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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65B
管理番号 1150532
審判番号 不服2004-26756  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-28 
確定日 2007-01-10 
事件の表示 特願2000-323343「買物袋」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月27日出願公開、特開2002- 87415〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年9月18日の出願であって、平成16年11月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月28日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに平成17年1月27日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年1月27日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下決定の結論]
平成17年1月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本願の補正は、特許請求の範囲の請求項1を以下のとおりに補正することを含むものである。
「上部が開口され有底袋状に形成され網状に編んだ袋体(バッグ)と、
該袋体の上部開口の開口状態と閉口状態とを支持すると共に、該上部開口を開閉する太紐からなる開口紐体(アッパストラップ)と、
該開口紐体に連続して袋体を背中に背負う為の交差配設された長尺状の太紐からなる背負体(背負い紐、ショルダベルト)と、
該背負体に連続して袋体の底部の外周の大部分を支持するように配設された底部紐体(ロワーストラップ)と、
を備えてなる、
折畳むことによってスーツやコート等の服飾のポケットに入る程に小さくでき、しかも布製や樹脂製のものに比して重量軽減されて背中に背負って両手が使える使い勝手に優れ、転倒等の不慮の事態を未然阻止できる、
ことを特徴とする買物袋。」

上記補正は、少なくとも、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「開口を支持する」形状を「開口状態と閉口状態とを支持する」とし、「開口紐体」が「太紐からなる」ものであるという技術的事項を付加することにより、さらに限定するものである。
したがって、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、発明の産業上の利用分野を変更するものではなく、かつ、当該補正が発明を解決しようとする課題を変更するものでもないから、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。
そこで、本願補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)について、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定する要件について検討する。

(2)刊行物について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、実公昭36-15683号公報(以下、「引用例」という)には、以下の事項が記載されている。
1)引用例の記載事項
a.実用新案登録請求の範囲には、
「…略…中空円筒状の編組物1の両端2、3の縁にそれぞれ数個の円状環4、5を、末環4′と4″及び5′と5″の間の間隙を他よりも広く開けて配置し、上記編組物1の長さの二倍よりやや短い太紐6を外円状環4′、4、4″、5″、5′、4′の順序に通して両端末を接続して一本の無端状の紐となし、之に伸縮調整具8を付してなるシヨルダー・バツグの構造。」と記載されている。
b.第1頁左欄11?右欄29行には、
「本考案は内用品を収容した後に主として肩にかけるに便利な携帯用のバツグに関するものである。之を図面に就いて説明すれば、1は編組物で糸、紐等を以て適当に編組し、全体が中空円筒状をなさしめたもので、此の両端部2及び3にはそれぞれ数個の金属円状環4及び5を取付ける。但し各円状環4及び5の配置は、両端部2及び3を第2図及び第3図に示した如く上向きに向けた場合に両端部2と3との相隣るほうの円周上には4′-4″、5′-5″の如くその間隔を他よりも広く開けて置くものとする、而して一本の太紐6を端部2の末環4′から多くの他の円状環4を通じて最後に他の末環4″を経て他の端部3に亘りその末環5″他の円状環5を通じて末環5′を出て端部2の末環4′を通ずるように太紐6を接続して無端状太紐とする。而して該太紐6の長さは編組物1の長さの二倍より少少短かい太紐の両末端を接続する。斯くの如くすれば第4図に示す如く、編組物1の無端部3のやや近い太紐の部分6′を手で持つてその端部を水平にして編組物1を保持した場合に、他の一方の端部2は垂れて居る太紐6の下端によつて少しく上方に捧げられ、為に端部2は円状環4′、4″及び他の環4によって絞られて編組物1の開口は無くなる。
本考案のシヨールダー・バツグは斯くの如き構造であるから、第4図の状態に保持すれば端部3は開口し、他方の端部2は太紐6によって絞られ且つその付近は編組物1によって2′の如く底となつて居るから端部3の開口から内容物を入れると相当の分量が収容される、その処で太紐6の中程6′を肩に掛ければ第5図に示す通り内容品はその重さで7の如く納まり、両端部2、3は円状環4、5を通ずる太紐6によつて自然に絞られて居るから安全であるし、内容品の分量に応じて編組物1は伸縮するから大きさは不必要に大なる外容積とならずバツグ自体も軽いから携帯が極めて容易であり、又太紐6を末環4′5′5″4″の間に於ける何れの箇所を持つとも編組物1内は何処の部分も円状環4′、4、4″及び5″、5′、4′を通ずる太紐6によつて締められて居るから逆に内容品7がその重さによつて内部から太紐6を弛めて外に出るような心配は無い。尚、内容品7の出し入れは編組物1の両端2、3の何れの口からも之を取扱う事が出来るし、更に容器の本体が編組物で構成されて居るから、外部から内用品の状態がよく見えるので、何れか口に近い方から、あるいは整頓の希望に従つて都合よい口からその出し入れをすることが可能であるので極めて便利で手間取れず乱雑にならず無理をしないですむから内容品も損傷の心配がない。尚編組物1の編組材料としては防水性その他の化学製品を用いられる事勿論で、又円状環も化学製品とすることを得。」と記載されている。

