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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B44C
管理番号 1149606
審判番号 不服2004-20413  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-02-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-31 
確定日 2007-01-04 
事件の表示 特願2001-274305「人工石」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月13日出願公開、特開2003- 39897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成13年7月26日の出願であって、平成16年7月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成16年8月31日付け(差出日)で審判請求がなされた。そして、当審において平成18年7月11日付けで拒絶理由を通知したが、請求人からは何らの応答もない。

そして、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
ガラス、あらゆる金属(さびどめを成品の表面に必要)、合成樹脂こまかな砂(接着剤をまぜる必要)などを基材とし、原形的成形物の形は三角形立体、四角形立体、五角形立体、球体又円や三角形、四角形、多角形、無形などの平たいものを母体とする立体を用いる。この人工石には表層に出張りとへっこみによって、例えば貨幣の表層の模様のように、美的デザインや幾何学的模様をほどこし、硬化成形型で造られる大量生産できる人工石。」

2.引用刊行物
これに対し、当審で通知した上記拒絶理由に引用した、本願出願前に頒布された刊行物1乃至3は、次のとおりである。
刊行物1:特開昭49-31834号公報
刊行物2:実願平3-45261号(実開平4-128815号)のマイクロフィルム
刊行物3:特開昭47-30580号公報

このうち、刊行物1の記載された事項を本願発明に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認める。
「天然石の微粉、細石を基材としている。この人造石には表層に凹凸によって、天然石状に模様をほどこし、硬化成形型で造られる人造石。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。

3.対比
そこで、本願発明1と刊行物1記載の発明と対比するに、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

<相違点1>
本願発明は、人工石であるが、刊行物1記載の発明は、人造石である点。
<相違点2>
本願発明は、基材を「ガラス、あらゆる金属(さびどめを成品の表面に必要)、合成樹脂こまかな砂(接着剤をまぜる必要)など」と特定しているのに対し、刊行物1記載の発明では、「天然石の微粉、細石」と特定されている点。
<相違点3>
本願発明では、「原形的成形物の形は三角形立体、四角形立体、五角形立体、球体又円や三角形、四角形、多角形、無形などの平たいものを母体とする立体を用いる。」とされているのに対して、刊行物1記載の発明では、原型的成型物の形状が特定されておらず、最終的な成型物を天然石状の人造石と特定している点。
<相違点4>
本願発明では、「表層に出張りとへっこみによって、例えば貨幣の表層の模様のように、美的デザインや幾何学的模様をほどこ」しているのに対して、刊行物1記載の発明では、「表層に凹凸によって、天然石状に模様をほどこ」している点。
<相違点5>
本願発明では、「大量生産できる」人工石であるのに対して、刊行物1記載の発明では、大量生産できるかどうか不明である点。

4.判断
<相違点1について>
本願発明と同様に植木鉢の上等に用いる人工石は、周知(例えば、下記刊行物2参照。)である。
そして、刊行物1記載の発明の人造石を、前記周知の人工石に適用することに格別の困難性は認められない。
<相違点2について>
本願発明に用いられる基材は、「・・・・など」と特定されており、基材の材料そのものを特定していない。ここで基材について特定される技術的意義は、発明の全体的な内容からすると、人工石に適した材料であり、硬化成型を行える程度の粒状の材料であることを意味していると認められる。
そうすると、刊行物1記載の発明の「天然石の微粉、細石」も石を模すために適した材料であり、本願発明の基材に含まれるものであることは明らかであり、相違点2は、実質的な相違点でない。
また、本願発明の基材として例示される「ガラス、あらゆる金属(さびどめを成品の表面に必要)、合成樹脂こまかな砂(接着剤をまぜる必要)」も材料として既に周知(例えば、下記の刊行物2では、ガラス繊維とポリカーボネート材、下記の刊行物3では、砂を用いる点を参照。)のものであり、例示された材料を人工石に用いることに阻害要因も認められない。
<相違点3について>
本願発明において、「原形的成形物の形は三角形立体、四角形立体、五角形立体、球体又円や三角形、四角形、多角形、無形などの平たいものを母体とする立体を用いる。」と特定したことは、発明の詳細な説明および図面を参酌すると、人工石として、前記形状を基とした形状とすることを意味しているものと認められる。
そうすると、三角形立体、四角形立体、五角形立体、球体又円や三角形、四角形、多角形、無形などの平たいものを母体とする立体である石は、一般によく知られており、人工石は、石を模したものであることを勘案すると、人工石の原形的成形物として、当該形状を母体とする立体を用いることは、当業者が容易に想到し得たことと言うべきものである。
<相違点4について>
刊行物1記載の「表層に凹凸」は、本願発明の「表層に出張りとへっこみ」に相当することから、刊行物1記載の発明と本願発明との相違は、出張りとへっこみの形状の違いであり、本願発明において出張りとへっこみの形状は、「例えば貨幣の表層の模様のように、美的デザインや幾何学的模様」と特定されている。
そうすると、表層形状として美的デザインや幾何学的模様は、本願発明に「貨幣の表層の模様のように」と記載されていることからも明らかなように周知であり、刊行物1記載の発明の表層の形状として、当該周知の形状を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。
<相違点5について>
本願発明の「大量生産できる」は、技術的にみて、硬化成形型により作成されることによるものと認められる。
そうすると、刊行物1記載の発明も硬化成形型により作成されており、大量生産できるものであり、上記相違点5は、実質的な相違点でない。
また、下記の刊行物2には、射出成形により人工石を作成する点が記載されており、段落【0003】等の記載を参酌すると、大量生産を行うものと認められることから、人工石を硬化成形型を用いて大量生産することは、周知でもあり、刊行物1記載の発明に前記周知の事項を適用することは容易である。

そして、本願発明の効果は、刊行物1記載の発明、及び前記周知の事項により、当業者が予測可能な範囲内のものであって、格別のものでない。

したがって、本願発明は、刊行物1記載の発明、及び前記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-16 
結審通知日 2006-10-24 
審決日 2006-11-08 
出願番号 特願2001-274305(P2001-274305)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B44C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 成就  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 加藤 昌人
菅澤 洋二
発明の名称 人工石  

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