電気的に接続される接続端子20を設け、前記蓄電池パック17には前記第1の凹部18に嵌合する爪部21と、突起部19に設けられた第2の凹部に嵌合する形状の爪部を有する蓄電池着脱ボタン22を設けている。
【0005】また、蓄電池パック17には電源端子23を設け、本体11には車載ホルダー24との信号の授受および電源の供給を受けるインターフェイスコネクタ25を設けている。そして、本体11を車載ホルダー24に固定するための第3の凹部26を本体11に設け、本体11を車載ホルダー24に固定するため蓄電池パック17に第4の凹部27を設けている。
【0006】また、前記インターフェイスコネクタ25と接続されるインターフェイスプラグ28をカールコード29を介して車載ホルダー24に接続する。そして、自動車に取り付けられたアンテナや自動車の蓄電池と接続される接続コネクタ30を車載ホルダー24に設け、本体11に形成された第3の凹部26に嵌合する板ばねにより形成された本体保持部材31と、蓄電池パック17に形成された第4の凹部27と嵌合する形状を有する爪部32と、蓄電池パック17の電源端子23に対して電源を供給する電源供給端子33を設けている。
・・・(中略)・・・
【0010】そして、携帯電話機本体11を自動車内にて使用する場合は、予め車載ホルダー24および外部アンテナなどをそれぞれ車内の操作性の良い場所および自動車のボディに固定しておき、接続コネクタ30に対しケーブル配線を行っておく。その後、携帯電話機本体11を車内に持ち込み、インターフェイスプラグ28をインターフェイスコネクタ25に挿入し、第4の凹部27を爪部32に合わせ、携帯電話機本体11を車載ホルダー24に押しつける。その結果、携帯電話機保持部材31が第3の凹部26に嵌合し、携帯電話機本体11は車載ホルダー24に保持される。保持された携帯電話機本体11は携帯電話機保持部材31のばね性により通常の振動などでは車載ホルダー24より容易に離脱しない。この状態を図13に記した。また、携帯電話機本体11,蓄電池パック17,車載ホルダー24の電源接続構造は図14,図15,図16に示す通りであり、携帯時に於いては図15に示すように充電された蓄電池本体36より電源端子23,接続端子20を介して携帯電話機本体11のプリント基板34に電源が供給される。車載時はインターフェイスコネクタ25にインターフェイスプラグ28を接続することにより、携帯電話機本体11内の回路は接続端子20からの電源供給をリレーで切り離し、カールコード29,インターフェイスプラグ28,インターフェイスコネクタ25を通じて車載ホルダー24からの電源供給を受け動作する。しかしながら次の携帯時のため蓄電池本体36を充電する必要があり、図16に示すように充電回路を有した車載ホルダー24のプリント基板37より電源供給端子33,電源端子23を介して蓄電池本体36の充電が行われる。」(引用例2、第2頁1?2欄、段落2?10)

d.「[発明の実施例]
この発明の一実施例を第1図?第4図について説明する。第1図は電話機を載置台に置く前の状態を示す斜視図、第2図は電話機を載置台に置いた状態でかつ第1図の線II-IIの断面図、第3図は第2図の丸印IIIの部分拡大図、第4図は第2図の丸印IVの部分拡大図であり、前記従来装置と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。図において、(7)は載置台(2)の前方凹部(2a)に後向きに設けた突起、(8)は載置台(2)の前方凹部(2a)に前向きに設けた突出ロック片で、ばね(8a)に抗して載置台(2)内に没入するようになっている。(9)は載置台(2)の前方凹部(2a)の底面に設けた弾性を有する緩衝材、(10)は電話機(1)の前方凸部(1a)に設けた第1の凹部で、突起(7)が係合する。(11)は電話機(1)の前方凸部(1a)に設けた第2の凹部で、突出ロック片(8)が係合する。(12)はリフターで、スプリング(12a)により電話機(1)の中腹部を押し上げている。(13)は防振パッドで、電話機(1)の後方凸部(1b)と対接している。(14)は位置決め突起で、電話機(1)の溝(15)と係合している。」(引用例3、第2頁左下欄5行?同頁右下欄7行、なお、引用例3の原文においては、II、III、IVはローマ数字の2,3,4で記載されている。)

よって、上記摘記事項c.?d.の記載、関連する図面及びこの分野の技術常識を考慮すると、引用例2,3には、次の周知技術が開示されているものと認められる。
「携帯機器を載置するものにおいて、一つの凸部と一つの凹部が嵌合する嵌合構成を複数設けること。」

