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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B22D |
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管理番号 | 1150442 |
審判番号 | 不服2004-23993 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-12-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-11-24 |
確定日 | 2007-01-11 |
事件の表示 | 平成11年特許願第375244号「連続鋳造用パウダー供給方法及び供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月19日出願公開、特開2000-351050〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成11年12月28日(優先権主張 平成11年4月9日)の出願であって、平成16年2月18日付で拒絶の理由が通知され、平成16年4月23日に意見書が提出され、その後、平成16年7月21日付で、再度、最初の拒絶の理由が通知され、平成16年9月16日に意見書、補正書が提出された。その後、平成16年7月21日付の拒絶理由通知書に記載された理由により、平成16年10月14日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年11月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。そして、本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成16年9月16日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3記載された事項により特定されるとおりであるところ、そのうち本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】連続鋳造用パウダーを貯留元から供給ホッパーへ搬送パイプを介して気流輸送し、該供給ホッパーから鋳型内溶鋼表面へ供給するにあたり、前記供給ホッパー側からの吸引によって前記搬送パイプ内に負圧を形成することにより該搬送パイプ内の前記パウダーを前記供給ホッパー側へ気流輸送することを特徴とする連続鋳造用パウダー供給方法。」 2.刊行物とその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に国内で頒布された刊行物である実願昭63-165027号(実開平2-87546号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「1.連続鋳造用パウダを搬送流体とともにモールド内溶鋼上方に設置した散布容器内へ供給して溶鋼表面に散布する装置・・・」(実用新案登録請求の範囲) (2)「[実施例]次に、図面に基いて実施例を説明する。 第1図はこの考案のパウダ供給装置の概要を示すもので、連鋳用のパウダはホッパ1内に収容されており、その下部のフィダ(エゼクタ)2から所要量排出され、パウダ供給配管3を経て連鋳用モールド4上に設置された散布容器(散布ノズル)5内へと送り込まれる。この場合、供給配管3内のパウダは一定圧力にて該配管内に送り込まれる搬送流体、例えば空気と共に搬送され、散布容器5へ送られる。 勿論、散布容器内へのパウダ供給手段は図示の例に限らず、他の公知の手段のものを採用しても良い。」(4頁8行?5頁1行) 3.当審の判断 3-1.刊行物記載の発明 上記摘記事項(1)によれば、連続鋳造用パウダを搬送流体とともにモールド内溶鋼上方に設置した散布容器内へ供給して溶鋼表面に散布することが記載されている。さらに、摘記事項(2)によれば、連鋳用のパウダはホッパ内に収容され、パウダ供給配管を経て散布容器内へ送り込まれ、その際に、搬送流体として空気を用いることが記載されている。そして、流体としての空気は気流に外ならない。 そこで、上記摘記事項(1)、(2)を総合すると、刊行物には、「連続鋳造用パウダをホッパから散布容器内へパウダ供給配管を介して気流輸送し、該供給ホッパから鋳型内溶鋼表面へ供給する、連続鋳造用パウダ供給方法。」(以下、「刊行物発明」という。)が記載されているといえる。 3-2.対比・判断 本願発明と刊行物発明とを対比すると、刊行物発明の「ホッパ」、「パウダ供給配管」、「散布容器」は、本願発明の「貯留元」、「搬送パイプ」、「供給ホッパー」にそれぞれ相当することから、両者は、「連続鋳造用パウダーを貯留元から供給ホッパーへ搬送パイプを介して気流輸送し、該供給ホッパーから鋳型内溶鋼表面へ供給する、連続鋳造用パウダー供給方法。」で一致し、次の点で相違している。 相違点:連続鋳造用パウダーを気流輸送するにあたり、本願発明では、供給ホッパー側からの吸引によって搬送パイプに負圧を形成することによってなされているのに対して、刊行物発明では、この点が記載されていない点。 そこで、上記相違点について検討する。 粉体を気流輸送するにあたり、搬送先側からの吸引によって、搬送パイプに負圧を形成することによっておこなうことは、本出願前周知の技術であり(例、特開平11-35155号公報、【0005】、【0007】、【0017】、特開平10-250844号公報、【請求項1】、【0026】)、さらに、上記刊行物においても、供給ホッパーへのパウダー供給手段は、他の公知手段を採用し得る旨(摘記事項(2))の記載があることから、刊行物発明において、連続鋳造用パウダーを気流輸送するにあたり、供給ホッパー側からの吸引によって搬送パイプに負圧を形成することによっておこなう輸送手段を採用することに、格別の困難性を見いだすことはできない。 そして、本願発明の作用効果も、刊行物に記載された発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別顕著なものとは認められない。 従って、本願発明は、刊行物に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、請求人は、審判請求書の平成17年2月2日付手続補正書第4頁において、「仮にパウダ供給配管3(搬送パイプ)からパウダを引き入れることができる程に強い負圧であるとすると、その負圧が災いして、散布容器からのパウダー吐出が不可能となる。大容積の散布容器の一部に開口したパウダ供給配管3に対して、パウダーを吸引できる程の負圧をかけようとすれば、散布容器5から吐出しようとするパウダーも逆に吸引されてしまうからである。この様な事態が引用文献1記載の発明で生じたとすれば、引用文献1の発明は目的を達成できなくなる。」と、刊行物発明において、搬送パイプからパウダーを引き入れることができる程に強い負圧とすることは、散布容器からのパウダー吐出が不可能となり、刊行物発明は目的を達成できない旨主張している。 しかしながら、散布容器の吐出口を一旦閉じて気流輸送をおこなうことは、上記特開平10-250844号公報記載(例えば【0014】)の技術においてもおこなわれているように、搬送先側からの吸引によって搬送パイプに負圧を形成することによる粉体輸送を採用するにあたり、当業者が適宜なし得る事項にすぎず、審判請求人の主張は採用することはできない。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-10-30 |
結審通知日 | 2006-10-31 |
審決日 | 2006-11-22 |
出願番号 | 特願平11-375244 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B22D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小柳 健悟 |
特許庁審判長 |
城所 宏 |
特許庁審判官 |
市川 裕司 前田 仁志 |
発明の名称 | 連続鋳造用パウダー供給方法及び供給装置 |
代理人 | 伊藤 浩彰 |
代理人 | 二口 治 |
代理人 | 植木 久一 |
代理人 | 菅河 忠志 |