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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01J
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H01J
管理番号 1150426
審判番号 不服2004-8335  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-22 
確定日 2007-01-11 
事件の表示 特願2001- 94242「プラズマディスプレイパネルの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月31日出願公開、特開2002- 33052〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成13年3月28日(優先権主張平成12年3月31日、平成12年5月12日)の出願であって、平成16年3月17日付け(発送日同年3月23日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年4月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成16年4月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の

「【請求項1】 第一プレート上に、誘電体保護層を形成する保護層形成工程と、第二プレート上に塗布した蛍光体層を焼成する蛍光体層焼成工程と、誘電体保護層を形成した第一プレート面と、蛍光体層を焼成した第二プレート面とを対向させて当該二枚のプレート間を封着する封着工程と、第一プレートと第二プレートの間を排気・ベーキングする排気・ベーキング工程を経るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記4つの工程の間、継続して前記第一プレートと前記第二プレートを、水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気、もしくは気圧が1Torr以下のガス雰囲気におくことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。」
を、

「【請求項1】 第一プレート上に、誘電体保護層を形成する保護層形成工程と、第二プレート上に塗布した蛍光体層を焼成する蛍光体層焼成工程と、誘電体保護層を形成した第一プレート面と、蛍光体層を焼成した第二プレート面とを対向させて当該二枚のプレート間を封着する封着工程と、第一プレートと第二プレートの間を排気・ベーキングする排気・ベーキング工程を経るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記4つの工程及びその工程間、前記第一プレートと前記第二プレートを、水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気、もしくは気圧が1Torr以下のガス雰囲気におくことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。」

と補正することを含むものである。

上記補正は、補正前の請求項1に記載された「4つの工程の間、継続して」を「4つの工程及びその工程間、」として、水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気、もしくは気圧が1Torr以下のガス雰囲気におく工程を、「4つの工程」から「4つの工程及びその工程間」と限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本件補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

(1)先願明細書に記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平11-97288号(特開2000-294133号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、

(1-1)「【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイは電極、蛍光体等を成膜したパネルに放電ガスを封入した構造である。そのため、放電ガスを封入する前に、パネル内部の放電の阻害となるガスを排出する必要がある。図8にプラズマディスプレイパネルの従来の製造方法の模式図を示す。
【0003】プラズマディスプレイパネルは複数のパネルを重ね合わせてつくる。一方の板には、電極、電極の保護膜が成膜され、もう一方には電極、セルの隔壁が形成され、さらに蛍光体、フリットが塗布焼成される。保護膜成膜工程80、蛍光体フリット焼成工程81を経たパネルは重ね合わせ工程84で位置決めされ重ね合わされ、クリップで仮固定される。ガラス管取り付け工程86でこれにパネルを排気するためのガラス管を付け、排気、放電ガス導入工程88に送られる。排気、放電ガス導入工程88でパネルは加熱され、フリットが溶融し、複数のパネルの間隙は密閉され、その後、ガラス管から排気され、不純ガスを排出した後、放電ガスを導入する。
【0004】この従来技術では、蛍光体フリット焼成工程81、排気、放電ガス導入工程88、重ね合わせ工程84、ガラス管取り付け工程86、搬送工程82、83、85、87は通常の大気雰囲気下で行われていた。また、これら工程はクリーンルーム89の中で行われていた。」

(1-2)「【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】図2はプラズマディスプレイパネルの展開図である。
【0023】これによりまず、プラズマディスプレイの構造から説明する。前面板11には電極、誘電体、保護膜15が成膜されている。背面板12には電極、セルの隔壁4が形成されており、セルの隔壁14の表面には蛍光体が塗布されている。パネル周辺には前面板11と背面板12を重ね合わせ、重ね合わせたときにできる空間を密封するためにフリット13が設けられている。さらに、このパネル内を排気し、かつ放電ガスを導入する経路を設けるために通気穴16とガラス管18が背面板12には設けられている。
【0024】図1は本発明の実施例の全容を示す図である。前面板11には電極、誘電体形成後、保護膜15が保護膜製造装置1で成膜される。保護膜15は水分を吸着しやすいが、真空下で蒸着やスパッタで成膜されるため、保護膜製造装置1から出た直後では水分は吸着していない。背面板12は電極、セルの隔壁14が形成された後、蛍光体とパネル同士を密閉接着するフリット13が塗布され、蛍光体、フリット焼成装置2で焼成される。蛍光体、フリット焼成装置2は、蛍光体やセルの隔壁14、フリット13に吸着した水分を除去するため、低露点のガス下で焼成を行う。保護膜製造装置1と蛍光体、フリット焼成装置2以降から排気、放電ガス導入装置9までの全ての装置と搬送路には低露点ガス供給装置10から低露点のガスが供給される。つまり、蛍光体、フリット焼成装置2、重ね合わせ装置5、ガラス管取り付け装置8、保護膜製造装置1から重ね合わせ装置5までの搬送路3、蛍光体、フリット焼成装置2から重ね合わせ装置5までの搬送路4、重ね合わせ装置5からガラス管取り付け装置8までの搬送路6、ガラス管取り付け装置8から封着排気、放電ガス導入装置9までの搬送路8は低露点ガス雰囲気で満たされている。
【0025】従来では、これら工程は大気中で行われていたため、保護膜15の成膜後に、保護膜15に水分が再付着したが、本発明を用いれば、低露点雰囲気下なので、再付着を防止することができる。また、従来では蛍光体、フリット焼成を大気下で行っていたため、この工程で水分を十分脱離できなかった。本発明では低露点ガス下で行うので水分を脱離可能となり、特にこの後の工程で蛍光体やフリットを再度ベークして水分を脱離する工程が不要となる。また、排気工程までは水分を含む大気中にパネルをさらさないので、水分の再吸着を防止できる。」