(う)引用例4
当審の拒絶理由通知で引用された特開平7-23087号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに次の事項e.が記載されている。
e.「【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0008】図1は本発明の一実施例に係る電話機保持装置の構成図、図2(a)及び図2(b)は本発明の一実施例に係る電話機保持装置に載置する子機の構成図、図3(a)及び(b)は本発明の一実施例に係る電話機保持装置に子機を載置した場合の態様を示す図である。図1に於いて、3は電話機保持装置、4は電話機保持装置3に於いて、子機6の受話部と送話部が当接する部分の間に設けられた凸部、5は凸部4に設けられた突起部である。図2に於いて、6は子機、7は子機6の裏側に設けられた凹部であり、通常TELカード等を組み込んである。
・・・(中略)・・・
【0010】図3(b)は子機6の表側を上にして電話機保持装置3に載置した場合の図であり、子機6の裏側にある凹部7に突起部5を嵌合させることによって、子機6の安定性を確保している。また、子機6はその表側に向かって湾曲しているので、電話機保持装置3に載置した場合、子機6の受話部が上方にせり上がるため、子機6の取り出しが容易である。
【0011】
【発明の効果】以上の説明のように、電話機保持装置に子機の表側を上にして載置した場合でも子機の受話部を持って取り出し易くなるとともに、前記凸部に設けられた突起に子機の裏側に設けられた凹部を引っかけることにより、安定して電話機保持装置に載置することができる。」(第2頁1?2欄、段落7?11)

上記摘記事項e.および関連する図面の記載から、凸部に子機を載置していることから、該凸部の表面は子機を載置するための載置面であり、電話機保持装置は子機を保持する保持台であるといえ、該凸部は該電話機保持装置に設けられているから、該載置面は保持台の載置面といえる。
上記摘記事項e.の段落10および関連する図面の記載から、子機は携帯機器であるといえる。

よって、上記摘記事項e.の記載、関連する図面及びこの分野の技術常識を考慮すると、引用例4には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明4」という。)
「保持台の載置面に、突起部を、載置面の長手方向に対して直交する短手方向に複数設ける一方、携帯機器における操作面の反対側の面に、上記複数の突起部に嵌合する凹部を設けた携帯機器の保持構造。」

(え)引用例5
当審の拒絶理由通知で引用された特開平8-154342号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに次の事項f.が記載されている。
f.「【0013】
【実施例】以下、図1乃至図4に従って本発明の実施例について詳細に説明する。尚、図1乃至図4において、図5乃至図8と共通する部分については共通の符号を付してある。
【0014】充電器11の外装ケース12,13は共に合成樹脂の成型品からなり、その一方の外装ケース12に載置面(機器載置面)14及び立ち上がり壁15を有する。上記載置面14は立ち上がり壁15に向かって全般に下がり傾斜する一方、立ち上がり壁15は上方に向かって稍外側に傾斜している。又、立ち上がり壁15の左右は載置面14の左右両側辺に沿って延長しており、この延長部分はガイド部15a,15aとして機能する。
【0015】而して、このような充電器11の立ち上がり壁15には一対の給電端子17間の中間位置でかつ給電端子17よりも上方位置において幅狭のガイドリブ19を有する。このガイドリブ19は外装ケース12に合成樹脂で一体に成形されるものであって、その上縁は先端に向かって下がり傾斜し、下縁は先端に向かって上がり傾斜する。又、上記ガイドリブ19は少なくとも給電端子17の先端を通る垂線位置まで突出させることが望ましい。
【0016】他方、子機(電気機器)1の外装ケース2,3は共に合成樹脂の成型品からなり、外装ケース3には子機1の底面に位置するようにスリット状の凹部20を一体に成形する。而して、この凹部20には、子機1を充電器11上に載置したときにガイドリブ19が嵌まり込むようになされている。
【0017】上記の構成において、子機1を充電器11上に載置すると、子機1は図1及び図2に破線で示すように外装ケース2の底部角部がガイドリブ19に乗り上げ、そのガイドリブ19の上縁の傾斜に沿って滑り落ちる形で載置面14に達し、その後、載置面14の傾斜に沿って立ち上がり壁15の方向にずらせてやると、図1及び図2に実線で示すようにガイドリブ19が凹部20に嵌まり込む一方、充電端子7が給電端子17に接触することになり、この状態で二次電池8の充電が行われる。尚、ガイドリブ19と凹部20との嵌まり込みは、子機1に対してガイド部15a,15aが機能するため、確実かつ容易に行われる。
【0018】而して、この状態では、二次電池8の重量によって子機1が載置面14の傾斜に沿って立ち上がり壁15方向に滑ろうとする力が働き、かつ給電端子17には板バネ16の付勢力が作用することにより、充電端子7と給電端子17との接触は安定した状態で保持される。
【0019】子機1を充電器11上より取り上げる場合は、子機1の受話部5側を先に浮かすように持ち上げれば、ガイドリブ19の下縁の傾斜と相俟って、ガイドリブ19に引っ掛かることなく行える。
【0020】尚、上記実施例では、コードレス電話機の子機充電装置を挙げて説明したが、コードレス電話機に限らず、充電器に対して頻繁に載脱する電気機器であれば、本発明を実施して好ましい結果を得ることができる。」(第3頁3?4欄、段落13?20)