記載事項「a.b」によれば、
引用例には、
「中空円筒状の編組物1の両端2、3の縁にそれぞれ数個の円状環4、5を、末環4′と4″及び5′と5″の間の間隙を他よりも広く開けて配置し、上記編組物1の長さの二倍よりやや短い太紐6を該円状環4′、4、4″、5″、5′、4′の順序に通して両端末を接続して一本の無端状の紐となし、之に伸縮調整具8を付してなることにより、外容積とならずバツグ自体も軽く携帯が極めて容易なシヨルダー・バツグの構造。」の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。

(3)対比・判断
(3-1)本願補正発明と引用発明とを対比すると、

引用発明の、「円状環」、「編組物」、「バツグ」、「太紐」は、本願補正発明の、「開口」、「網」、「袋体」、「紐体」に相当する。

したがって、両者は、「上部が開口され有底袋状に形成され網状に編んだ袋体(バッグ)と、
該袋体の上部開口の開口状態と閉口状態とを支持すると共に、該上部開口を開閉する太紐からなる開口紐体(アッパストラップ)と、
該開口紐体に連続して袋体を背中に背負う為の長尺状の太紐からなる背負体(背負紐、ショルダベルト)と、
該背負体に連続した底部紐体(ロワーストラップ)とを備えてなる、
ことを特徴とする買物袋。」で一致し、
以下の点で相違している。

相違点1:本願補正発明では、「紐体」が「袋体を背中に背負う為の交差配設されたものであって、背負って両手が使える使い勝手に優れ、転倒等の不慮の事態を未然阻止できる」通し方であるのに対し 、引用発明のものは、「交差配設」されたものでない点。
相違点2: 本願補正発明では、「折畳むことによってスーツやコート等の服飾のポケットに入る程に小さくでき、しかも布製や樹脂製のものに比して重量軽減されて背中に背負って両手が使える使い勝手に優れ」たものであるのに対し、引用発明のものは、「外容積とならずバツグ自体も軽く携帯が極めて容易」としか記載されていない点。

以下、相違点について検討する。
相違点1について、
「背負体」を「背中に背負う為の交差配設」とすることは、周知(実公昭32-13784号公報参照)であるから、この点は当業者が適宜選択しうる設計上の選択にすぎないものである。

相違点2について、
「外容積とならず、軽く携帯が極めて容易」ということは、「折畳むことによってスーツやコート等の服飾のポケットに入る程に小さくでき、しかも布製や樹脂製のものに比して重量軽減されて使える使い勝手に優れ」たものと相違しない従ってこの点に差異はない。
そして、相違点1、2によるり格別な効果を奏するものとも認められない。

よって、本願の補正発明は、その出願前に国内において頒布された引用発明および周知技術に基づいてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下をすべきものである。

3.本願発明について
平成17年1月27日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成16年4月19日付け手続補正書に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「上部が開口され有底袋状に形成され網状に編んだ袋体(バッグ)と、該袋体の上部開口を支持すると共に、該上部開口を開閉する開口紐体(アッパストラップ)と、
該開口紐体に連続して袋体を背中に背負う為の交差配設された長尺状の背負体(背負い紐、ショルダベルト)と、
該背負体に連続して袋体の底部の外周を支持する底部紐体(ロワーストラップ)と、
を備えてなる、
折畳むことによってポケットに入る程に小さくでき、しかも重量軽減されて背中に背負って両手が使える使い勝手に優れ、転倒等の不慮の事態を未然阻止できる、
ことを特徴とする買物袋。」

(1)引用例およびその記載事項
原査定の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願補正発明1は「2.(1)」で認定したように、前記「2.(3)」で検討した本願発明に対し、技術的事項を付加することにより、さらに限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべてを含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例の発明および、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故本願出願は、請求項2,3に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-31 
結審通知日 2006-11-07 
審決日 2006-11-20 
出願番号 特願2000-323343(P2000-323343)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一ノ瀬 覚山崎 勝司  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
豊永 茂弘
発明の名称 買物袋  
代理人 福岡 要  

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