(1-3)「【0039】重ね合わせ装置5以降、つまり、重ね合わせ装置5からガラス管取り付け装置7までの搬送路6とガラス管取り付け装置7、ガラス管取り付け装置7から排気、放電ガス導入装置9までの搬送路8は上記に示した同様の構成で低露点ガス下で行うことが良い。しかし、重ね合わせ以降はプラズマディスプレイ20の内部と外部を連絡する流路がガラス管18とフリット13と前面板11の隙間に限られるので、大気下で行っても本発明の効果がある。
【0040】図6に低露点ガスの露点とパネルを一定時間真空排気したときのパネル内の到達圧力の関係を示す。これによれば、露点が5℃以下で効果があることがわかる。また、排気の前工程を大気中で行ったときの到達圧力70と比較し、露点-70℃のガスを用いた場合では到達圧力は1桁改善される。」

(1-4)「【0042】尚、本実施例で用いた低露点ガスは空気を用いたが、」

が記載されている。

そして、図6からは、具体的な低露点ガスとして、露点-70℃?-60℃のガスが見て取れる。

したがって、これらの記載事項によると、先願明細書には、つぎのとおりの発明、

「前面板11上に、保護膜15を成膜する保護膜成膜工程80と、背面板12上に塗布した蛍光体を焼成する蛍光体フリット焼成工程81と、保護膜15を成膜した前面板11面と、蛍光体を焼成した背面板12面とを対向させて当該二枚の前面板11、背面板12間を密閉する排気、放電ガス導入工程88の密閉工程と、前面板11と背面板12の間を排気する排気、放電ガス導入工程88を経るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体フリット焼成工程81及び搬送工程82,83、重ね合わせ工程84、搬送工程85,ガラス管取り付け工程86、搬送工程86において、前記前面板11と前記背面板12を、露点が-70℃?-60℃の低露点空気雰囲気におくことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。」(以下、これを「先願明細書に記載の発明」という。)

が記載されているものと認める。

(2)対比・判断
本件補正発明1と先願明細書に記載の発明とを対比する。
先願明細書に記載の発明における「前面板11」、「保護膜15」、「成膜」、「保護膜成膜工程80」、「背面板12」、「塗布」、「蛍光体」、「焼成」、「蛍光体フリット焼成工程81」、「密閉する排気、放電ガス導入工程88の密閉工程」は、それぞれ、
本件補正発明1における「第一プレート」、「誘電体保護層」、「形成」、「保護層形成工程」、「第二プレート」、「塗布」、「蛍光体層」、「焼成」、「蛍光体層焼成工程」、「封着する封着工程」に相当する。
また、先願明細書に記載の発明における「排気、放電ガス導入工程88」と本件補正発明1における「排気・ベーキング工程」は、共に、「排気工程」である。
さらに、先願明細書に記載の発明における「搬送工程82,83、重ね合わせ工程84、搬送工程85,ガラス管取り付け工程86、搬送工程86」と本件補正発明1における「前記4つの工程及びその工程間」は、共に、「ドライガスを供給する工程」である。
そして、飽和水蒸気圧曲線によれば、露点約-60℃での水蒸気分圧は10mTorrであるから、先願明細書に記載の発明における「露点が-70℃?-60℃の低露点空気雰囲気」は、本件補正発明1における「水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気」に相当する。

したがって、両者は、

【一致点】
「第一プレート上に、誘電体保護層を形成する保護層形成工程と、第二プレート上に塗布した蛍光体層を焼成する蛍光体層焼成工程と、誘電体保護層を形成した第一プレート面と、蛍光体層を焼成した第二プレート面とを対向させて当該二枚のプレート間を封着する封着工程と、第一プレートと第二プレートの間を排気する排気工程を経るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
ドライガスを供給する工程において、前記第一プレートと前記第二プレートを、水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気、もしくは気圧が1Torr以下のガス雰囲気におくことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。」
で一致し、