上記摘記事項f.および関連する図面の記載からみて、充電器は子機を載置する台であるといえる。
上記摘記事項f.および関連する図面の記載からみて、ガイドリブは凹部に嵌り込むものであるから、凸部といえる。
上記摘記事項f.の段落20から、子機は携帯機器であるといえる。

よって、上記摘記事項f.の記載、関連する図面及びこの分野の技術常識を考慮すると、引用例5には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明5」という。)
「充電台の給電端子が設けられた面に、凸部を設ける一方、
携帯機器の充電端子が設けられた面に、上記凸部に嵌合する凹部を設けた携帯機器の充電構造。」

(3)対比
引用発明1の「ハンドセット」は、本願発明の「携帯機器」に相当し、引用発明1の「上記充電台の底面14に、支持突起17a,17b,18a,18bを、底面13側寄り位置と壁面15側寄り位置の側方に複数設ける一方、上記ハンドセットにおける操作面の反対側の面に、上記複数の支持突起にそれぞれ載る送話器背方位置と中間部とを複数設けた」構成と本願発明の「上記充電台の載置面に、第1の凸部を、載置面の長手方向に対して直交する短手方向に複数設ける一方、上記携帯機器における操作面の反対側の面に、上記複数の第1の凸部にそれぞれ嵌合する第1の凹部を複数設け、上記充電台の充電端子が設けられた面に、第2の凸部を設ける一方、上記携帯機器の充電端子が設けられた面に、上記第2の凸部に嵌合する第2の凹部を設けた」構成はともに、携帯機器の支持構成である点で一致するから、両者は、
「操作面を上にした状態で充電台に載置することにより、充電状態での操作を可能とする携帯機器の充電構造において、
携帯機器の支持構成を設けたことを特徴とする携帯機器の充電構造。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
「携帯機器の支持構成」に関し、本願発明は「上記充電台の載置面に、第1の凸部を、載置面の長手方向に対して直交する短手方向に複数設ける一方、上記携帯機器における操作面の反対側の面に、上記複数の第1の凸部にそれぞれ嵌合する第1の凹部を複数設け、上記充電台の充電端子が設けられた面に、第2の凸部を設ける一方、上記携帯機器の充電端子が設けられた面に、上記第2の凸部に嵌合する第2の凹部」であるのに対し、引用発明1は充電台の底面14に、支持突起17a,17b,18a,18bを、底面13側寄り位置と壁面15側寄り位置の側方に複数設ける一方、ハンドセットにおける操作面の反対側の面に、上記複数の支持突起にそれぞれ載る送話器背方位置と中間部とを複数設けた構成である点

(4)判断
上記相違点について検討する。
一つの凸部と一つの凹部が嵌合する嵌合構成を設ければ設けるほどガタつきがなくなることは当然のことであって、携帯機器を載置するものにおいて、一つの凸部と一つの凹部が嵌合する嵌合構成を複数設けることは、引用例2,3に開示されているように周知技術であるから、引用発明1に携帯機器の載置構造における嵌合構成である引用発明4,5を適用し本願発明のように構成することは、当業者が容易になし得ることである。

請求人は平成18年10月17日付けの意見書で「上記充電台の載置面に、第1の凸部を、載置面の長手方向に対して直交する短手方向に複数設ける一方、上記携帯機器における操作面の反対側の面に、上記複数の第1の凸部にそれぞれ嵌合する第1の凹部を複数設ける」という構成が引用例4には開示も示唆もない旨主張しているが、一つの凸部と一つの凹部が嵌合する嵌合構成は上記引用例2,3に開示されているように周知技術であるから、引用発明1に引用発明4を適用する際に、引用発明4の複数の凸部と一つの凹部を、複数の凸部と複数の凹部とする程度のことは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。

また、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明1,4,5および周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1,4,5および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-01 
結審通知日 2006-11-07 
審決日 2006-11-21 
出願番号 特願平9-162269
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 博之山田 洋一  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 宮下 誠
中木 努
発明の名称 携帯機器の充電構造  
代理人 佐野 静夫  

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