【相違点1】
「本件補正発明1では、排気工程が、排気・ベーキング工程であるのに対して、
先願明細書に記載の発明では、排気、放電ガス導入工程88が、密閉・排気・放電ガス導入工程であって、ベーキング工程を含んでいない点。」、

【相違点2】
「本件補正発明1では、ドライガスを供給する工程が、保護層形成工程、蛍光体層焼成工程、封着工程、排気・ベーキング工程の4つの工程とそれらの工程の間の工程であるのに対して、
先願明細書に記載の発明では、ドライガスを供給する工程が、搬送工程82,83、重ね合わせ工程84、搬送工程85,ガラス管取り付け工程86、搬送工程86であって、
(保護層形成工程に相当する)保護膜成膜工程80、(封着工程、排気・ベーキング工程に相当する)排気、放電ガス導入工程88を含んでいない点。」

で一応相違する。

そこで、上記【相違点1】について検討する。
先願明細書に、「従来では蛍光体、フリット焼成を大気下で行っていたため、この工程で水分を十分脱離できなかった。本発明では低露点ガス下で行うので水分を脱離可能となり、特にこの後の工程で蛍光体やフリットを再度ベークして水分を脱離する工程が不要となる。」(上記(1-2)参照。)と記載されているように、
後の工程でベークすることは従来から普通に行われていることであり、また「本発明では・・・不要となる。」との記載も、後の工程でベークすることを、必ずしも排除するものではない。
したがって、後段の排気、放電ガス導入工程88でベークするかどうかは、当業者が適宜選択し得る構成上の微差にすぎず、また、排気、放電ガス導入工程88にベーキング工程を含ませることに格別の技術的意義をみいだすことができないから、相違点1は実質的な相違であるとはいえない。

つぎに、上記【相違点2】について検討する。
先願明細書に、「重ね合わせ装置5以降、つまり、重ね合わせ装置5からガラス管取り付け装置7までの搬送路6とガラス管取り付け装置7、ガラス管取り付け装置7から排気、放電ガス導入装置9までの搬送路8は上記に示した同様の構成で低露点ガス下で行うことが良い。しかし、重ね合わせ以降はプラズマディスプレイ20の内部と外部を連絡する流路がガラス管18とフリット13と前面板11の隙間に限られるので、大気下で行っても本発明の効果がある。」(上記(1-3)参照。)と記載されているように、
低露点ガス下(すなわちドライガスを供給下)で行うか、大気下で行うかの選択は、外部からの水分の流入量に応じて当業者が選択するべき事項である。
したがって、保護膜成膜工程80、排気、放電ガス導入工程88にもドライガスを供給するかは、当業者が適宜選択し得る構成上の微差にすぎず、両工程にもドライガスを供給することに格別の技術的意義をみいだすことができないから、相違点2は実質的な相違であるとはいえない。

したがって、本件補正発明1は、先願明細書に記載された発明と実質的に同一であり、しかも、本件補正発明1の発明者が先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願出願の時にその出願人と先願の出願人とが同一であるとも認められないから、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
平成16年4月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?13に係る発明は、平成15年7月3日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1?13に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】第一プレート上に、誘電体保護層を形成する保護層形成工程と、第二プレート上に塗布した蛍光体層を焼成する蛍光体層焼成工程と、誘電体保護層を形成した第一プレート面と、蛍光体層を焼成した第二プレート面とを対向させて当該二枚のプレート間を封着する封着工程と、第一プレートと第二プレートの間を排気・ベーキングする排気・ベーキング工程を経るプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記4つの工程の間、継続して前記第一プレートと前記第二プレートを、水蒸気分圧が10mTorr以下のガス雰囲気、もしくは気圧が1Torr以下のガス雰囲気におくことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。」


4.先願明細書に記載の発明
先願明細書に記載の発明は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。


5.対比・判断
本願発明1は、前記「2.」で検討した本件補正発明1から、「及びその工程間」の構成要件を省いたものである。
そうすると、本願発明1の構成を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明1が、前記「2.(2)」に記載したとおり、先願明細書に記載された発明と実質的に同一であるから、本願発明1も、本件補正発明1についての判断で示したのと同様の理由により、先願明細書に記載された発明と実質的に同一である。


6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、先願明細書に記載された発明と実質的に同一であり、しかも、本願発明1の発明者が先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願出願の時にその出願人と先願の出願人とが同一であるとも認められないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明1が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?13に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-13 
結審通知日 2006-11-14 
審決日 2006-11-27 
出願番号 特願2001-94242(P2001-94242)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01J)
P 1 8・ 161- Z (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡戸 正義山口 剛  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 山川 雅也
濱野 隆
発明の名称 プラズマディスプレイパネルの製造方法  
代理人 中島 司朗  

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